リスペリドンとは
リスペリドンは統合失調症や小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に用いられるお薬の成分名です。
先発薬は「リスパダール+剤形+規格」として、ジェネリック医薬品は「リスペリドン+剤形+規格+会社名」などの名称で販売されています。剤形は錠剤、OD錠、細粒、液剤(内用液・内用液分包)、筋注用があります。
効能・効果は以下の通りですが、剤形や規格などにより異なることがあるため、詳しくは添付文書を確認してください。
効能又は効果
- 統合失調症
- 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
リスパダール錠1mg/リスパダール錠2mg/リスパダール錠3mg/リスパダール細粒1%添付文書
リスペリドンの作用機序
リスペリドンは、SDA(セロトニン-ドパミン遮断薬)であり、セロトニンやドパミンが結びつく受容体をの働きを妨害し、効果を表します。この作用からリスペリドンは統合失調症の陽性症状だけでなく、陰性症状にも効果があると言われています。
1. 薬理作用
(1) 抗ドパミン作用ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアンフェタミン又はアポモルフィンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した。その程度はハロペリドールと同等若しくはやや弱いことが示された。
(2) 抗セロトニン作用
セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン及びメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した。
(3) カタレプシー惹起作用
ラットでのカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールより弱い。また、ラットの中脳-辺縁系(嗅結節)でのドパミンD2受容体に対する結合親和性は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での親和性より高い。しかしハロペリドールでは線条体における結合親和性の方が高い。なお、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。
2.
作用機序
行動薬理並びに神経化学的実験の結果より、主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる。
リスペリドンの副作用
リスペリドンの先発薬であるリスパダールの添付文書で、5%以上とされているものは食欲不振、不眠症、不安、アカシジア、振戦、構音障害、傾眠、めまい・ふらつき、流涎過多(唾液がたくさん出る)、便秘、悪心、嘔吐、筋固縮、月経障害、易刺激性、倦怠感、口渇があります。
アカシジアとは、静座不能症とも言われ、座ったままでじっとしていられず、ソワソワと動き回るという特徴があります。
万が一、以下のような症状があらわれた場合は医療機関を受診し、医師の指示をあおいでください。
・足がむずむずして仕方がない
・歩きたくてたまらなくなり、じっとしていられない
・立っていても静止ができず、足踏みをしたくなる
・体や足がソワソワしたり、またはイライラしてりして座ったり横になっていることに耐えられず、動きたくなる
太るのは副作用?
リスペリドンの副作用として体重増加が報告されています。体重減少もまた、副作用として報告されています。
リスペリドンの使用に注意が必要な方
以下に該当する方は、リスペリドンを使用できません。
・リスペリドン・パリペリドンに対し、アレルギー反応を起こしたことがある方
・昏睡状態の方
・中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・アドレナリンを使用している方
糖尿病の方はとくに慎重に
糖尿病を患っている方、過去に糖尿病を患ったことがある方、家族の中に糖尿病を患ったことがある人がいる方、高血圧・肥満などで糖尿病になりうる危険因子を持っている方はリスペリドンを慎重に使用する必要があります。
リスペリドンを使用することで血糖値が上がったり、糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡などにいたることもあります。
糖尿病の方以外でも、子どもや高齢者、薬物アレルギーをもつ方など、リスペリドンを慎重に使用しなければいけない方がさまざまいます。