あせもの市販薬はクリーム剤がおすすめ
あせもは皮膚にある汗の通り道(汗管:かんかん)が詰まり、炎症が起こることでかゆみや発疹ができる皮膚疾患です。子供や赤ちゃんに多い皮膚症状ですが、近年は夏の高温傾向により大人や高齢者もあせもを発症する方が増えています。
あせもは症状が重症ではない限り、市販薬でケアすることが可能です。適切なケアを行わないと、症状が悪化して跡が残る危険性もあるため注意しましょう。
クリーム剤の特徴は?
剤形 | 特徴 |
---|---|
クリーム |
・伸びが良く、広範囲に塗りやすいのが特徴 ・軟膏よりも塗布後のべとつきが少ない ・軟膏に比べると多少刺激が出る場合がある |
クリーム剤の特徴は伸びの良い使用感です。広範囲の患部にも塗り広げやすいため、身体のさまざまな部位に症状が出るあせもにはおすすめの剤形になっています。軟膏に比べて塗った後のべとつきも少ないため、ベタベタする使用感を嫌う方もクリーム剤を使用すると良いでしょう。
クリーム剤のデメリット
クリーム剤は軟膏に比べると多少刺激が出る場合があります。あせもの炎症が強く、患部が化膿している場合は、皮膚の保護機能が強い軟膏の方がおすすめです。
クリーム剤以外のあせも薬の特徴
剤形 | 特徴 |
---|---|
軟膏 |
・患部を保護したり、保湿する効果が高い ・クリームや液体に比べて、刺激が少ない ・べとつく |
液体 |
・薬の浸透性がよい ・軟膏やクリームより刺激が強い ・患部がただれていたり皮膚の弱い人には向かない |
軟膏はクリーム剤と比べると刺激が少なく保護する効果が高いため、肌がヒリヒリ痛む場合に使用しやすくなっています。しかし、上から衣服を羽織る場合はべとつくため好ましくありません。一方、液体は薬の浸透性が良くさらさらしてすぐに乾くのが特長ですが、軟膏やクリームと比べて刺激が強いため、ただれた患部に適しません。
クリーム剤はこの2つの剤形のちょうど中間に位置する剤形で、伸びが良くべとつかない、薬の刺激も軟膏よりは強いが液体に比べれば少ない、という剤形になっています。
あせものクリーム剤市販薬の選び方
あせもに効くクリームタイプの市販薬にはさまざまな種類がありますが、まずはステロイドが配合されている薬と配合されていない薬に分類ができます。
特徴 | |
---|---|
ステロイド配合薬 |
・かゆみや炎症をおさえる効果が強い ・種類によって使用できる年齢や部位が異なる |
ステロイド無配合薬 |
・年齢や部位を問わず全身に使用可能 ・ステロイドに比べて効果は弱い |
あせもに効くステロイド薬の特徴
ステロイドは抗炎症作用が強く、かゆみや赤みの炎症をおさえることに優れた薬です。あせもの症状に赤みやかゆみ、痛みの炎症症状が出ている場合はステロイド薬を使用しましょう。ただし、種類によって使用できる適切な年齢や部位があるため、注意が必要です。(ステロイドの種類についてはこちら)
あせもに効くステロイド無配合薬の特徴
対してステロイドが配合されていないかゆみ止めや抗炎症薬は、効果が弱い代わりに年齢や部位を問わず使用することができます。あせもによるかゆみや赤みの症状が軽症なのであれば、ステロイドが入っていない薬でも対処が可能です。
あせもに効く市販薬に含まれる成分
あせもの市販薬は商品によって配合されている成分が異なります。それぞれ特徴があるため、使用する人の症状の程度や年齢、部位を基準にして薬を選択すると良いでしょう。
ステロイド成分
ステロイドは皮膚の炎症をおさえる効果が強く、かゆみや赤みのあるあせもにおすすめの成分です。炎症のあるあせもは患部を掻きむしって化膿してしまうケースもあるため、素早く炎症をおさえるステロイドの使用をおすすめします。
ステロイドの強さは、体内への吸収度の違いにより、5段階にランク分けされており、市販のステロイド薬に配合される成分はストロング・ミディアム・ウィークの3つです。
