湿疹(皮膚炎)とは?
湿疹とは皮膚の表面に起こる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれます。
主な症状は、かゆみ、赤み、ブツブツ、小さな水ぶくれなどがあげられます。
湿疹のできる部位はさまざまで、全身のどこにでもあらわれます。
湿疹の主な症状 |
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かゆみ、赤み、ブツブツ、小さな水ぶくれ など |
湿疹で病院を受診する目安
湿疹のなかでも次のような症状がある場合は、専門医の診断のもと適切な治療を行う必要があるため、一度皮膚科を受診してください。
病院を受診する目安 | ・手のひら2~3枚を超えるような範囲に広がっている ・顔の中でも目の下だけに湿疹がある ・足の裏にできた湿疹で、水虫かどうか区別がつかない ・急に腫れやかゆみが広がった ・症状が良くなったり悪くなったりを繰り返している ・皮膚の症状だけでなく、発熱、だるさなど全身の症状もある ・市販薬を使用しても改善がみられない など |
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湿疹(皮膚炎)に効く薬の選び方
湿疹は、市販の塗り薬(外用薬)で対処することができますが、ステロイドの有無によって、適した症状や部位が異なります。
湿疹のなかでも、手にできた湿疹は症状によって適した薬が異なるため、手湿疹についての関連記事をご覧ください。
また、かゆみが強い場合、眠れないほどのつらいかゆみがある場合は塗り薬(外用薬)と合わせて飲み薬(内服薬)を使うこともできます。
適した部位・症状 | |
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ステロイド配合の塗り薬 | ・顔、首、デリケートゾーン以外の部位 ・ブツブツや赤み、腫れなどの炎症が強い ・薬によっては、子どもの顔を除く体に使える |
非ステロイドの塗り薬 | ・顔、首、デリケートゾーンなどの敏感な部位 ・広い範囲のかゆみ ・子どもの顔・体に使える |
飲み薬 | ・湿疹による皮膚のかゆみ、腫れを体の内側から改善する ・かゆみが強い、もしくはかゆみにより睡眠が妨げられている ようなときに塗り薬と合わせて使う |
かきむしってジュクジュクした患部には化膿止めを
ステロイドは炎症を鎮める効果に優れていますが、免疫抑制作用があるため、化膿している(細菌に感染している)皮膚に使うとかえって悪化するおそれがあり、注意が必要です。
皮膚をかきむしってジュクジュクしている、すでに膿が出ているなどの場合には、化膿止めの塗り薬(外用薬)を使いましょう。
化膿止めの塗り薬(外用薬)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
湿疹(皮膚炎)に効く塗り薬|ステロイド配合
ステロイド配合の塗り薬(外用薬)は、大きく分けて軟膏・クリーム・ローションの3つの剤形があり、塗る部位や患部の状態に合わせて選びます。
特徴 | |
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軟膏 | ・べたつきはあるものの、刺激は少なく患部を保護する力が高い ・しみにくい |
クリーム | ・伸びが良く、べたつきにくい |
ローション | ・クリームよりさらにべたつきが少なく、 頭皮などの毛が生えている部位に適している |
ステロイドのランクについて
ステロイドの塗り薬(外用薬)は、作用の強さによって5段階にランク分けされており、症状や部位などに応じて適した強さが異なります。5段階のうち、ストロンゲストとベリーストロングは処方薬のみで、市販薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3段階に限られています。
ステロイド成分のなかには、副作用のリスクを軽減したアンテドラッグタイプもあります。
ステロイド配合の塗り薬(外用薬)
ステロイドの塗り薬(外用薬)は、症状に合わせて作用の強さや剤形といったポイントをみながらお選びください。
オイラックスPZリペアクリーム
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ミディアム(普通) ・クリーム ・アンテドラッグ(副作用が比較的出にくいステロイド) ・かゆみ止め成分、殺菌成分なども配合 |
オイラックスPZリペアクリームに含まれる『プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル』は、ステロイド特有の副作用を起こしにくいアンテドラッグと呼ばれるステロイド成分です。
ステロイド以外にも、かゆみ止め成分が入っているほか、細菌の繁殖を防ぐ殺菌成分、荒れた皮膚組織の回復を早める血行促進成分などが含まれています。
クリームタイプのため、伸びがよく、べたつきも少ないです。
新リビメックスコーワ軟膏
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ミディアム(普通) ・軟膏 ・アンテドラッグ(副作用が比較的出にくいステロイド) ・ステロイド成分のみ配合 |
有効成分は、アンテドラッグタイプのステロイド、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルのみを配合したシンプルな薬です。
