シナール配合錠の効果を徹底解説|副作用で太る?効果的な使い方も紹介
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薬剤師監修日:
シナール配合錠は肌の健康維持やシミの改善に良いとされる処方薬です。効果、副作用、使用時の注意点から市販薬のシナールEXシリーズとの比較や、処方薬シナール配合錠の効果的な使い方について解説します。また、シナール配合錠を使用することで太るのかについても解説します。

シナールとは、ビタミン配合剤の名前です。処方薬の正式名称はシナール配合錠、またはシナール配合顆粒といいます。
主成分がビタミンCなどのビタミン類であるため、シミに対して使われることもあります。
シナールには、皮膚科で処方薬としてもらえるシナール配合錠・配合顆粒のほかに、薬局やドラッグストアで買えるシナールシリーズがあります。
この記事では、処方薬と市販薬のシナールの違いやその効果について、詳しく解説していきます。
市販のシナールシリーズに主に使われている成分
市販のシナールシリーズはビタミン複合剤であり、その主成分はアスコルビン酸(ビタミンC)などのビタミン類に加え、L-システインが含有されているシリーズもあります。
市販のシナールシリーズに配合されている有効成分は以下の通りです。
商品名 | 有効成分 |
---|---|
シナールEX顆粒e | アスコルビン酸(ビタミンC) リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体) 酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE) |
シナールEXチュアブル錠e | アスコルビン酸(ビタミンC) アスコルビン酸カルシウム(ビタミンC) リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体) 酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE) |
シナールEX pro顆粒 | アスコルビン酸(ビタミンC) リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体) 酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE) パントテン酸カルシウム |
シナールEX proチュアブル錠 | アスコルビン酸(ビタミンC) アスコルビン酸カルシウム(ビタミンC) リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2誘導体) 酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE) パントテン酸カルシウム |
シナールLホワイト2 | アスコルビン酸(ビタミンC) パントテン酸カルシウム L-システイン |
シナールLホワイトエクシア | アスコルビン酸(ビタミンC) パントテン酸カルシウム L-システイン ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) ビオチン |
シナールシリーズに含まれる成分のそれぞれの効果について見ていきましょう。
※剤形により含まれる成分や含有量には違いがあります。
アスコルビン酸(ビタミンC)
アスコルビン酸とはビタミンCの別名です。
ビタミンCはメラニン色素の生成を抑制し、すでに作られたメラニン色素を抗酸化作用によって還元します。
そのほかにも、ビタミンCにはコラーゲンの合成や、鉄分の吸収を高める効果などさまざまな効果があります。
ビタミンCはシナールシリーズの全ての主成分となっています。
L-システイン
L-システインとは体の代謝を助けるアミノ酸の一種です。
ビタミンCと同時に摂取することで、シミの原因になるメラニンを無色化するほか、肌の代謝を正常化する効果も示します。
L-システインはシナールLホワイトシリーズにのみ含まれています。
パントテン酸カルシウム
パントテン酸はビタミンB群の一つで、多くの食品に含まれており、糖質・脂肪・たんぱく質などの代謝に広くかかわります。
パントテン酸カルシウムは、シナールEX顆粒eとシナールEXチュアブル錠e以外に配合されています。
リボフラビン酪酸エステル
シナールLホワイトシリーズ以外に含まれるリボフラビン酪酸エステルはビタミンB2誘導体で、体に吸収されやすいように開発された医薬品成分です。
皮膚の正常な働きをサポートします。
酢酸d-α-トコフェロール
シナールEXシリーズにのみ含まれる酢酸d-α-トコフェロールは、ビタミンEの一種です。
抗酸化作用を持ち、体内の脂質を酸化から守ります。
シナールの処方薬と市販薬を徹底比較
シナールには大きく分けて、皮膚科でもらう処方薬と薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の2種類存在します。
また、市販薬の中でも種類によって成分や用法・用量が異なります。
処方薬のシナール配合錠・シナール配合顆粒と、市販薬のシナールシリーズの成分における違いは次の通りです。
なお、市販薬のシナールLホワイトシリーズについては、処方薬と異なり、ビタミン以外の成分も含まれているため比較対象から除外しています。
ビタミンC | パントテン酸カルシウム | ビタミンB2 | ビタミンE | |
シナール配合錠(処方薬) | 1800mg | 27mg | × | × |
シナール配合顆粒(処方薬) | 1800mg | 27mg | × | × |
シナールEX顆粒e | 2000mg | × | 12mg | 30mg |
シナールEXチュアブルe | 2000mg | × | 12mg | 30mg |
シナールEX pro顆粒 | 2000mg | 30mg | 12mg | 30mg |
シナールEX proチュアブル錠 | 2000mg | 30mg | 12mg | 30mg |
※成分量は成人1日最大用量
シナールの市販薬について、具体的な薬はこちらの記事で解説しています。
シナール配合錠の効果
処方薬のシナール配合錠・配合顆粒の添付文書には、効果について以下のように記載されています。
本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し,食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患,妊産婦,授乳婦等),炎症後の色素沈着
つまり、ビタミンCなどが欠乏した際に補うことや炎症後の色素沈着を改善することがシナールの主な効果だといえます。
シナール配合錠の主成分であるビタミンCは肌だけでなく体全体の健康に欠かせない成分です。
市販のシナールシリーズの効果
市販のシナールシリーズの効果のひとつに「しみ・そばかす・日焼け・かぶれによる色素沈着を緩和すること」があります。
シナールシリーズに含まれるビタミンCには、シミやニキビ跡の色素沈着などの原因となるメラニンの生成を抑制する効果があります。
シナールシリーズを服用しメラニンの発生を抑制することで、シミを含む色素沈着などを軽減することができます。
また、ビタミンCには色素沈着を薄くする効果もあります。
この効果によって、できてしまったシミを改善したり、日焼けなどによる肌の色素沈着を改善する効果が期待できます。
シナールの服用時の注意点と併用薬について
どんなに便利な薬もむやみに服用するとその効果により受ける恩恵も軽減してしまいます。服用時は服用回数や併用薬などに注意しましょう。
トランサミンとの併用は?
