妊娠中の陰部・デリケートゾーンのかゆみに効く市販薬
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薬剤師監修日:
妊娠中はホルモンバランスの変化やおりものの増加によって、デリケートゾーンのかゆみが起こりやすくなっています。この記事では、妊娠中でも使用できるデリケートゾーンの市販薬や対処法に加え、病院を受診する目安についても解説します。

妊娠中の陰部のかゆみの原因は?
妊娠をすると女性ホルモンの分泌が増え、身体はどんどん変化していきます。
ホルモンバランスが変化することによって身体に起こるトラブルの1つに、デリケートゾーンのかゆみがあります。
妊娠中はおりものが増えやすい
妊娠中は女性ホルモンの分泌が増えることによって、おりものの分泌も増える傾向にあります。
おりものが増えると下着内がムレやすくなり、陰部がかぶれる原因となります。
かぶれによる陰部のかゆみは市販薬で対処できる
おりものによる陰部のムレや、体型の変化による下着の締め付けなどが原因で、妊娠中はデリケートゾーンにかゆみを感じることが多くあります。このようなかぶれが原因となる陰部のかゆみは、市販薬で対処することが可能です。妊婦中でも使用できるデリケートゾーンの薬があります。
感染症の場合はすぐに病院へ
デリケートゾーンのかゆみの中でも、細菌やウイルスなどの感染が原因となる症状に関しては、病院の受診が必要となります。
妊娠中のデリケートゾーンのかゆみを引き起こす感染症については、こちらをご覧ください。
妊娠中の陰部のかゆみに効く市販薬とその選び方
妊婦さんのデリケートゾーンにも使える非ステロイド成分配合の市販薬を紹介します。
ただし、妊娠中は体質が変化することがあり、お肌も敏感なため、使用前に医師・薬剤師にご相談いただくと安心です。
市販薬を選ぶ際は、お好みの成分・剤形・使用感をもとに好みや使用するシーンに応じて選びましょう。
商品画像 | 特徴 |
---|---|
![]() |
・2種類のかゆみ止め成分+殺菌成分+血行促進成分+清涼成分配合 ・クリームタイプ ・スーッとする使い心地が好きな方に |
![]() |
・2種類のかゆみ止め成分+殺菌成分+血行促進成分配合 ・クリームタイプ ・清涼感はない方がいいという方に |
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・2種類のかゆみ止め成分+殺菌成分配合 ・ジェルタイプ ・パウダー配合でサラサラした使い心地 |
デリナースクール
デリナースクール【第二類医薬品】

剤形 | クリーム | |
---|---|---|
成分 | リドカイン ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
かゆみ止め成分 |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
l-メントール | 清涼成分 |
デリナースクールは、2種類のかゆみ止め成分に加え、殺菌成分が傷口の細菌の繁殖を防ぎます。そのほか、血行促進成分が肌の新陳代謝を高め、患部の回復を早めます。
また、清涼成分が入っているため、塗るとスーッとします。クール感がお好みの方にもお使いいただけます。
フェミニーナ軟膏S
フェミニーナ軟膏S 15g【第二類医薬品】

剤形 | クリーム | |
---|---|---|
成分 | リドカイン ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
かゆみ止め成分 |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 |
フェミニーナ軟膏Sは、軟膏と名前にありますが、べたつかないクリームタイプです。
リドカインが今あるかゆみを鎮め、ジフェンヒドラミン塩酸塩がかゆみの発生をおさえます。血行促進成分が皮膚のターンオーバーをうながし、患部の回復を助けます。
l-メントールが入っていないため、スースーしない方が好きという方におすすめです。
フェミニーナジェル
フェミニーナジェル 15G(第2類医薬品)【第二類医薬品】

