生理に関するトラブルは、生理前から起こるPMS(月経前症候群)をはじめ、生理痛や月経困難症など日常生活が困難になるほどのトラブルにみまわれる人もいます。
特に生理中は子宮や腸の働きがいつもと変化するため、普段は便秘気味でも生理中には下痢になるという女性も少なくありません。
生理中に下痢になりやすい理由は、女性の身体はホルモンバランスに大きな影響を受けているためです。
この記事では生理と下痢の関係について解説するとともに、生理中の下痢に使える市販薬を紹介します。
生理中は下痢になりやすい
生理に向けてプロゲステロンの分泌が低下する
生理周期は人によって異なりますが、平均で28日周期といわれています。
女性の生理周期は、①月経期→②卵胞期→③排卵期→④黄体期という4つの周期を繰り返します。
排卵後から生理までに多く分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、受精や着床を助けて妊娠に備えるためのホルモンです。
プロゲステロンは子宮の収縮を抑えるとともに、腸の収縮運動もおさえるため、分泌量が増えることにより腸の動きが悪くなります。そのため、排卵後から生理前には便秘が起こりやすくなります。
ところが、妊娠が成立しなければ生理に向かってプロゲステロンの分泌は低下します。
すると、これまで抑えられていた代謝や腸の動きが元に戻って活発になり、一気に排出しようします。
そのため生理直前から生理中にかけては下痢になりやすくなる傾向があります。
プロスタグランジンも増加
生理直前に、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が低下したことで、腸の動きが活発になると同時に、プロスタグランジンの分泌も増えます。
プロスタグランジンは、子宮を収縮させて経血を体外へ排出させる役割がありますが、子宮だけではなく腸も収縮させる作用があります。
そのため、生理中に下痢や腹痛を引き起こすことがあります。
生理後の下痢で考えられる原因
生理中はプロスタグランジンの影響により下痢になりやすいといえます。
生理が終わってから排卵までの間には、プロゲステロンやプロスタグランジンの分泌は低下し、エストロゲンという女性ホルモンが多く分泌されます。
そのため、生理後に女性ホルモンが原因となる下痢が起こるとは考えにくいです。
もしも生理後に下痢が続く場合は、他の原因が考えられます。
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気も腹痛や便通異常があらわれることがあるため、生理周期に合わせて下痢や腹痛を繰り返してつらい場合は、一度婦人科を受診しましょう。
生理中の下痢や腹痛の対処法と症状をおさえる薬
生理中の下痢や腹痛をやわらげるためには、体を冷やさないことが大切です。温かい服装を心がけ、体を温める食べ物や飲み物を積極的にとりましょう。
また、香辛料などの刺激物は下痢を悪化させるため、下痢や腹痛がある時は控えましょう。コーヒーなどカフェイン量の多い飲料やアルコールも避けたほうがいいでしょう。
生理中の腹痛に使える薬
つらい生理痛には、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成をおさえる鎮痛薬の使用が効果的です。
イブプロフェンやロキソプロフェンなどは、プロスタグランジンの生成をおさえる鎮痛成分です。
ロキソニンS
ロキソニンS 12錠【第一類医薬品】
ロキソプロフェンを成分とした鎮痛薬です。
月経痛(生理痛)のほか頭痛や腰痛などにも効果を発揮します。
生理痛に効く市販薬について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
生理中の下痢を止めたいときに使える薬
下痢によって体力の消耗などの危険性がある場合は、薬で下痢を止めて体力の消耗をおさえることもひとつです。
ピシャット下痢止めOD錠
ピシャット下痢止めOD錠 12錠(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
有効成分としてロペラミド塩酸塩を配合した下痢止めの薬です。有効成分が腸に直接作用してぜん動運動をおさえ、腸管内の水分分泌をおさえることで下痢を改善します。15歳から使用できます。
水なしで服用できるので、通勤中・会議中などのどんなシーンでも使用できるのが特徴です。
ストッパエル下痢止めEX
ストッパL下痢止めEX【第二類医薬品】
3種類の有効成分を配合した下痢止めです。ロートエキスが腸の異常収縮をおさえ、タンニン酸ベルベリンが腸粘膜の炎症を鎮めて腸内の水分が過多になるのを防ぎます。生薬シャクヤクエキスが生理痛など腹痛をともなう下痢の痛みをやわらげます。
15歳から使用できる、水なしで服用できるアップル味のチュアブルです。
下痢に効く市販薬について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
おわりに
女性ホルモンやプロスタグランジンの影響によって、生理中に下痢や腹痛が起こる場合があります。
まずは、生活習慣を見直してみて、症状が落ち着かないようならば市販薬を使用するのも一つの手です。
また、毎月ひどい生理痛や下痢で日常生活に支障が出る場合は、一度婦人科で診察を受けることをおすすめします。