妊婦の便秘解消法|便秘解消に役立つ食べ物と市販薬について
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薬剤師監修日:
妊婦が便秘になる原因と便秘の解消方法について徹底解説!妊娠中の便秘解消に役立つ食べ物や、日常生活でできる便秘対策法をご紹介します!妊婦さんでも使える便秘の市販薬も紹介しているので、妊娠中の便秘にお悩みの方はぜひ目を通してください。
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妊娠中に便秘になりやすい原因は?
一般的に便秘とは、排便の回数が減ったり排便が順調に行われなかったりする状態のことをいいます。日本内科学会では3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態を便秘と定義しています。
つまり、数日間排便がない状態も便秘ですが、1日1回排便があっても、すっきりしないといった場合も便秘に当てはまります。
便秘になる原因は水分不足や運動不足などさまざまありますが、とりわけ妊婦は便秘になりやすく、人によっては長期間便秘が続くこともあります。
妊娠中の便秘の原因
妊娠中に便秘になりやすい主な原因には、黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加、食生活や生活習慣の乱れ、大きくなった子宮による腸の圧迫などがあります。
■黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加
女性ホルモンの一つである黄体ホルモンは胎盤の形成をする働きがあると同時に、消化管の収縮を抑える作用も持っています。
そのため黄体ホルモンの分泌量が増加すると、腸管の動きが抑制されて便が出にくくなります。
■食生活や生活習慣の乱れ
つわりが原因で食事の量が減ってしまったり、食事内容が変化したりすると食物繊維や水分が不足して、便秘を引き起こすことがあります。
また運動量が低下することも、妊婦が便秘になりやすくなる原因の一つです。
■大きくなった子宮による腸の圧迫
胎児が成長して大きくなると子宮が増大します。
子宮が増大すると次第に腸管を圧迫するようになり、腸管の運動が妨げられて便秘になりやすくなります。
妊娠中の便秘について
もともと妊娠中は、黄体ホルモンの分泌量が増加する影響で便秘になりやすくなります。
加えて、胎児が成長して大きくなるため、子宮が増大します。
子宮が増大すると次第に腸管を圧迫するようになり、腸管の運動が妨げられて便秘になりやすくなります。
妊娠前は便秘になったことがない方であっても、妊娠して初めて便秘になることは十分あり得ます。
妊婦の便秘解消に役立つ食べ物
妊娠中の便秘の場合、まずは便の排泄に役立つ成分を含む食べ物を、意識的に食生活に取り入れましょう。
便秘に役立つ食べ物は次のようなものがあります。
食物繊維
便秘の時に積極的に摂取したい栄養素の1つが食物繊維です。
食物繊維は大きく分けると、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があり、それぞれ特徴が異なります。
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | |
---|---|---|
働き | 腸内環境を整えて便を柔らかくする |
便のかさを増して便通を整える 腸の運動をうながす |
食物繊維を摂取するときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のいずれか片方だけを取り入れるのではなく、両方をバランスよく摂取する必要があります。
厚生労働省では、成人女性において『食物繊維を18g以上摂取すること』を推奨しています。
なお水溶性食物繊維のひとつである海藻には、妊娠中に過剰摂取を避けるべき栄養素であるヨードを含むことが多いため、過剰摂取をしないように注意する必要があります。
乳酸菌とオリゴ糖も積極的に摂取しよう
食物繊維以外にも、腸内環境を整える乳酸菌とオリゴ糖も便秘解消に役立つ栄養素です。積極的に摂取をしましょう。
乳酸菌 | オリゴ糖 | |
---|---|---|
働き |
腸内で悪玉菌の繁殖をおさえる 腸内環境を整える |
乳酸菌やビフィズス菌の栄養源となる 善玉菌の増殖をうながす |
食材 |
ヨ-グルト・乳酸菌飲料・ |
ごぼう・玉ねぎ・ねぎ・にんにく・ |
妊婦の便秘予防・解消方法
妊娠中の便秘は、食生活以外でも日常で注意すべき点がいくつかあります。次のことに気をつけるようにしましょう。
水分を十分にとる
体内の水分が不足すると便が硬くなり、腸内で移動しにくくなってしまいます。便を柔らかくするために水分補給をしっかり取りましょう。
また、朝起きたらまずはコップ1杯の水を飲むことで腸内が刺激され、便意が起きやすくなります。
ただし、医師から水分の摂取を制限されている方は、医師の指示に従うようにしてください。
適度な運動をする
体を動かすと腸の動きが活発になります。
過度な運動は危険なため、無理をせずに軽い有酸素運動からはじめると良いでしょう。
マタニティヨガやマタニティスイミングの教室に、参加してみることもおすすめです。
ただし、妊娠の経過は人によって異なるため、運動をする場合は、事前に病院に行き、医師や助産師に相談してからにしましょう。
妊婦も使える市販の便秘薬
便秘の症状がつらい時は薬に頼ることも1つの方法です。
市販の便秘薬は大きく分けて浸透圧性下剤、刺激性下剤、浣腸・坐薬、整腸剤がありますが、妊娠中も使用できるのは浸透圧性下剤と整腸剤の2つです。
刺激性下剤は成分によっては、妊娠中や授乳中は使用できないものがあります。
また浣腸に関しては、子宮の収縮を誘発する恐れがあるので危険です。
こんな症状におすすめ | |
---|---|
浸透圧性下剤 |
便秘をくりかえす人 |
整腸剤 |
比較的症状が軽い便秘に 長期間服用できる |
酸化マグネシウムE便秘薬|医療用のマグミットと同じ成分
酸化マグネシウムE便秘薬【第三類医薬品】

分類 |
浸透圧性下剤 |
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
---|---|---|
大人(15歳以上) | 3〜6錠 | 1回 |
11歳以上 15歳未満 | 2〜4錠 | |
7歳以上 11歳未満 | 2〜3錠 | |
5歳以上 7歳未満 | 1〜2錠 | |
5歳未満 | 服用しないでください |
医療用のマグミットと同じ成分で、便秘に対して使われている下剤です。
排便の調子がいいときは、錠数を少なくするなど服用量を調節できます。
腸を刺激しないため腹痛や腹部の不快感を起こしにくい商品です。
ビオスリーHi錠|3種の善玉菌配合
ビオスリーHi錠 42錠 (指定医薬部外品)

分類 |
整腸剤 |
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
---|---|---|
成人(15歳以上) | 2錠 | 3回 |
5歳以上 15歳未満 | 1錠 | |
5歳未満 | 服用しないこと |
腸内は主に善玉菌と悪玉菌が生息し、両者のバランスが崩れると腸の健康を維持する機能が損なわれてしまいます。
ビオスリーHi錠は善玉菌であるラクトミン(乳酸菌)、酪酸菌、糖化菌の3種を配合し、腸内環境を整えることによって、便秘を改善します。
ビオスリーHi錠は、妊娠中でも比較的安全に使用することができます。
ビオフェルミンVC|ビタミン成分配合の整腸剤
ビオフェルミンVC 120錠【第三類医薬品】

分類 |
整腸剤 |
年齢 | 1回量 |
1日服用回数 |
15歳以上 |
2錠 |
1日3回 |
15歳未満 | 服用しないこと |
2つの善玉菌に加えて3つのビタミン成分で腸内の有害菌の増殖をおさえ、健康な状態へと導きます。
ビタミンB2,B6,Cはそれぞれ善玉菌の増殖を助ける効果があり、腸内環境を整えます。
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