花粉症・アレルギー用の目薬|目のかゆみに効く市販薬の選び方
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薬剤師監修日:
花粉症やハウスダストなどによる目のアレルギー症状をアレルギー性結膜炎といいます。この記事では、アレルギー性結膜炎に効く目薬の成分と、市販薬の選び方について解説します。

花粉症・ハウスダストによる目の症状
空気中に浮遊する花粉やハウスダストが目に侵入すると、目の粘膜内の細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。放出されたヒスタミンなどの物質が目の神経や血管を刺激することで、かゆみや充血などの様々な症状があらわれます。
アレルギー性結膜炎とは
花粉やハウスダストなどのアレルゲンと呼ばれる物質が目に侵入することによって、まぶたの裏側にある結膜に炎症が起こっている状態のことを、アレルギー性結膜炎といいます。強いかゆみがあらわれることが特徴です。
アレルギー性結膜炎の中でも、花粉症などの季節性のものを季節性アレルギー性結膜炎といい、ハウスダストなどの通年にわたるものを通年性アレルギー性結膜炎といいます。
アレルギー性結膜炎の主な症状 |
---|
かゆみ、充血、異物感、なみだ目、目やに |
目の症状は市販薬で治せる?
花粉やハウスダストによるアレルギー性結膜炎を根本的に治療することはできませんが、市販されている目薬で症状を軽減することができます。
市販の目薬の選び方
花粉症やハウスダストによるアレルギー症状に使用される目薬には様々な成分が含まれています。成分によって役割が異なるため、ご自身の症状にあわせて薬を選ぶことが大切です。
また、目の症状の原因が花粉でも、ハウスダストの場合でも目薬の選び方に違いはありません。
目のかゆみに効く成分
花粉症やハウスダストによる目のかゆみなどのアレルギー症状に対して効果を発揮する成分を抗アレルギー成分といいます。
抗アレルギー成分はケミカルメディエーター遊離抑制成分と抗ヒスタミン成分の2つに分類され、成分によっては両方の作用を併せ持つ場合もあります。
●ケミカルメディエーター遊離抑制成分
ケミカルメディエーター遊離抑制成分は、目のアレルギー反応をおさえることで、目のかゆみや充血などのアレルギー症状をおさえます。花粉症などのアレルギー専用の目薬には必ず含まれている成分です。
●抗ヒスタミン成分
抗ヒスタミン成分は目のかゆみを直接おさえます。目のかゆみが強い場合は、抗ヒスタミン作用を持つ成分が配合された目薬を使用すると良いでしょう。
ケミカルメディエーター 遊離抑制成分 |
・クロモグリク酸ナトリウム ・アシタザノラスト水和物 ・ケトチフェンフマル酸塩 など |
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抗ヒスタミン成分 | ・クロルフェニラミンマレイン酸塩 ・ケトチフェンフマル酸塩 など |
目の充血に効く成分
目の充血がある場合は、抗炎症成分が入った目薬を選ぶと良いでしょう。
抗炎症成分によって、目の充血の原因のひとつとなる目の炎症をおさえることができます。
プラノプロフェンは炎症の原因となるプロスタグランジンという物質の生成を抑制することで、グリチルリチン酸二カリウムはアレルギー原因成分の放出をおさえることで目の炎症をおさえます。
抗炎症成分 | ・プラノプロフェン ・グリチルリチン酸二カリウム など |
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その他の成分
市販の目薬には、他にも様々な成分が配合されています。多くの成分が配合された目薬は、目のかゆみだけでなく、目のトラブルとして多い乾燥や疲れなどの症状の緩和が期待できます。
コンドロイチン | 目の角膜を保護し、乾燥・花粉の付着を防ぐ。 |
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タウリン | 角膜の細胞の組織を修復する。 |
ピリドキシン | 目の新陳代謝を促進し、疲れを緩和する。 |
妊娠中・授乳中の方の注意点
妊娠中の方は、市販の目薬を使用する前にかかりつけの医師にご相談ください。
授乳中の方は、薬によっては使用できない場合があるため、購入する前に薬の添付文書をご確認ください。
花粉症・ハウスダストによる目の症状に効く市販薬
花粉症やハウスダストなどによるアレルギー症状に効く市販の目薬をピックアップして紹介します。
抗アレルギー成分のみ配合されたシンプルな目薬
アレジフェンス 5ml×2本【第二類医薬品】

成分 | |
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ケミカルメディエーター 遊離抑制成分 |
アシタザノラスト水和物 |
抗アレルギー成分のアシタザノラストのみが配合されたシンプルな目薬です。アレルギー症状を引き起こす誘発物質の放出をおさえ、花粉による目のかゆみ、充血、なみだ目などの症状をおさえます。清涼成分無配合でやさしいさし心地の目薬です。
5mL×2本入りで持ち運びにも便利です。
抗ヒスタミン作用を併せ持つ抗アレルギー成分配合
アイリスAGガード 10ml【第二類医薬品】

成分 | |
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ケミカルメディエーター 遊離抑制成分 + 抗ヒスタミン成分 |
ケトチフェンフマル酸塩 |
抗炎症成分 | グリチルリチン酸ニカリウム |
アミノ酸成分 | タウリン |
抗アレルギー成分のケトチフェンフマル酸塩が配合されたクールなさし心地の目薬です。ケトチフェンフマル酸塩がアレルギー症状を引き起こす物質の放出をおさえるとともに、目のかゆみを誘発するヒスタミンの作用をブロック。
授乳中の方もご使用いただけます。
目のかゆみに特化した目薬
ロートアルガードクリアブロックZ【第二類医薬品】

成分 | |
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ケミカルメディエーター 遊離抑制成分 |
クロモグリク酸ナトリウム |
抗ヒスタミン成分 | クロルフェニラミンマレイン酸塩 |
抗炎症成分 | プラノプロフェン |
角膜保護成分 | コンドロイチン硫酸エステルナトリウム |
アレルギーを抑制する成分のクロモグリク酸ナトリウムを配合。クロルフェニラミンマレイン酸塩がかゆみをおさえるとともに、抗炎症成分のプラノプロフェンが炎症による目の充血を緩和します。すっきり爽快なクールタイプの目薬です。
コンタクトレンズ装用時の注意点
この記事で紹介している目薬は全て、コンタクトレンズを装着したまま使用することができません。コンタクトレンズは一度外してから点眼し、5分以上経ってから再度装着するようにしてください。
コンタクトレンズを装着したまま目薬を使用すると、目薬に含まれる防腐剤をコンタクトレンズが吸着してしまい、コンタクトレンズが変形するなどのおそれがあります。
コンタクトレンズによってかゆみが悪化する
目の表面を覆っている涙の中には、たんぱく質や脂質などが含まれており、それらがコンタクトレンズに付着すると、レンズの汚れとなります。
たんぱく質や脂質は、花粉やハウスダストを吸着しやすい性質があるため、それによってかゆみなどの症状が悪化しやすくなってしまいます。
アレルギー専用の目薬で症状をおさえましょう
一般的にコンタクトレンズを装着したまま使える市販の目薬には、かゆみを一時的におさえる効果がありますが、アレルギー症状に効く抗アレルギー成分(ケミカルメディエーター遊離抑制成分)が含まれていません。
コンタクトレンズはできるだけ使用を避け、抗アレルギー成分が含まれた目薬を使用することが、かゆみなどの症状をおさえるためには最適です。
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