ダイアップの効果や副作用!座薬の使い方について徹底解説
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薬剤師監修日:
ダイアップの効果、副作用、使い方などについて薬剤師監修のもと詳しく解説します。ダイアップを2回以上使用したいときや、解熱剤はいつ使ったらいいのかなどの疑問も解決します。

ダイアップとは
ダイアップとは、子どものけいれん症状の改善に使われる薬です。ジアゼパムを有効成分とした坐薬として広く使われています。
ダイアップの効果
中枢神経に作用することで神経細胞の興奮を抑え、けいれんの症状を改善します。子どもの熱性けいれんや、てんかんのけいれん発作の改善に効果があります。
発熱時、熱が上がる直前や熱が上がる時に起こすけいれん(ひきつけ)を予防する目的で使うことが多いです。繰り返し起こるけいれんを防止するためにも使われます。
熱性けいれんとは
熱性けいれんとは、子どもが風邪をひいたときなど、通常38℃以上の熱を出したときにけいれんを起こすことです。子どもの脳は熱に弱いため、熱が上がるときに熱性けいれんを起こすと突然意識がなくなったり、顔色が悪くなったり、手足が震えるなどの症状が起こることがあります。成長して脳が成熟する(多くは4~5歳)につれて起こらなくなります。
一般社団法人日本小児神経学会が監修している熱性けいれん診療ガイドライン2015では、熱性けいれんは主に生後6~60か月までの乳幼児に起こるものとし、通常38℃以上の発熱にともなって生じる発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)で、髄膜炎などの中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因疾患(異常)のないものと定められています。
日本では小児の8%ほどにみられ、一部3~5%がてんかんに移行するとされています。
原因としては突発性発疹、夏かぜ、インフルエンザなど突然の高熱をきたす病気が中心ですが、高熱になる病気であればどれでも熱性けいれんを引き起こす可能性があります。
てんかんとは
熱がなくてもけいれん発作や意識消失などが繰り返し起こるものがてんかんです。
てんかんは年齢に関係なく起こりますが、特に小児期や高齢期で発病します。てんかんは大脳の疾患であり、通常穏やかな大脳の神経細胞(ニューロン)の電気的な流れのリズムが突然崩れることで、過剰な電気的な乱れ(放電)が生じることでてんかん発作を起こします。意識を失う、全身が硬直する、全身がガクガクと震えるなどの症状が起こります。
ダイアップの副作用
ダイアップは脳や神経に働きかけるため、ふらつき、眠気などの副作用が現れることがあります。
また、連用することで薬が止められなくなる薬物依存、意識や思考が乱れるような刺激興奮、錯乱、ゆっくりとした浅い呼吸を特徴とする呼吸抑制などを起こすおそれがあります。
自己判断で使用を中止したり、用量を急激に減少させたりすると離脱症状が起こるおそれもあります。用量や使用期間に注意して使用し、使用を中止する場合には医師の指示に従い、徐々に減量してください。
ダイアップの用法用量
ダイアップには有効成分のジアゼパムを坐薬1個中に4mg、6mg、10mg含む3種類の坐薬があります。通常子どもには、1回に主成分のジアゼパムとして体重1kgあたり0.4〜0.5mgを1日に1〜2回、直腸内に挿入します。
年齢や症状によって用量は適宜増減されますが、1日1mg/kgを超えないようにします。必ず医師に指示された使用方法に従ってください。
また1歳未満の乳児には、作用が強く現れるおそれがあるので、慎重に使用することとなっています。低出生体重児や新生児に対しては、安全性が確立していないので使用できません。
ダイアップの使い方
熱性けいれんの予防を目的に使用する場合は、タイミングが重要になります。体温が急激に上昇するときに熱性けいれんは起こりやすいため、熱が37.5℃前後あると気づいたときは速やかにダイアップを肛門に挿入してください。
熱性けいれんは発熱直後から24時間以内に起こりやすいため、風邪などの症状がある場合はこまめに体温を計測しましょう。
ダイアップの吸収のスピードは速いため、1回量0.5mg/kgを使用した場合、挿入後15~30分ほどで熱性けいれんの予防が可能になる有効な血中濃度に達し、効果が期待できます。
ダイアップを挿入後5~10分程度は、坐薬が肛門から出ていないか確認してください。形のある坐薬が飛び出ている場合は再度挿入し直しましょう。指でつまめないぐらいに坐薬が柔らかくなっていれば、薬の成分は吸収されています。
ダイアップの2回目の使用は?
ダイアップを再度使う場合は、1回目の使用から8時間後に目安として37.5℃以上の熱が続く場合に使用してください。
8時間後に再び使用することで、1回目の使用後から24時間以上の有効な血中濃度を維持する効果があります。
ダイアップの3回目の使用は?
ダイアップは2回の使用で効果が24時間以上持続します。熱性けいれんは急激に熱が上昇したときに多く起こるものであり、発熱から24時間経過以降は起こりにくいとされています。通常ダイアップの使用は2回であり、3回目の使用は医師に指示されたときのみ使いましょう。自己判断で勝手に追加することはしないでください。
発熱した初期にダイアップを使うことで、タイミングが良ければ多くの場合熱性けいれんは予防できます。熱性けいれんは1回のみの発症で終わる場合が多く、再発率は35%ほどとされています。
ダイアップと解熱剤
解熱剤の使用により熱が下がっても、解熱剤の効果が切れたときに再び熱が上がり始めることでけいれん発作を起こしてしまうおそれがあります。解熱剤の使用は、発熱の不快感、食欲不振、熱が辛くて眠れないときなど、必要な場合にのみ使いましょう。
ダイアップはけいれんをおさえる薬なので、ダイアップそのものに解熱作用の効果はありません。
解熱目的としてダイアップと一緒に処方される薬としては、成分をアセトアミノフェンとするアンヒバ、カロナールなどがあります。
解熱剤の使用のタイミングは?
解熱剤が内服薬である場合は同時に使用しても構いませんが、解熱剤が坐薬である場合は使用する順番や間隔に注意が必要です。
ダイアップを挿入した後、解熱剤の坐薬は30分以上の間隔をあけてから挿入してください。同時に使用したり順番を間違えて使用すると、ダイアップの有効成分であるジアゼパムの吸収が悪くなり、効果が発揮されにくくなる場合があります。
ダイアップの使用期限
ダイアップは医師から診断を受けて処方してもらう薬なので、使用期限としては処方を受けた機会のタイミングで使いきることが適正です。
しかし、ダイアップは予防薬として使われることも多いため、以前処方を受けた後に残った分を冷蔵庫などに保管している家庭も多くあるようです。医師によっては残っている分を使用してもよいとするケースがありますが、正しい薬の使い方や使用期限としては、処方されたタイミングで使いきることです。
一般的に薬の使用期限は製造から3年ですが、薬局や病院によって薬の保存期間が異なります。薬としての使用期限が気になる方は、薬をもらうときに薬剤師などに使用期限を確認するとよいでしょう。
ダイアップの保存方法は光を遮り、密閉容器に入れ、湿気の少ない涼しい場所に保管しましょう。冷蔵庫に保管してもよいでしょう。ダイアップは体温以上で溶けるため車内などには置かないでください。
おわりに
小さい子どもは発熱により熱性けいれんの発作を起こしやすいため、日頃から子どもの体温をチェックしておくことが大切です。発熱時にすぐ対応できるように、ダイアップの使い方や知識を理解しておくとよいでしょう。
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