シナールと同様にメラニンの発生を抑制する効果のあるトランサミン(成分名:トラネキサム酸)は、皮膚科で同時に処方されることが多い薬です。
特に肝斑治療などの場合は、トランサミンとシナールを併用することで肝斑を軽減する効果を高めています。
また、ビタミンEを配合したユベラとの併用も効果的で、皮膚科ではトランサミン・シナール・ユベラなどの組み合わせで多く処方されています。
しかし、処方薬のトランサミンやユベラはシミや肝斑への適応がありません。
市販薬で肝斑を治したい場合、シナールと同じ成分に加えてトラネキサム酸を含むお薬がおすすめです。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
しみ対策を目的としている市販薬については詳しくはこちらの記事をご参照ください。
1日数回に分けて飲むと効果的
ビタミンCは、摂取するタイミングや1回の摂取量によってその吸収率が異なります。
医薬品や人によって異なりますが、ビタミンCは一度にたくさん摂取しても、数時間程度で尿と一緒に排出されてしまう可能性が高いです。
シナールなどのビタミンCを含む医薬品を服用する場合、1日数回に分けて服用することが大切です。
シナールの効果をより高めるために、用法通りの回数を服用するようにしましょう。
また、飲み忘れたからといって次に多く飲んでも、体の中に取り込める量は決まっています。一回に服用する量を守るようにしましょう。
どのくらいで効果が出るの?
肌への効果を期待してシナールを服用した場合、肌のターンオーバーの周期である1か月~1.5か月を目安に服用を続けることが効果的とされています。
効果が出ないのに飲み続けることはしないように、と添付文書にも記載されているため、肌への効果を期待してシナールを服用する場合は、1~1.5ヶ月ほどを目安に服用しましょう。
シナールの副作用|太ることはある?
シナールを服用の際はきちんと用法・用量を守って飲みましょう。
副作用はあるの?
シナールはビタミンが主成分の薬ですが、人によっては副作用が生じることもあります。
報告されている副作用の症状は、下痢や吐き気・嘔吐、腹痛など消化器官に関することがほとんどです。
これらの症状はシナールに含まれるビタミンCの過剰摂取が原因のひとつになり得るため、症状があらわれた際はすぐにシナールの服用を中止し、医師に相談してください。
また、まれに発疹などの症状が現れることもあります。
いずれの副作用もシナールの服用を中止すればおさまることがほとんどです。
シナール配合錠を服用すると太る?
2023年1月現在、シナール配合錠の副作用で体重が増加するといったデータや研究報告はありません。
シナール配合錠の主成分であるビタミンCは水溶性であり、服用しても比較的速やかに体外に排出されるため、体内に残って蓄積される心配はありません。
シナール配合錠の使用上の注意
妊娠中・授乳中の服用について
妊娠中や授乳中に服用しても基本的には問題ありません。
ただし、妊娠中や授乳中に独断で薬を飲み続けることは危険です。
シナールを服用している、または服用したい場合は、一度かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
飲み合わせについて
シナール配合錠をビタミンCサプリメントやそのほかのビタミン剤と併用してしまうと、ビタミンCの過剰摂取になり下痢などの症状を起こす場合があります。
現在、サプリメントを使用していたりビタミン剤を使用していたり、あるいは病院から処方薬をもらっていたりする場合は、シナールを服用する前に一度医師に相談してみましょう。
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