病気が原因の青あざ:蒙古斑と太田母斑の違いや治療について解説
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薬剤師監修日:
病気が原因で生じる青あざについて解説。病気が原因の青あざには、蒙古斑や太田母斑などいくつかの種類があります。それぞれの特徴や治療について知りましょう。

病気の青あざ・ケガの青あざの違い
病気による青あざとケガによる青あざには、2つの違いがあります。
1.青あざができるメカニズム
2.青あざが自然消失するかどうか
青あざができるメカニズムの違い
■病気による青あざ
病気による青あざは、メラノサイト(色素細胞)が皮膚の一部分に増加することで生じます。
メラノサイトが存在するところが皮膚の深いところであるほど、皮膚が青くなり青あざとなります。
なお、皮膚の浅いところにメラノサイトが集まると茶あざができます。
■ケガによる青あざ
足をぶつけた、打撲したなど、ケガによる青あざは内出血によって生じます。
皮膚の下にたまった血液が時間の経過とともに変色することで、青く見えるようになるのです。
青あざの自然消失について
病気による青あざは、一部を除いて自然消失することはありません。通常は生まれつき、もしくは徐々に青あざができて、そのままずっと残ります。
一方で、ケガによる青あざは自然消失することがほとんどです。深刻化することが少ないケガによる青あざは、厳密には「あざ」とは呼びません。
病気が原因でできる青あざの種類
青あざの種類には、「紫斑(しはん)」「蒙古斑(もうこはん)」「太田母斑(おおたぼはん)」「伊藤母斑(いとうぼはん)」「青色母斑(せいしょくぼはん)」の5つがあります。
紫斑
紫斑とは内出血によって生じる青あざのことをさします。内出血が起こる原因には、打撲などの外的要因で血管が傷つけられる・病気などの内的要因で血管が弱まることがあります。
紫斑は通常、放置して時間が経てば自然に治癒し、紫斑そのものが悪性化する心配はありません。放置しても消えない紫斑は病気などの内的要因が関係しているおそれがあるため、医療機関を受診する必要があります。
蒙古斑
蒙古斑とは、黄色人種の赤ちゃんのお尻から背中にかけた部分に生じる青あざを指します。2歳頃までは青あざの色が濃くなりますが、10歳頃までにはほとんど無くなります。蒙古斑は基本的に、悪性化する心配はありません。
大人になっても消えない蒙古斑を、「持続性蒙古斑」といいます。大人のうち約3%の人に、直径2cm前後の青あざが残ることがあります。
蒙古斑は通常であればお尻から背中にかけた部分にありますが、まれに腕・足・お腹・胸などの部分に生じることがあります。
お尻から背中にかけた部分以外にできる蒙古斑を、「異所性蒙古斑」といいます。異所性蒙古斑は、年齢を重ねても自然に消えることはありません。
太田母斑
太田母斑とは、主に顔の片側(目の周り、頬、額など)に生じる青あざを指します。黄色人種の女性に多いとされています。
太田母斑は、1歳未満の赤ちゃんや思春期以降に生じることが多いです。まれに、顔の両側や眼球の白目の部分に青あざが生じることもあります。
基本的には、太田母斑が悪性化する心配はありません。しかし太田母斑は年を重ねても自然に消えることはありません。
伊藤母斑
伊藤母斑とは肩の周りに生じる青あざを指します。基本的には、伊藤母斑が悪性化する心配はありません。
伊藤母斑も太田母斑と同様、年を重ねても自然に消えることはありません。
青色母斑
青色母斑とは、直径1cm以下の少ししこりのような青あざを指します。他の青あざに比べて色が濃く、黒に近い色になることもあります。1歳未満の赤ちゃんに生じることが多くあります。
やや大きめの青色母斑は、悪性化するおそれもあります。
病気による青あざの治療について
病気による青あざは、レーザー治療によって行います。
10歳前後までに消失することが多い蒙古斑の場合は、10歳を過ぎたあたりから治療を検討します。自然に消える可能性が少ない異所性蒙古斑や成人後も蒙古斑が残っている場合は、レーザー治療を行う対象となります。
太田母斑などほかの青あざの治療は、子供の頃から開始すると治療回数を減らせる可能性があります。
また、太田母斑と異所性蒙古斑に限っては、形成外科や皮膚科での治療であれば、保険適用が認められています。そのほか、市町村によっては患者さんの年齢によって医療費補助を受けられる場合もあります。
適切な治療法や治療年齢については、それぞれの症状によって異なるため、専門医を受診して相談しましょう。
おわりに
青あざは種類や原因によって、さまざまな対処方法があります。
青あざによっては重大な病気につながるおそれもあるため、「心当たりのないあざ」や「あざがなかなか治らない」場合には近くの医療機関を受診し医師へ相談しましょう。
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