ロキソニン®(ロキソプロフェン)の市販薬|選び方と他の解熱剤との違いを解説
ロキソニン®(ロキソプロフェン)の市販薬の選び方
ロキソニン*1錠の有効成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した市販薬は、市場に複数販売されています。
ロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した市販薬の中には、ロキソプロフェンナトリウム水和物だけを配合した薬もあれば、ほかの有効成分を配合した薬もあります。
市販薬を選ぶときは、改善したい症状や自身の体質を基準にして選びましょう。
たとえば、胃が比較的弱い人は胃を守る成分を一緒に配合した薬を、風邪で喉の痛みも併発している場合は喉の炎症をおさえる成分を一緒に配合した薬を選びましょう。
2024年7月現在、販売されている主なロキソプロフェン製剤の市販薬の特徴は次の通りです。
| 特徴 | 商品例 | 
|---|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物のみ配合 | 
			 ロキソニン*1S など  | 
| 胃を守る成分を配合 | 
			 ロキソニン*1Sプラス など  | 
| 鎮痛補助成分を配合 | 
			
			 など  | 
ロキソニン*1(ロキソプロフェン)の市販薬|6種類紹介
ロキソニン*1は痛みをやわらげたり熱を下げる薬で、風邪や生理痛、頭痛といった日常的な痛み止めや解熱など、幅広い用途で使用されています。
処方薬ロキソニン*1錠の効能効果とロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されている市販薬の効能効果は次の通りです。
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
・関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
・手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
下記疾患の解熱・鎮痛
・急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
| 市販薬の主な用途 | 
			
