おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染することにより発症する感染症で、医学的には「流行性耳下腺炎」と呼ばれます。
おたふく風邪は、「学校保健安全法」で第二種の学校感染症に分類されており、出席停止の対象となっています。
第二種の学校感染症とは、放置すると学校で流行が拡大するおそれのある感染症が分類されています。おたふく風邪以外にも、インフルエンザや風疹、みずぼうそうなどの感染症が指定されています。
おたふく風邪の症状や経過については、こちらの記事で詳しく解説しています。
おたふく風邪の出席・登園停止期間
おたふく風邪の出席停止期間は、「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」と定められています。ただし、病状によって医師に感染のおそれがないと認められたときは例外となります。
おたふく風邪は耳の付け根から頬やあごの下にかけて腫れることが特徴です。
登園・出席停止期間は、腫れの症状が現れてからの日数を数えます。
出席停止期間の数え方
腫れの症状が現れた日を0日とし、翌日から1日、2日と数えます。
<例>2月1日に腫れの症状が現れた場合
2月1日を0日とし、2月2日を1日目と数えるので「腫脹が発現した後5日」は2月6日となります。
2月6日の時点で全身状態が良好な場合は、2月7日から登園・登校することができます。腫れが引いていても不調を感じる場合は、2月7日以降で体調が回復してから登園・登校しましょう。
学校保健安全法での「学校」とは?
学校保健安全法での出席停止期間が適用されるのは、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校です。
幼稚園や学校に通っている児童・生徒がおたふく風邪を発症した場合は、学校保健安全法にしたがって定められた期間を出席停止する必要があります。
■保育園は?
保育園は学校保健安全法に含まれていませんが、厚生労働省の定める「保育所における感染症対策ガイドライン」により、保育園は学校保健安全法に準拠していると示しています。
保育園に通っている場合も幼稚園と同様に、「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」登園を停止しましょう。
大人のおたふく風邪:出勤停止期間はある?
大人がおたふく風邪にかかった場合、法律では出勤停止期間は定められていません。
しかし、おたふく風邪は感染力が強いため、感染している状態で出勤すると職場に感染を広げてしまうおそれがあります。
特に大人がおたふく風邪にかかると子供よりも症状が重くなる傾向があります。
おたふく風邪にかかった人のうち、男性の約20〜30%は睾丸炎、女性では約7%が卵巣炎を合併するという報告があるため注意が必要です。
出勤停止が法律で定められていないとはいえ、おたふく風邪にかかったら職場に感染を広げないために会社を休み、通院以外は外出を控えることが大切です。
会社を休む期間はどうする?
おたふく風邪にかかってしまったら職場に連絡して判断をあおぎましょう。
会社によっては、感染症にかかった場合の規則を定めている場合があります。
腫れの症状がおさまったあとは感染力は弱くなりますが、確実に感染させないとはいい切れません。
特に定めがない場合は、学校保健安全法の「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」という定義を参考に相談すると良いでしょう。
おわりに
おたふく風邪は感染力が強いため、幼稚園・保育園や学校に通う園児や児童、生徒が発症した場合は必ず出席停止期間を守り、周囲に感染を広げないようにすることが大切です。
大人がおたふく風邪にかかった場合でも、学校保健安全法で定められている規定に沿うことが理想的です。休む期間に関しては自己判断せずに会社に必ず相談しましょう。