世界初の抗生物質!ペニシリンの効果と副作用を解説
ペニシリンとは
ペニシリンは、1928年にイギリスの細菌学者・フレミングにより青カビから発見された世界初の抗生物質です。青カビから作られる天然のペニシリンの中では、ベンジルペニシリン(ペニシリンG)がグラム陽性菌や梅毒などの感染症に対して現在でも使用されます。
しかし、ベンジルペニシリンは胃酸で分解されやすいため内服薬はなく、注射剤しかありません。また、適応する菌種が少ないこと、ペニシリン耐性肺炎球菌などベンジルペニシリンへの耐性を持った細菌が出現したことなどから使用範囲が制限されています。
このような弱点を補うために、天然のペニシリンを改良した半合成のペニシリン系抗生物質を使用する機会が増えています。
現在、ペニシリン系抗生物質は大きく3種類に分類されます。ベンジルペニシリンに代表される「グラム陽性菌用ペニシリン」、人工的な手が加えられている半合成の「広域性ペニシリン」と「耐性ブドウ球菌用ペニシリン」の3種です。
それぞれ適応する菌種・疾患が異なるため、使用するケースに合わせて使いわけています。
ペニシリンの効能・効果
ペニシリン系抗生物質は病気の原因となる細菌を殺す薬です。ペニシリン系抗生物質の種類ごとの適応菌種・疾患は次の通りです。
グラム陽性菌用ペニシリン
注射剤のみのベンジルペニシリン、飲み薬のベンジルペニシリンベンザチンがあります。
これらはベンジルペニシリンに感性のあるレンサ球菌属、肺炎球菌、梅毒トレポネーマに対して殺菌効果があり、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、肺炎などの感染症に使用されます。
また、ベンジルペニシリンベンザチンは2021年9月に注射剤が承認され、神経梅毒を除く梅毒の治療に用いられます。
広域性ペニシリン
広域性のペニシリン系薬にはアンピシリン、バカンピシリン、スルタミシリン、アモキシシリン、ピペラシンなどがあり、グラム陽性菌だけでなく一部のグラム陰性菌に対しても殺菌効果があります。
広域性ペニシリンに感性のあるブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、インフルエンザ菌などに対して効果があり、皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、中耳炎などに使用されます。
また、アモキシシリンはヘリコバクター・ピロリに、ピペラシリンは緑膿菌に対しても効果があります。
耐性ブドウ球菌用ペニシリン
クロキサシリンとアンピシリンの複合剤が使用されています。
クロキサシリン/アンピシリンに感性のあるブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、インフルエンザ菌などに対して殺菌効果があり、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎、外耳炎のほか、慢性呼吸器病変の二次感染にも使用されます。
ペニシリンの使用上の注意
過去にペニシリンを使用して過敏症を起こしたことがある方は使用できません。
また、ペニシリン系抗生物質を使用して過敏症を起こしたことがある方は原則として使用できませんが、どうしても必要な場合は医師の判断で使用するケースがあります。
ほかにも、セフェム系抗生物質を使用して過敏症を起こしたことがある方、本人または家族に気管支喘息や発疹、蕁麻疹などのアレルギー症状を起こしやすい体質の人がいる方、心疾患の方、高度腎障害の方、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦、小児、高齢者の方、経口摂取の不良な方または非経口栄養の方、全身状態の悪い方は慎重に投与する必要があるため、ペニシリンを使用後に体調に変化があった場合は医師・薬剤師に相談してください。
ペニシリンの副作用
ペニシリン系薬の主な副作用は、発熱・発疹(薬疹)などの過敏症、下痢や悪心などの胃腸症状、口内炎・カンジダ症の発症などです。
重大な副作用
ほとんど起こることはありませんが、稀にショックやアナフィラキシー、偽膜性大腸炎などがあらわれる可能性があります。不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗などの初期症状や、血便をともなう腹痛・頻回の下痢の症状があらわれた場合は使用を中止し、医師・薬剤師に相談してください。
また、溶血性貧血、無顆粒球症、急性腎障害があらわれる可能性があるため、定期的に血液検査などが行われることがあります。
アレルギー検査
ペニシリンなど抗生物質の注射剤を使用する前には、皮膚内に少量の薬剤を注入してアレルギー反応があらわれるかを調べる試験を行っていましたが、2004年以降は厚生労働省の通達により皮内試験は行われなくなりました。
現在では、過去に抗生物質などを使用して発疹などアレルギー反応があらわれた経験があるかを聞くなど、事前に十分な問診を行うことでアレルギーやショックが起こる可能性を予想し、使用の可否を判断しています。
ペニシリンに市販薬はある?
ペニシリン系抗生物質の入手には医師の処方が必要です。感染症の疑いがある場合は医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。
抗生物質をオンライン診療で処方してもらう
抗生物質は通販や個人輸入で購入しないこと
医療用医薬品の抗生物質が通販サイトや個人輸入サイトなどで売られていることがありますが、購入することは避けてください。
個人輸入代行業者によって売られる薬は、医薬品としての安全性が保障されていないため、思わぬ健康トラブルが起こるおそれがあります。
また、厚生労働省は個人輸入の薬によって起こった健康被害については医薬品副作用被害救済制度の対象にならないと明記しています。
正しい治療を行うためにも、個人輸入・通販による医療用医薬品の抗生物質の購入は避けましょう。
もし医療用医薬品の抗生物質を購入したい場合は、病院を受診することをおすすめします。
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おわりに
ペニシリンの発見以降、私たちはさまざまな感染症から救われきました。しかし、抗生物質を適正に使用しないと抗生物質への耐性をもった菌が出現し、従来の抗生物質が効かなくなるといったデメリットが生じます。
耐性菌の出現を防ぐには、体内で悪さをしている細菌が薬に耐性を持つ前に死滅させることが有効です。ペニシリン系抗生物質だけでなく、全ての抗生物質についても同じことが言えるので、医師から抗生物質を処方された場合は、医師に指示された用量・期間を守って使用し、自己判断で薬の使用を中断しないでください。


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