ビーフリード輸液の特徴・カロリー・副作用を薬剤師が徹底解説!
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薬剤師監修日:
ビーフリード輸液はビタミンB1・ブドウ糖・電解質・アミノ酸を配合した点滴薬です。特徴や副作用、カロリーなどについて薬剤師がわかりやすく解説します。

ビーフリード輸液は栄養補給のための点滴薬
ビーフリード輸液は、体に必要な栄養素と水分を補給する点滴液です。口から食事が十分に摂取できず血液中のたんぱく濃度が低い、または栄養状態が軽度に低下している方や、手術前後の方に使用されます。
ビーフリード輸液には、ビタミンB1・ブドウ糖・電解質・たんぱく質の元となるアミノ酸が配合されています。特にビタミンB1が入っていることがビーフリード輸液の特徴といえます。
ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。点滴での栄養成分の補給にはビタミンB1が欠乏するという問題があり、ビタミンB1が欠乏すると体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸、息切れなどの症状を起こすことがあります。
ビーフリード輸液と1日に必要なカロリー
1日に必要なカロリー
日本人が1日に取らなくてはならないカロリーは年齢や性別、体重、1日にどれだけ活動しているかなどによって違いますが、厚生労働省の【「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書】によると、ふつうに活動している方なら、おおむね以下のとおりです。
年齢 | 1日に必要なカロリー | |
男性 | 女性 | |
18~29歳 | 約2,650kcal | 約2,000kcal |
30~49歳 | 約2700kcal | 約2,050kcal |
50~64歳 | 約2600kcal | 約1,950kcal |
65~74歳 | 約2,400kcal | 約1,850kcal |
75歳以上 | 約2,100kcal | 約1,650kcal |
ビーフリード輸液のカロリー
ビーフリード輸液の熱量(カロリー)は以下のとおりです。
輸液量 | カロリー(熱量) | |
総カロリー | 非たんぱくのみ | |
500mL | 210kcal | 150kcal |
1000mL | 420kcal | 300kcal |
2500mL | 1050kcal | 750kcal |
上の表からわかる通り、ビーフリード輸液のみでは上限量の2500mLを使っても、1日に必要なカロリーをまかないきれません。ビーフリード輸液の使用はあくまで通常の食事の補助的、または短期間のみの栄養補給を目的に使用されます。
ビーフリード輸液の副作用
まれにですがビーフリード輸液が体質に合わないため副作用が起こることがあります。
主な副作用として、吐き気、嘔吐、胸部の不快感、悪寒、発熱、熱感、頭痛、血管痛、静脈炎による注射した場所の腫れなどが報告されています。
このような症状に気がついた場合は医師に相談してください。また、めったに起こりませんが重大な副作用であるショックの初期症状に血圧降下、胸の苦しさ、呼吸困難などがあります。このような症状があった場合、使用をやめてすぐに医師の診療を受けて、処置してもらってください。
血管痛・静脈炎
血管痛・静脈炎はビーフリード輸液の注射により血管が傷つけられ炎症を起こした状態で、血管の痛みや腫れが起こる副作用です。ビーフリード輸液は浸透圧が高く(体液よりも濃度が濃く)、これが原因となり血管組織を破壊するおそれがあります。
ビーフリード輸液を使用していて針を刺した部位が腫れていたり、痛いと感じた時は医師や看護師、薬剤師に相談してください。
血管痛・静脈炎が起きてしまった場合の対処としては、ビーフリード輸液の注射部位を変更します。また場合によっては投与を中止することもあります。
血管外漏出による皮膚壊死や潰瘍
ビーフリード輸液に限らず点滴では血管外漏出(けっかんがいろうしゅつ)を起こす事があります。血管外漏出(けっかんがいろうしゅつ)とは、静脈に注射した薬剤が血管の外に漏れ出てしまった、いわゆる点滴漏れといわれる状態です。
ビーフリード輸液は浸透圧が高い(体液よりも濃度が濃い)ので、血管外に漏れると正常な組織を破壊して皮膚の細胞が死んでしまう皮膚壊死(ひふえし)や組織の一部が欠損してしまう潰瘍(かいよう)の原因になる事があります。
注射した周囲に発赤、痛み、浸潤、腫れやむくみなどが起きた場合は血管外漏出のおそれがあるので、病院のスタッフに相談してください。
なお、血管外漏出の予防としては以下のようなものがあります。
・点滴中の違和感は早いうちに知らせる
・できるだけ太い血管に注射する
・点滴中はできるだけ安静に努める
・点滴スタンドを持ったままの移動時の注意点などをよく聞いておく
まとめ
ビーフリード輸液に限らず点滴では医師の注意をよく聞く事、点滴によって起こるリスクを患者やその家族が知っている事が重要になります。また点滴を使用している方は注射したところに違和感があれば医師や看護師、薬剤師に積極的に相談するようにしましょう。
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