男性の頻尿・尿漏れに効く市販薬|原因と対策について
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薬剤師監修日:
頻尿や尿もれの市販薬は、男性の場合服用できない成分が含まれているおそれがあります。この記事では男性でも安心して服用できる頻尿・尿もれの市販薬について解説します!男性の排尿トラブルの原因や、お家でできる対策についても解説しています。

男性の頻尿・尿もれの原因
男性の頻尿や尿もれは、前立腺肥大症という男性特有の病気が原因となることが多く、50代で50%、60代で60%が前立腺肥大になっています。前立腺肥大症以外にも加齢やストレスによる筋力の低下、肥満、糖尿病が原因になる場合も。
また、尿が溜まっていないのに膀胱が勝手に収縮し、頻繁に尿意をもよおす過活動膀胱という病気が原因となるケースもあります。
頻尿の原因
日本泌尿器学会では頻尿は「起床から就寝までに8回以上排尿回数があること」と定義しています。ただし、1日の排尿回数はかなり個人差があるため、8回以下だったとしても自身で排尿回数が多いと感じていたり、排尿回数が多くて生活に支障をきたしている場合は頻尿に当てはまります。
原因 | |
---|---|
頻尿 |
・加齢による膀胱機能や筋力の低下 ・心因性のストレス ・過活動膀胱 ・前立腺肥大症 ・糖尿病 など |
頻尿の原因は人によって様々ですが、男性の場合は前立腺肥大症という病気が原因となるケースが多いです。頻尿症状の他に尿の勢いが低下する、尿のキレが悪い、尿が出にくい、などの症状が見られる場合は、前立腺肥大症のおそれがあります。必ず病院に行って治療を受けましょう。
加齢による筋力の低下や軽いストレスによる頻尿症状であれば、市販薬や自宅でのトレーニングでセルフケアすることが可能性です。
尿もれの原因
尿もれにはお腹に力を入れた時に少量の尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁や、過活動膀胱によって急な尿意に襲われ我慢できずに漏らしてしまう切迫性尿失禁など様々な種類があります。その中でも特に男性の尿もれトラブルで多いのが、排尿後に自分の意思と反して数滴の尿が漏れてしまう排尿後尿滴下(追っかけ漏れ)です。
これらの尿もれトラブルは主に次のことが原因となるケースが多いです。
種類 | 原因 | |
---|---|---|
尿もれ | 排尿後尿滴下 |
・加齢による尿道括約筋の衰え ・肥満 ・過活動膀胱 ・前立腺肥大症 ・糖尿病 など |
腹圧性尿失禁 | ||
切迫性尿失禁 |
頻尿と同様に前立腺肥大症や糖尿病など、他の原因疾患が隠れている場合は受診が必要となりますが、筋力の低下や肥満、過活動膀胱による軽い尿もれ症状であれば市販薬での対処が可能です。
前立腺肥大症について
前立腺は男性にのみある臓器で、精液の一部を作る働きを持っています。尿道を取り囲むような形で位置していますが、加齢によって前立腺が肥大していくことによって尿道を圧迫し、様々な排尿トラブルを引き起こします。高齢の方に多い病気ですが、30代で発症する方もいるため、若い人は絶対にかからないとは言い切れません。
過活動膀胱について
膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、自分の意思とは別に膀胱が勝手に収縮してトイレにいきたくなってしまう病気で、頻尿や尿もれなどの様々な排尿トラブルを引き起こします。加齢やストレス、脳と膀胱を結ぶ神経の伝達トラブル、前立腺肥大症などが原因となるケースが多いです。過活動膀胱に関しても加齢や軽いストレスが原因であれば、ある程度市販薬でケアすることが可能ですが、他に原因疾患が隠れている場合は病院での治療が必要となります。
男性の頻尿・尿もれに効く市販薬のおすすめの成分
男性の頻尿や尿もれは、軽い症状であれば市販薬での治療が可能です。
効果を発揮する成分 | |
---|---|
頻尿 |
・八味地黄丸 ・牛車腎気丸 など |
尿もれ | ・八味地黄丸 など |
頻尿に効果を発揮する市販薬の成分としては八味地黄丸、牛車腎気丸、フラボキサート塩酸塩の3つがあげられます。ただし尿もれに関しては、市販薬の中で効能効果に記載がある薬はおもに八味地黄丸です。ご自身の排尿症状に合わせて効果的な成分を選びましょう。
八味地黄丸
8種類の生薬が配合されている漢方薬です。体を温める効果があり、頻尿や軽い尿もれ、残尿間、夜間尿などに効果を発揮します。また、冷えにともなう足腰の慢性的な痛みやしびれを取るのに用いられることもあります。
牛車腎気丸
八味地黄丸に「牛膝」と「車前子」という生薬を加えた漢方薬が牛車腎気丸です。頻尿を含む排尿障害や腰の痛み、むくみ等に効果を発揮します。
男性が服用できる市販薬は漢方薬のみ
頻尿や尿もれの市販薬の成分にフラボキサート塩酸塩がありますが、男性は前立腺肥大症の症状を悪化させる危険性があるため、市販のフラボキサート塩酸塩を服用することができません。男性が服用できる排尿トラブルの市販薬はあくまで漢方薬のみとなるため、注意してください。
男性の頻尿・尿もれに使える市販薬
男性の頻尿や尿もれに効く市販薬をご紹介します。ご自身の症状や剤形の好みに合わせて、適した市販薬を選択しましょう。
ただし、1か月くらい使用しても症状がよくならない、または悪化するような場合は、市販薬の使用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
カツジンEP錠 270錠【第二類医薬品】

