子供の蕁麻疹|原因・対処法・市販薬について解説
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薬剤師監修日:
子供の蕁麻疹(じんましん)の症状や原因を解説。子供が使用できる市販薬をミナカラ薬剤師が紹介します。子供のじんましんに使用できる薬は、大人に比べると種類が限られています。子供が蕁麻疹でかゆみなどの症状をうったえた際に使用できる薬を把握しておきましょう。

蕁麻疹の症状
蕁麻疹の主な症状は、赤みのある発疹とかゆみです。
通常、症状は数十分から数時間程度で消えますが、1度消えた後にまた別の部位に現れることや1日程度続くこともあります。
蕁麻疹の発疹とかゆみには以下のような特徴があります。
赤みのある発疹
蕁麻疹では、赤みがでている部分とそうでない部分の境目がはっきりしています。
また、ミミズ腫れのような、膨らみのある発疹が起こります。
シミなどになることはなく、蕁麻疹が消えた後の皮膚は、通常は元通りになり、跡は残りません。
かゆみ
蕁麻疹によるかゆみは、ヒスタミンという物質が皮膚の知覚神経に刺激を与えることで起こります。また、かゆみだけでなく、ピリピリとした痛みをともなうこともあります。
病院を受診したほうがよい蕁麻疹
かゆみのない蕁麻疹
一過性の蕁麻疹の特徴は、発疹とかゆみです。
かゆみの症状がない場合は、蕁麻疹ではなく皮膚の粘膜などに出血が起きている紫斑(しはん)や血管の炎症のおそれもあります。
重度のアレルギー症状を起こしたことがある場合
食物や薬のアレルギーなどの初期症状は、皮膚のかゆみや赤み・蕁麻疹などの皮膚症状です。
過去に呼吸困難など重度のアレルギー症状を起こしたことがある場合には、症状が重くなる前に病院を受診しましょう。
皮膚以外の症状がある場合
皮膚の症状だけでなく、咳がでている・呼吸がしにくい・吐き気がある・熱がある・悪寒・意識を失うなどの症状がある場合には、命にかかわる場合もあります。
嘔吐している場合には、吐いたものが気管につまることもあるので、横向きに寝かせるなど注意しましょう。
迅速な対応が必要なため、場合によっては救急車を呼び、病院を受診しましょう。
子供の蕁麻疹の原因は?
蕁麻疹は、皮膚の真皮にあるマスト細胞という細胞に何らかの刺激が加わった際に放出されるヒスタミンなどが原因で起こるとされています。
食物や薬だけでなく、温度差などが原因となる場合もあり、アレルギー性と非アレルギー性にわけることができます。
アレルギー性蕁麻疹 |
食品(食物アレルギー) 花粉 薬剤 虫刺され 動物の毛 感染症 など |
非アレルギー性蕁麻疹 |
食品(ヒスタミンの原料を多く含む赤身魚など) 物理的な刺激(温度差・汗など) など |
薬のアレルギー
他の病気の治療で使用している薬によってアレルギー反応を引き起こし、蕁麻疹がでることがあります。
薬の使用による蕁麻疹の場合は、使用する薬を変更するなどの対処が必要なため、主治医に相談してください。
物理的な刺激によるもの
皮膚のこすれなどの物理的な刺激で蕁麻疹が起こることがあります。
また、季節の変わり目や冬場に暖かい部屋から外にでた時などの寒暖差、季節に関わらず運動などで急に体が温まることで蕁麻疹がでることもあります。
そのほかにも入浴、精神的緊張などで汗をかき、汗の刺激によって蕁麻疹がでる場合があります。
物理的な刺激による蕁麻疹の場合、多くは短時間で自然におさまります。
食べ物が原因で蕁麻疹がでる?
食べ物や飲み物などでアレルギー反応を引き起こし、蕁麻疹がでることがあります。また、香辛料などの刺激によっても蕁麻疹がでることもあります。
食品による蕁麻疹には、「アレルギー性」と「非アレルギー性」が存在します。
アレルギー性の蕁麻疹
アレルギー性の蕁麻疹は、そばや落花生・小麦・エビ・カニなど特定の食物が体に合わないことで起きるアレルギー反応により、蕁麻疹の原因となるヒスタミンがでて蕁麻疹が現れます。
特定の食物が原因となっている場合はアレルギーの原因となる食物を特定する必要があります。
小児科または皮膚科を受診して検査と治療を受けましょう。
非アレルギー性の蕁麻疹
非アレルギー性の蕁麻疹は、食品中のヒスチジンというヒスタミンの材料となるアミノ酸が原因となり、「ヒスタミン食中毒」と呼ばれています。
ヒスチジンが多く含まれる赤身魚(ブリ・シイラ・サンマ・カジキ・サバ・イワシなど)が常温で保管されるなど、適切な管理ができていなかった場合に、食品中のヒスタミンを作ることができる菌が増殖します。すると、食品中で大量発生したヒスタミンを食事をとおして摂取することで蕁麻疹が現れます。
ヒスタミンは熱に強く、加熱処理しても分解されないので、常温で放置してしまっているものや鮮度が落ちているものは食べないように注意してください。
また、唇や舌に刺激を感じるなど、違和感を感じたときも食べないように心がけましょう。
蕁麻疹の対処法
患部を冷やす
蕁麻疹(じんましん)はほとんどの場合、薬を使用して時間が経てばおさまっていきますが、患部を冷やす事も症状をおさえる手助けになります。
ただし、寒さによって蕁麻疹の症状が起こる方は、患部を温めることで症状が和らぐ場合もあるため、冷やさないようにしましょう。
原因となるものを避ける
原因となるものがすでにわかっている場合には、接触を避けることでじんましんを予防できます。原因となるものが皮膚についてしまった場合には、しっかり洗い流しましょう。
また家庭で食事をとる際に、お皿を分けることも接触を避けることにつながります。
市販薬の活用
最初に蕁麻疹がでたときは、原因を特定するためにも病院を受診することをおすすめします。
蕁麻疹の原因が特定できており、市販薬で対処ができることがわかっている場合は市販薬を活用しましょう。
基本的には飲み薬を使用し、全身の症状をおさえます。また、塗り薬は患部に使用する事で直接的に症状の改善をうながします。飲み薬を使用しながら、かゆみや赤い発疹の症状が強い部分に塗り薬を併用することも可能です。
子供が使用できる蕁麻疹の市販薬
飲み薬
蕁麻疹の治療に使う飲み薬は、抗ヒスタミン作用のある成分が含まれたものを使用します。
アレルギーの原因となるヒスタミンをおさえ、かゆみや炎症を鎮める働きがあります。
アレルギール錠
アレルギール錠 55錠 飲むかゆみ止め (第2類医薬品)【第二類医薬品】

