レキソタンの効能・効果と特徴
レキソタンはベンゾジアゼピン系抗不安薬で、「精神安定剤(安定剤)」と呼ばれることもあり、神経症・うつ病・心身症の抑うつ症状や不安・緊張などの改善に使用される薬です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の中では抗不安作用が比較的強い薬に分類されています。
また、心身を落ち着ける作用があるため、人前であがってしまうなどの不安・緊張症状を抑える・手術前に麻酔の効果を高めるために心身を落ち着かせるといった目的でも使用されます。
効果時間は?
レキソタンの効果時間は中間型に分類されます。レキソタンを使用した場合、使用後1~2時間ほどで血中濃度が最も高くなり、20時間ほどで半分になります。即効性の点ではデパスやワイパックスなどに次いで、比較的早い薬といえます。
レキソタンの剤形
レキソタンにはレキソタン錠1、レキソタン錠2、レキソタン錠5、レキソタン細粒1%があります。
錠剤の場合、成分であるブロマゼパムを含む量(1mg、2mg、5mg)によって名称が違い、症状や年齢などによって使い分けられています。
レキソタンが効かないときは
人によってはレキソタンが効かない、もしくは効きにくいと感じる場合があります。
効きにくい原因として、薬に体が慣れる「耐性」ができてしまっていることが考えられます。
また、症状に対して薬の効果が合っていないと、だるさや眠気などの副作用ばかりが目立ち効果を実感しにくくなります。レキソタンの使用を始めたばかりの方では、使用期間が短いために効果が現れていないなどの原因も考えられます。
効果が実感できない場合は自己判断でレキソタンの使用を中止・増量せず、必ず医師に相談してください。
レキソタンの用法・用量
レキソタンは使用する症状によって用量が異なります。なお、年齢や症状に合わせて調節します。
【神経症、うつ病の場合】
通常、成人には1日6~15mgを2~3回にわけて使用します。
【心身症の場合】
通常、成人には1日3~6mgを2~3回に分けて使用します。
【麻酔前に使用する場合】
通常、成人には5mgを寝る前または手術前に使用します。
頓用の場合
頓用(とんよう)とは、症状が出ているときに薬を使用する処方のことです。
あがり症など症状が軽い方は、プレゼン・発表前など症状を抑えたい場面の直前に使用するように指示される場合があります。このようなケースでは人によって用量が異なるため、医師の指示通りに使用してください。
服用間隔は?
レキソタンは一般的には6~8時間の間隔を空けて使用すると考えられていますが、医師の指示がある場合はその限りではありません。医師からの指示がある場合は、指示された通りに使用してください。
レキソタンの使用上の注意
レキソタンや、レキソタンの成分であるブロマゼパムを使用してアレルギー反応を起こしたことがある方は使用できません。また、急性閉塞隅角緑内障の方は眼圧が上昇、重症筋無力症の方は症状が悪化する可能性があるため使用できません。
眠気やふらつきが現れやすいため、レキソタンを使用中は自動車の運転など危険をともなう機械の操作をしないようご注意ください。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中の方、または妊娠している可能性のある方は、胎児・新生児に影響をおよぼす可能性があるため、治療上どうしても必要となる場合を除き使用されません。
また、授乳中の方は、レキソタンの成分が母乳中に移行する可能性があるため、レキソタンを服用しているあいだは授乳を避けてください。
15歳未満の使用
15歳未満の子どもへの使用は安全性が確立されていませんが、医師の判断で使用するケースがあります。処方された場合は用法用量を必ず守って使用し、体調に変化があれば医師・薬剤師に相談してください。
飲み合わせ
レキソタンは他の向精神薬や鎮静剤などと薬の作用が似ており、作用が強く現れてしまう可能性があります。医師の指示がない状態での併用は避けてください。
また、アルコールとの飲み合わせも同様に薬の作用を強めてしまうので、レキソタンを使用中の飲酒はひかえてください。
コーヒーとの飲み合わせについては、特に問題は報告されていません。
レキソタンとソラナックスの併用
レキソタンとソラナックスは同じベンゾジアゼピン系の薬ですが、同時に処方される場合もあります。併用することにより、だるさや眠気の副作用が強い場合は医師に相談してください。
レキソタンの副作用
レキソタンの主な副作用としては、眠気、ふらつき、疲労感などがあります。人によっては気持ちがイライラすると感じることもあります。
また、滅多に起こることはありませんが、重大な副作用として刺激興奮や錯乱などが現れることがあります。体調や言動に異変を感じた場合はただちに医師・薬剤師に報告し指示をあおいでください。
体重は増える?
レキソタンを使用して体重が増加したと感じることがありますが、レキソタンには体重増加の副作用は報告されていません。
うつ病などの治療にレキソタンを使うケースでは症状が改善してくると食欲が増すことがあり、結果的に体重が増加したと感じることがあります。過度に心配せず治療を継続しましょう。どうしても気になる場合には、医師に相談しましょう。
レキソタンの依存性
レキソタンは、薬物依存を起こす可能性がある薬です。
薬物の依存には精神的依存と身体的依存があります。それぞれの依存性の特徴は次の通りです。
精神的依存
薬に精神的に頼っている状態のことで、「薬を使わなければいけない」、「薬を使わなければ辛い症状が出てしまう」など、薬を使わないことに対して強い不安を覚える状態をいいます。
身体的依存
体が薬に慣れてしまい、急に薬の使用を中止または減量すると薬がない状態に対して体が反応してしまうものです。身体的依存では、けいれんや不眠、不安などの症状(離脱症状)が現れることがあります。
依存を防ぐにはどうする?
レキソタンなど抗不安薬への依存を防ぐには、自己判断で薬の量を調節しないことが重要です。医師の指示がない限り、用量を調節しないようにしましょう。
もし、レキソタンへの依存性があると医師が判断した場合は、時間をかけてゆっくりと薬の量を減らしていったり、依存性が少ない薬に切り替えて様子をみるといった対応をとります。このような場合も医師の指示にしっかりと従い、自己判断での用量の調節・他の抗不安薬との併用などはしないでください。
レキソタンと他の抗不安薬の違い
レキソタンと同じベンゾジアゼピン系の抗不安薬に、デパス、ソラナックス、ワイパックス、メイラックスなどがあります。これらの薬とレキソタンは、効果時間の長さに次のような違いがあります。
薬剤名 | 効果時間 |
デパス | 短時間型 |
ソラナックス | 中間型 |
ワイパックス | 中間型 |
レキソタン | 中間型 |
メイラックス | 超長時間型 |
レキソタンのジェネリック医薬品
レキソタンには成分名である「ブロマゼパム」という名前のジェネリック医薬品が販売されており、ブロマゼパム錠2mg、ブロマゼパム錠3mg、ブロマゼパム錠5mg、ブロマゼパム細粒1%がジェネリック医薬品にあたります。
ただし、ブロマゼパム錠1mgはジェネリック医薬品ですが加算対象外、ブロマゼパム坐剤3mgはレキソタンと同様に先発医薬品にあたる点にご注意ください。
ジェネリック医薬品を希望する場合は医師・薬剤師に相談しましょう。