皮膚の保護作用が高く、しみにくい軟膏タイプです。
メンソレータム メディクイックHゴールド
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ミディアム(普通) ・ローション ・頭皮湿疹に ・スーッとする使い心地 |
頭皮湿疹のかゆみ・かぶれといった症状に使いやすいよう、容器から直接塗れるようにしたローションタイプです。
アンテドラッグのステロイド成分『プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル』が基準内で最大量配合(※)されており、抗炎症成分の『グリチルレチン酸』とともに炎症を鎮めます。この他、かゆみ止め成分、傷ついた組織を修復する成分、殺菌成分なども含まれています。
メントールが入っているため、スーッとする使い心地をお好みの方にも向いています。
(※)一般用鎮痒消炎薬製造販売承認基準の最大量(濃度)配合
リンデロンVs軟膏
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ストロング(強い) ・軟膏 ・ステロイド成分のみ配合 ・特に炎症が強いときに |
ステロイド成分『ベタメタゾン吉草酸エステル』のみの配合です。
ステロイドの強さは、市販薬で最も作用の強いストロング(強い)に該当します。
顔への広範囲の使用(およそ500円玉大を超える範囲)はできませんが、かゆみ・赤み・ブツブツに加えて、腫れなどの炎症症状が強い場合に適しています。
皮膚の保護作用が高く、しみにくい軟膏タイプです。
リンデロンVsクリーム
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ストロング(強い) ・クリーム ・ステロイド成分のみ配合 ・特に炎症が強いときに |
リンデロンVsシリーズのクリームタイプです。
さらっとした使用感で、伸びがよく塗りやすいです。
コートfMD軟膏
特徴 |
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・ステロイドの強さ|ウィーク(弱い) ・伸びのよい軟膏 ・無香料、無着色、防腐剤フリー ・子どもの顔を除く体にも使える |
効き目がやさしいウィークのステロイド成分プレドニゾロンと、非ステロイドの抗炎症成分グリチルレチン酸、2種類の炎症をおさえる成分が含まれた薬です。
無香料、無着色、防腐剤は入っておらず、お子様の全身(顔以外)にもお使いいただけます。
湿疹(皮膚炎)に効く塗り薬|ステロイド無配合
ステロイドが入っていない塗り薬(外用薬)は、配合されている成分によって特徴が異なるため、ご自身の症状や部位、使用感に合わせて選びましょう。
デリナースクール
特徴 |
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・2種類のかゆみ止め成分、殺菌成分など配合 ・クリーム ・スーッとする使い心地 ・かゆみが気になる方に |
デリナースクールは、かゆみのもとをおさえるジフェンヒドラミン塩酸塩と、かゆみが伝わるのを止めるリドカインと、2種類のかゆみ止め成分が入っています。そのほか、殺菌成分が傷口の細菌の繁殖を防ぎ、血行促進成分が血行を改善することで荒れた患部の回復を早めます。
また、清涼成分により塗るとスーッとするため、クール感がお好みの方にもお使いいただけます。
キュアレアa
特徴 |
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・非ステロイドの炎症成分2種類+かゆみ止め成分配合 ・クリーム ・スースーする成分無配合 ・顔にできた湿疹に |
キュアレアaは、生後4週を過ぎてからの赤ちゃんも使える弱酸性クリームの薬です。
2種類の抗炎症成分が患部の赤み、腫れをおさえます。さらに、かゆみ止め成分が入っていることで、炎症の悪循環を断ち、改善していきます。
花粉、化粧品、乾燥などによる顔のかゆみ・かぶれや目の周りのかゆみ・かぶれにおすすめです。
ただし目頭、目尻など目のきわに塗る際には、目の中に入らないようにご注意ください。
ポリベビー
特徴 |
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・かゆみ止め成分、殺菌成分など配合 ・軟膏 ・子どもの顔を含む全身に使える ・ジュクジュクした患部にも |
ポリベビーは、患部を保護する機能に優れた軟膏タイプの薬です。また、肌の温度で溶けてやわらかくなり、伸びのよい使用感でもあります。
かゆみ止め成分や殺菌成分以外にも、酸化亜鉛が分泌物を吸着して患部を乾かします。加えて、2種類のビタミン(A・D2)が皮膚を健康に保ちます。
患部がジュクジュクしているときや、赤ちゃんのおむつかぶれにもおすすめです。
お子様向けの湿疹に使える薬については、別記事でも詳しく解説しています。
新レスタミンコーワ軟膏
特徴 |
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・かゆみ止め成分のみ配合 ・やわらかく、伸びのいい乳剤性軟膏 ・無香料・無着色 |
皮膚科で湿疹・皮膚炎などに処方される「レスタミンコーワクリーム」にも含まれるかゆみ止め成分、ジフェンヒドラミン塩酸塩のみが配合されたシンプルな薬です。
