エビリファイは統合失調症の薬
エビリファイは統合失調症をはじめとする精神疾患の治療に使われる薬です。
他の薬が効かないときにエビリファイを使用することで症状が改善するという事例も存在します。
エビリファイは基本的に毎日継続して飲み続ける必要のある薬で、使用するにあたっての注意が必要な薬でもあります。
今回はそんなエビリファイについて添付文書を中心に解説しています。
エビリファイとは?
エビリファイはどんな薬?
エビリファイは大塚製薬から販売されている抗精神病薬で、海外でも発売されており、日本でも精神疾患の治療に使用されています。
エビリファイの適応疾患
エビリファイの適応疾患は、統合失調症、双極性障害における躁症状の改善、既存治療で十分な効果が認めらないうつ病・うつ状態、そして小児期の自閉スペクトラム症にともなう易刺激性です。
脳内の神経伝達物質であるドパミンなどに作用し、幻覚や妄想などの症状を抑え、やる気がないなどの精神機能異常を改善します。
市販薬
エビリファイは医師の処方箋が必要な医療用医薬品のみであり、現在市販薬は販売されていません。
剤形
エビリファイは内服薬として内用液、錠剤、OD(口腔内崩壊)錠、散剤の4つの剤形があります。
剤形の違いによる大きな効能効果の違いはありません。
ジェネリック医薬品
エビリファイのジェネリック医薬品は、成分名のアリピプラゾールとしていくつかのメーカーから発売されています。しかし、ジェネリック医薬品の中には、統合失調症には使えてもそれ以外の疾患の治療には保険適応がないものもあります。ジェネリック医薬品への変更を希望する際は、医師や薬剤師にご相談ください。
エビリファイの効果・作用
エビリファイの作用機序
エビリファイの適応症である統合失調症の原因は、ドパミンの機能異常であると考えられています。
これまでの抗精神病薬はドパミンを増やすか減らすかのどちらかの効果しか持っていないものが多く、極端な作用しかありませんでした。しかし、エビリファイはドパミン量が少なければ補い、多ければ減らすという順応性を持っています。この作用により精神機能をコントロールしやすくします。
特徴
エビリファイは、他の抗精神病薬にはない作用機序によって、ドパミンを増やすだけ、減らすだけといった単純な作用ではなく、適切な状態に調節できることが特徴です。
エビリファイを初めて服用するときは、すぐに効果は感じられないことが多く、服用してから薬の効果を感じられるまで(血中濃度が安定するまで)約2週間かかるという特徴があります。
効果・効能
エビリファイは統合失調症、双極性障害における躁状態の改善、既存の治療で十分な効果を感じられないうつ病・うつ状態の改善に効果的です。
効能又は効果
●統合失調症
●双極性障害における躁症状の改善
●うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)※●小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
※うつ状態への効果には注意点があります。以下をご覧ください。
うつ状態への効能・効果に関連する注意
添付文書では、うつ病・うつ状態の治療のためにエビリファイを服用する場合、既存治療で効果が十分に得られない場合にのみ服用すること、医師はリスクと効果を考慮した上で投与することの2点が注意点として記載されています。
※効能・効果に関連する使用上の注意
※選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤を併用して投与すること。
※抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤を投与する場合には、リスクとベネフィットを考慮すること。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
うつ病の治療を考えるとき、最初からエビリファイを使用することは認められていません。
抗うつ剤などの治療をした結果、思うような効果を感じられなかった場合に使用することができます。
エビリファイが効かないときは?
エビリファイを一定期間正しく服用しても効果が感じられない、または効果に疑問を感じた場合には漫然と使用を続けるべきではありません。
薬の効果が感じられないときは、薬が自分の症状や身体に合わないか、本来の症状が見落とされていることも考えられます。
エビリファイの服用を続けるのか、別の方法を考えるのかの決定は信頼できる医師との話し合いが最も大切です。
精神的な症状の場合は症状の診断が難しいため、場合によってはセカンドオピニオンなどの方法を考えてみてもよいでしょう。
エビリファイの半減期・効果が出るまでの時間は?
