虫歯の痛み止め|市販薬の選び方や予防方法を解説
虫歯の主な症状
虫歯の主な症状は以下の通りですが、虫歯と似たような痛みを感じる疾患として、知覚過敏があります。
| 虫歯の主な症状 |
|---|
|
・熱いものや冷たいものを口に含むと歯がしみる ・痛みが持続する ・叩くと響くような鋭い痛み |
知覚過敏の場合は、刺激を感じたその時だけ痛みを感じますが、叩いても強い痛みはありません。また見た目についても、虫歯は歯の溝が黒ずんでいたり、穴が空いていたりしますが、知覚過敏は歯の根元が露出することで長く見えたりするなどの違いがあります。
知覚過敏による歯の痛みにも、この記事で紹介している痛み止め(飲み薬と塗り薬)を使うことができますが、あくまでも一時的におさえるだけのため、なるべく早く歯科を受診してください。
虫歯の痛み止めの種類と選び方
歯の痛みが虫歯と疑われる場合、市販の飲み薬や塗り薬で一時的に痛みをおさえることができます。
飲み薬は、歯科でも処方される痛み止め(解熱鎮痛薬)で、同じ有効成分の薬が市販されています。飲むだけのため、使いやすいことが特徴です。
塗り薬は、虫歯に直接作用するため、年齢問わず、妊娠中・授乳中の方にとっても使いやすい薬です。ただし妊娠中・授乳中は体調が変化しやすいため、医師に相談してから使用しましょう。
虫歯の痛みに使える市販薬は様々な種類がありますが、いずれかご自身の使いやすい薬をお選びいただけます。ただし、市販薬はあくまでも一時的に痛みを緩和する対症療法のため、虫歯が悪化する前にできるだけ早く歯科を受診してください。
虫歯の痛み止め|飲み薬
虫歯の痛み止め(解熱鎮痛薬)には、含まれる成分ごとにそれぞれ特徴があるため、特徴に合わせて使いやすい方を選びましょう。
痛み止め(解熱鎮痛薬)に含まれる成分
痛み止め(解熱鎮痛薬)に含まれる成分は、歯科でもよく処方されているロキソプロフェンなどのNSAIDsと呼ばれるグループとアセトアミノフェンの2つに大きく分けられます。
●NSAIDsとは?
NSAIDsは、非ステロイド性抗炎症薬の略称で、炎症や痛みをおさえる作用がある薬の総称です。痛みの元となるプロスタグランジンの生成をおさえます。
ロキソプロフェンの他にも、イブプロフェンなどの解熱鎮痛成分がNSAIDsに分類されます。
ロキソプロフェン・イブプロフェンの特徴
NSAIDsに分類されるロキソプロフェンやイブプロフェンは、アセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いとされています。
ただし、市販薬では15歳未満の方は服用できず、副作用として胃腸障害が生じることがあるため注意しましょう。
15歳未満の方にはアセトアミノフェンがおすすめ
アセトアミノフェンの市販薬には、15歳未満の方が服用できる小児用の薬もあります。
また、NSAIDsの特徴のひとつである胃腸障害が起こりにくく、授乳中の方にも使いやすい薬です。
| 特徴 | |
|---|---|
| ロキソプロフェン ・ イブプロフェン |
・市販薬では15歳未満は服用できる薬がない ・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい |
| アセトアミノフェン |
・15歳未満も服用できる小児用の薬がある ・NSAIDsに比べて解熱鎮痛効果がおだやか ・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい |
ロキソニンSクイック
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
15歳以上 |
ロキソプロフェンナトリウム水和物 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム |
ロキソプロフェンナトリウム水和物が痛みをおさえ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが胃粘膜を保護し、胃を守ります。眠くなる成分は含まれていません。
すばやく溶ける錠剤タイプです。
