切り傷は何科に行けば良いか
頭部・顔面の外傷を除き、基本的には「整形外科」を受診するのがよいでしょう。
整形外科は、頭部・顔面外傷や臓器外傷、泌尿・生殖器損傷を除くほとんどの外傷の治療を取り扱っているからです。
なお、頭部・顔面の外傷の場合は形成外科を受診するのが適切です。
大きな病院であれば総合外来があるので、もしわからなければ総合外来を訪ねるとよいでしょう。
ただし、強く頭を打ったり、傷口が大きかったり、吐き気やめまい、意識消失などがある場合は救急車を呼びましょう。
整形外科と形成外科の違い
整形外科と形成外科のどちらにかかれば良いかについては、症状が現れている部位や状態によって明確にわかれています。
整形外科は、身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉や、それらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科で、外傷のほとんどについての治療を手がけます。
形成外科は、生まれながらの異常や、病気や怪我などによってできた体の表面上の見た目の改善を目的とした治療をすることを得意としている科です。そのほか、やけど、怪我や手術後の皮膚の傷跡・顔面骨折の治療なども治療の範疇です。
そのため切り傷の場合、頭や顔の外傷は形成外科を、それ以外の場所の外傷は整形外科を受診しましょう。
切り傷で病院に行く目安
切り傷がどの程度からであれば病院に行ったらいいのかがわからない場合、病院に行く目安は以下の場合があげられます。
・傷が大きく深いとき
・傷口に異物が残っているおそれがあるとき
・傷の周囲が赤く腫れて、熱をもったり膿が出ているとき
・破傷風の予防接種を受けておらず、錆びた鉄や土が傷口周辺に触れた場合
・傷が大きく、関節(ひじ、ひざ、指など)の曲げる部位にかかっている
・小さな怪我でもなかなか血が止まらない
・痛みがだんだんひどくなっている
・気分が悪い
・怪我をして1日経った段階で発熱や傷の周りの腫れなどの感染症状がみられる
上記以外でも「自分では対処できない」と思う傷であれば病院を受診することをおすすめします。
病院での切り傷の治療法
医師が傷の状態を観察した上で、傷口の止血と感染の防止、切り傷を縫うといった処置が施されます。
傷を放置していると化膿したり、場合によると骨のあたりまで細菌が侵入して炎症を起こすこともあるため、たとえ浅い傷であっても、なかなか血が止まらない場合は切り傷を縫うこともあります。
また、しっかり圧迫しているにも関わらず出血が止まらない場合も縫合することがあります。
傷の場所や深さ、大きさ、汚れ具合などを考慮に入れた上で最も適切な処置がなされるため、病院に行く際は怪我をしたときの状況なども詳しく伝えましょう。
小さな切り傷であれば市販薬で対処することもできます。
ドルマイシン軟膏 6g【第二類医薬品】
ドルマイシン軟膏は、タイプの異なる2種類の抗生物質『コリスチン硫酸塩』と『バシトラシン』が入った塗り薬です。
切り傷ややけどによる化膿の予防とケアに使用できます。刺激が少ない軟膏タイプです。
切り傷に使える市販薬についてはこちらの記事でも解説しています。
病院で切り傷に処方される薬
切り傷で病院を受診した場合、塗り薬や飲み薬が処方されます。
なお、切り傷の薬に限らず、薬には開封後の使用期限があります。以前処方された薬が手元に残っている場合でも、安易に使用することはやめましょう。また、家族間で手元にある処方薬を使い回すことも控えてください。
よく処方される処方薬には次のようなものがあります。
ゲンタシン
皮膚感染症や怪我をした際の感染予防などの場面で使用される、抗生物質を含む塗り薬です。局所的な感染症の治療に用います。
リンデロンVG
ステロイド成分と抗生物質を含む塗り薬です。炎症もあって、細菌感染のおそれがある状態に使用されます。
おわりに
切り傷が出来たときは、基本的には、頭部・顔面の外傷を除いて整形外科を受診しましょう。
もし切り傷の程度を見ても病院を受診したらよいのかわからない場合は、ためらわずに病院で相談しましょう。