エビリファイの作用時間を、エビリファイの半減期から考えていきましょう。
エビリファイを毎日続けて服用続けた場合、服用後約4時間で血中濃度が最高値になり、半減期は約65時間です。
半減期になると身体に残る薬は半分になるため、ある程度効果が落ち着くと考えられます。
つまり、エビリファイの効果は4時間程度で感じられるようになり、1日程度は効果が持続すると考えられます。
エビリファイの用法・用量
エビリファイ錠・OD錠・散剤の使い方は症状により変化します。添付文書から確認しておきましょう。
エビリファイ錠・OD錠・散剤の用法・用量
エビリファイ錠・OD錠・散剤の統合失調の改善の場合の使用法は以下のとおりです。
<統合失調症>
通常、成人にはアリピプラゾールとして1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイ錠・OD錠・散剤の双極性障害における躁症状の改善の場合の使用法は以下のとおりです。
<双極性障害における躁症状の改善>
通常、成人にはアリピプラゾールとして12~24mgを1日1回経口投与する。
なお、開始用量は24mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイ錠・OD錠・散剤のうつ病・うつ状態の改善の場合の使用法は以下のとおりです。
<うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)>
通常、成人にはアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイ錠・OD錠・散剤の小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性改善の場合の使用法は以下のとおりです。
<小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性>
通常、アリピプラゾールとして1日1mgを開始用量、1日1~15mgを維持用量とし、1日1回経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として最大3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
用法・用量に関連する注意
★全効能共通
エビリファイの血中濃度が安定するまで約2週間を要するため、2週間以内は増量しないことが望ましいとされています。
★疾患別注意事項
統合失調症で使用する際には必要最小限の服用量にすることとなっています。
うつ病やうつ状態の現在行われている治療に効果が見られない場合において、アリピプラゾールを使用する際は、アリピプラゾールの単独使用において有効性が確認されていないため、選択的セロトニン再取込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害剤等と併用することとなっています。
★錠剤の注意事項
口の中で溶けるタイプのOD錠は水なしで服用することができますが、口の中の粘膜から薬の成分を吸収する効果が期待できないため、唾液や水で飲み込むようにしてください。
★内用液の注意事項
内用液を直接服用するか、又は1回量をぬるめのお湯やジュースなどに混ぜ、約150ml(コップ1杯)に薄めた後、速やかに飲むようにしてください。
薄めて飲む場合、沸騰させていない水道水は、塩素の影響が薬の効きめに影響するおそれがありますので、使用しないでください。
また、紅茶、ウーロン茶、緑茶などのお茶類やみそ汁、ミネラルウオーター(硬度の高い水)なども同様に、服用の際は使用しないでください。
分包品は1回の使い切りです。開封後は全量を速やかに服用してください。
エビリファイを飲み忘れたときは?
エビリファイは血中濃度が安定するまで約2週間かかると言われています。
つまり、効果が感じられるまでに2週間程度かかると考えられます。
そのため、エビリファイの血中濃度が安定する2週間程度は飲み忘れのないように心がけましょう。
飲み忘れたときは気づいた時点で服用し、次の回から正しい用法で服用してください。
次の薬との服用間隔が近いなど判断に困る場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。
エビリファイを頓服として処方された場合
エビリファイは医師から毎日継続して飲む薬としてではなく、症状のひどいときだけ服用するような頓服として処方されることがあります。
頓服として処方されたときの服用量や服用のタイミングは、必ず自分自身の症状を理解している医師と相談したのちに決定した使用方法を守ってください。
エビリファイの剤形ごとの特徴
エビリファイ内用液・OD(口腔内崩壊)錠・散剤の特徴
エビリファイ内用液の特徴
効能に大きな違いはありません。
液体のため、錠剤や粉薬が苦手な人は比較的飲みやすい剤形です。
エビリファイOD錠の特
効能に大きな違いはありません。
エビリファイOD錠のみ24㎎の取り扱いがあります。
OD錠24mgの効能効果は統合失調症、双極性障害における躁症状の改善のみです。
OD錠は水なしで服用できます。
エビリファイ散の特徴
効能に大きな違いはありません。粉状になっているため、散剤が苦手な人は飲みづらさを感じるかと思いますが、服用量の調節がしやすいというメリットがあります。
エビリファイを使用するときの剤形の選び方
エビリファイは剤形の変化による大きな効能の違いはありません。
そのため、基本的には自分が飲みやすいもの、自分のライフスタイルにとりいれやすいものを選べば問題ないでしょう。どの剤形が自分に合っているか、医師としっかり相談してください。
エビリファイの使用上の注意
エビリファイは精神症状に効果的な薬ですが、副作用もあります。
使用上の注意を理解した上で、正しい服用を心がけましょう。
エビリファイを服用してはいけない人