ロキソニンSプラス
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
15歳以上 |
ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
ロキソニンSプラスは、ロキソプロフェンナトリウム水和物に加え、胃の粘膜を保護する効果のある酸化マグネシウムを配合しています。眠くなる成分は含まれていません。
小型の錠剤タイプです。
リングルアイビーα200
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
15歳以上 | イブプロフェン |
有効成分がイブプロフェンのみのシンプルな薬です。イブプロフェン1回の服用量は、市販薬として最大の200mgを1日3回まで服用できます。眠くなる成分は含まれていません。
ナロンエースPREMIUM
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
15歳以上 |
イブプロフェン エテンザミド 乾燥水酸化アルミニウムゲル |
痛みのもとをブロックするイブプロフェンの他に、痛みの伝わりをおさえるエテンザミドや、胃粘膜を保護し、胃の荒れを防ぐ乾燥水酸化アルミニウムゲルが配合されています。
眠くなる成分は含まれていません。
タイレノールA
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
15歳以上 | アセトアミノフェン |
ロキソプロフェンやイブプロフェンに比べ、痛み止めとしての効果はおだやかですが、胃への副作用が出にくく、空腹時でも服用できます(※)。また、眠気を催すこともありません。
(※)歯の痛みに服用する場合は、空腹時でも服用できますが、風邪による悪寒・発熱がある時には、なるべく空腹時を避け服用する必要があります。
小児用バファリンCⅡ
| 対象年齢 | 有効成分 |
|---|---|
|
3~14歳 |
アセトアミノフェン |
3歳から15歳未満のお子様専用の薬です。眠くなる成分も含まれていないため、就学中のお子様でも服用できます。
フルーツ味で飲みやすい小粒の錠剤です。
虫歯の痛み止め|塗り薬
新今治水は、キャンフェニック処方(カンフル・フェノール・アルコールに配分)と呼ばれる歯痛をおさえる処方を応用してつくられた市販薬です。虫歯や歯の根など歯の痛いところに直接作用するため、お子様からお年寄り、妊娠中・授乳中の方にもお使いいただけます。ただし、妊娠中や授乳中は体質や体調が変化することがあるため、事前に医師にご相談いただくと安心です。
薬剤を付属の綿球にしみこませ、虫歯の穴へ押し込んだり歯の表面に塗って使用します。
虫歯の痛みの対処法
虫歯が痛くてなかなか眠れない、病院にすぐ行けないなどの時には、痛み止めを服用する以外に以下のような対処法もあります。
●患部を冷やす
氷をくるんだタオルや水で濡らしたタオルで頬側から冷やす、もしくは解熱シートを頬に貼ると、血流が鈍くなって痛みをやわらげることができます。ただし、ひどい虫歯などで痛みが強い場合、冷やすとかえって痛みが増すことがあるので様子を見て判断しましょう。
●口の中を掃除する
歯や歯茎に詰まった食べかすが神経を圧迫していることもあるため、歯ブラシやぬるま湯で口をゆすぐなどして、口の中をきれいにします。
気をつけた方がよいこと
虫歯の痛みを感じている時に気をつけた方がよいこともいくつかあります。
●歯を触る
痛んでいる歯を触ってしまうと、刺激を与えることで痛みが増すことがあります。手の雑菌が患部に付き、症状が悪化する可能性もあるため、必要以上に歯をいじるのはやめましょう。
●お酒を飲む
アルコールの摂取は一時的に痛覚が鈍くなることもありますが、血液の循環が盛んになると神経が圧迫され、かえって痛みが増すこともあります。
●熱い風呂、激しい運動など
血行をよくすることで痛みを増幅させてしまうため、患部を直接温めるのはもちろん、体を温めるような行為はお控えください。
虫歯の予防方法
