キシロカインとは?麻酔薬の副作用や剤形別の使用法を解説
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薬剤師監修日:
局所麻酔などによく使用されるキシロカイン。ゼリーやスプレー、注射液など剤形別の使用方法や、アレルギー・ショックなどの副作用、効果をわかりやすく解説します。

キシロカインとは?
キシロカインとは、処方薬の一つです。主に局所麻酔薬として使われ、 目薬やゼリー、スプレーなど使用する部位にあわせてさまざまな剤形があります。
キシロカインの成分と効果
キシロカインの主成分はリドカイン塩酸塩という成分で、神経にはたらきかけて痛みを起こす神経の伝達を止める作用があります。
また、痛みの伝達神経だけではなく運動神経も遮断されるため、リドカインが作用した部位は動かしにくくなります。外用薬としては比較的速効性のある薬で、剤形によって作用時間は違いますが、医療用医薬品のキシロカインゼリー2%であれば以下のようなデータがあります。
作用発現時間・持続時間
作用発現時間:5~10mL(膀胱鏡検査時、尿道麻酔)2 分
作用持続時間:約 30 分キシロカインゼリー2% インタビューフォーム
キシロカインの種類と用途
キシロカインには使用する部位や症状によりいくつか剤形があります。
キシロカインゼリー |
・膀胱鏡検査(潤滑剤として使用) |
キシロカインビスカス |
・ノドの麻酔 |
キシロカインポンプスプレー | ・鼻の麻酔 ・ノドの麻酔 など |
キシロカイン点眼液 | ・目の麻酔 |
キシロカイン液 | ・耳の麻酔 ・鼻の麻酔 ・泌尿器の麻酔 など |
キシロカイン注シリンジ キシロカイン注ポリアンプ キシロカイン注射液 |
・さまざまな部位の麻酔 (注射や塗布など) |
上記の用途以外にも医師の判断でさまざまな症状に使用されます。
キシロカインとキシロカインEの違いは?
キシロカインの薬の中には、E入りのものがあります。Eとはエピレナミンという成分を指します。エピレナミンはアドレナリンの別名で血管収縮作用があり、これにより局所麻酔の作用時間が延長されます。
キシロカインの副作用
主な副作用
キシロカインの主な副作用として、眠気、不安、興奮、めまいなどの中枢神経症状、吐き気、嘔吐などの消化器症状、じんましんなどの皮膚症状やむくみなどの過敏症があります。
なお、点眼液タイプで確認されている副作用は過敏症のみです。
アナフィラキシー・ショック
重大な副作用してみられる症状のひとつとして、じんましん・声のかすれ・くしゃみ・息苦しさ・動悸などのアナフィラキシー、不整脈や血圧低下などのショックがあります。これらの症状は過敏症などの症状と似ており、個人では判断のつきにくいものとなっています。
また動悸については、医師が麻酔の効果を高めるため、キシロカインと共にエピレナミン(アドレナリン)を使用した場合に起こる動悸との違いを個人で判別することが難しい症状です。もしこのような症状が出た場合には自分で判断せずになるべく早く担当の医師に相談してください。
意識障害・震え・痙攣
重大な副作用してみられる症状のひとつとして、さまざまな意識障害、振戦(ふるえのこと)、痙攣(けいれん)などがあります。
これらの症状も、医師が麻酔の効果を高めるため、キシロカインと共にエピレナミン(アドレナリン)を使用した場合に起こる意識障害などとの違いを個人で判別することが難しい症状です。もしこのような症状が出た場合も自分で判断せずになるべく早く担当の医師に相談してください。
キシロカインの使用上の注意
麻酔薬は過剰摂取すると体に異常をきたしてしまうため、摂取の最大限用量が決められており、これを極量といいます。
キシロカインは個人の身長や体重により使用量が変わってきます。医学の知識が十分になければ計算することは難しいので、医師の判断でキシロカインを院外処方された場合には必ず医師の指示に従い、用法・用量を守って正しく使用してください。
おわりに
麻酔薬は、手術時には専門の麻酔科医という特別な医師が必要なほど、正しい知識と経験が必要な薬です。少しでも不安なことがあればすぐに医師に相談することをおすすめします。
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