昏睡状態の人、バルビツール酸誘導体・麻酔剤をはじめとする中枢神経抑制剤の強い影響下にある人、アドレナリンを投与されている人、エビリファイの成分アリピプラゾールに過敏症の既往歴のある人は症状悪化、過敏症の発現の可能性があるため服用できません。
禁忌
1.昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
2.バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。]
3.アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)
4.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイを服用する際に注意が必要な人
添付文書から、エビリファイを服用するとき注意が必要な人について確認しておきましょう。
以下に自身に当てはまる症状がないか、あわせてご覧ください。
肝障害・心疾患・てんかん・糖尿病の人は注意
エビリファイを服用するとき肝障害、心疾患、血管疾患や低血圧、てんかんまたは痙攣性の疾患の既往歴のある人、糖尿病や糖尿病に関する危険因子を持つ人はそれぞれの症状の悪化の可能性があるため注意が必要です。また、動けない人や長い間寝たきりの人、肥満や脱水状態の人も注意しましょう。
●心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者[一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。]
●てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させることがある。]
●糖尿病又はその既往歴を有する患者、もしくは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[血糖値が上昇することがある。〕●不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者[肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。]
●肝機能障害患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
※糖尿病は自分自身に症状がない場合にも注意!
自分自身に糖尿病の症状がない場合でも、家族に糖尿病・高血糖・肥満の既往がある場合の危険因子にも注意が必要です。
エビリファイの思わぬ副作用を防ぐためにも、糖尿病の既往がある場合、危険因子を持つ可能性のある場合は医師に伝えてください。
自殺念慮・精神症状のある人・高齢者も注意
エビリファイを服用するとき、自殺念慮や自殺企画の既往のある人は注意しましょう。
脳の器質的障害、衝動性の高い併存障害をもつ人、高齢者も注意が必要です。
●自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
●※脳の器質的障害のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
●※衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
●高齢者※うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)での使用の場合
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイの妊娠への影響・高齢者や子供の使用について
妊娠中に使用できる?
妊娠中はできるだけ控えることとなっていますが、医師の判断で使用されることもあります。
妊娠中の場合は必ず医師や薬剤師に相談した上で、慎重な服用が必要となります。
添付文書にも記載されていますが、妊娠中の服用は新生児に影響を与える可能性が少なからずあり、臨床試験では流産の報告もあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。なお、本剤の臨床試験において流産の報告がある。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
※妊娠中にエビリファイを服用した全ての人にこのような症状が現れるわけではありません。
妊娠・出産への影響は?
妊婦のエビリファイの服用は慎重な判断が必要です。
出産を控えている人やすでに妊娠している人だけでなく、今後妊娠を考える人への影響も気になるところ。
原則として妊娠中、妊娠を希望するときにはエビリファイに限らず、身体に薬理的な影響を与えることは避けるべきです。
エビリファイをはじめとする抗精神薬では、妊婦への影響についての全容のすべては解明されていません。
現在、妊娠・出産への影響について添付文書は以下のように記載しています。
妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
上記の添付文書の一文から見て取れるように出産前の服用で新生児へ影響を与える可能性があります。
また、エビリファイの臨床試験では流産の報告があります。
新生児や自分自身に与える影響を最小限にするためにも妊娠・出産の予定のある人、妊娠を望む人は医師にきちんとそのことを伝えてください。
授乳中に使用できる?
授乳中の女性へのエビリファイの服用については、医師の判断で使用されることがあります。
しかし、薬の成分が乳汁へ移行することが認められているため、エビリファイを服用するときは授乳の継続または中止を検討してください。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への移行が認められている。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
高齢者・子どもは使用できる?
