ルネスタを服用していると、口の中が苦くなることがあります。
突然のことだと驚いてしまいますが、口の中に残る苦味は、じつはルネスタの副作用のひとつかもしれません。
ルネスタの主な副作用として味覚異常が報告されています。製薬会社が行った臨床試験では、ルネスタを服用した人の36.3%に味覚異常が出ています。
味覚異常による苦味は、ルネスタを服用してしばらく経ってから、場合によっては翌朝まで続くことがあります。
この記事では、ルネスタが苦い理由から苦味対策まで詳しく解説します。
ルネスタってどんな薬?
日本で認可されている睡眠薬の中で主流になっているのがベンゾジアゼピン系と、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬。
ベンゾジアゼピン系は催眠鎮静作用がある受容体と筋弛緩作用がある受容体の両方に作用しますが、非ベンゾジアゼピン系は催眠鎮静作用がある受容体だけに作用するとされています。
そのため、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は不眠の改善作用に特化しており、筋肉を緩めるような作用が少なく、ふらつきや転倒の危険性が緩和されています。
ルネスタは、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、寝つきが悪い入眠障害から、途中で目が覚める中途覚醒にまで効果を発揮し、ふらつき等が起こりにくいのが特徴です。
ルネスタの市販薬はある?
2023年4月現在、ルネスタの市販薬は販売されていません。
不眠に効果のある市販薬について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
ルネスタが苦い理由とは
ルネスタと同じ非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類される薬にアモバンがあります。
アモバンの副作用でも一番多いのが苦味で、その強さはルネスタ以上と考えられています。
ルネスタは、アモバンを改良して発売された睡眠薬になります。
アモバンは、構造にS体とR体があります。しかし、薬としての作用を持つのはS体のみということがわかっています。ルネスタはアモバンのS体のみを取り出して発売された薬で、アモバンよりは苦味は軽減されています。
ルネスタが苦い理由は、エスゾピクロンという薬の成分自体に苦味があることと、薬の成分が体内へ吸収された後、唾液中に少しずつ分泌されるためではないかと考えられています。ただし、唾液から分泌される機序については明らかにはなっていません。
ルネスタの苦味を軽くする対策
ルネスタで苦味の副作用が出たら、どうしたらいいのでしょうか。
苦味の感じ方には個人差があります。うっすらと感じる程度の軽い苦味なら、仕方なく我慢して睡眠を優先させることもありますが、我慢できないときの対策をご紹介します。
水で速やかに飲む
ルネスタの成分であるエスゾピクロンには苦味があるため、苦味を感じにくくするように錠剤はフィルムでコーティングされています。
しかし、ルネスタを口の中でなめたり、噛んだりするとコーティングがはがれて苦味を感じる可能性があります。ルネスタは適量の水とともに速やかに服用することをおすすめします。
薬の量を減らす
ルネスタの味覚異常は投与量の増加に伴って発現率が高くなる傾向があります。これにより、低用量を使用する又は投与量を減量することで低減することができると考えられます。
しかし、自己判断による薬の減量は危険です。必ず医師と相談しましょう。
他の薬を検討する
薬の量を減らしても苦味がある、でも睡眠薬は服用したいという方は、他の薬への切り替えを検討することも選択肢のひとつです。
同じ非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬にマイスリーがあります。マイスリーにも味覚異常の副作用の報告はあるものの、ルネスタよりは出にくいとされています。
その他にも、睡眠薬には多くの種類があります。医師とよく相談し、薬を処方してもらうようにしましょう。
さいごに : 睡眠薬の服用は必ず医師の指示を受けて
睡眠薬の服用にあたっては、必ず医師の指示を守って正しく使用してください。
自己判断で薬の量を変えると、効果が得られなかったり、思わぬ事故につながる可能性があります。
薬をやめる際も必ず医師と相談しましょう。