虫歯予防の専門的な処置として、歯科ではフッ素塗布が行われますが、毎日のセルフケアとしてフッ素配合の歯磨き粉などを活用し、虫歯を予防することができます。
フッ素は、歯の表面を覆うエナメル質から酸が原因で溶け出したカルシウムやリンを補うこと(再石灰化)を促進します。また、虫歯の原因菌の働きを弱め、エナメル質を強化することで虫歯への抵抗力を高めます。
フッ素配合の歯磨き粉には、大人用と子ども用があります。また、歯磨き粉に含まれるフッ素は、フッ化ナトリウムなどの化合物の形で含まれています。薬用歯みがき類の製造販売承認基準では、フッ化物イオン濃度は1,500ppm以下に定められており、1,450ppm程度までのものが販売されています。
歯磨き粉の年齢別使用量とフッ化物濃度の目安
厚生労働省のe-ヘルスネットによる、年齢別の効果的な使用量とフッ化物濃度の目安は以下の通りです。6歳以下の幼児期(特に1〜3歳)にフッ化物を過剰に摂取すると、歯の表面がまだら状に白くなるフッ素症にかかりやすくなってしまいます。ご自身の年齢に合ったフッ化物濃度の歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
また、吐き出しのできない低年齢のお子様には、ジェル状(500ppm)・泡状・液体(スプレー式)のものの使用をおすすめします。
| 使用量 | 歯磨き粉のフッ化物濃度 | |
|---|---|---|
| 歯の生え始め〜2歳(※) | 1~2mm程度 | 500ppm(泡状は1,000ppm) |
| 3歳〜5歳 | 5mm程度 | 500ppm (泡状・モノフルオロリン酸ナトリウム配合の歯磨き粉は1,000ppm) |
| 6歳〜14歳 | 1.5~2cm程度 | 1,000ppm |
| 15歳以上 | 2cm程度 | 1,000ppm~1,500ppm |
(※)幼児期においては、仕上げ磨きは保護者の方が行うことが推奨されています。
フッ素配合の歯磨き粉|大人用
虫歯だけでなく、知覚過敏や歯周病を予防します。さらにバクテリアを殺菌し、口臭も予防します。フレーバーの種類は、ダブルミントとナチュラルハーブの2種類あります。
フッ化物濃度は、1,450ppmです。6歳未満は使用できません。
フッ素が口腔内のすみずみまで広がりやすいソフトペーストで、低研磨・低発泡・低香味タイプです。フレーバーは、マイルドピュアミントの他にマイルドシトラスミントもあります。
フッ化物濃度は、1,450ppmです。
フッ素配合の歯磨き粉|子ども用
フッ化物と食品で使われる成分からできています。ジェル状で、キシリトール配合(湿潤剤)、お子さまのデリケートな歯質を傷付けにくいソフトな清掃剤(無水ケイ酸)を使用しています。発泡剤無添加でミントタイプの香料は入っておりません。
フッ化物濃度は、500ppmです。
1歳6か月頃から使用できます。
フッ化物と食品で使われる成分からできています。泡立ちをおさえた透明ジェルタイプで、キシリトール(天然素材甘味剤)配合です。
歯磨きデビュー頃の年齢から使用できます。
フッ化物濃度については、メーカーに問い合わせたところ、「具体的な配合量は公開しておらずお応えすることはできませんが、1000ppmの約半分程度の量を配合しております。」という回答を得ています。(2021年11月時点)
フッ素を残すための歯磨きの工夫
虫歯予防に効果のあるフッ素をできるだけ長く歯に留めるために、普段の歯磨きにおいて以下のような工夫をしてみましょう。
●すすぎは少ない水で1回
吐き出した後に何度も口の中をすすいでしまうと、口の中に残るフッ素の量が少なくなってしまいます。そのため、歯磨き後は10~15mlの少ない水で5秒間程度ブクブクと1回だけすすぐことをおすすめします。
また、歯磨き後1~2時間は飲食を控えるとさらに効果的です。
●就寝前の歯磨きを忘れないようにしましょう
寝ている間は唾液の分泌が少なくなり、口の中の自浄作用が低下するため、細菌が繁殖しやすい状態になります。寝る前の歯磨きはフッ素配合の歯磨き粉で丁寧に行い、虫歯予防を心がけましょう。


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