エビリファイの高齢者・子どもの使用は可能です。
高齢者は一般的に生理機能が低下していることが多いため、医師から処方された場合も経過を慎重に見ていくなど、慎重に服用する必要があります。
子どもの年齢によっては十分な臨床試験が行われていないため、医師からの指示に従がって、患者の状態を観察しながら慎重に服用しましょう。
なお、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性への使用では、原則として6歳以上18歳未満の患者に使用することとされています。
エビリファイを服用するときの注意
エビリファイとお酒・アルコールの併用は避ける
エビリファイの添付文書では、エビリファイとアルコールの関係について、併用注意と記載されています。エビリファイとアルコールは同じ中枢神経抑制作用を持っているため、併用することで作用が強く出すぎてしまい、身体に影響を与える可能性が高まるからです。
エビリファイを服用しているときは出来るだけ飲酒は控えましょう。
併用注意(併用に注意すること)アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。機序・危険因子
ともに中枢神経抑制作用を有する。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
アルコールの代謝機能などによって与える影響は変化します。わからないことがあれば処方した医師または薬剤師に相談してみましょう。
エビリファイの離脱症状について
エビリファイを服用していると、減薬や断薬を原因とする離脱症状について気になることがあると思います。
エビリファイは減薬・断薬をすることによって薬の血中濃度が急激に変化した場合、離脱症状を起こす可能性があります。
思わぬ副作用を避けるためにも、減薬・断薬時の離脱症状について知っておきましょう。
エビリファイの減薬・断薬は医師との相談が必要!
エビリファイを服用するとき、自己判断で医師から指示された用法用量を変更することはやめましょう。
症状がおさまったから薬を減らそう、やめてみよう、といった自己判断がかえって症状悪化の原因となったり、離脱症状を発生させ、治療期間の延長につながる可能性もあります。
副作用がひどい場合にも何らかの対処が必要となりますが、これも自己判断での解決は難しいでしょう。
症状の早期改善、再発防止のためにも医師に症状を伝えた上で、今後の服用方法を定めることが必要です。
エビリファイの副作用
エビリファイの不眠・アカシジアの副作用に注意!
エビリファイを服用したとき、統合失調症の人では約3割の人に不眠、双極性障害・うつの症状のある人の約3割の人にアカシジア(そわそわする状態)の副作用が発現したという報告があります。
エビリファイを服用していて体調で気になることがあれば、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
重大な副作用:悪性症候群、アナフィラキシー、低血糖、肝機能障害など
エビリファイを服用したときに重い副作用として以下のような症状が発現することがあります。
重篤な副作用 | 初期症状 |
---|---|
悪性症候群 | 他の原因がなく、37.5℃以上の高熱が出る、汗をかく、ぼやっとする、手足が震える、身体のこわばり、話しづらい、よだれが出る、飲み込みにくい、脈が速くなる、呼吸数が増える、血圧が上昇するなど |
遅発性ジスキネジア | 繰り返し唇をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばる、目を閉じるとなかなか開かずしわを寄せている、勝手に手が動いてしまう、足が動いてしまって歩きにくい、手に力が入って抜けない、足が突っ張って歩きにくいなど |
麻痺性イレウス | お腹がはる、著しい便秘、腹痛、吐き気、おう吐などがみられ、これらの症状が持続するなど |
アナフィラキシー | 皮ふのかゆみ、じんま疹、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、どうき、意識の混濁など ※息苦しい場合は、救急車などを利用して直ちに受診してください。 |
横紋筋融解症 | 手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になるなど |
糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡 | 意識の低下、考えがまとまらない、深く大きい呼吸、手足のふるえ、判断力の低下、激しいのどの渇き、吐き気、嘔吐、吐き気、吐き気、腹痛、下痢など |
低血糖 | 脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害、異常な空腹感など |
痙攣 | けいれん、ひきつけ、意識がなくなる、手足のつっぱり、手足の筋肉のふるえなど |
無顆粒球症・白血球減少 | 突然の高熱、さむけ、のどの痛みなど |
肺塞栓症・深部静脈血栓症 | 汗をかく、発熱、意識の低下、咳、胸の痛み、息苦しい、発熱、皮膚や唇、手足の爪が青紫色~暗紫色になる、はれ、下肢のむくみなど |
肝機能障害 | 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・おう吐、かゆみなど |
もし以上のような副作用や初期症状がみられた場合はすみやかに病院を受診してください。
エビリファイ症状別の主な副作用
エビリファイを服用したとき、症状別に以下のような副作用が発現することがあります。
症状 | 主な副作用 |
---|---|
統合失調症 | 不眠、神経過敏、アカシジア、振戦、不安、体重減少、筋強剛、食欲不振、CK(CPK)上昇、プロラクチン低下、ALT(GPT)上昇など |