大人 (身体) |
大人 (顔・首) |
子供 (身体) |
子供 (顔・首) |
|
---|---|---|---|---|
ストロング |
◯ |
× | 〇 |
× |
ミディアム | ◯ | ◯ | ◯ |
〇 |
ウィーク | ◯ | ◯ | ◯ |
◯ |
あせもの炎症症状がかなり強く、肌が真っ赤になったり痛みを感じる場合は、ストロングランクのステロイドを使用するケースもあります。ただし、炎症の症状がそこまで強くない場合はミディアムやウィークのステロイドでも十分対処が可能です。
使用する年齢・部位に、薬の強さが適しているかどうか確認することが重要です。
かゆみや炎症をおさえる成分
ステロイド以外のかゆみや炎症をおさえる成分に、次の成分があります。
分類 | 成分 |
---|---|
かゆみ止め成分 |
・クロルフェニラミン ・リドカイン ・ジブカイン ・クロタミトン など |
抗炎症成分 |
・グリチルレチン酸類 ・酸化亜鉛 など |
それぞれあせもによって起こるかゆみや炎症をおさえる成分ですが、ステロイドと比較すると効果は弱いです。赤みがなかったり、かゆみの症状が軽い場合は上記の成分のみのステロイド無配合薬でも十分ですが、赤みやかゆみの症状がある程度出ている場合は、ステロイド成分と合わせてかゆみ止めや抗炎症成分が配合された薬を選びましょう。
あせもに効く市販薬|クリーム剤
あせもに効果のある市販薬の中からクリーム剤の商品を紹介します。
2種類のかゆみ止め配合のあせも薬
ムヒアルファEX 15g【指定第二類医薬品】
ステロイドランク |
ミディアム |
使用できる年齢(部位) | 大人・子ども(身体・顔・首) |
かゆみ止め成分 |
◯ |
殺菌成分 |
◯ |
傷ついた皮膚の修復成分 |
- |
有効成分 |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
ステロイドに加えて2種のかゆみ止め成分を配合しているため、強いかゆみをともなうあせもにおすすめです。殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールや清涼成分であるl-メントール、dl-カンフルを含んでいるため、強い清涼感を好む方におすすめです。
クリームタイプなのであせもに塗り広げやすい剤形となっています。
あらゆる年齢・部位に使用できるあせも薬
オイラックスA 10G(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
ステロイドランク |
ウィーク |
使用できる年齢(部位) |
大人・子ども(身体・顔・首) |
かゆみ止め成分 |
◯ |
殺菌成分 |
◯ |
傷ついた皮膚の修復成分 |
◯ |
有効成分 |
ヒドロコルチゾン酢酸エステル |
2種のかゆみ止め成分や抗炎症成分を配合し、強いかゆみをともなうあせもに対応しています。ウィークランクなので年齢問わずさまざまな部位に使用でき、クリームタイプなので比較的しみにくく掻き傷があっても使用することができます。また、アラントインにより皮膚の修復を助け、荒れた皮膚にダブルで効果を発揮します。
身体で炎症がひどいあせもに
ベトネベートクリームS 5g【指定第二類医薬品】
ステロイドランク |
ストロング |
使用できる年齢(部位) |
大人・子ども(身体) |
かゆみ止め成分 |
- |
殺菌成分 |
- |
傷ついた皮膚の修復成分 |
- |
有効成分 |
ベタメタゾン吉草酸エステル |
ストロングランクのステロイド成分を配合したベトネベートクリームSはかゆみ止めなどの補助成分は配合していませんが、炎症を根本から改善することによりあせもによって引き起こされるかゆみなどの症状を鎮めます。
