テラ・コートリル軟膏aはどんな薬?
テラ・コートリル軟膏aは、化膿をともなう湿疹・皮膚炎に効果のある薬です。
通常の皮膚炎ではなく、細菌が繁殖し、化膿してしまった皮膚炎に効果を発揮します。
また、テラ・コートリル軟膏aは、処方薬「テラ・コートリル軟膏」のスイッチOTC(処方薬と同じ成分が同量配合された市販薬)として販売されています。
市販薬のテラ・コートリル軟膏aが使える症状は以下の通りです。
テラ・コートリル軟膏aが使える症状 |
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化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん 化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
有効成分はステロイド成分+抗生物質
テラ・コートリル軟膏aに配合されているステロイド成分「ヒドロコルチゾン」は、炎症をおさえる作用がありますが、それと同時に免疫力を抑制する作用もあります。
免疫力が抑制されると、細菌が繁殖しやすくなるため、ステロイド成分のみが配合された塗り薬は、化膿した患部に使用することができません。
しかし、テラ・コートリル軟膏aには抗生物質の「オキシテトラサイクリン塩酸塩」も配合されているため、皮膚炎を悪化させる菌に抗菌効果を発揮します。
抗生物質によって化膿した皮膚炎に効果を発揮できることが、テラ・コートリル軟膏aの特徴です。
テラ・コートリル軟膏a 6g【指定第二類医薬品】
テラ・コートリル軟膏aはニキビに使える?
テラ・コートリル軟膏aの効能・効果にはニキビが含まれていないため、ニキビに使うことはできません。
また、抗生物質のオキシテトラサイクリン塩酸塩は、ニキビの原因となるアクネ菌に効果はありません。
さらに、ステロイドの免疫抑制作用によって、ニキビの原因菌であるアクネ菌や黄色ブドウ球菌をかえって増やしてしまう可能性も考えられます。
テラ・コートリル軟膏aの副作用としてニキビが報告されており、自己判断で使用すると、かえって症状が悪化するおそれもあるため、家にあるからといって使用することは控えてください。
テラ・コートリル軟膏aは陰部に使える?
デリケートゾーン(陰部)は、皮膚が薄く、ステロイドに敏感なため、テラ・コートリル軟膏aを自己判断で使うことは避けましょう。
ステロイド成分は、種類によって作用の強さがランク付けされています。ランクによってはデリケートゾーンに使用ができないものもあり、使用する薬のランクや部位を誤ると、副作用が出るおそれがあります。
医師の指導の元であれば使用ができますが、ご自宅でのセルフケアとしてデリケートゾーンに市販薬を使用する場合は、ステロイド無配合の薬をおすすめします。
ステロイド無配合で、女性のデリケートゾーンのかゆみに使える薬は、別記事で詳しく解説しています。
男性の場合については、こちらをご覧ください。
デリケートゾーン(陰部)のかゆみに効く市販薬|デリナースクール
下着との擦れやムレ、かぶれが原因で、デリケートゾーン(陰部)がかゆいといったときに使える薬のひとつに、デリナースクールがあります。
デリナースクール【第二類医薬品】
デリナースクールは、2種類のかゆみ止め成分に加え、殺菌成分が含まれており、傷口の細菌の繁殖を防ぎます。そのほか、血行促進成分が血流をよくすることで、荒れた皮膚の回復を助けます。
また、清涼成分が入っているため、塗るとスーッとします。クール感がお好みの方にもお使いいただけます。
ステロイドを使用しておらず、粘膜・粘膜周辺を除く全身に使用できます。
テラ・コートリル軟膏aはやけどに使える?