双極性障害 | アカシジア、振戦、傾眠、寡動、流涎、不眠、体重増加、悪心、嘔吐、ジストニア(筋緊張異常)など |
うつ病・うつ状態 | アカシジア、体重増加、振戦、傾眠、不眠、ALT(GPT)上昇、便秘など |
発現部位別の副作用:不眠、うつ病、夢遊症、頻脈など
エビリファイを服用したとき、副作用として以下のような症状があらわれることがあります。
発現部位 | 主な副作用 |
---|---|
精神神経系 |
不眠、神経過敏、不安、傾眠、めまい、頭痛、うつ病、幻覚、リビドー亢進、リビドー減退、昏迷、自殺企図、攻撃的反応、異常思考、拒食、独語、知覚減退、注意力障害、もやもや感、末梢神経障害、持続勃起、射精障害、勃起不全、失神、感情不安定、錯乱、神経症、妄想、譫妄、躁病反応、精神症状、双極性障害、認知症、健忘、嗜眠、睡眠障害、鎮静、舌麻痺、気力低下、激越(不安、焦燥、興奮)、パニック反応、片頭痛、顔面痙攣、錯感覚、記憶障害、びくびく感、夢遊症、悪夢など |
錐体外路症状 |
アカシジア、振戦、寡動、歩行異常、ジストニア(筋緊張異常)、ジスキネジア、構音障害、筋強剛、流涎、嚥下障害、からだのこわばり、筋緊張、口のもつれ、眼瞼下垂、パーキンソン症候群、眼球挙上、眼球回転発作、錐体外路障害、反射亢進など |
循環器 |
頻脈、高血圧、心悸亢進、徐脈、低血圧、起立性低血圧、心電図異常(期外収縮、QT延長等)、起立血圧異常、狭心症など |
消化器 |
便秘、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、食欲亢進、胃炎、びらん性胃炎、胃腸炎、腸炎、十二指腸炎、消化不良、口内炎、口唇炎、口唇腫脹、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、歯周病、膵炎、歯肉痛、舌障害など |
血液 |
赤血球減少、白血球減少、白血球増多、好中球減少、好中球増多、好酸球減少、単球増多、リンパ球減少、リンパ球増多、ヘモグロビン低下、ヘマトクリット値低下、貧血、赤血球増多、好塩基球減少、好塩基球増多、好酸球増多、単球減少、血小板減少、血小板増多、ヘモグロビン上昇、ヘマトクリット値上昇など |
内分泌 |
プロラクチン低下、月経異常、プロラクチン上昇、血中甲状腺刺激ホルモン増加、卵巣障害など |
肝臓 |
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、脂肪肝、Al-P低下、LDH低下、総ビリルビン上昇、総ビリルビン低下、肝炎、黄疸など |
腎臓 |
BUN上昇、BUN低下、蛋白尿、尿沈渣異常、クレアチニン上昇、尿糖、尿ウロビリノーゲン上昇、尿ビリルビン上昇、尿中NAG上昇、尿比重上昇、尿比重低下、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少、ケトン尿など |
泌尿器 |
尿潜血、排尿障害、血尿、膀胱炎、尿閉、頻尿、多尿、尿失禁など |
過敏症 |
発疹、光線過敏性反応、湿疹、紅斑、そう痒症、酒、血管浮腫、蕁麻疹、薬物過敏症など |
皮膚 |
ざ瘡、皮膚炎、皮膚乾燥、皮膚剥脱、乾皮症、色素沈着障害、真菌感染など |
代謝異常 |
口渇、コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、リン脂質低下、多飲症、高血糖、水中毒、高尿酸血症、高脂血症、脂質代謝障害、コレステロール上昇、HDL-コレステロール低下、トリグリセライド低下、CK(CPK)低下、血中ブドウ糖変動、血中インスリン増加など |
呼吸器 |
鼻炎、咽頭炎、気管支炎、気管支痙攣、咽喉頭症状、しゃっくり、鼻乾燥、嚥下性肺炎など |
眼 |
霧視、眼乾燥、視力障害、調節障害、羞明、眼の異常感、眼痛、眼のチカチカなど |
以上のような症状があらわれた場合、漫然と使用を続けず処方した医師または薬剤師に相談しましょう。
その他の副作用:倦怠感、関節痛、脱毛、無オルガズム症など
エビリファイを服用したとき、その他の副作用として以下のような症状があらわれることがあります。
■発現率1~5%未満
体重減少、倦怠感、脱力感、発熱、多汗、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム低下、カリウム低下、クロール低下などの症状
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
発現率の低い副作用についても確認しておきましょう。
■発現率1%未満
疲労、ほてり、熱感、灼熱感、背部痛、四肢痛、関節痛、筋痛、頚部痛、肩こり、筋痙縮、悪寒、末梢冷感、性器出血、流産、胸痛、膿瘍、歯ぎしり、睡眠時驚愕、鼻出血、末梢性浮腫、挫傷、気分不良、味覚異常、耳鳴、寝汗、四肢不快感、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、握力低下、転倒、総蛋白上昇、A/G上昇、A/G低下、アルブミン上昇、アルブミン低下、ナトリウム上昇、カリウム上昇、クロール上昇などの症状。
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
以下の副作用については、自発報告、海外または持続性注射アリピプラゾール製剤のみで認められた副作用のため、頻度は不明となっています。
■頻度不明
脱毛、低体温、疼痛、顎痛、乳頭痛、乳腺炎、外陰膣乾燥、無オルガズム症、死亡、関節脱臼、歯牙破折、筋攣縮
エビリファイOD錠3mg/6mg/12mg/24mg添付文書
エビリファイ錠1mg/3mg/6mg/12mg/エビリファイ散1%添付文書
エビリファイの眠気の副作用に注意!
