モーラステープとは?
モーラステープは抗炎症成分を含む貼付薬として病院で処方される薬で、大きさの違う2種類があります。
モーラステープ20mg:7cm×10cm
モーラステープL40mg:10cm×14cm
有効成分の濃度はいずれも2%です。
モーラステープは、有効成分ケトプロフェンが皮膚から患部に浸透して炎症を鎮め、腫れや痛みを緩和します。
ケトプロフェン配合の外用薬にはテープ剤やパップ剤の貼付薬、他にクリーム剤やローション剤、ゲル剤もあります。
モーラステープの有効成分ケトプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といわれるものです。
炎症にかかわるプロスタグランジンという物質の産生を抑える作用があり、何らかの原因で筋肉や腱に発症した炎症に対して、皮膚からケトプロフェンを吸収させて症状を緩和します。
貼り薬は、飲み薬と違って作用が局所に留まるという特徴があります。湿布を貼った部分以外に成分が移動しにくいため、内服薬に比べて胃腸障害が起こりにくいというメリットがあります。その反面、使用部位において接触皮膚炎や光線過敏症を起こす可能性があります。
適応症
・腰痛症:筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫
・変形性関節症
・肩関節周囲炎
・腱・腱鞘炎(けんしょうえん)
・腱周囲炎
・上腕骨上顆炎(じょうわんこつじょうかえん):テニス肘等
・筋肉痛
・外傷後の腫れや痛み
・関節リウマチにおいての関節の痛み
モーラステープは腰痛、肩こり、関節痛など慢性の症状だけでなく、打ち身や捻挫など急性の炎症にも使用されるほか、関節リウマチの痛みにも有効なのが大きな特徴です。
モーラステープと同じ有効成分の市販薬
モーラステープの有効成分ケトプロフェンが入っている市販薬は、以下の通りです。
オムニードケトプロフェンパップ 18枚【指定第二類医薬品】
剤形 | パップ | |
---|---|---|
サイズ | 10cm×14cm | |
成分 | ケトプロフェン | 鎮痛消炎成分 |
l-メントール | 清涼・鎮痛補助成分 |
指定第2類医薬品に分類されているオムニードケトプロフェンパップは冷感タイプの湿布(パップ剤)です。
オムニードケトプロフェンパップは1日2回まで使用でき、ケトプロフェンとl-メントールのWの働きで腰痛や肩こりをケアします。
モーラステープと同じ有効成分の処方薬
モーラステープの有効成分ケトプロフェンが含まれている先発医薬品は、以下の通りです。
クリーム:外用
商品名 | 製薬会社名 |
セクタークリーム3% | 久光製薬 |
ゲル:外用
商品名 | 製薬会社名 |
セクターゲル3% | 久光製薬 |
ローション:外用
商品名 | 製薬会社名 |
セクターローション3% | 久光製薬 |
注射液:注射
商品名 | 製薬会社名 |
カピステン筋注50mg | キッセイ薬品工業 |
貼付剤:外用
商品名 | 製薬会社名 |
モーラステープ20mg | 久光製薬 |
モーラステープL40mg | 久光製薬 |
モーラスパップ30mg | 久光製薬 |
モーラスパップ60mg | 久光製薬 |
モーラスパップXR120mg | 久光製薬 |
モーラスパップXR240mg | 久光製薬 |
ミルタックスパップ30mg | ニプロファーマ |
モーラステープの効果・作用
モーラステープの作用機序
モーラステープの有効成分ケトプロフェンは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)に分類されています。
体内で痛みや炎症、発熱などを引き起こすプロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素の働きによって作られます。NSAIDsは、このCOXを阻害することによって体内でプロスタグランジンが作られないように働きかけます。
その結果、炎症や痛みを抑えたり、熱を下げる効果を発揮します。
モーラステープの特徴
●抗炎症薬であるNSAIDsの一つ・ケトプロフェンが配合された経皮吸収型外用薬です。
ただしモーラステープは病気の原因そのものを治すのではなく、あくまでも炎症や痛みといった症状を緩和する対症療法としての薬です。
● 関節リウマチに関しても、痛みを緩和する対症療法として使用します。
そもそも関節リウマチは免疫細胞が自己を攻撃することで起こる病気です。免疫の異常によって関節に腫れや痛みが起こり、やがて変形します。全身のだるさや微熱などの症状があらわれることもあります。
モーラステープは、免疫の異常そのものを改善して病気の進行を抑える薬ではないことを理解しておきましょう。
● 貼布薬の成分は貼った部分以外に移動しにくいため、内服薬と比べて全身性の副作用が比較的起こりにくいというメリットがあります。症状や患部の位置などによって、飲み薬や貼り薬といった消炎鎮痛剤の剤形を使い分けましょう。
効果・効能
○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
○関節リウマチにおける関節局所の鎮痛
効能・効果に関連する使用上の注意として、モーラステープの使用により重篤な接触皮膚炎、光線過敏症が発現することがあり、中には重度の全身性発疹に発展する例も報告されています。
このため、疾病の治療上の必要性を十分に検討したうえで、有益性が危険性を上回る場合にのみ使用することとなっています。
モーラステープの用法・用量
1日1回患部に貼付する。
