プリンペラン(メトクロプラミド)の特徴|効果・副作用・代わりとなる市販薬
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薬剤師監修日:
プリンペランは『メトクロプラミド』を主成分とした、吐き気止めなどによく使われる処方薬です。この記事では、プリンペランの効能・効果や効果が現れる時間、副作用などの特徴や代わりとなる市販薬について詳しく解説します。

プリンペランとは?
プリンペランは、主に吐き気止めとして使われる処方薬です。その他、食欲不振、腹部膨満感、吐き気といった消化器の症状の治療や、X線検査の際にバリウムが消化管をスムーズに通過しやすくするためにも使われています。
プリンペランの剤形は、錠剤、細粒、シロップ、注射液の4種類です。剤形によって用法や特徴に違いがあるため、用途や状況に合わせて最適な薬が処方されます。処方された際には医師から説明された用法・用量などを守るようにしてください。
成分は『メトクロプラミド』
プリンペランの成分『メトクロプラミド』は、胃腸の運動を活発にし、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助け、消化機能を改善します。
また、脳の嘔吐中枢の働きをおさえることで、吐き気などの症状を止めます。
ジェネリック医薬品
プリンペランのジェネリック医薬品は、『メトクロプラミド』という名前で様々な製薬会社から販売されています。また、錠剤、細粒、注射液それぞれの剤形にジェネリック医薬品があります。
プリンペランとナウゼリンの違い
プリンペランと同じ吐き気止めの薬にナウゼリンなどがあります。プリンペランとナウゼリンは、成分や成分の作用の仕方などに違いがあります。
プリンペランの成分『メトクロプラミド』は、脳に届きやすいため、脳腫瘍やうつ病など脳が原因で起こる吐き気への効果もあり、ナウゼリンに比べ使える範囲が広いです。妊婦の使用については、医師が必要と判断すれば服用できます。
一方、ナウゼリンの成分『ドンペリドン』は脳には届きにくく、脳での副作用(錐体外路障害)を起こす危険性はプリンペランに比べて少ないといわれています。妊婦の使用については、禁止されています。
プリンペランなどの処方薬は、宅配便でも受け取れます
プリンペランなどの病院で処方される薬は、薬局に処方箋を持って行く必要がありますが、ミナカラ薬局が提供するオンライン服薬指導は、病院で受け取った処方箋をもとに、病院で処方される薬をご自宅などで受け取ることができるサービスです。
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プリンペランの効能・効果
プリンペランは、様々な症状に使われますが、具体的な効能・効果については以下の通りです。
効能・効果
効能又は効果
次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後
X線検査時のバリウムの通過促進
プリンペランの用法・用量
用法・用量
プリンペランの剤形ごとの飲み方については、以下の通りです。
■錠剤
通常成人1日7.67~23.04mg(塩酸メトクロプラミド10~30mg、2~6錠)を2~3回にわけて、食前に使用します。
なお、年齢や症状によって用量を調整します。
■細粒
通常成人1日7.67~23.04mg(塩酸メトクロプラミド10~30mg、細粒:0.5~1.5g)を2~3回にわけて、食前に服用します。
なお、年齢や症状によって用量を調整します。
■シロップ
通常成人1日7.67~23.04mg(塩酸メトクロプラミド10~30mg、シロップ:10~30mL)を2~3回に分割し、食前に使用します。
小児は、1日0.38~0.53mg/kg(塩酸メトクロプラミド0.5~0.7mg/kg、シロップ:0.5~0.7mL/kg)を2~3回にわけて、食前に使用します。
なお、年齢や症状によって用量を調整します。
用法・用量に関連する使用上の注意
小児は、ふるえや筋肉の硬直などの副作用(錐体外路症状)が発現しやすいため、過量服用に注意する必要があります。特に脱水状態、発熱時等には注意しましょう。
錐体外路症状の副作用を未然に防ぐためにも、プリンペランを服用していて何か身体に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
プリンペランの服用間隔
プリンペランの服用間隔について明確な時間は表記されていませんが、基本的に1日2~3回の通常通りの服用を続けることが望ましく、服用間隔においても同様で、できるだけ毎日同じくらいの時間の間隔で服用するのが良いでしょう。
自己判断による過量服用などは、思わぬ副作用を引き起こす可能性もあるため、避けるべきです。
もしプリンペランを服用していても吐き気がおさまらなかったり、効果に疑問を感じることがある場合は処方した医師または薬剤師に相談することをおすすめします。
プリンペランの使用上の注意
プリンペランを服用してはいけない方
プリンペランの成分『メトクロプラミド』に過敏症を起こしたことのある方、褐色細胞腫の疑いのある方、消化管に出血、穿孔(せんこう)又は器質的閉塞のある方(イレウスなど)は、重大な副作用や症状悪化を引き起こす危険性があるため、プリンペランを使用することはできません。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.褐色細胞腫の疑いのある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
3.消化管に出血、穿孔又は器質的閉塞のある患者[本剤には消化管運動の亢進作用があるため、症状を悪化させるおそれがある。]
プリンペランの服用に注意が必要な方
小児、高齢者、腎機能障害のある方、脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方は、副作用の発現や症状悪化の危険性があるため、プリンペランの服用には注意が必要です。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.小児
2.高齢者
3.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。]
4.脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。]
妊娠中に使用できる?
妊娠中や妊娠の可能性がある方は、以下の添付文書にもあるように、医師の判断により処方されることがあります。ただし、万が一プリンペラン服用中に身体の異変を感じたときは、なるべく早く医師にご相談ください。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中に使用できる?
プリンペランの授乳中の使用は避けるべきとされていますが、医師の判断によって処方されることがあります。
やむを得ず使用するときには授乳を避けてください。
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。[母乳中に移行することが報告されている。〕
高齢者は使用できる?
高齢者の使用は可能ではありますが、高齢者は腎機能が低下していることが多いため、副作用の発現などの注意して慎重に使用する必要があります。
本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。
プリンペランの副作用
プリンペランは、ふるえや筋肉の硬直、めまいなど、またホルモン系の異常として無月経、乳汁分泌などの異常が起こることがあります。
重大な副作用の発現を防ぐためにも、何か身体に異変を感じたらできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
眠気・めまいの副作用に注意
プリンペラン服用時、眠気やめまいなどの副作用が現れることがあります。
症状が軽い場合は経過を観察してもよいですが、眠気がひどいときや心配な時は処方した医師や薬剤師に相談してみましょう。
眠気やめまいによる二次災害を防ぐためにも、プリンペラン服用中は車の運転などの危険を伴う機械の操作は避けてください。
重大な副作用:ショック、意識障害、けいれんなど
プリンペラン服用時、まれに重大な副作用として以下のような症状が現れるおそれがあるため、ご注意ください。
身体に異変が出た場合は、すぐに医療機関に行き、医師の指示を仰ぐようにしましょう。
・ショック、アナフィラキシー
・悪性症候群(Syndrome malin)
・意識障害
・けいれん
・遅発性ジスキネジア
その他の副作用:錐体外路症状、消化器、精神神経系など
プリンペラン服用時、その他の副作用として以下のような症状が現れるおそれがあるため、ご注意ください。
※特に小児に錐体外路障害の副作用が起きやすくなっているため、手の震えや顔のこわばりなどの症状が現れた場合はできるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。
発現部位 | 副作用 |
---|---|
錐体外路症状 | 手指振戦、筋硬直、頸・顔部の攣縮、眼球回転発作 ※このような症状が現れたときは、服用中止を指示される場合があるため、すみやかに医療機関を受診してください。 |
内分泌 | 無月経、乳汁分泌、女性型乳房 ※生理が止まるなどの副作用があらわれたときは、今後の薬の服用について処方した医師に相談することをおすすめします。 |
消化器 | 胃の緊張増加、腹痛、下痢、便秘 |
循環器 | 血圧降下、頻脈、不整脈 |
精神神経系 | 眠気、頭痛、頭重、興奮、不安 |
過敏症 | 発疹、浮腫 ※症状がひどいときは医師に相談してください。 |
その他 | めまい、倦怠感 |
プリンペランと同じ成分の市販薬はある?
プリンペランと同じ『メトクロプラミド』を成分とする薬は、2022年10月現在、処方薬としてのみ販売されており、市販薬はありません。ただし、胃もたれ・食べ過ぎ・胸やけ・食欲不振による吐き気に使える市販薬はあります。
プリンペランの代わりに使える市販薬
胃もたれ・食べ過ぎ・胸やけ・食欲不振による吐き気に使える市販薬を紹介します。
この記事で紹介する 市販薬の対応可否 |
吐き気の原因 |
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◯ |
・胃もたれ ・食べ過ぎ ・胸やけ ・食欲不振 |
× |
・風邪 ・食あたり ・片頭痛 ・ストレス ・乗り物酔い ・めまい ・薬の副作用 など |
商品画像 | こんな時におすすめ |
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サクロン|胃のムカムカ・胸やけ・飲み過ぎに
サクロン 10包【第二類医薬品】