4歳から大人まで使用できる薬です。4〜6歳は1回1錠、7〜14歳は1回2錠を1日2回服用させてください。
含有成分クロルフェニラミンマレイン酸塩の抗ヒスタミン作用により蕁麻疹による皮膚のかゆみや炎症をおさえます。
また、皮膚や粘膜の健康に役立つビタミンB6を配合しています。
レスタミンコーワ糖衣錠
レスタミンコーワ糖衣錠 80錠【第二類医薬品】

5歳から大人まで使用可能な薬です。5〜10歳は1回1錠、11〜14歳は1回2錠を1日3回服用させてください。
含有成分のジフェンヒドラミン塩酸塩の抗ヒスタミン作用により、蕁麻疹の症状をおさえます。
塗り薬
蕁麻疹の治療に使う塗り薬には、かゆみ止め成分が配合されています。
メンソレータムジンマート(非ステロイド)
メンソレータムジンマート 15G(第2類医薬品)【第二類医薬品】

メンソレータムジンマートは、効果の違う3つのかゆみ止め成分(ジフェンヒドラミン、リドカイン、クロタミトン)と腫れをおさえる酸化亜鉛と炎症をおさえるグリチルリチン酸二カリウムを配合。全身に使用することができる塗り薬です。
デリナースクール
デリナースクール【第二類医薬品】

体や手足はもちろん、デリケートな部分や脇や首などにできた蕁麻疹にも使えます。
ジフェンヒドラミン塩酸塩がかゆみのもととなる物質の作用を抑え、不快なかゆみを抑えます。
トコフェロール酢酸エステルが血行を促進して、荒れた患部の回復を促進します。
爽快感のあるクリームタイプのお薬です。
デリケートな部分には使えますが、粘膜部分には使用できないのでご注意ください。
市販薬で効果がみられない場合は病院へ
市販薬は基本的におおよそ5〜6日を目処として使用し、改善がみられない場合は薬の使用を止め、小児科または皮膚科を受診しましょう。
むやみに市販薬を長期間使用すると、悪化や副作用のおそれがあります。また、蕁麻疹以外の疾患が疑われる場合もあるため、自己判断で市販薬を使用せず、少しでも他の疾患の疑いがある場合は病院を受診し、医師の指示のもと治療を進めましょう。
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