子どもの便秘のサイン|市販薬で治る?
便秘とは、なんらかの原因によって排便回数や便量が減少することで便が滞ったり、便が出にくい状態をさします。また、子どもにおいては便が出ていても排便時に痛がって泣いたり、いきんでも排便できない状態、排便に苦痛を伴う状態も便秘だと考えれられます。
子どもの便秘は早めにケア
「便秘は大した病気ではない」と考える方がいるかもしれませんが、子どもにとっては辛く苦しい症状です。初期に適切なケアが行われれば症状を落ち着かせることができる一方、便秘を放置していると慢性化し、しばしば巨大結腸症という腸が異常に膨らんでしまう大きな病気に繋がる危険性もあります。子どもが便秘になったら、すぐにケアを開始することが重要です。
子どもの便秘のサイン・症状
子どもの便秘の症状の一例を以下に示します。
- 1週間に2回以下の排便回数
- 排便時に痛がる
- トイレが詰まるくらい大きな便が出る など
子どもの便秘は決して珍しい病気ではありません。離乳食やトイレトレーニングを始めた時期、学校へ通い出した時期など、環境の変化がある時にも便秘になりがちです。保護者が子どもの排便状況をしっかりと観察し、体調の変化にすぐに気づけるようにしましょう。
子どもの便秘は市販薬でケアすることが可能
子どもの便秘は市販薬でケアをすることが可能です。
ただし、2歳以下の場合や、便秘の症状が重い、血便や嘔吐、発熱などの症状が見られる場合は早めに病院を受診するようにしてください。
子どもの便秘薬の選び方
便秘の市販薬は主に浸透圧性下剤、整腸剤、刺激性下剤、浣腸・坐薬の4つに分けらます。
こんな症状に | |
---|---|
浸透圧性下剤 |
・薬でお腹が痛くなるのはイヤ ・子どもでも服用できる薬がある |
整腸剤 |
・比較的症状が軽い便秘に ・比較的長く服用することができる ・子どもや妊婦、高齢者も服用できる薬がある |
刺激性下剤 |
・浸透圧性下剤や整腸剤を飲んでも効果がなかった時に ・短期間や一時的に使用する ・腹痛が起こる可能性あり |
浣腸・坐薬 |
・すぐに出したい ・長期連用は不可 |
子どもが飲める市販の便秘薬は限られる
市販の便秘薬の中でも、年齢によっては子どもが服用できないものがあります。また、錠剤を飲み込めない小さなお子様は、粉薬を選ぶようにしましょう。
浣腸や整腸剤に関しては子どもでも使用できる薬はありますが、浣腸はクセになる恐れがあるため、今すぐどうしても出したいという時にのみ使用するようにしましょう。
子どもの便秘に効く市販薬
子どもも使える便秘に効く市販薬をご紹介します。
お子様の症状や年齢に合わせて適した市販薬を購入しましょう。
浸透圧性下剤:お腹が痛くなりにくい便秘薬
メタスルー 360錠【第三類医薬品】
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
15歳以上 |
3~6錠 |
1日1回 |
11歳~14歳 |
2~4錠 | |
7歳~10歳 | 2~3錠 | |
5歳~6歳 |
1~2錠 | |
5歳未満 |
服用しないでください |
酸化マグネシウムが配合された非刺激性の便秘薬です。腸を直接刺激しないため、腹痛や腹部の不快感が起こりにくく、連続服用してもクセになりにくいという特徴があります。
酸化マグネシウムには、固くなった便に水分を集めることで、便を柔らかくし自然なお通じを促す働きがあります。便秘や便秘にともなう頭重、腹部膨満感、肌荒れなどに効果をあらわします。
メタスルーは、続けやすいリーズナブルな価格です。便秘薬と気づかれにくいパッケージも特徴の一つです。
整腸剤:自然な便通をうながす
ビオスリーH 36包 (指定医薬部外品)
年齢 | 1回量 |
1日服用回数 |
15歳以上 |
1包 |
1日3回 |
3か月〜14歳 |
1/2包 | |
3か月未満 |
服用しないでください |
腸内は主に善玉菌と悪玉菌が生息し、両者のバランスが崩れると腸の健康を維持する機能が損なわれてしまいます。
ビオスリーHは善玉菌であるラクトミン(乳酸菌)、酪酸菌、糖化菌の3種を配合し、腸内環境を整えて、便秘や腹部膨満感を改善します。
生後3か月以上のお子さまや妊娠中の方も使うことができる商品です。
また、粉薬のため錠剤が飲めないお子様でも比較的服用しやすい薬です。
刺激性下剤:なかなか治らない便秘に
コーラック 80錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
年齢 | 1回量 |
1日服用回数 |
15歳以上 |
1~3錠 |
1日1回 |
11~14歳 | 1~2錠 | |
11歳未満 |
服用しないこと |
コーラックⅡは、腸を刺激して便を排出するビサコジルと、便に水分を与えて柔らかくする成分DSS (ジオクチルソジウムスルホサクシネート)を配合。錠剤が5層にコーティングされているため胃で溶けずに腸で効果を発揮します。