エビリファイを服用したときの副作用として、眠気の症状があげられます。
一方で、エビリファイの副作用として、眠気の副作用とともに不眠の副作用も報告されています。
正反対の症状のように思いますが、どちらも神経系にかかわる副作用であり、作用により眠気を感じる人もいれば、不眠症状を訴える人もいます。
眠気・不眠症状が出たときの対処法
エビリファイ服用による眠気や不眠の症状があまりにもひどい場合は出来るだけ早く処方した医師に症状を伝え、今後の服用について相談してください。
エビリファイの服用を継続する場合、以下のような対処法が考えられます。
【エビリファイの服用時間を変える】
添付文書にはエビリファイの服用時間についての指定はありません。1日1~2回の服用をするとき、朝から昼にかけて服用する人もいるでしょう。
その場合、夕方~夜に服用することで改善がみられる可能性があります。
【エビリファイの服用量の見直し】
エビリファイの服用時に眠気や不眠の症状があらわれる原因として、服用量が適切でない可能性も考えられます。
もちろん自己判断での決定はできませんが、服用量を見直すことで眠気・不眠の症状の改善がみられる可能性があります。
※以上の対処法は自己判断で行わず、必ず医師と相談の上で行ってください。
エビリファイを使用すると太る?痩せる?
エビリファイの副作用として、食欲減退に伴う体重の減少、反対に体重の増加が報告されています。
服用した全ての人にこれらの症状が起こるわけではありません。
統合失調症の治療のための場合では約1割の人が体重減少、双極性障害・うつ病改善のための治療の場合では約1割の人に体重の増加の副作用がみられたとの報告があります。
太ったり痩せたりといった症状がみられた場合は副作用である可能性が高いため、健康に影響を与えるような場合には処方した医師に相談してみましょう。
太る・痩せることを目的とした服用は危険です!
エビリファイを服用して太ったり痩せたりするのは、あくまで薬の本来の目的を果たすためのリスク(副作用)として起きる症状です。
エビリファイの副作用にむくみや食欲不振などがあることから、体重が増加したり、減少したりすることが起きうると考えられます。
副作用として体重の変動が起きた場合は健康面への影響を一番に考慮するべきです。
主観的な感情で薬の用法用量を変更したり、自己判断することはやめましょう。
エビリファイの購入方法
エビリファイの個人輸入に注意!
エビリファイは医師の処方箋が必要な薬です。
しかし、個人輸入等により市販され、通販サイトなどで流通しているものも一部存在します。
個人輸入で手に入れた薬は全て国の副作用被害救済制度が受けられず、万が一体に異変が生じた場合の対処法の選択肢を狭めてしまう行為です。
エビリファイを服用するときは、正しい効果を得るためにも医師から薬の用量や飲み方についてのアドバイスを受け、服用していきましょう。
おわりに
エビリファイは統合失調症をはじめとする精神症状の改善に効果的な薬です。
抗精神薬は薬の中でも特に服用において注意が必要な薬でもあります。
思わぬ副作用を防ぐためにも正しい服用を心がけ、体調や効果に少しでも疑問を感じたら漫然と使用を続けず、処方した医師に相談してみましょう。