妊娠中に酔い止めを飲んでも大丈夫?
乗り物酔いに効く酔い止めに含まれている成分のほとんどは、自然流産や先天異常の発生のリスクを高めることはないという報告がされています。
また、基本的に使用回数・量も限られているため適切に使用すれば問題ないことがほとんどです。
ただし、酔い止めの服用については、妊娠の経過や体調などが個々で大きく異なるため、まずはかかりつけの医師へご相談いただくことをおすすめします。
また、つわりの症状としての吐き気や嘔吐には、乗り物酔いに効く酔い止めを含む市販薬は使えないためご注意ください。
市販の酔い止め
妊婦さんでも比較的安全にお使いいただける酔い止めを紹介します。いずれの薬も、乗り物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の症状を予防したり、軽減します。
ただし、服用の際には、事前にかかりつけの医師や薬剤師へご相談ください。
センパア トラベル1
センパア トラベル1 6錠【第二類医薬品】
特徴 |
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✔️乗り物酔いの予防にも、酔ってからでも使える ✔️1日1回まで ✔️水なしで飲める(グレープフルーツ風味) |
抗ヒスタミン成分『クロルフェニラミンマレイン酸塩』が酔った時の吐き気(嘔吐)やめまいなどの症状をおさえます。
加えて、抗コリン成分『スコポラミン臭化水素酸塩水和物』が主に乗り物酔いの症状を予防します。
1日1回の服用のため、お出かけ前の服用で済みます。また、水なしでかみくだくチュアブル錠のため、乗り物酔いの気持ち悪い時や場所を選ばずにすぐ服用したい時などにも使えます。
眠気や目のかすみが出ることがあるので、服用後の車の運転や危険な作業はできません。
センパア・QT
センパア・QT 6錠【第二類医薬品】
特徴 |
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✔️乗り物酔いの予防にも、酔ってからでも使える ✔️1日2回まで ✔️水なしで飲める |
抗ヒスタミン成分『d-クロルフェニラミンマレイン酸塩』が含まれているため、酔った時の症状をおさえるために使えます。
抗コリン成分『スコポラミン臭化水素酸塩水和物』も配合されており、主に乗り物酔いの症状を予防します。
1日2回まで服用できるため、車やバスによる比較的短時間の移動で必要に応じてこまめに服用したいなどの場合におすすめです。また、水なしでかまずに素早く溶けるタイプのため、乗り物酔いの気持ち悪い時や場所を選ばずにすぐ服用したい時などにもおすすめです。
眠気や目のかすみが出ることがあるので、服用後の車の運転や危険な作業はできません。
酔い止めに含まれる成分に関する研究結果
この記事で紹介している酔い止めに含まれる成分について、報告されている医学的研究結果を紹介します。
●クロルフェニラミンマレイン酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
どちらも、抗ヒスタミン成分に分類されます。抗ヒスタミン成分は、脳の嘔吐中枢の興奮をおさえ、内耳前庭での自律神経反射を抑制するため、乗り物酔いによる吐き気(嘔吐)やめまいなどの症状を緩和します。
複数の研究で、妊娠初期に抗ヒスタミン薬を服用した20万例以上の妊婦において、先天奇形の増加は認められなかったとの報告がされています。
●スコポラミン臭化水素酸塩水和物
抗コリン成分に分類されます。抗コリン成分は、副交感神経を抑制して自律神経の乱れを調整し、吐き気などが起こらないようにします。
母児881組の例において、流産や奇形発生のリスクを高めるという報告はされていません。ただし、分娩前に他の抗コリン成分の薬とともにスコポラミンが投与された例では、新生児に傾眠などの毒性が認められたとの報告があり、分娩に近い時期の投与には注意が必要とされています。
使用上の注意
酔い止めを服用後は、眠気や目のかすみ、異常なまぶしさ等の症状が現れることがあるため、乗り物または機械類の運転操作をしないでください。
他の薬との飲み合わせ
次の薬については成分が重なるため、酔い止めを服用している間は服用しないようにしてください。
- 他の乗り物酔い薬
- 風邪薬
- 解熱鎮痛薬
- 鎮静薬
- 鎮咳(ちんがい)去痰薬
- 胃腸鎮痛鎮痙(ちんけい)薬
- 抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、アレルギー用薬等)
乗り物酔いの対策
妊娠中の乗り物酔いの対策として、酔い止めをあらかじめ服用しておくことも考えられますが、乗り物酔いをしやすい方は次の点にもご注意ください。
- バス・船・飛行機などに乗る前夜は、睡眠不足にならないよう気をつけましょう。
- 当日は、食べすぎたり、空腹になったりしないよう、適量の食事をとりましょう。
- 座席は、揺れの少ない前方の席や換気のよい窓側の席に座りましょう。
- 窓から遠くの景色を眺めたり、おしゃべりなどで気分をまぎらわしましょう。