睡眠薬の効果の強さ・持続時間の比較|処方薬の種類
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薬剤師監修日:
不眠症状の改善に使われる睡眠薬。睡眠薬には様々な種類があり、その効果の強さや効果が持続する時間も異なります。この記事では、様々な睡眠薬の効果の強さと効果の持続時間を比較します。

病院で処方される睡眠薬の比較
不眠症状の改善に用いられる薬は、病院で処方される「睡眠薬」と薬局やドラッグストアで購入可能な「睡眠改善薬」があります。
また、「睡眠導入剤」は睡眠薬のなかでも作用時間が短いタイプの薬の総称として使われるもので、睡眠薬と本質的には同じものです。
この記事では、病院で処方される睡眠薬の効果の強さを比較し、それぞれの薬の特徴について解説します。
市販されている睡眠改善薬や薬の選び方についてはこちらで詳しく解説しています。
睡眠薬の効果は持続時間で比較されます
睡眠薬の効果の強さは、一般的に薬を服用してからどれくらい作用時間が持続するかで比較されます。
不眠には入眠困難タイプ、中途覚醒・早期覚醒タイプがあり、症状や生活背景によって推奨される薬剤が異なってきます。
不眠の症状に効く市販薬
市販薬のなかには不眠症に使えるものがあります。
漢方ナイトミン 72錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】

酸棗仁湯は、どちらかといえば体力がなく、心身が疲れて眠れない方に適した漢方薬です。
漢方の酸棗仁湯処方のお薬である漢方ナイトミンは、心身のバランスを整え、続く不眠を改善します。
錠剤のため、漢方独特の苦味が苦手な方でも比較的飲みやすいお薬です。
効能効果 |
体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の諸症: 不眠症、神経症 |
睡眠薬の効果が持続する時間
睡眠薬は効果の持続時間によって、大きく4種類に分けられます。 自分の睡眠障害の症状に合わせて、適した効果持続時間の薬を選択することが大切です。
※効果持続時間や効き目の強さは弊社薬剤師の見解です。
※効果の感じ方には個人差があります。
超短時間型
服用後30分以内に効果が現れ始めるため、寝つきが悪い入眠障害の方に適しています。薬の効き始めが短いぶん、効果の持続時間も短いため、夜中に起きてしまう中途覚醒の方などには向いていません。
短時間型
超短時間型に比べて効果の持続時間が長いため、夜中に起きてしまう中途覚醒の方に適しています。夜中によく起きてしまう時間に合わせて、短時間型と中時間型のどちらが良いかが変わります。
中時間型・長時間型
翌朝まで薬の効果が続くため、夜明け前に目が覚める早朝覚醒の方に適しています。ただし、薬の効果持続時間が長いと朝までぐっすり眠れますが、朝起きられなかったり翌日の日中まで眠気を持ち越してしまうこともあります。
効果持続時間のメリット・デメリット
効果持続時間 | メリット | デメリット |
---|---|---|
長い薬 | 深く長く眠れる | 薬の影響が翌日に残りやすい |
短い薬 | 薬の影響が翌日に残りにくい | 夜中や早朝に目覚めやすい |
自分の睡眠障害の症状への効果も大切ですが、翌日の予定を考慮することも重要です。
翌日に細かい作業、注意力が必要な作業が予定されている場合、影響が強く残る薬を服用してしまうと、日中の行動に支障がでてしまいます。
影響が強く残るかどうかは個人の体質によって大きく異なるため、自分の体質と薬の相性を把握することが大切です。
睡眠薬の分類と特徴
病院で処方される睡眠薬は大きく分けて以下の5つに分類することができます。
①ベンゾジアゼビン系
脳の興奮をおさえることで、不安や緊張、不眠の症状に効く薬です。また、筋肉の緊張をほぐす作用(筋弛緩作用)により腰痛や緊張型頭痛などに使用される薬もあります。長短時間型から長時間型まであり、症状や生活背景などに合わせて選択されます。
代表的な薬:ハルシオン、レンドルミン、リスミー、エバミール、デパス、サイレース、ネルボン、ドラール、ダルメートなど
②非ベンゾシアゼピン系
①のベンゾジアゼビン系で起こる可能性のある副作用(筋弛緩作用など)を減らした薬です。ベンゾジアゼピン系に比べて安全性は高いとされています。
代表的な薬:マイスリー、アモバン、ルネスタなど
③メラトニン受容体作動薬
眠気と関係するメラトニンというホルモンを利用した薬です。自然な眠気を誘導するメカニズムなため、睡眠作用は比較的弱めですが、大きな副作用が出にくいことが特徴です。
代表的な薬:ロゼレム
④オレキシン受容体拮抗薬
脳の覚醒状態の保持に関係しているオレキシンというホルモンを阻害することにより、眠気を誘導する薬です。薬への耐性や依存性、日中の眠気の影響も少ないことが特徴です。
代表的な薬:ベルソムラ、デエビゴ
⑤バルビツール酸系
麻酔として使われることもあるほど、非常に強い催眠作用があります。重い副作用が起こる可能性もあるため、不眠症の改善に使われることはほとんどありません。
代表的な薬:なし
処方されることが多い睡眠薬
現在、病院でよく処方されるのはベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
非ベンゾジアゼピン系はベンゾジアゼピン系の副作用を軽減することを目的に開発された薬です。睡眠をもたらす仕組みは同じため効果はほとんど変わらず、効果が持続する時間で使い分けます。
また、安全性や処方制限などの観点から、最近ではオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬の使用も増えてきています。
より効き目の強い薬が欲しい場合は?
