声枯れがなかなか治らない|原因と考えられる病気
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薬剤師監修日:
一時的な声枯れの原因には、痰が絡む、咳、風邪といった要因も考えられます。また、レルベアやフルティフォームといった喘息の薬の副作用による声枯れも考えられます。しかし、なかなか声枯れが治らない場合には病気が隠れているおそれもあります。この記事では声枯れの原因と、声枯れから考えられる病気について詳しく解説します。

声枯れは、声帯や喉頭に何らかの異常がある場合に起こることがあります。なお、声枯れやかすれのことを医学用語で嗄声(させい)ともいいます。
長時間声を出し続ける教師やアナウンサー、保育士などの仕事をしている人、カラオケなどで大声を出した人、風邪などで喉に炎症を起こした人が声枯れを起こすことがあります。
しかし、まれに声枯れには病気の原因が隠れていることもあります。この記事では、声枯れの原因として考えられる病気について詳しく解説します。
声枯れの原因
声枯れが起こる原因としては、次のようなものがあります。
喉の酷使
仕事などで長時間しゃべる、カラオケで歌い過ぎるなどして声帯や咽頭が傷つき、炎症が起こることによって声枯れになることがあります。
多くの場合は一時的なもので、炎症がおさまれば自然に治ることがほとんどです。無理に声を張り上げることは極力控えましょう。
飲酒や喫煙
喫煙は、気管や気管支を刺激することで声帯に炎症を起こし、声枯れの原因となります。
また、過度の飲酒ものどを刺激して炎症の原因となり、声のかすれを引き起こします。
声帯ポリープなどの病気の原因にもなるので、飲酒や喫煙はなるべく控えましょう。
薬による副作用
使用している薬の副作用で声枯れが起こることもあります。
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療で、レルベアやフルティフォームなどの吸入ステロイド薬を使用している場合は、副作用としての声枯れが起こりやすいので注意が必要です。
吸入ステロイドを使用後にしっかりうがいをすることで、声枯れを予防できます。
なお、薬の副作用で声枯れが起こっている場合は、薬の変更や中止で改善できることもあるので医師にご相談ください。
声枯れが治らないときに考えられる病気
声枯れがなかなか治らない場合は、病気が原因となっている場合があります。
声枯れに隠れている病気には、声帯そのものに問題がある場合と、声帯に関係する神経に病気がある場合があります。声枯れの症状から考えられる病気は以下の通りです。また、ここで紹介している以外にも声枯れを引き起こす病気はあるため、症状がおさまらないときは早めに受診しましょう。
喉頭炎
喉頭炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染や、花粉や刺激性ガスの吸入などによって引き起こされます。
初期段階では痛みがありませんが、炎症が広がると喉の痛みや咳をともなうことがあります。
感染症による咽頭炎の場合は、風邪やインフルエンザが治れば咽頭炎も落ち着きます。長引く場合は病院を受診して薬を処方してもらうなどの対処をする必要があります。
喉頭がん
喉頭がんは、頭頸部がんの1つです。
原因の一つとしては、喫煙や飲酒、逆流性食道炎との関連性が高いと考えられています。
がんが声帯に発生すると声枯れ・声のかすれを生じることが多い傾向にあります。
喉頭がんの初期症状は、声枯れのほか食べ物を飲み込んだときの痛み、異物感などです。また、進行すると食べ物や飲み物を飲み込むことや呼吸をすることが困難になることもあります。
声枯れが一か月以上続いたり、飲み込みづらさや呼吸のしづらさがある場合は、早めに診察を受けましょう。
声帯ポリープ
声帯ポリープは、歌手や教師、保育士など声をよく使う方に多い病気です。また、普段あまり大声を出さない人が運動会の応援などを行ったあとに生じることもあります。また、喫煙する方も声帯ポリープになりやすい傾向があります。
主な症状としては、声枯れやのどの奥に何か詰まっているような違和感、声を出しているときの息の漏れ、やや低音になる、発声の途中で声が止まるといったことが起こることがあります。
通常は、大声を出さず2週間ほど安静にしていると元に戻りますが、症状が続く場合は病院を受診しましょう。
声帯結節
声帯結節は、声帯へ繰り返し刺激が続くことで、マメやタコのようなものが声帯にできる病気です。声をよく使う職業の方に多く発症するほか、大声でしゃべる幼いこどもにも見られる病気です。
主な症状は声枯れです。日によって症状に波があり、長く話していると声が出にくくなるケースが多く、喉の痛みが出ることもあります。無理に声を出そうとすると、悪化して結節が硬くなり手術が必要となる場合もあります。
声帯萎縮
声帯萎縮は、声帯の容積が減少することで声帯がうまく閉じられなくなる病気です。
主な症状としては、声枯れ、声が出しにくくなる、声が弱々しくなるといったものがあげられます。
声帯萎縮が起きる原因は、加齢によるものや声帯麻痺、声帯溝症などの病気によるものがあります。
声枯れの対処法
のどの炎症による声枯れの対処法としては、市販薬を使用する方法もあります。
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そのほかの声枯れやのどの腫れを改善する市販薬については、関連記事をごらんください。
おわりに
風邪や大声などによる一時的な声枯れは時間がたてば自然に治りますが、なかなか治らない声枯れについては注意深く観察する必要があります。
一つの目安として、声枯れの症状が1か月以上続く場合は病気が原因となっているおそれがあるため、病院を受診しましょう。
また、突然声枯れが起こって激しい胸痛や呼吸困難などをともなう場合は、緊急の場合があるため速やかに病院を受診してください。