剤形 | ジェル | |
---|---|---|
成分 | リドカイン ジフェンヒドラミン |
かゆみ止め成分 |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 |
フェミニーナジェルは、あと残りしない、さらさらパウダーinの薬です。
ジェルのひんやり感があるため、夏などの暑い季節にも向いています。
妊娠中の陰部のかゆみの対処法
デリケートゾーンのかゆみでお悩みの方は、皮膚への刺激を避けるためにも、日常生活で次のことを心がけてみましょう。
薬によるセルフケアに合わせて、かぶれが起こりやすくなる原因をできるだけ取り除いてあげることが大切です。
通気性の良い下着を
妊娠すると体型の変化により下着がきつくなり、肌とより密着して通気性が悪くなります。下着の中がムレたり、下着の締め付けで摩擦が起きると、デリケートゾーンのかぶれやかゆみの原因となります。
デリケートゾーンが蒸れたり、過剰な刺激を受けないよう、次のように身につけるものにこだわってみるのもよいでしょう。
- 下着は、妊娠時の身体のサイズに合った物を身につける
- 綿素材などの通気性の良い下着をつける
- 汗をかいたら下着を替える
- タイトなパンツなどの締め付けの強い服を避ける
おりものシートについて
妊娠時におりものが増えることの対策として、おりものシートを使用することも1つの手ですが、使い方には注意しましょう。
おりものシートはおりものを吸収する働きがありますが、きつい下着におりものシートをつけると、下着内の密封状態がさらに上がり、ムレやすくなってしまいます。
また、おりものシートを長時間着用すると、雑菌が増えてかゆみの原因にもなります。
できればおりものシートはつけずに、通気性の良い下着のみで陰部を風通しの良い状態にすることをおすすめします。ただし、「どうしてもおりものの量が多く、シートを着用したい!」という場合は、こまめにおりものシートを交換することを心がけてください。
石鹸やボディソープによる洗い方に注意
デリケートゾーンの皮膚は薄いため、刺激の強い石鹸を使用すると乾燥やかぶれを起こしてしまうことがあります。また、強く洗いすぎてしまうと傷がつき、かゆみを引き起こす原因となります。
デリケートゾーンを洗うときは皮膚を傷つけないように、以下のことも意識してみてください。
- 石けんやボディーソープを直接塗ると、刺激により炎症が強くなることがあるため、泡立てたものでやさしく洗う
- しわの間や裏側など汚れのたまりやすい場所は、しわを広げながらできるだけ丁寧に洗う
- 前方を先に、肛門は最後に洗う
- 膣の中には有用な常在菌がおり、自浄作用があるため膣の中までは洗わない
かゆみ止めなどの塗り薬に関するQ&A
Q 妊娠中にステロイドは使用してもいい?
A 皮膚のかゆみによく使用されるステロイド外用薬は、薬によって強さのランクが分かれています。ランクによってはデリケートゾーンに使用ができない薬もあり、使用する薬のランクや部位を誤ると、副作用が出るおそれがあります。
また、基本的に妊娠中のステロイドの使用はかかりつけの医師に相談する必要があります。
Q 膣内の粘膜に塗ってもよい?
A 市販のかゆみ止めの多くは、膣内や膣の入り口などの粘膜部分への使用ができません。粘膜は、他の皮膚に比べて薬の吸収率が高く、効果が強く出てしまう危険性があるためです。市販薬を使用する際は添付文書をよく読み、用法用量を守って使用しましょう。
また、膣内の粘膜にもかゆみの症状を感じる場合は、カンジダ膣炎などの感染症にかかっている可能性も考えられます。感染症によるかゆみは、病院の受診が必要になるため、自己判断による市販薬の使用はやめましょう。
Q 妊娠中にフェミニーナ軟膏を塗ってしまったのですが、大丈夫?
A メーカーのHPによると、外用剤のため胎児への影響はほとんどないと考えられていますが、妊娠中はお肌が敏感です。
使用後は、念の為かかりつけの医師にお伝えしておくとよいでしょう。
Q 手元にある処方薬(レスタミンコーワクリームなど)を陰部に塗ってもいい?
A 処方薬は、その時の患者様の症状に合わせて医師が処方する薬です。症状が似ている場合でも、原因が異なる場合には使用する薬も異なります。そのため、残ってしまった処方薬を別の機会に自己判断で使用するのはやめましょう。
まずは、医師の診察を通して、適切な治療を受けていただくことをおすすめします。
かゆみを引き起こす感染症の種類と特徴
かゆみを引き起こす感染症は、次のような種類が挙げられます。
デリケートゾーンの激しいかゆみや、おりものの状態がいつもと違う場合など、当てはまる症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
また、これ以外に気になる症状がある場合も受診するようにしましょう。
特徴・おりものの状態 | |
---|---|
妊娠中通常時 | ・半透明や乳白色 ・卵白のようなとろみ ・下着に付いて乾燥すると薄黄色くなる ・無臭か酸っぱいにおい |
腟カンジダ症 | カンジダという真菌が原因となる感染症。主に疲労やストレスなどによって体力や抵抗力が落ちたときに、カンジダ菌が増殖することで起きる。 |
〇おりものの状態 ・不透明な白 |
|
細菌性腟症 | 腟内細菌のバランスが崩れ、膣内に雑菌が増殖してしまうことで起きる感染症。原因は抗生剤、性交渉、腟の洗浄などさまざまあり。 |
〇おりものの状態 ・灰色がかった白 |
|
クラミジア感染症 | クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症で、性行為によって感染する。分娩時の産道感染で母子感染することもあり。 |
〇おりものの状態 ・濃い黄色や緑色のおりもの |
|
腟トリコモナス症 | 寄生虫により起きる感染症。性行為のほか、衣類やタオル、浴槽などを介して感染する場合もある。 |
〇おりものの状態 ・泡状のおりもの |
|
淋病 | 淋菌という細菌による感染症で、性行為によって感染する。 |
〇おりものの状態 ・黄色い膿のような状態 |
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