カンデサルタンとは
カンデサルタンは成分の名前をカンデサルタンシレキセチルといい、高血圧症治療薬ブロプレスのジェネリック医薬品の製品名です。ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)といわれる比較的新しいタイプの高血圧症の治療薬で、現在2mg、4mg、8mg、12mgの規格があります。
カンデサルタンの効能・効果
カンデサルタンは高血圧症、腎実質性高血圧症(腎障害が原因の高血圧)、軽症〜中等症の慢性心不全に使われる薬です。
慢性心不全へは、原則としてACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)の使用が適切でない場合に用いられます。
効果発現時間
カンデサルタンの血中濃度は服用後4~6時間で最高になり、その後ゆっくりと低下します。
降圧剤は即効性があるものではなく効果が現れ始めるまでに日数が必要なため、続けて使用することが大切です。
用法・用量
用法・用量は症状によって異なります。医師の指示に従って正しく使用して下さい。
適用症状 | 用法・用量 |
高血圧症 | 通常成人には、1日1回、4~8mgを使用します。必要に応じ12mgまで増量できます。 ただし、腎障害をともなう場合には、1日1回2mgから使用を開始し、必要に応じ8mgまで増量できます。 |
腎実質性高血圧症 | 通常成人には、1日1回、2mgから使用を開始し、必要に応じ8mgまで増量できます。 |
慢性心不全 | 通常成人には、1日1回、4mgから使用を開始し、必要に応じ8mgまで増量できます。なお、原則として、ACE阻害薬以外による基礎治療は継続します。 |
カンデサルタンの使用上の注意
副作用
急激に血圧が下がりすぎることにより、めまい、ふらつき、立ちくらみが現れることがあります。高所での作業、車の運転など危険をともなう機械の操作などには十分注意してください。
その他、主な副作用として、発疹、湿疹、じん麻疹、かゆみ、光線過敏症などがあります。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
また、以下のような症状は重大な副作用の初期症状である可能性があります。まれですがこのような症状がある場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
顔・唇・舌・のどがはれる、冷感、嘔吐、意識消失、尿量減少、手足や顔のむくみ、発熱、手足や唇のしびれ、筋力の減退、手足の麻痺、全身けん怠感、皮膚や白目が黄色くなる、食欲不振など
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ
妊婦・授乳婦への使用
妊婦又は妊娠している可能性のある方は使用しないでください。もし、使用中に妊娠が判明した場合には、直ちに使用を中止してください。
授乳中の方は使用を避け、やむを得ず使用する場合には授乳しないことが望ましいとされています。
手術前の注意
手術前24時間は使用しないことが望ましいとされています。カンデサルタン使用中は、麻酔や手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用によって急激な血圧低下を起こす可能性があるためです。
病院や歯科にかかる際は、カンデサルタンを使用していることを必ず伝えてください。
カンデサルタンとの飲み合わせ
アリスキレンフマル酸塩
アリスキレンフマル酸塩(ラジレス)を使用中の糖尿病の方は、カンデサルタンを使うことはできません。ただし、他の高血圧の治療を行ってもなお血圧のコントロールがいちじるしく悪い方には医師の判断で処方される場合もあります。
グレープフルーツジュース
高血圧の薬はグレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪いものが多いですが、カンデサルタンはグレープフルーツジュースによる影響が少ないと考えられています。日常生活でグレープフルーツジュースに注意しなくて良いのは大きなメリットです。
飲み合わせに注意が必要な市販薬
カンデサルタンには飲み合わせに注意が必要な薬もあります。ほかに処方薬をもらっている場合は、カンデサルタン処方時に医師に必ず伝えましょう。また、市販でも手に入る薬ではロキソニンS(ロキソプロフェン)やバフェリンプレミアム(イブプロフェン)などがこれにあたります。カンデサルタンとロキソプロフェンやイブプロフェンを一緒に使うと血圧を下げる効果が弱くなってしまうことがあります。
市販の痛み止めやかぜ薬を買うときは薬剤師に相談しましょう。
カンデサルタンとの合剤
カンデサルタン(ARB)は他の降圧薬や利尿薬と合わせて処方されることが多い薬です。最近では初めから2つの成分を合わせて、1つの薬とした「合剤」も使用されています。合剤を使用することで、使用する錠剤の数を減らせるメリットがあります。
カンデサルタンと他の高血圧治療薬(Ca拮抗薬)との合剤
カンデサルタンシレキセチルとアムロジピンベシル酸塩を合わせた高血圧の薬です。両方とも高血圧に効果を持つ薬です。元々、一緒に使われることがあったため、初めから一つになったものが販売されました。
この薬はグレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪いため、使用中はグレープフルーツジュースを同時に飲まないように注意してください。
【商品名】ユニシア配合錠LD、ユニシア配合錠HD、カムシア配合錠LD、カムシア配合錠HD
カンデサルタンと利尿薬との合剤
カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドを合わせた高血圧の薬です。カンデサルタンでは効果不十分の患者に使用されます。
【商品名】エカード配合錠LD、エカード配合錠HD、カデチア配合錠LD、カデチア配合錠HD
高血圧の方へ
高血圧の治療には血圧管理が重要です。高血圧の方は、毎日の血圧を血圧手帳などに記録し、病院や薬局に持っていくと良いでしょう。治療方針を決める上で重要な指標になります。高血圧の治療では病院の血圧測定だけではなく、毎日の血圧の変化を知ることが重要だからです。
また、日本人は塩分が過剰になりやすい食生活です。塩分の取りすぎは高血圧の原因のひとつです。血圧が高いと言われた方は、1日の塩分摂取を6g未満におさえることをお勧めしています。