ジクロフェナクとは
ジクロフェナクは痛みを鎮め炎症をおさえる働きがある成分です。
非ステロイド系の抗炎症作用があり、正しくはジクロフェナクナトリウムという成分名です。
プロスダグランジンという痛みや炎症の元となる物質の合成をおさえることで、痛みや炎症が和らげます。
ジクロフェナクはボルタレンのジェネリック
ジクロフェナクは、「ボルタレン」という鎮痛薬に配合されている成分です。
ボルタレンにはジェネリック医薬品があり、一般的には『ジクロフェナクNa+剤形+配合量+メーカー名』の名前で販売されています。
例えば錠剤の場合『ジクロフェナクNa錠25mg「YD」』、ローションの場合『ジクロフェナクNaローション1%「日本臓器」』などという名前になります。
ジクロフェナクの種類
ジクロフェナクにはさまざまな剤形の薬がありますが、処方薬と市販薬では扱われている剤形が異なります。
ジクロフェナク配合の処方薬
ジクロフェナクを配合する処方薬には、錠剤・カプセルなどの飲み薬のほか、坐薬・クリーム・ゲル・ローション、テープ剤、点眼液などの外用薬があります。
ジクロフェナクナトリウムは、ほかの解熱鎮痛剤と比較すると強い効果を発揮する成分です。
ジクロフェナク配合の市販薬
ジクロフェナク配合の飲み薬や坐薬は販売されていません。
もともとジクロフェナクは、処方薬でのみ扱うことのできる成分でしたが、2009年にスイッチOTC薬として外用薬のみ一般の販売が可能となりました。
2023年現在は、クリームやゲル、ローションなどの塗り薬のほか、湿布(テープ)やスプレー剤などが市販されています。
ジクロフェナクの効果
ジクロフェナクを配合する薬にはさまざまな剤形があり、それぞれ効果が異なります。
ジクロフェナクが有効成分であるボルタレン錠の効能効果は以下の通りです。
- 下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛
- 手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
- 下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
一方で、市販されているジクロフェナク配合の塗り薬や湿布は、メーカーにもよりますが、おもに「関節痛、肩こりにともなう肩の痛み、腱鞘炎、肘の痛み、筋肉痛、腰痛、打撲、捻挫」などに使用します。
生理痛へ使用される?
ジクロフェナクが配合されている市販薬に飲み薬はないため、一般的な生理痛に使用することはあまりありません。
ただし、病院で月経困難症と診断された場合、医師からボルタレンや、ボルタレンのジェネリック医薬品が処方されることはあります。
ジクロフェナクの効果時間
ジクロフェナク配合の飲み薬や坐薬の鎮痛効果の現れ方は早く、使用後30分以内に血中濃度が上がってきます。
薬は使用後に体内に吸収され、血液中に広がり薬の濃度が高まっていきます。
口から飲むよりも直腸からの方が吸収がよいため、一般的には飲み薬よりも坐薬の方が効果が早く現れます。
なお、ジクロフェナク配合の飲み薬でも、ボルタレンSRなどの成分が徐々に溶け出す徐放剤は、効果の現れる時間が上記の通りではありません。
ジクロフェナクの半減期
薬の効果を感じられる持続時間は、薬を使用してから血液中に薬の成分が行き渡る「血中濃度」が関係しています。
血中濃度が半分になる時間を「半減期」といい、半減期をすぎると薬の効き目がゆるやかに弱くなっていきます。
ジクロフェナクを含むボルタレンの場合で見てみると、飲み薬の半減期は1.2時間ほど、坐薬は1.3時間ほどです。
効果が現れ始めるのは坐薬の方が早いのですが、効果の持続時間に関しては、飲み薬・坐薬ともあまり変わりがないといえます。
なお、ジクロフェナク配合の飲み薬でも、ボルタレンSRなどの成分が徐々に溶け出す徐放剤は、半減期が上記の通りではありません。
ジクロフェナクと比較される成分
ジクロフェナクと比較される成分として、飲み薬の場合はロキソプロフェン、塗り薬や湿布剤の場合はフェルビナクやインドメタシンがあります。
ジクロフェナクとロキソプロフェン
ジクロフェナクを含むボルタレンは、解熱鎮痛成分の中でも、神経痛や月経困難症などの強い痛みが想定される場合に処方されることがあります。
一方、「ロキソニン」はロキソプロフェンを成分とし、処方薬だけではなく、解熱鎮痛薬の飲み薬として市販されており、頭痛や生理痛などの一般的な痛みに用いられます。
2つの成分を比較するとジクロフェナクの方が解熱鎮痛作用が強いとされています。
ジクロフェナクとフェルビナク・インドメタシン
ジクロフェナク、フェルビナク、インドメタシンはいずれも、非ステロイド系の抗炎症成分です。
皮膚からの吸収を良くする技術ができたため、近年では多くの湿布剤や塗り薬などに配合されています。
3つの成分を比較すると、ジクロフェナクの消炎鎮痛作用が強いため、痛みの程度によって成分を選ぶと良いでしょう。
いずれの成分も、痛みを感じる元であるプロスダグランジンの生成を阻害することを目的として働きます。
痛みが出たら使うという指示が出ているときは漫然と使用しないように気をつけてください。
ジクロフェナクの副作用
飲み薬の場合、胃痛や食欲不振などの消化器症状や、発疹やかゆみなどの皮膚症状があらわれることがあります。
塗り薬や湿布剤の場合は、かゆみや赤み、かぶれ、刺激感などの副作用に注意してください。
また、ほとんどありませんが、ショックやアナフィラキシーなどの重大な副作用が起こる可能性もあります。
いつもと異なる症状が現れた場合は、使用を中止して医師に相談してください。
おわりに
ジクロフェナクの飲み薬や坐薬などを使用するためには、病院で診察を受け、医師の処方箋が必要です。
一方で、ジクロフェナクの塗り薬や湿布剤などは市販されているため、ドラッグストアやネット通販でも購入が可能です。
ジクロフェナク使用時に違和感を覚えたり、不安なことがあれば早めに医師や薬剤師に相談してください。