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ヘパリーゼを飲むタイミングについて薬剤師が詳しく解説。錠剤とドリンク剤のどちらが良いのかについても紹介。ヘパリーゼが肝機能の働きを助けるメカニズムについても解説します。また、ヘパリーゼは二日酔いに使えるのかについても紹介します。
ヘパリーゼにはドリンク剤と錠剤がある
ヘパリーゼシリーズはゼリア新薬が販売する製品です。市販薬として扱われている品8製品と指定医薬部外品である1製品があります。
剤形はドリンク剤と錠剤タイプの2種類があります。
ドリンク剤も錠剤のいずれにも有効成分である「肝臓水解物 (かんぞうすいかいぶつ)」が配合されています。
ドリンク剤のメリットは、早めに効果を得たい時におすすめです。錠剤タイプは、日々の慢性的な疲れや胃腸障害がある方には、錠剤は有効成分である「肝臓水解物 (かんぞうすいかいぶつ)」の配合量が多いというメリットがあります。
ドリンク剤
分類 | 製品 |
第2類医薬品 |
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第2類医薬品 | |
第2類医薬品 | |
第2類医薬品 | |
第3類医薬品 | |
第3類医薬品 |
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第3類医薬品 |
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指定医薬部外品 |
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錠剤
分類 | 製品 |
第3類医薬品 |
ヘパリーゼWシリーズは医薬品ではない
同じヘパリーゼでも、コンビニなどで販売されているヘパリーゼWシリーズは医薬品ではなく「清涼飲料水」です。
ヘパリーゼWシリーズは医薬品のヘパリーゼシリーズと異なり、国から正式には効能効果が認められていません。
疲労回復効果を期待したいのであれば、医薬品のヘパリーゼシリーズが向いています。
ヘパリーゼが肝機能の働きを助けるメカニズム
市販薬のヘパリーゼには「肝臓水解物 (かんぞうすいかいぶつ)」という成分が配合されています。
「肝臓水解物」は、細胞を作るときに必要な「核酸前駆物質」という成分を含んでおり、肝臓の新陳代謝をサポートする働きがあります。
また、肝臓の血流量を増やす作用もあるため、肝機能の働きが活性化することが期待できます。
疲労回復が期待できるのはなぜ?
「肝臓水解物」には肝臓や筋肉のAMPキナーゼという酵素を活性化させる作用があります。
AMPキナーゼは、体のエネルギー源であるATPレベルを回復させる物質なので、「肝臓水解物」の摂取によって疲労回復効果を示す可能性があるとされています。
二日酔いにはヘパリーゼ?
ヘパリーゼを二日酔い対策として使用される方もいるかもしれませんが、正式には二日酔いへの効能・効果の記載はなく、データとしても二日酔いの効果は認められていません。
しかし、公益社団法人日本薬理学会の研究結果によると、ヘパリーゼに配合されている肝臓水解物という成分には、アルコールが分解されるときに発生するアセトアルデヒドという有害物質の毒性を軽減する作用があることが報告されています。
そのため、二日酔いの症状を緩和する働きは期待できます。
また、ヘパリーゼにはビタミンも含まれているため、アルコールによって失われやすいビタミン類を補充することで、全身の疲れや胃腸の調子が悪化することを防ぐことも期待できます。
ヘパリーゼを飲むタイミングは?
ヘパリーゼには指定された用法がなく、ヘパリーゼの公式ページや添付の説明書などにも具体的に使用するタイミングについての明確な記載がありません。
そこで、ヘパリーゼを飲むタイミングについて、製造販売元となるゼリア新薬工業株式会社に問い合わたところ、ヘパリーゼを使用してから効くまでの時間についての科学的なデータはないということがわかりました。
しかし、ヘパリーゼを服用している多くの人は、ドリンク剤の場合は飲酒の30分〜1時間前に、錠剤の場合は飲酒の前と翌朝に服用しているというデータはあるとのことでした。
なお、ドリンク剤・錠剤いずれの場合も個人差があることに注意しましょう。
ゼリア新薬工業株式会社の回答を踏まえた上で、ミナカラ薬剤師としては次のようなタイミングでヘパリーゼを服用することも良いと考えています。
お酒を飲むときの栄養補給にしたい場合
お酒を飲むときの栄養補給としては、飲酒前か飲酒の場の中盤くらいでドリンク剤のヘパリーゼを服用することがおすすめです。
理由としては、アルコールを代謝する際に消費されるビタミン類などの栄養成分をヘパリーゼから事前に補給するためです。
お酒を飲みすぎた状態で使用すると、吐き気を催した場合にヘパリーゼも一緒に吐き出してしまうおそれがあるため、終盤に飲むことはおすすめできません。
疲労回復をさせたい場合
栄養分が吸収されやすいのは食後なので、疲労を回復したいときは食後に使用しましょう。
これから頑張りたいというときには朝食後、明日までに疲労を回復したいというときには夕食後にドリンク剤のヘパリーゼを服用するのがおすすめです。
慢性的な疲労には、錠剤タイプのヘパリーゼがおすすめです。
おわりに
いくら肝機能を回復させても、過度なアルコールの摂取は肝臓に負担をかけます。お酒を飲む機会が多い人は週に1日休肝日を作るなどして肝臓を休ませることも大切です。
ヘパリーゼなどの医薬品だけに頼らず、日常生活でもお酒を飲み過ぎない、油っぽいものを食べ過ぎないなど少しでも食生活を改善することも心がけることをおすすめします。