市販薬のテラ・コートリル軟膏aはやけどに適応がなく、かえって悪化するおそれがあるため、使用を避けましょう。
ただし、病院では感染予防の目的などで、やけどに医療用医薬品のテラ・コートリル軟膏を処方されることがあります。これは、自己判断で使用できる市販薬と異なり、医療用医薬品は患者さん一人一人の皮膚の状態や症状に合わせて、医師が処方するためです。やけどにテラ・コートリル軟膏が処方された場合は、医師の指示に従ったうえで使いましょう。
やけどに使える市販薬については、次の記事で詳しく解説しています。
テラ・コートリル軟膏aのステロイド成分について
テラ・コートリル軟膏aには、「ヒドロコルチゾン」というステロイド成分が含まれています。
ステロイドには5段階のランクがあります
ステロイド成分は、作用の強さによって5段階にランク分けされており、症状や部位などに応じて適した強さが異なります。
5段階のうち、ストロンゲストとベリーストロングは病院で処方される処方薬のみで、市販薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3段階に限られています。
ヒドロコルチゾンはウィーク(弱い)に分類されます
テラ・コートリル軟膏aのステロイド成分「ヒドロコルチゾン」は、5段階のうち、最も効果の穏やかな「ウィーク」に分類されます。
比較的軽度の化膿をともなう皮膚炎に使用できるほか、薬剤師・医師の指示のもとであればお子様も使用できます。
皮膚の炎症の程度によってそれぞれのステロイド成分の強さを選び、使い分けましょう。
テラ・コートリル軟膏aの副作用
テラ・コートリル軟膏aはステロイド成分を使用した薬ですが、外用薬のため、飲み薬に比べると全身性の副作用が出づらくなっています。
しかし、全く副作用が出ないということはありません。
添付文書では、副作用のおそれがある症状として以下の症状が記載されています。
テラ・コートリル軟膏aの使用後に次の症状が現れた場合は、副作用のおそれがあるため、ただちに使用を中止し、添付文書をお持ちの上、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
部位 | 副作用とみられる症状 |
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皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
皮膚(患部) | みずむし・たむし等の白癬症、にきび、化膿症状、持続的な刺激感 |
テラ・コートリル軟膏aの使用上の注意
テラ・コートリル軟膏aを使用する際は、次の点に注意しましょう。
使用してはいけない方・使用できない部位
次にあてはまる方は、守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなるため、テラ・コートリル軟膏aを使用できません。
使用してはいけない方 |
・テラ・コートリル軟膏aまたは、同成分によりアレルギー症状を起こしたことがある ・抗生物質またはステロイド成分により、アレルギー症状を起こしたことがある |
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また、テラ・コートリル軟膏aが使用できない皮膚の状態や部位は、次の通りです。
使用できない部位 |
・水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむしのある患部 ・湿潤やただれのひどい患部 ・深い傷やひどいやけどの患部 ・目や目の周囲 |
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妊娠・授乳中の使用について
テラ・コートリル軟膏aの妊娠中や授乳中の使用については、安全性が確立されていません。
妊娠または妊娠している可能性がある方や授乳中の方は、使用前に医師や薬剤師に相談してください。
お子様の使用について
処方薬のテラ・コートリル軟膏では、長期に渡っての使用や多量の使用、または軟膏を使用した上から患部を密封する使用方法によって発育障害が起こるという報告があります。
使用前に医師や薬剤師に相談し、使用期間や使用量は必ず守ってください。
目や目の周りには使用しない
テラ・コートリル軟膏aと同成分同量配合の処方薬テラ・コートリル軟膏をまぶたの周辺の皮膚に使用した際の副作用として、緑内障や眼圧亢進などの症状が報告されています。
そのため、テラ・コートリル軟膏aを目や目の周りに使用することはお止めください。
誤って目に入ってしまった場合は、すぐに水やぬるま湯で洗い流してください。使用中に何かおかしいと感じたときは眼科医に相談しましょう。
5〜6日間以上は使用しない
テラ・コートリル軟膏aなどのステロイド剤は、続けて使用すると副作用が起こりやすくなることがあります。
5〜6日間使用しても症状が良くならない、または悪化してしまったなどの場合は、むやみに長期間使用せず、皮膚科を受診しましょう。
広い範囲には使用しない
広い範囲にかぶれや湿疹の症状が出ている場合は、皮膚科を受診する必要があります。手のひら2枚の広さを超える範囲の皮膚炎の場合は、テラ・コートリル軟膏aを使用する前に皮膚科を受診してください。
皮膚トラブルは早めの対処を
皮膚トラブルは悪化させると治るまでに時間がかかったり、治ったと思ったら再発してしまったりと、悪循環を起こしやすいものです。
テラ・コートリル軟膏aなどの市販薬をうまく活用し、症状が軽いうちに対処しましょう。
また皮膚は常に清潔にし、万病のもとでもあるストレスを溜めない、食生活も整えるなど、日常生活の改善も心がけましょう。