ジフェンヒドラミン塩酸塩の配合濃度は処方薬に比べると少なめですが、市販薬の上限量である2.0%配合されています。
剤形の区分は軟膏ですが、やわらかく、のびやすい白色の乳剤性軟膏です。
湿疹(皮膚炎)に効く飲み薬
病院で湿疹に対して使われる薬のひとつに、抗ヒスタミン薬と呼ばれる飲み薬(内服薬)があります。
抗ヒスタミン成分の飲み薬(内服薬)は、症状によっては塗り薬(外用薬)と併用したり、広範囲の湿疹や全身性の症状が出ている場合など、塗り薬(外用薬)での治療が難しい場合に処方されることがあります。
抗ヒスタミン薬は眠気が比較的少ない第2世代を選びましょう
抗ヒスタミン薬は、成分によって第1世代と第2世代に分けられています。
第2世代の抗ヒスタミン薬は第1世代に比べて、眠気などの副作用があらわれにくくなっているため、眠くなりにくい薬を探している方は、第2世代の抗ヒスタミン薬を選ぶとよいでしょう。
湿疹に適応がある薬の中で、市販されている第2世代の抗ヒスタミン薬の成分は2種類のみです。(2024年3月現在)
湿疹に効く 第2世代の 抗ヒスタミン薬 |
・アゼラスチン塩酸塩 |
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アレジンAZ錠
特徴 |
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・第2世代抗ヒスタミン成分|アゼラスチン塩酸塩のみ配合 ・1日2回、1回2錠(15歳以上) ・シンプルな薬がいい方に |
病院で湿疹・皮膚炎に対して処方される「アゼプチン錠」と同じ第2世代抗ヒスタミン成分、アゼラスチン塩酸塩のみを配合した薬です。
アゼラスチン塩酸塩は、アレルギーによる皮膚のかゆみだけではなく、皮膚の腫れの緩和にも効果を発揮します。
アゼラスチンは、第1世代の抗ヒスタミン薬に比べると眠くなりにくいですが、眠くなることもあるため、服用後の車の運転はしないでください。
ジンマート錠
特徴 |
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・第2世代抗ヒスタミン成分|メキタジン配合 ・皮膚・粘膜の正常な働きを助ける3種類のビタミンも配合 ・1日2回、1回1錠(15歳以上) |
「じんましんの治療薬」とパッケージにはありますが、湿疹によるかゆみにも使える薬です。
第2世代の抗ヒスタミン成分メキタジンがかゆみを鎮め、ビタミンB2が皮膚や粘膜の正常な働きを助け、ビタミンB6とニコチン酸アミドが湿疹の改善をサポートします。
メキタジンは、第1世代の抗ヒスタミン薬に比べると眠くなりにくいですが、眠くなることもあるため、服用後の車の運転はしないでください。
アレルギール錠
特徴 |
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・第1世代抗ヒスタミン成分|クロルフェニラミンマレイン酸塩配合 ・1日2~3回、1回3錠(15歳以上) ・4歳から大人まで使用できる |
第1世代の抗ヒスタミン成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩のほか、抗炎症成分が含まれているため、皮膚のかゆみと腫れの両方に効きます。
また、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)が皮膚や粘膜の健康を保ちます。
授乳中の方や、4歳以上の子どもにも使えます。
湿疹(皮膚炎)の原因
湿疹の原因は、主に外からの刺激や肌のバリア機能低下による皮膚の乾燥などです。
ただし、外からの刺激の他にも体質などの内的な要因で生じることもあります。湿疹の原因は外的な要因と内的な要因が混ざり合うため、原因がはっきりしないことも多いです。
主な例 | |
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外的要因 | 薬剤や洗剤などの化学物質、花粉、ハウスダスト、アレルギーとなる物質(金属・食べ物・ 動物・日光など)、ウイルスや細菌・真菌(カビ) など |
内的要因 | アレルギー体質、アトピー素因、内臓疾患、肌のバリア機能低下、皮脂や発汗の状態 など |
湿疹・かぶれ・じんましんの違いは?
湿疹とよく似た症状に、「かぶれ」や「じんましん」があります。
かぶれは、正式名を接触性皮膚炎といい、湿疹(皮膚炎)の一種です。
かぶれは、湿疹の中でも外的要因による刺激で発症したとわかっているものを指し、何らかの原因物質に直接触れることで皮ふが赤く腫れたり、水ぶくれやブツブツができます。原因物質が触れていた部位だけが反応して症状が出ることが特徴です。
対してじんましんは、ぷっくりした赤みのある盛り上がりが突然あらわれ、数十分から数時間以内に消えるのが特徴ですが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。
じんましんは、かゆみがでたり、チクチクした痛みがあらわれる場合もあります。原因は、食べ物などのアレルギー反応によるものや、寒さ・暑さによる物理的刺激などさまざまあり、複数の原因が関係してじんましんが生じることもあります。
あせもに効く市販薬はある?
あせも(汗疹)は、汗の出口が詰まり、汗が皮膚に閉じ込められることで起こる、かゆみを伴う発疹です。
乳房の下や太ももの内側、わきの下など皮膚同士が接触する部分に発生しやすい症状です。
あせもに効く市販薬は以下の記事で紹介しています。