おたふく風邪の症状は軽い?症状や完治するまでの経過を解説
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薬剤師監修日:
おたふく風邪の症状を経過も含めて解説します。子供と大人の症状の出方の違いや腹痛の症状が出た場合、耳が聞こえにくくなる場合、耳の下の腫れをくり返す場合など、おたふく風邪に関わる症状についてお伝えします。

おたふく風邪(ムンプス)は、正式には流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)といいます。主な症状は、唾液を作る耳下腺(じかせん)からあごの下の顎下(がくかせん)や舌下腺(ぜっかせん)にかけての腫れと痛みです。
両側が腫れてしまうと「おたふく」のお面のようになることからおたふく風邪と呼ばれるようになりました。
おたふく風邪はムンプスウイルスに感染することで起こります。感染者の咳やくしゃみから出た飛沫を吸い込むことや、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることが主な感染の原因です。ムンプスウイルスの感染力はかなり強力です。
おたふく風邪の症状はどんなもの?
おたふく風邪の主な症状
・耳の付け根からあごにかけての腫れ
・腫れに触れたり口を開けたときや、食べ物を噛んだり飲み込んだりするときの痛み
・発熱 など
耳の付け根から、頬、あごにかけての腫れは、多くの場合、症状が現れ始めて1~3日目がピークで、1週間ほどで落ち着いてきます。唾液腺などが片側だけ腫れる場合と、両側が腫れる場合があります。
発熱は数日~1週間ほど続き、頭痛やだるさ、食欲不振、筋肉や首の痛みなどをともなうことがあります。
症状が出ないこともある
おたふく風邪の感染者全体のうち、30~35%は症状が現れない不顕性感染(ふけんせいかんせん)で、ムンプスウイルスに感染していても気づかない場合があります。
不顕性感染でも免疫はできますが、症状が現れないため、感染したかどうかが分かりにくいです。ムンプスウイルスに感染したかどうかは、血液中にウイルスに対する抗体があるかを検査することで判断できます。
また、不顕性感染の場合でもウイルスを放出しているため、周囲の人に感染を広げてしまうおそれがあります。
おたふく風邪の症状は子供と大人で違う?
おたふく風邪の症状は、子供に比べて大人が感染すると症状が重くなる傾向があります。
年少児ほど感染しても症状が現れない不顕性感染である確率が高く、年齢が高くなるほど症状が現れる確率が高くなります。
子供のおたふく風邪
国立感染症研究所によると報告された患者のうち4歳以下の占める割合は45 ~47%でした。0歳は少なく、年齢とともに増え、4歳での発症が最も多いとされています。
ムンプスウイルスに感染した場合、1歳児では20%ほどにしか症状が現れませんが、4歳以降では90%ほど症状が現れます。
大人のおたふく風邪
大人のおたふく風邪は、重症化だけでなく特定の合併症を併発する確率も高まる傾向があります。
思春期以降におたふく風邪を発症した場合、男性の約20〜30%が睾丸炎、女性は約7%が卵巣炎を合併するという報告があります。
合併症と思われる症状が出た場合は、病院を受診しましょう。
また、妊娠早期に感染すると流産のリスクが高くなります。
おたふく風邪の合併症
多くは軽症で終わりますが、ときに合併症を併発するおそれがあるため注意が必要です。
合併症と思われる症状が出た場合は、早めに病院を再受診しましょう。
■ムンプス難聴の症状
おたふく風邪患者の0.1%にみられ、2015~2016年の2年間に少なくとも300人以上がムンプス難聴になったと報告されています。
突然のめまい、耳鳴り、嘔吐などとともに耳が聞こえにくくなります。
耳が聞こえにくくなる症状は多くが片側のみに現れます。おたふく風邪による難聴の治療法はないため、永続的な障害となってしまいます。
おたふく風邪による難聴は、聞こえにくくなるのが片方だけであることから、自覚症状が薄く、発見が遅れる危険性があります。子供がおたふく風邪を発症した場合は、片側から声をかけて確認するなど耳がきちんと聞こえているか保護者が気にかけるようにしましょう。
■無菌性髄膜炎、脳炎・脳症の症状
無菌性髄膜炎の主な症状は、高熱、ひどい吐き気や頭痛、嘔吐、首が固くなるなどです。症状が明らかなおたふく風邪患者の1~10%ほどで出現すると考えられています。通常1~2週間程度で治ります。
脳炎・脳症の合併はまれですが、後遺症を残すおそれがあるほか、ときに命に関わることもあります。
■睾丸炎の症状
睾丸炎(ムンプス精巣炎)の主な症状は、睾丸の腫れや痛み、吐き気、嘔吐、発熱などです。
睾丸の痛みと腫れは1~2週間程度で改善されます。
睾丸炎は不妊症の原因となることもあるため、注意が必要です。
■卵巣炎の症状
卵巣炎の主な症状は、腹痛です。
おたふく風邪で合併した卵巣炎が不妊の原因となることがあるため、注意が必要です。
おたふく風邪の経過
おたふく風邪の症状は、回復するまでに通常1〜2週間かかります。
おたふく風邪の腫れは、腫れ始めてから通常1~3日にピークを迎え、その後3〜7日程度でおさまります。腫れた部分の痛みや、飲みこむときの痛みは5~7日続く傾向があります。
発熱期間は1〜6日間ほどです。
おたふく風邪にかかったときの学校の出席停止期間、会社の出勤停止期間についてはこちらの記事で解説しています。
症状をくり返す場合:おたふく風邪ではない可能性も
耳下腺が腫れる病気には、おたふく風邪と間違えやすい反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)があります。反復性耳下腺炎とは、何度も耳下腺の腫れをくり返す病気です。
おたふく風邪は一度感染すると抗体ができて再度発症することは通常ないため、耳下腺の腫れをくり返す場合は反復性耳下腺炎であることが疑われます。
おたふく風邪と反復性耳下腺炎の違いには以下のようなものがあります。
おたふく風邪 | 反復性耳下腺炎 | |
年齢 | 年齢問わずだが、3〜6歳が多い | 1~6歳が多い |
くり返すか | くり返さない | くり返す |
発熱 | 発熱することが多い | 発熱しないか、微熱 |
痛み | あり | ほとんどない |
耳下腺の腫れ | 両側が多いが片側の場合も | 両側または片側 |
原因 | ムンプスウイルス | 明確には不明 (虫歯、口腔内の雑菌感染、耳下腺の先天性異常、唾液停滞、アレルギー反応、ウイルス感染、内分泌以上などが推定されている) |
おわりに
おたふく風邪のときにひどい吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が出た場合は、合併症を併発しているおそれがあるため、病院を受診しましょう。
特に子供は気づかないうちに、耳が聞こえにくくなる難聴の症状が現れているおそれがあるため、両側の耳がきちんと聞こえているかを確認することも大切です。
おたふく風邪による合併症の早期発見のためにも、かかったときは症状の経過に十分に注意して過ごしましょう。
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