ステロイド無配合のクリームタイプあせも薬
オイラックスソフト 16g【第三類医薬品】
ステロイドランク |
- |
かゆみ止め成分 |
◯ |
殺菌成分 |
◯ |
傷ついた皮膚の修復成分 | 〇 |
有効成分 |
クロタミトン |
2種のかゆみ止め成分や抗炎症成分により、かゆみや炎症を鎮めます。また、殺菌成分や皮膚の修復を助ける成分が配合されているため、掻いてしまうことによる皮膚の雑菌感染を防ぎ、傷ついた肌を修復する効果があります。
ユースキンI 110g【第三類医薬品】
ステロイドランク |
- |
かゆみ止め成分 |
〇 |
殺菌成分 |
〇 |
傷ついた皮膚の修復成分 |
〇 |
有効成分 |
クロタミトン ジフェンヒドラミン グリチルレチン酸 イソプロピルメチルフェノール トコフェロール酢酸エステル |
有効成分としてかゆみ止めや抗炎症成分を配合。強いかゆみやただれを鎮め、抗菌成分が掻きむしったことによる皮膚の細菌感染を防ぎます。
ノンステロイドで110gと大容量です。清涼成分が入っていない、しみにくい処方です。
日常生活でできるあせもの予防・改善方法
あせもの予防・対策は日常生活の注意点を守ることがとても重要になります。また、いくら薬を使用しても、日常生活での注意点が守れていないとあせもは良くなりません。あせもを治療中の方も、予防をしたい方も、次のことに注意してください。
皮膚を清潔に保つ
汗がべたついたままでいると、汗菅が詰まりやすくなるため、毎日シャワーで汗を洗い流すようにしましょう。ときにはお風呂に浸かって汗菅を開かせて、詰まりを防ぐことも重要です。
汗を拭き取るときは強く拭きすぎると皮膚を傷つけ炎症を引き起こすおそれがあるため、優しく拭き取るようにしましょう。
お風呂上がりに保湿剤を塗る
肌が乾燥していると皮膚を外的刺激から守るバリア機能が低下し、あせもになりやすくなったり、症状が悪化するおそれがあります。お風呂上がりには保湿剤を塗って肌を守りましょう。
ヒルマイルドローション 30g【第二類医薬品】
ヒルマイルドローションは、ヘパリン類似物質が配合された保湿剤です。乾皮症や小児の乾燥性皮ふなどに適応があり、肌が乾燥がちのときに使用することもできます。
さらっと伸びるローションタイプです。クリームよりも比較的べたつきが少なく伸びが良いため、広範囲に使用する場合に適しています。
温度・湿度を整える
高い温度や湿度の環境は発汗作用が働き、汗を多くかきやすくなります。温度が高く暑いときはエアコンや扇風機で温度の調節を行い、湿度が高いときは除湿機などを使い湿度を下げましょう。しかし、温度の下げすぎは体が冷えたり、乾燥を引き起こす原因にもなるため、適切な温度に調整することが重要です。
環境省によると、夏は28度、冬は20度の室温が推奨されています。(この推奨温度はエアコンの設定温度ではなく室温です。)
通気性・速乾性の良い衣服を着る
仕事や運動などの用途別に、通気性が良い素材の衣服を選ぶようにしましょう。
通気性が良い素材には、綿や麻などの天然繊維のものがあります。吸湿性があり、日常の中で発生する汗を吸収するのに適しています。
しかし、運動など大量に汗をかく場合は、綿や麻ではなくポリエステルやナイロンなどの合成繊維などが適していることもあります。綿や朝は速乾性が少なく大量の汗を吸ってしまうと重くなってしまうのに対し、ポリエステルやナイロンなどは軽量かつ速乾性に優れています。
また、汗をかいて衣類が濡れているときは、着替えることも必要です。運動や仕事などで汗を多くかきやすい場合は、着替えを持参することもおすすめします。
日焼け対策をする
日焼けがあせもの発症や悪化のきっかけになることがあります。アームカバーや日焼け止めなどの日焼け対策をすることで、皮膚へのダメージを軽減させあせもを防ぐことにつながります。