現在服用している薬では効果が感じられず、より効き目の強い薬が欲しいと思うこともあるかもしれません。
しかし、自分の不眠の原因と症状に合った薬を処方してもらうことが不眠症状を改善するために最も大切なことです。
また、薬の種類によっては、服用量で効き目を調整することが可能な薬もありますが、自己判断で服用量を変更することは大変危険です。
薬の服用量や種類の変更をしたい場合は必ず医師に相談しましょう。
自分の不眠症状にあった睡眠薬を
「眠りたいのに眠れない」「熟睡できず、途中で起きてしまう」など、一口に不眠といっても、その症状は人それぞれです。代表的な不眠の症状は以下の4つにわけられます。
入眠障害 | 30分以上経っても寝つけない |
---|---|
中途覚醒 | 途中で目覚め、そこから寝つけない |
早期覚醒 | 自分が設定した予定より何時間も早く目覚めてしまう |
熟眠感欠如 | しっかり睡眠をとった実感がない |
病院で処方される睡眠薬以外にも、薬局やドラッグストアでは、睡眠改善薬と呼ばれる薬が購入できます。
病院で処方される睡眠薬が慢性的な不眠症状にも対応できるのに対し、市販の睡眠改善薬はあくまで一時的な不眠症状にのみ効果を発揮します。使用できる不眠症状に限りがあるため、まずはご自身の不眠の症状がどの種類に当てはまるのかを確認しましょう。
睡眠薬に頼らない不眠改善方法を実践しよう
睡眠薬は睡眠障害を根本的に治療するものではありません。その日、その瞬間の睡眠の手助けはできても、眠れない原因を取り除くことはできません。
睡眠薬に頼らずに心地よい就寝時間を得るためにも、眠れない原因から解決していきましょう。
不眠の原因になる睡眠障害には精神的な原因と生活習慣の原因があります。
精神的な原因
睡眠障害の精神的な原因は、不安やストレスが大きな理由です。
直接的な不安やストレスを解消することも大切ですが、睡眠障害になる人は「薬に頼っている現状」が更なるストレスになっていることも多くあります。
睡眠薬はきちんと用法・用量を守れば危険なものではありません。無理に薬を拒否して睡眠障害に立ち向かうよりも、治療のために薬を選択していると前向きにとらえましょう。心の余裕を持つことで直接的な原因を解消する手助けにもなります。
生活習慣の原因
生活習慣が不眠の原因になっている場合、日々の生活を眠りやすくなる環境に改善することで規則的な睡眠の習慣を身につける手助けになります。
■日中の過ごし方
起床したらまず日光を浴びて、体内時計を正常に調整しましょう。
人間の体内時計は24時間より長い周期であるため、体内時計を毎日整えないと生活がずれていってしまいます。朝の光には体内時計を早める作用があります。朝起きてすぐの光が最も効果的なため、起床後はカーテンを開けて自然光を部屋の中に取り込みましょう。
また、定期的な運動も不可欠です。
特に夕方~夜(就寝の3時間くらい前)に脳の温度を一時的にあげることによって、就寝時間の脳の温度が大きく下がり快眠を誘いやすくなります。ただし、眠る直前の運動は体を興奮させてしまうため避けましょう。
■就寝前の食事について
就寝に近い時間の夕食や夜食は控えることが理想的ですが、現代の生活だとなかなか難しいこともあるかもしれません。そういった場合は油ものを控えるなど、胃に負担がかかりすぎない夕食を意識することが大切です。
カフェインには覚醒作用があります。カフェインに敏感な人は就寝の5~6時間前からコーヒーや緑茶を控えましょう。
お酒は一時的に寝つきが良くなるように思えますが、眠りが浅くなり夜中に目を覚ましてしまい逆効果になってしまいます。
■電子機器から離れて脳を落ち着ける
就寝の1時間〜30分前にはテレビ・パソコン・スマートフォンなどの電子機器の使用を避けましょう。
電子機器の画面を見たり操作しているとき、脳は興奮状態にあります。脳が落ち着くまでには時間がかかるため、就寝の妨げになってしまいます。
寝る前は脳を落ち着かせ、リラックスする時間にしましょう。
また、布団の中での考えごとは、脳を活発に活動させてしまうため控えましょう。
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