ヒルドイドと同じ有効成分の市販薬の違いとその選び方
ヒルドイドは、『ヘパリン類似物質』を有効成分とする保湿効果のある処方薬です。
ヒルドイドと同じヘパリン類似物質単剤の市販薬は、有効成分は同じですが剤形に違いがあります。乳液やローションのような液剤、クリーム、スプレータイプなどさまざまな剤形があり、剤形によって使用感や適した部位に違いがあるため、皮膚の状態や部位、使用感の好みに合わせて市販薬を選びましょう。
単剤とは、ひとつの有効成分のみによって作られた薬で、「ヘパリン類似物質単剤」とは、「ヘパリン類似物質のみを有効成分とする薬」を指します。
特徴 | |
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液剤 |
・さらっとした使用感 ・クリームより水分が多く伸びが良い ・広範囲に塗りたい方に ・毛が生えている部分にも◎ |
クリーム |
・しっとりとした使用感 ・液剤タイプに比べて皮膚を保護する効果が高い ・部分使いに ・乾燥しやすい季節はしっかりと塗り込みたい方に◎ |
スプレー |
・さらっとした使用感 ・手を汚さず広範囲の患部に使いやすい ・背中などの手が届かないところにも◎ |
ヘパリン類似物質単剤の市販薬が使える症状
ヒルドイドの有効成分『ヘパリン類似物質』は乾皮症だけでなく、ひびやあかぎれなど荒れてしまった手足の改善や、角質が硬くなりやすいかかと・くるぶし・ひじ・ひざの角化の改善や、かゆみのあるしもやけの改善などに効果を発揮します。
さらに、血行促進により打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛にも効果があります。
ヘパリン類似物質単剤の市販薬の効能・効果 |
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手指の荒れ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛 |
ヘパリン類似物質単剤の市販薬|液剤タイプ
乳剤性ローションやクリアローションのような液剤タイプの薬を紹介します。いずれもヘパリン類似物質の含有量は、処方薬と同じ(100g中0.3g)です。
ヒルマイルドローション
乳剤性ローションは、クリームよりも比較的べたつきが少なく伸びが良いため、広範囲に使用する場合に適しています。
片手で開けられるワンタッチキャップのため、開閉しやすいです。
ビーソフテンαローション
さらっとした使用感のローションタイプです。
広めの患部や毛がある部位にもするっと広げられます。汗をかきやすい夏の間にもおすすめです。
ピアソンHPローション
無色透明、さらさらとした塗り心地のローションタイプです。
ヘパリン類似物質単剤の市販薬|クリームタイプ
しっとりと潤うクリームタイプの薬を紹介します。いずれもヘパリン類似物質の含有量は、処方薬と同じ(100g中0.3g)です。
ヒルマイルドクリーム
オイルベースのため、油性成分を水性成分で取り囲むかたちの基剤となっており、水に溶けにくいという性質があります。
そのため、肌を保護する作用に優れています。
ヒフメイド油性クリーム
オイルベースのクリームが水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいが持続します。しっとりした使用感です。
水仕事をする方などでも、薬が流されにくく皮膚をしっかり保護することができます。
ヘパリン類似物質単剤の市販薬|スプレータイプ
ヘパリン類似物質を処方薬と同じ量(100g中0.3g)配合した、スプレータイプの薬を紹介します。
ビーソフテンスプレー
ビーソフテンスプレーは、無香料・無着色・低刺激性のローションをスプレーにした薬です。
逆さにしても使えるため、背中など手の届かない場所に最適です。
さらっとしているため、夏でも不快感なく使用できます。
『ヘパリン類似物質』を含む市販薬を使用する際は、出血している部分やジュクジュクした傷がある部分には使用しないでください。
ヘパリン類似物質には血液が固まるのを防ぐ作用や血行促進作用があるため、出血している部分に使用すると出血がとまりにくくなる可能性があります。
薬の使用時には必ず使用上の注意を読み、用法用量を守って使ってください。万が一異変や違和感が起きた時は医師や薬剤師に相談しましょう。
ヘパリン類似物質単剤の市販薬に関するQ&A
A 顔全体にもご使用いただけます。ただし、目のきわに塗る際は目に入らないように注意してください。万が一目に入った場合には、すぐに水またはぬるま湯で洗い流してください。
A 乾燥などの症状が気になるタイミングで1日数回を目安にご使用ください。洗顔後や入浴後など清潔な肌へのご使用がおすすめです。
A 年齢制限はなく、赤ちゃんや小さなお子様にもご使用いただけますが、保護者の指導監督のもとに使用させてください。また、保管時にはお子様の手の届かない所に保管してください。
A ヘパリン類似物質は血行促進、保湿作用などの薬効がある成分であり、シミに対しての効果はありません。ただし、保湿によって肌の乾燥を改善することで、肌のターンオーバーの乱れを整えることができます。
ヘパリン類似物質としみの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
A 顔面を除くやけどの跡の皮ふのしこり・つっぱりに効果があります。
ただし、やけどの初期熱傷には使用できないため、あくまでも患部の熱・炎症がおさまり、化膿等がない状態のときに使用してください。
A ただれを除くしもやけにも効果があります。特に皮膚の乾燥が気になる時におすすめです。
しもやけに効く市販薬については、別記事も参考にしてみてください。
ヒルドイドの成分「ヘパリン類似物質」とは?
ヒルドイドの有効成分『ヘパリン類似物質』は、文字通り『ヘパリン』と似た作用を持った成分のことです。
『ヘパリン』とは、ヒアルロン酸などと同じ『ムコ多糖類(むこたとうるい)』と呼ばれるグループの物質です。肝臓で生成され、私たちの体内にもともと広く存在しています。
保湿作用に加え血行促進・抗炎症作用もあり
へパリン類似物質には、角質層の水分保持機能を改善し、正常なバリア機能を取り戻すようにうながすことで、肌内部に水分を保つ効果があります。
また、肌本来の力を取り戻す手助けをすることで、保湿効果だけではなく、肌の乾燥や炎症、肌荒れなどの改善に有効に働きます。
ヘパリン類似物質の作用 |
・皮膚の水分を保持する保湿機能 ・血行を良くし、肌の新陳代謝・再生をうながす作用 ・炎症を抑えて肌荒れを正常化する作用 |
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