症状が出ているところに1日1回使用します。
テープ剤とパップ剤の違い
貼付剤にはテープ剤とパップ剤があります。それぞれの違いは以下の通りです。
■テープ剤
薄いタイプの貼り薬。粘着力が強いためはがれにくく、関節部分など動くところなどに貼るのに向いています。一方で、人によっては肌がかぶれたり、毛深い部分には向いていない場合もあります。
■パップ剤
少し厚みがある貼り薬。薬剤の成分の他に水分も含まれています。粘着力はテープ剤より弱いため、はがれやすいのがデメリットです。
モーラステープの使用上の注意
モーラステープの添付文書では、使用してはいけない人(禁忌)や、使用にあたって注意が必要な人、妊娠中・授乳中の使用、子どもや高齢者の使用について、以下の記述があります。
モーラステープを使用してはいけない人(禁忌)
(1)本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
(2)アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
(3)チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者
(4)光線過敏症の既往歴のある患者
(5)妊娠後期の女性
薬効成分が皮膚から血管に浸透すると、血流によって全身に作用するおそれがあります。
患部といった局所だけでなく、全身に副作用が現れる可能性があるため、注意が必要です。
モーラステープを使用する際に注意が必要な人
気管支喘息のある方は、アスピリン喘息が潜在している可能性があるため注意が必要です。
モーラステープを使用中に乾性ラ音、喘鳴、呼吸困難感等の初期症状が発現した場合は、使用を中止してください。
妊娠中・授乳中の使用について
ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合、胎児動脈管収縮が起きることがあるため、妊娠後期の女性はモーラステープを使用できません。
また、妊娠(後期以外)、産婦、授乳婦等に対する安全性は確立していないので、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ処方されます。
子どもや高齢者の使用について
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対しては使用経験が少ないため、安全性は確立していません。使用にあたっては医師の指示に従うようにしてください。
高齢者への使用では、接触皮膚炎の副作用が起こりやすいため、貼付部の皮膚の状態に注意しながら慎重に使用してください。
モーラステープの副作用
光線過敏症に注意
モーラステープは「光線過敏症」という副作用に注意が必要です。
光線過敏症とは日光アレルギーとも呼ばれる、日光に対する過敏な免疫反応のことです。
湿布を貼った部分が日光を浴びると、皮膚が赤くなったり、みずぶくれ、かぶれなどの症状が起こります。モーラステープに関しては剥がしてからも4週間ほどは、貼っていた部分を日光に当てないよう注意してください。
使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣類、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣類などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。
重大な副作用
1)ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満)
2)喘息発作の誘発(アスピリン喘息)(0.1%未満)
3)接触皮膚炎(5%未満、重篤例は頻度不明)
4)光線過敏症(頻度不明)
気管支喘息患者の中には、約10%のアスピリン喘息患者が潜在していると考えられていますので、注意が必要です。モーラステープの使用による喘息発作の誘発は、貼付後数時間で発現しています。
また接触皮膚炎に関しては、モーラステープを貼った部分に刺激感やかゆみ・発疹・発赤が起こるだけでなく、悪化するとむくみ、水ほう、色素沈着、色素脱失が発現するほか、全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがあると、注意喚起がなされています。
万が一、使用中に異常が起こったら直ちに使用を中止し、患部を遮光するとともに、医療機関を受診してください。
その他の副作用
頻度不明 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | |
皮膚 | 皮膚剥脱(ひふはくだつ) | 局所の発疹、発赤、腫張、掻痒感、刺激感、水ほう・びらん、色素沈着等 | 皮下出血 |
過敏症 | じんましん、眼瞼や顔面のむくみ | ー | ー |
消化器 | 消化性潰瘍 |
このような症状があらわれた場合は、直ちに使用を中止してください。
また、刺激などの原因となるため、傷ついている皮膚にはモーラステープを使用しないようご注意ください。
モーラステープの相互作用
モーラステープを使用しているときは、次の医薬品との併用に注意が必要です。
● メトトレキサート
メトトレキサートは関節リウマチの治療薬(免疫抑制薬)の一つです。
ケトプロフェンとメトトレキサートを併用した場合、メトトレキサートの作用が増強される可能性があります。関節リウマチの治療でメトトレキサートを使用している方は、モーラステープの使用前に必ず医師に報告してください。