  | 
|---|
2024年7月現在、販売されているロキソニン*1の有効成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した市販薬を紹介します。
ロキソニン*1S
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 
有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみのシンプル処方の市販薬です。
痛みや熱の原因物質(プロスタグランジン)をおさえ、鎮痛効果・解熱効果をあらわします。
眠くなる成分を含まない、比較的飲みやすい小粒錠です。
ロキソニン*1Sプラス
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物、酸化マグネシウム | 
解熱鎮痛成分のロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、胃を守る成分の酸化マグネシウムを配合しています。
眠くなる成分を含まない、比較的飲みやすい小粒錠です。
ロキソニン*1Sプレミアム
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | 
解熱鎮痛成分のロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、より鎮痛効果を高めるアリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェインが配合されています。
また、胃粘膜保護作用のあるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムも配合されています。
副作用で眠気が出ることがあるため、車の運転や機械の操作をする人は使用できません。
ロキソニン*1Sクイック
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | 
解熱鎮痛成分のロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、制酸作用・胃粘膜保護作用のあるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合しています。
服用後に錠剤がすばやく崩壊するのが特徴です。
その他、市販薬のロキソニン*1Sシリーズの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 
有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみのシンプル処方の市販薬です。
痛みや熱の原因物質(プロスタグランジン)をおさえ、鎮痛効果・解熱効果をあらわします。
眠くなる成分を含みません。
販売価格がリーズナブルなのが特徴です。
ロキソプロフェンT液
| 有効成分 | 
|---|
| ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 
大正製薬が販売しているロキソプロフェン製剤です。
有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみのシンプル処方で、液体タイプの内服薬です。
眠くなる成分は含まれていません。
処方薬ロキソニン*1錠60mgと市販薬ロキソニン*1Sの違い
処方薬のロキソニン*1錠60mgと市販薬のロキソニン*1Sの成分、成分量、添加物、錠剤の大きさ、剤形は同じです。
大きな違いとしては、錠剤の外観が異なっており、錠剤の割線や刻印が処方薬と市販薬では異なります。
また、市販薬のロキソニン*1S以外のロキソプロフェン製剤は、他の有効成分が配合されていたり、剤形が異なっていたりするなど、処方薬のロキソニン*1とは異なります。
ロキソニン*1の市販薬の購入・服用時に注意すべきこと
薬は含まれている成分によって適する体の状態は異なります。
体質や状態によっては、ロキプロフェンナトリウム水和物を配合した市販薬を使用できない場合があるため、注意が必要です。
| 市販ロキソプロフェン製剤の使用可否 | |
|---|---|
| 15歳未満 | 
			 ×  | 
| 妊娠(前期) | 
			 △  | 
| 妊娠(後期) | 
			 ×  | 
| 授乳中 | 
			 △  | 
| アスピリン喘息 | 
			 ×  | 
| インフルエンザ | 
			 △ (発熱外来等にかかりづらい場合に、一時的に)  | 
| 胃腸が弱い方 | 
			 △  | 
×:使用不可 △:使用できる場合がある
■15歳未満の子供
15歳未満の方は、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる成分が含まれる市販薬は基本的に服用できません。(ロキソプロフェンナトリウム水和物はNSAIDsに含まれます)
■妊娠中、または妊娠している可能性のある方
妊娠中の方が解熱鎮痛剤を使用する場合、基本的にはロキプロフェンナトリウム水和物が配合されている薬は使用できず、アセトアミノフェンのみが配合されている薬を使用します。
ただし、妊娠の経過や体調によって使用できる医薬品が異なるため、市販薬を服用するにあたってはかかりつけの医師に相談することをおすすめします。
妊娠後期(出産予定日の12週以内)では解熱鎮痛薬の成分が胎児に影響を与えるため服用しないでください。
■授乳中の方
授乳中の方は服用前に医師または薬剤師にご相談ください。
■アスピリン喘息をお持ちの方
アスピリン喘息を患っている方はNSAIDsを服用することで喘息症状が誘発されるおそれがあります。
そのため、ロキプロフェンナトリウム水和物が含まれている薬は使用できません。
■インフルエンザ罹患中の方
発熱外来等の受診が難しい場合、発熱症状の緩和のため一時的に使用することができます。
しかし、次の症状がある場合や、3~5日ほど服用しても発熱が繰り返される場合など症状が重い場合は医療機関を受診してください。
・ 呼吸困難や息切れがある
・ 胸の痛みが続いている
・ 嘔吐や下痢を繰り返す
・ 発熱が3日以上続いている
・ 症状が悪化してきた
また高齢者、妊婦、基礎疾患のある方は、早めに医療機関を受診しましょう。
なお、ロキソプロフェン製剤は、頭痛や発熱には効果をあらわしますが、インフルエンザウイルスをおさえる効果はありません。
■胃腸が弱い方
ロキプロフェンナトリウム水和物は胃腸障害をおこすおそれがあります。
服用して胃腸の調子が悪くなった経験がある方がロキプロフェンナトリウム水和物が含まれている薬を使用する場合は、医師や薬剤師、登録販売者に相談しましょう。
ワクチン接種後の発熱にロキソニン*1は使える?
新型コロナワクチン接種後の発熱に、ロキプロフェンナトリウム水和物を配合した解熱鎮痛薬を使用することは可能です。
ただし、ワクチンを受けた後、症状が出る前に予防的に使用することは推奨されていないため、予防としてあらかじめ使用することはやめましょう。
市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。(アセトアミノフェンは、低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でもご使用いただけますが、製品毎に対象年齢などが異なりますので、対象をご確認のうえ、ご使用ください。)
なお、人によってはロキソプロフェン製剤が使用できない可能性があるため、「ロキソニン*1の市販薬の購入・服用時に注意すべきこと」を確認してください。
ロキソニン*1(ロキソプロフェン)とカロナール®(アセトアミノフェン)の違い
処方薬のロキソニン*1錠とカロナール*2錠は配合されている成分が異なります。
ロキソニン*1錠の有効成分はロキプロフェンナトリウム水和物で、カロナール*2錠の有効成分はアセトアミノフェンです。
いずれも解熱鎮痛作用のある成分のため効能効果は似ていますが、作用機序や使える対象者などが異なります。
処方薬のロキソニン*1(ロキソプロフェンナトリウム水和物)とカロナール*2(アセトアミノフェン)の主な違いは次の通りです。
ただし、アセトアミノフェン製剤であっても市販薬のなかには小児が使用できないものもあるため、服用前に添付文書をしっかり確認しましょう。
| アセトアミノフェン | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | |
|---|---|---|
| 解熱鎮痛作用 | ◯ | ◯ | 
| 抗炎症作用 | △ | ◯ | 
| 胃腸障害の副作用 | 比較的起こりにくい | 起こることがある | 
| 分類 | NSAIDsではない | NSAIDs | 
| 15歳未満への使用 | ◯ | 
			 × (小児への臨床試験未実施)  | 
| 妊娠中の使用 | ◯ | ×(△※1) | 
| 胃腸が弱い人への使用 | ◯ | △※2 | 
| インフルエンザへの使用 | ◯ | △※3 | 
※1 妊娠前期に使用できる場合があるが、妊娠後期は使用できない
※2 できれば望ましくないため、使用は医師と相談
※3 患者背景や症状から医師判断で使用する場合もある
ロキソニン*1(ロキソプロフェン)とカロナール*2(アセトアミノフェン)は併用できる?
基本的に、2種類以上の解熱鎮痛薬を併用することは、副作用が出る可能性が高くなるため避けたほうが良いこととされています。
ロキソニン*1とカロナール*2、またはロキソプロフェン製剤とアセトアミノフェン製剤についても同様に、原則併用はできません。
ただし、例外的に医師により併用を指示される場合がありますが、その際は医師の指示にしたがってください。
ロキソニン*1(ロキソプロフェン)とイブプロフェンの違い
ロキソプロフェンナトリウム水和物とイブプロフェンは、いずれも非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsに分類される薬です。
市販薬における違いとしては、リスク区分が異なることにより購入方法が変わることです。
2024年7月現在、市販のロキソプロフェン製剤は第1類医薬品に分類されており、対面・ネット販売問わず、薬剤師が適切な情報提供を行うなど一定の手続きを踏まないと購入ができない薬となっています。
一方、イブプロフェン製剤は指定第2類医薬品に分類されているため、薬剤師からでなくともドラッグストアやネットなどで購入することが可能です。
購入のしやすさという点では、イブプロフェン製剤に利点があります。
※1ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。
※2カロナールはあゆみ製薬株式会社の登録商標です。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル

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