効能・効果 |
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胸やけ、飲みすぎ、胃痛、胃酸過多、胃もたれ、胃部不快感、胃部膨満感、胃重、 胸つかえ、げっぷ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐 |
サクロンは、葉緑素から作られた銅クロロフィリンカリウムが胃酸やアルコールで荒れた胃の粘膜を修復・保護します。そのほか、3種類の制酸剤と胃酸の分泌をおさえるロートエキスも配合されています。
特に胃のムカムカ・胸やけ・飲み過ぎにおすすめです。
8歳から服用できます。
大正漢方胃腸薬|不規則な食生活や夏バテなどによる胃の不調に
大正漢方胃腸薬 48包(第2類医薬品)【第二類医薬品】

効能・効果 |
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大正漢方胃腸薬は、2つの漢方(安中散(あんちゅうさん)・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう))が配合されています。『安中散』が衰えた胃腸のはたらきを改善し、『芍薬甘草湯』が胃腸の筋肉の緊張をやわらげます。
特に普段から胃腸が弱く、不規則な食生活や夏バテなどで胃の不調を感じている方、食欲が出ない方におすすめです。
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太田胃散A<錠剤>|脂っこい食事や食べ過ぎによる胃もたれ・胸やけに
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効能・効果 |
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特に脂っこい食事や食べ過ぎによる胃もたれ・胸やけが気になる方におすすめです。
5歳から服用できます。
使用上の注意|治らない場合は病院へ
医師から処方された薬の代用として市販薬を使用する場合は、使用しても問題ないか医師や薬剤師に相談しましょう。
また上記の市販薬を使用する際は、薬の説明書(添付文書)に記載された用法・用量を守り、2週間〜1か月程使用してもよくならない場合、他にも気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
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