モーラステープとロキソニンテープの違いについて
痛みや炎症に対して病院で処方される外用の貼付薬には、モーラステープの他にロキソニンテープがあります。
ロキソニンテープの有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物
ロキソプロフェンは、モーラステープの有効成分ケトプロフェンと同じNSAIDsのプロピオン酸系に分類されます。
頭痛薬などの飲み薬や痛み止めの外用薬に使われている成分です。
しかし、モーラステープのような関節リウマチに対する適応はありません。
● ロキソニンテープの効能又は効果
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
ロキソニンテープの副作用:光線過敏症は起こりにくい
モーラステープの使用で心配される光線過敏症ですが、ロキソニンテープでは起こりにくいと考えられています。
ロキソニンテープで報告されている副作用は湿布を貼った部位に生じるものが多く
・掻痒(そうよう)
・紅斑(こうはん)
・接触性皮膚炎
などが報告されています。
ロキソニンテープの禁忌
ロキソニンテープを使ってはいけない人(禁忌)は、以下の通りです。
・ロキソニンテープの成分に過敏症の既往歴のある人
・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある人
ロキソニンテープの市販薬
ロキソプロフェン配合の貼り薬には、ロキエフェクトLXテープαやロキソニンSテープ、ロキソニンEXテープなどがあります。
ロキエフェクトLXテープα 7枚【第二類医薬品】
剤形 | テープ剤 | |
---|---|---|
成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 鎮痛消炎成分 |
有効成分「ロキソプロフェン」を配合した鎮痛消炎テープ剤です。肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、関節痛にお悩みの方におすすめです。
1日1回で24時間持続。エコ包装でリーズナブルな価格を実現しています。
ロキソニンSテープ14枚【第二類医薬品】
剤形 | テープ剤 | |
---|---|---|
サイズ | 7cm×10cm | |
成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 鎮痛消炎成分 |
鎮痛消炎効果をもつロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した、1日1回使用するテープ剤です。
成分は肌から吸収されると活性型に変化し、肩・腰・関節・筋肉などに直接浸透して効きます。
貼り心地がよく、伸縮性が良いためはがれにくく、貼りなおしやすいのが特徴です。
ロキソニンSテープL7枚【第二類医薬品】
剤形 | テープ剤 | |
---|---|---|
サイズ | 10cm×14cm | |
成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 鎮痛消炎成分 |
鎮痛消炎効果をもつロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した、1日1回使用するテープ剤です。
成分は肌から吸収されると活性型に変化し、肩・腰・関節・筋肉などに直接浸透して効きます。
貼り心地がよく、伸縮性が良いためはがれにくく、貼りなおしやすいのが特徴です。
大判タイプなので、広範囲な部位に使いたい方におすすめです。
ロキソニンEXテープ 14枚【第二類医薬品】
剤形 | テープ | |
---|---|---|
サイズ | 7cm×10cm | |
成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 鎮痛消炎成分 |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進・鎮痛補助成分 | |
l-メントール | 清涼・鎮痛補助成分 |
鎮痛消炎効果をもつロキソプロフェンナトリウム水和物を8.1%配合し、さらに2つの有効成分を追加で配合。1日1回使用するテープタイプの湿布です。
こだわりの薄型設計で、貼り心地やはがれにくさを追求しました。
ロキソニンEXテープL 7枚【第二類医薬品】
剤形 | テープ | |
---|---|---|
サイズ | 10cm×14cm | |
成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 鎮痛消炎成分 |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進・鎮痛補助成分 | |
l-メントール | 清涼・鎮痛補助成分 |
鎮痛消炎効果をもつロキソプロフェンナトリウム水和物を8.1%配合し、さらに2つの有効成分を追加で配合。1日1回使用するテープタイプの湿布です。
こだわりの薄型設計で、貼り心地やはがれにくさを追求しました。
大判タイプなので、広範囲な部位に使いたい方におすすめです。
おわりに
貼付薬として病院で処方されるモーラステープですが、光線過敏症など配慮すべきこともあります。
外用薬だからといって油断せずに、使用にあたっては医師の指示にしたがい、正しく使用しましょう。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