ビサコジルによって大腸が刺激されるため、人によっては腹痛を生じることがあるので注意しましょう。
また、コーラックシリーズの中には子どもが使用できないものもあるため、購入の際は対象年齢をしっかりと確認しましょう。
浣腸・坐薬:すぐに出したい時に
コーラック坐薬タイプ 10個【第三類医薬品】
年齢 | 使用個数 |
12歳以上 | 1個(効果のない場合はさらにもう1個) |
12歳未満 | 使用しないでください |
炭酸水素ナトリウムを有効成分とした坐薬タイプの便秘薬です。
腸内で炭酸ガスを発生させて腸を刺激し、動きを活発化させます。
使用してから約20分ほどで効果があり、速やかに排便を促したい場合におすすめです。
ただし、長期的もしくは頻繁に使用しないでください。
イチジク浣腸10 10g×4個【第二類医薬品】
年齢 | 1回量 | 使用回数 |
1〜5歳 | 1個(10g) | 1日2回まで |
0歳 | 1/2個(5g) | 1日2回まで |
イチジク浣腸はグリセリンを有効成分としています。
薬液を入れてから効果が現れるまで比較的速やかであるところが浣腸の特徴です。
また、イチジク浣腸シリーズは使用する方の年齢に合わせて商品を選ぶことができ、0歳から使用できます。ただし、赤ちゃんは、臓器が未熟なうえ、便秘の原因が他の病気の場合もあります。浣腸をしたことにより、症状を悪化させるおそれもあるので注意が必要です。
- 残った液は衛生上の問題から廃棄して下さい。
- 効果がみられない場合にはさらに同量をもう一度注入して下さい。
- 2本目をご使用の際は、1時間あけた方が効果的です。
- 0歳の赤ちゃんに使用する場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 3ヶ月検診前の赤ちゃんに使用する前には、必ず医師に相談してください。
便秘を解消するために気をつけたいこと
便秘は生活習慣に起因していることも多いため、薬による治療以外にも、次のことに日々気をつけるようにしてください。
水分補給をたっぷりと
体内の水分が不足すると便が硬くなり、腸内で移動しにくくなってしまいます。便を柔らかくするために水分をしっかり取りましょう。小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインでは、少なくとも1日に960~1,920mLの水分摂取を勧めています。また、朝起きたらまずはコップ1杯の水を飲むことで腸内が刺激され、便意が起きやすくなります。
食物繊維・乳酸菌が入った食べ物を
食物繊維には水分を吸収する性質があるため、便を柔らかくしたり、便のかさ増しをして腸を刺激する作用があります。また、乳酸菌は腸内環境を良くして自然な便通をうながす効果があるため、どちらも積極的に摂取したい成分です。
食物繊維を多く含む食べ物 |
海藻類、きのこ類、根菜類、緑黄色野菜類、豆類、果物など |
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乳酸菌を多く含む食べ物 |
ヨーグルト、みそ、古漬け、キムチ、納豆、チーズなど |
食物繊維は大きく分けて水に溶ける水溶性と、溶けにくい不溶性があります。どちらもバランス良く摂取する必要がありますが、不溶性に比べて水溶性の食物繊維は食材に含まれる量が少ないことが多く、水溶性食物繊維の摂取が不足しているケースが多いです。
適度に運動をする
適度な運動は腸の刺激となって活動を促します。軽いウォーキングでも良いので毎日少しずつ運動をしましょう。運動することが難しい方はお腹を揉んでマッサージしたり、温めることによって腸を刺激することができます。
規則正しい生活を
睡眠が不足していたり、生活リズムがバラバラになってしまうと、自律神経が狂って腸の動きが悪くなってしまいます。できる限り毎日同じ時間に起床、就寝することを心がけましょう。また、トイレに入る時間を毎日決まった時間に確保することで、落ち着いて排便をする習慣が身につきます。
トイレトレーニングについて
トイレトレーニング時にむやみに怒ってしまうと、怒られることを避けるためにトイレを我慢し、便秘の原因となってしまうケースがあります。トイレトレーニングはお子様の発達段階に合わせて開始するようにしましょう。また、上手にトイレができたときは褒めてあげるようにしましょう。
便秘症状がある幼児は、まずは便秘の治療をし、習慣的な排便ができるようになったらトイレトレーニングを開始してください。
排便日誌をつける
子供の排便回数や、便がどのような状態だったのかを聞き、毎日記録をつけましょう。
毎日記録をつけることで体調の変化に気づくことができ、治療にも役立ちます。
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