年齢 | 剤形 | 頻尿 | 尿もれ |
---|---|---|---|
5才以上 | 錠剤 | ◯ | ◯ |
効能効果 |
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ |
八味地黄丸を配合した錠剤タイプの漢方薬です。
錠剤タイプなので薬が口の中に残る感じが少なく、漢方特有の味が苦手な方でも比較的飲みやすい薬となっています。
また、商品に添付してあるQRコードを読み込むことで薬剤師へ無料相談することが可能です。薬に関する疑問や心配事を薬剤師に相談ができるので、安心して薬を使用することができます。
ツムラ漢方八味地黄丸料エキス顆粒A 20包(第2類医薬品)【第二類医薬品】

年齢 |
剤形 |
頻尿 | 尿もれ |
2才以上 |
顆粒 |
◯ | ◯ |
効能効果 |
体力中等度以下で,疲れやすくて,四肢が冷えやすく,尿量減少又は多尿で,ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛,腰痛,しびれ,高齢者のかすみ目,かゆみ,排尿困難,残尿感,夜間尿,頻尿,むくみ,高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり,頭重,耳鳴り),軽い尿漏れ |
カツジンEP錠と同じく八味地黄丸を配合した市販薬です。顆粒タイプの薬なので、錠剤のような固形物を飲み込むことが苦手な方にもおすすめです。2才から服用が可能で、幅広い年齢層の方が使用できる薬です。
【第2類医薬品】和漢箋ロート トイリズム【第二類医薬品】

年齢 |
剤形 |
頻尿 | 尿もれ |
成人(15歳以上) |
錠剤 |
◯ | × |
効能効果 |
体力中等度以下で,疲れやすくて,四肢が冷えやすく尿量減少し,むくみがあり,ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛,腰痛,しびれ,高齢者のかすみ目,かゆみ,排尿困難,頻尿,むくみ,高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり,頭重,耳鳴り) |
牛車腎気丸は水分代謝に関わる腎の働きを助けるとともに、体を温めて血行を良くします。錠剤タイプの薬なので、漢方の苦味が苦手な方でも比較的服用しやすいです。
顆粒タイプの薬なので、錠剤のような固形物を飲み込むことが苦手な方にもおすすめです。
漢方ラックル顆粒 14包(第2類医薬品)【第二類医薬品】

年齢 |
剤形 |
頻尿 | 尿もれ |
成人(15歳以上) |
顆粒 |
◯ | × |
効能効果 |
体力中等度以下で,疲れやすくて,四肢が冷えやすく尿量減少し,むくみがあり,ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛,腰痛,しびれ,高齢者のかすみ目,かゆみ,排尿困難,頻尿,むくみ,高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり,頭重,耳鳴り) |
パッケージでは「腰痛やしびれに効く」と書いてありますが、牛車腎気丸を配合した、頻尿にも効くお薬です。10種類の生薬から抽出した有効成分を最大量配合した満量処方です。
お家でできる頻尿の対策・改善方法
頻尿や夜間頻尿(尿意で夜に起きてしまう)、尿もれなどの排尿トラブルは、薬の服用とあわせて日々の生活習慣での工夫や、お家でできるトレーニングによって症状が改善するケースがあります。
水分の摂取量を減らす
頻尿や夜間頻尿に悩んでいる方は、夜寝る前は水分の摂取を控えましょう。ただし、尿意を気にしすぎて水分の摂取量が少なくなると、尿路感染症や尿路結石の原因となるおそれもあるため、日中に適度な量の水分を摂取することを忘れないでください。
また、アルコールの摂取は睡眠を浅くし、利尿作用が高まることで夜間頻尿を悪化させます。夜寝る前のアルコールの摂取や、過度の飲酒は避けましょう。
骨盤底筋のトレーニングをする
膀胱や尿道を支える骨盤底筋を鍛えるトレーニングです。頻尿や尿もれは骨盤底筋の筋力が弱くなることによって引き起こされます。
弱まった骨盤底筋の筋力トレーニングを行うことによって、頻尿や尿もれなどの排尿トラブルの改善が期待できます。
【骨盤底筋トレーニングのやり方】
①腹筋などの他の筋肉の力を抜いた状態で、お尻の穴を身体の中に引き込むようにぎゅっと引き締める。
②数秒〜数十秒力を入れ続け、その後力を抜く。
③少し休んだらまた力を入れる。このサイクルを一日に何度か繰り返す。
最初は骨盤底筋以外の筋肉の力を入れないためにも、仰向けになってリラックスした状態で行うことがおすすめです。慣れてきたら立っている状態でも座っている状態でも行うことができるトレーニングですので、電車で立ってる時や仕事で座ってる時など、隙間時間を利用してトレーニングを行いましょう。
決まった回数はありませんが、ご自身の負担のない範囲で行うと良いでしょう。
肥満体質を改善する
肥満体質の方は過剰な脂肪によって膀胱が圧迫され、尿もれなどの排尿トラブルをひきおこしやすいです。肥満は他にも高血圧などの健康リスクが高まる原因となるため、日々のカロリーコントロールと適度な運動を心がけましょう。
尿もれシートを活用する
頻繁に尿もれが起こって下着が濡れてしまうという方は、尿もれシートを活用してみましょう。
尿もれシートは水分を吸収して乾燥させることによって、下着が湿ってしまう不快感を解消します。
消臭効果や抗菌効果のあるシートが多いため、衛生的にもおすすめです。
ただしシートはこまめに交換するようにしましょう。
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