ミヤBMの特徴|下痢・便秘が改善する仕組みを解説
更新日:
薬剤師監修日:
ミヤBMの効果や副作用について添付文書をもとに紹介します。加えて、ミヤBMの特徴や下痢・便秘・腹痛に効くメカニズムについても解説します。

ミヤBMについて
ミヤBMは宮入菌を主成分とする病院で処方される整腸剤です。一般名では酪酸菌とも呼ばれています。
酪酸菌はもともと動物の体内に生息している菌で、化学的な物質ではありません。そのためミヤBMは副作用がほとんどなく、安全性の高い薬といえます。赤ちゃんや妊娠中の下痢症状や抗生物質服用時の整腸目的にも用いられる薬です。
即効性のある薬ではありませんが、腸内における不調の改善のために安心して使える薬です。
適応疾患
ミヤBMの適応症は腸内菌叢(ちょうないきんそう)の異常による諸症状の改善と記載されています。つまり、腸内環境の乱れを原因とする症状に効果があるということで、下痢や便秘、軟便などの症状改善に用いられることが多いです。
ミヤBMと同じ成分の市販薬はある?
ミヤBMと同様に酪酸菌を配合している市販薬は販売されています。
酪酸菌を含む市販薬や市販の整腸剤については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ミヤBMなどの処方薬は宅配便でも受け取れます
ミヤBMなどの病院で処方される薬は、薬局に処方箋を持って行く必要がありますが、ミナカラ薬局が提供するオンライン服薬指導は、病院で受け取った処方箋をもとに、病院で処方される薬をご自宅などで受け取ることができるサービスです。
子どものお世話や仕事で忙しく薬局での待ち時間を少しでも減らしたい方、薬局内での二次感染のリスクを減らしたい方におすすめです。
また、ミナカラ薬局のオンライン服薬指導は、各医療機関が行っているオンライン診療(自宅で医師の診察を受けられるサービス)とあわせて利用することが可能です。医師の診察から薬の受け取りまでの全てをご自宅で行うことができます。
感染症を予防するためにも、便利なオンライン服薬指導・オンライン診療を活用しましょう!
ミヤBMの効果と作用時間
酪酸菌は腸に到達するまでに酪酸と酢酸を生成します。これらは大腸の上皮細胞のエネルギー源となり、腸内の悪玉菌をおさえる効果があります。他にも腸内の炎症をおさえる効果もあり、腸内全体のバランスや状態を整えることによって、腸の不調症状を改善します。
また、酪酸菌は酪酸や酢酸を生成する過程でビタミンB群も生成します。ビタミンB群は善玉菌の栄養になるため、腸内の善玉菌の繁殖をうながす効果があります。
効能・効果
ミヤBMは酪酸菌が腸内細菌のバランスを改善して整腸作用を示すことで、腸内菌叢の異常による下痢や軟便、便秘、腹部膨満感などの症状を改善します。
効能又は効果
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
具体的には下痢や便秘、軟便、腹痛などを改善する効果があります。下痢と便秘は真逆の症状ではありますが、どちらも原因は腸内細菌のバランスの崩壊であるため、両方の症状に効果を発揮します。
また主にストレスが原因で腹痛や下痢、便秘の症状が出る過敏性腸症候群の治療にもミヤBMは使用されることがあります。
ミヤBMの特徴
◼︎生きた状態で腸に届きやすい
乳酸菌は体内に入っても腸まで到達する過程で胃酸によって殺菌されてしまうことが多いのですが、酪酸菌は芽胞という酸に強い膜に覆われているため、生きたまま腸に到達しやすいのが1つの特徴です。
◼︎抗生物質への耐性がある
風邪や扁桃炎などの細菌性の病気によく処方される抗生物質は、菌を殺す作用があるため、乳酸菌などの腸内菌も一緒に殺してしまいます。そのため腸内細菌のバランスが崩れて、副作用として下痢を生じることがあります。
しかし酪酸菌は抗生物質への耐性を持っている乳酸菌であるため、抗生物質による下痢にも効果を発揮するのが特徴です。
ミヤBMの作用時間は?
ミヤBMは腸に届き増殖することで効果を発揮する薬です。ミヤBMのインタビューフォームによると、動物実験において有効成分である酪酸菌は服用30分後から発芽を開始し、約5時間後には胃腸に行き渡って効果を発揮し始めます。
さらに、健康な成人男子にミヤBM錠2錠を使用したところ、酪酸菌は服用後1~2日以内に便の中から検出され始めたデータがあります。この時点で酪酸菌が腸内に十分行き渡っている状態であるため、効果は約1~2日間持続すると考えられます。
また同じ実験で3~5日後には酪酸菌が便の中から消失したことから、ミヤBMを1回使用した効果は3〜5日で消失すると考えられます。ただし、ミヤBMなどの生菌製剤は作用時間に個人差がある薬のため、一概に効果の発現時間や持続時間は決められません。
また、酪酸菌をはじめとした腸内細菌は生き物であるため体内で増えるのに時間がかかります。用法・用量を守らず途中で服用を中止すると十分な効果が発揮されない可能性があるため注意してください。
ミヤBMの剤形と用法・用量
剤形
ミヤBMの剤形は、錠剤と細粒の2種類です。剤形の違いによる効能・効果の違いはありません。また、ミヤBMはミヤリサン製薬が独自に開発している薬であるため、他社からは販売されていません。
用法・用量
ミヤBMは剤形によって用法・用量が異なります。細粒と錠剤それぞれの用法・用量については以下の通りです。
用法・用量 | |
---|---|
ミヤBM 細粒 |
通常成人は、1日1.5~3gを3回にわけて服用します。年齢や症状によって用量は変わることがあります。 |
ミヤBM錠 | 通常成人は、1日3~6錠を3回にわけて服用します。年齢や症状によって用量は変わることがあります。 |
小児の用量についても、症状により医師が決定します。医師の診断を受け処方された用量であれば、副作用が起きたというような報告はされていません。
どちらの剤形も共通して1日3回の服用となっており、食事のタイミングにあわせて服用すると飲み忘れを防ぐことができます。
食前・食後のどちらの服用も可能であり、効果に大きな影響を与えるものではないと思われますが、医師から特別な指示があった場合はその指示にしたがって服用ください。
ミヤBMの使用上の注意
ミヤBMを使用するにあたって、特別注意が必要な人はいないとされていますが、妊娠中や授乳中などは薬の影響を受けやすいことがあるため、心配なときは医師や薬剤師に相談してみましょう。
ミヤBMの副作用
ミヤBMを使用した際の副作用について、現在メーカーからの報告はありません。(2022年10月現在)
宮入菌を有効成分とする製剤(宮入菌製剤)を使用した症例641例中、報告された副作用は無かった。
ほとんど副作用のない薬だといわれていますが、人によっては体調の変化を感じる可能性はあります。何か身体の異変を感じたときは、一人で悩まずに医師や薬剤師に相談してみましょう。
思わぬ副作用の発現を防ぐためにも、用法・用量を守った正しい服用を行い、生活習慣の改善にも心がけるとよいでしょう。