フェンタニルの効果と副作用を解説!モルヒネとの比較

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薬剤師監修日:

麻薬性鎮痛剤「フェンタニル」の効果と副作用について薬剤師監修のもと解説します。貼り薬(貼付剤)とモルヒネの比較や、妊婦、小児の使用についても掲載。

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フェンタニルとは

フェンタニルは、がんなどの強い痛みを抑えるための医療用麻薬です。

がんの痛みの治療は、痛みの強さに応じて3段階で行うように示されています。フェンタニルは3段階中3段階目で用いられる、最も強い部類の鎮痛薬です。中等度から高度のがんの激しい痛みに対する鎮痛に用います。

フェンタニルの製剤には、貼り薬(貼付剤)、注射液、舌下錠(舌下で溶かす飲み薬)があり、症状や部位により使いわけます。

貼付剤タイプのフェンタニル

貼付剤・注射液・舌下錠のなかでも貼付剤は、口から薬を飲むことや注射時に血管を確保できない人でも使用できることから、在宅医療でも多く使われています。

フェンタニルの貼付剤には、効果が3日間持続する「デュロテップ MTパッチ」・「フェンタニル3日用テープ」、1日1回貼り変える「ワンデュロパッチ」・「フェントステープ」があります。

効き目が長く、貼り替えるのが1日または3日ごとなので、貼り替えの手間が少なく、痛みが安定している方に限って使用することが勧められています。

フェンタニルの効果と作用

フェンタニルは、体内に入ってオピオイド受容体と結合します。受容体と結合することで、脊髄と脳への痛みの伝達が遮断され、痛みが治まると考えられています。

フェンタニルは「オピオイド鎮痛剤」に分類されます。

フェンタニル貼付剤を最初に貼ったあとは、1~2時間で血中にフェンタニルが検出されます。そのため、1〜2時間後には効果が現れるといえます。その後、17~48時間で最高血中濃度に達し、2回目の貼付以降に効果が安定すると考えられます。

フェンタニルを皮膚から剥がしたあとは、血中の有効成分が半分ほどに減少するまでに17時間以上かかります。

なお、フェンタニルはほとんど肝臓で代謝されるので、腎機能に大きな影響はありません。

慢性的な痛みを抱える方の場合、フェンタニルの貼付開始から4週間が経過しても思うように効果が得られないときは、他の治療への変更を検討します。

フェンタニルの重大な副作用

依存性

フェンタニルを継続して使うことで、薬物依存を生じることがあります。また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があります。

呼吸抑制

呼吸抑制が現れることがあるので、無呼吸、呼吸困難、呼吸異常、呼吸緩慢、不規則な呼吸、換気低下などがあらわれた場合には、フェンタニルの使用を中止するなどの処置を行います。

意識障害

意識レベルの低下、意識消失等の意識障害が現れることがあります。

ショック、アナフィラキシー

ショック、アナフィラキシーが現れることがあります。

痙攣

間代性、大発作型などの痙攣が現れることがあります。

その他の副作用

・テープでは貼付部位の瘙痒感
・嘔気、嘔吐、 便秘、錠剤では下痢
・傾眠、めまい
・食欲減退

フェンタニル貼付剤の増量と減量

フェンタニル貼付中に痛みが強くなった場合や、一時的に強い痛みが現れる場合には、オピオイド鎮痛剤を追加で使用します。ただし、フェンタニルの初回貼付後または増量後の次の増量までの間隔は72時間を原則とします。

またフェンタニルの急激な減量は、あくび、瞳孔散大、流涙、鼻漏、食欲低下、嘔吐、腹痛、下痢などの退薬症候が現れることがあるので行わないようにします。副作用などにより減量する場合は、十分に観察を行いながら慎重に減量します。

フェンタニルとモルヒネの比較

フェンタニルと同じ麻薬性鎮痛薬として有名なのが「モルヒネ」です。

モルヒネ系薬物とフェンタニルは化学構造が異なりますが、がん治療における鎮痛薬として、どちらも最も強い部類に属します。

日本緩和医療学会のがん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010では静脈内投与した場合では、フェンタニルの鎮痛作用はモルヒネの約50~100倍といわれています。

医療現場でも換算値(経口モルヒネ:フェンタニル=1:100)を使うことがあります。

フェンタニルの使用に注意が必要な人

フェンタニルは、他のオピオイド鎮痛剤が一定期間使用され副作用の程度が確認されている方で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な使用を必要とする場合にのみ使用します。

妊婦または妊娠している可能性のある方は、治療上の有益性が危険性を上回ると医師により判断されたときにのみ使用します。授乳中の方は、フェンタニル使用中は授乳を避ける必要があります。

なお、小児への安全性は確立されていません。

フェンタニルとの併用注意

中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、骨格筋弛緩剤、鎮静性抗ヒスタミン剤、アルコール、オピオイド系薬剤を使用している場合、呼吸抑制、低血圧、めまい、口渇および顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど調整する必要があります。

セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)は、不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、頻脈、振戦、ミオクローヌス等のセロトニン症候群が現れるおそれがあります。

CYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル、イトラコナゾール、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミン等)は、呼吸抑制等の副作用が現れるおそれがあります。

CYP3A4誘導作用を有する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等)は、フェンタニルの血中濃度が低下し、治療効果が弱まるおそれがあります。

おわりに

がんの緩和医療では、痛みのコントロールが最も大きな課題です。

医療用麻薬は、不適切な使用をすると非常に危険な薬ではありますが、医師の指示通り適切な使用を行えば、痛みの治療においてQOL(クオリティーオブライフ)を向上させる大変有効な薬です。

治療の際は医師に相談し、自分の合った薬を選びましょう。

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