花粉による鼻水や鼻づまりに効く点鼻薬を紹介|市販薬の選び方【花粉症】
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薬剤師監修日:
花粉による鼻水や鼻づまりなどには、ステロイドのみが配合された点鼻薬又は、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬が、第一選択薬にあげられています。なお、ステロイド点鼻薬には眠くならないという特徴があるため、副作用による眠気が気になる方は、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬ではなくステロイドのみが配合された点鼻薬の使用を検討すると良いでしょう。この記事では、花粉による鼻水や鼻づまりに効く市販薬の紹介や市販薬の選び方について解説しています。

花粉などによるアレルギー症状(鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血など)があらわれる理由
花粉などによるアレルギー症状(鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血など)は、空気中に浮遊する花粉などが鼻や目の粘膜に付着することであらわれます。
空気中に浮遊している花粉などが鼻や目の粘膜に付着すると、体の細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。
そして放出されたヒスタミンなどの物質によって、鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどの様々なアレルギー症状(アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎など)があらわれます。
アレルギー性結膜炎とは
アレルギー性結膜炎とは、花粉などの異物が目に侵入することによって、まぶたの裏側にある結膜に炎症が起こる状態のことで、かゆみや充血などの症状があらわれます。
花粉などによる目のアレルギー症状(目のかゆみや充血など)には、『アレルギー症状をおさえる目薬』を使いましょう。
花粉などによる目のアレルギー症状は、市販されている目薬で症状を軽減することができます。詳しくは以下の記事で解説しています。
アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜に入った花粉などの異物を排除しようとするアレルギー反応が過剰に起こる状態のことで、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状があらわれます。
花粉による鼻のアレルギー症状(鼻水や鼻づまり、くしゃみなど)には、『アレルギー症状をおさえる点鼻薬・飲み薬』を使いましょう。
花粉による鼻のアレルギー症状は、市販されている点鼻薬・飲み薬で症状を軽減できます。
花粉による鼻水や鼻づまりなどに効く点鼻薬の選び方
花粉による鼻のアレルギー症状(鼻水や鼻づまりなど)に効く点鼻薬・飲み薬には、様々な有効成分が配合されています。
有効成分によって役割が異なるため、ご自身の症状にあわせて薬を選ぶことが大切です。
市販の点鼻薬の選び方
市販の点鼻薬にはステロイド成分が配合されたものと、配合されていないものがあります。有効成分がステロイドのみの点鼻薬は、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬と同じく病院でも処方されています。
血管収縮剤が配合された点鼻薬は、特に鼻づまりが気になるときや鼻づまりで眠れないなどに、一時的な使用をおすすめします。
ステロイド点鼻薬と抗ヒスタミン成分配合の飲み薬の使い分けについて
ステロイド点鼻薬には『眠くならないという特徴』があるため、抗ヒスタミン薬の副作用による眠気が気になる方は、ステロイド点鼻薬の使用を検討してもよいでしょう。
ただしステロイド点鼻薬の場合は、ぜんそくや緑内障などの診断を受けた方や、鼻の中に傷がある方などは使用できません。(詳しくは使用前に薬の添付文書を確認してください)
ステロイド点鼻薬を使用できない場合は、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬の使用を検討しても良いでしょう。
花粉による鼻のアレルギー症状に効く飲み薬については、以下の記事で解説しています。
花粉による鼻水や鼻づまりなどに効く市販の点鼻薬を紹介
市販の点鼻薬には、主にステロイド、血管収縮剤、抗ヒスタミン成分などの有効成分が含まれています。
市販の点鼻薬に配合されている主な有効成分と効果
ステロイドは、鼻の粘膜の炎症を抑えることで、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどを緩和する効果があります。
血管収縮剤は、腫れた鼻粘膜の充血をとることによって、鼻づまりを改善する効果があります。
抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑えることで、主に鼻水やくしゃみを緩和します。
市販の点鼻薬に含まれる 主な有効成分 |
効果 |
---|---|
ステロイド |
鼻水や鼻づまり、くしゃみなどを緩和 |
血管収縮剤 |
鼻づまりの改善 |
抗ヒスタミン成分 |
鼻水やくしゃみを緩和 |
ステロイドのみが配合された市販の点鼻薬
ステロイドのみが配合された点鼻薬については、アレルギー性鼻炎診療ガイドラインのなかで、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬と同じく、アレルギー性鼻炎の治療薬として推奨されています。
ステロイド点鼻薬には『眠くならないという特徴』があるため、花粉の薬による副作用が気になる人は、抗ヒスタミン成分配合の飲み薬ではなくステロイド点鼻薬の使用を検討してもよいでしょう。
商品画像 | 特徴 |
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・ステロイド『ベクロメタゾンプロピオン酸エステル』配合 ・液体タイプの点鼻薬
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・ステロイド『ベクロメタゾンプロピオン酸エステル』配合 ・患部でジェル化するため、液だれしにくいという特徴があります |
ナザールαAR0.1%|液体タイプの点鼻薬
ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用> 10mL 医療用と同成分配合 点鼻薬 (指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】

有効成分 | 注意点 |
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ベクロメタゾンプロピオン酸エステル |
18歳未満の方は使用できません |
ナザールαAR0.1%は、ステロイドであるベクロメタゾンプロピオン酸エステルが配合された、季節性アレルギー専用点鼻薬です。
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルが、鼻腔内のうっ血や炎症を抑えて、花粉による鼻づまり、鼻水、くしゃみに効果を発揮します。
効果・効能 |
---|
花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ |
パブロン鼻炎アタックJL|ジェルタイプの点鼻薬
パブロン鼻炎アタックJL〈季節性アレルギー専用〉 8.5g【指定第二類医薬品】

有効成分 | 注意点 |
---|---|
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル |
18歳未満の方は使用できません |
パブロン鼻炎アタックJLは、ステロイドであるベクロメタゾンプロピオン酸エステルが配合された、季節性アレルギー専用点鼻薬です。
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルが、鼻腔内のうっ血や炎症を抑えて、花粉による鼻づまり、鼻水、くしゃみに効果を発揮します。
パブロン鼻炎アタックJLは、患部で薬液がジェル化するため、液だれしにくい特徴があります。
効果・効能 |
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花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ |
血管収縮剤が配合された市販の点鼻薬
血管収縮剤配合の点鼻薬については、特に鼻づまりが気になる時や鼻づまりで眠れない時にだけ、一時的に使用するようにしましょう。
血管収縮剤は、腫れた鼻粘膜の充血をとることによって、鼻づまりを改善する効果があります。
商品画像 | 特徴 |
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・血管収縮剤『ナファゾリン塩酸塩』配合 ・抗ヒスタミン成分『クロルフェニラミンマレイン酸塩』配合 ・殺菌消毒成分『ベンザルコニウム塩化物』配合 ・一定量の薬液が噴射できるポンプタイプの点鼻薬 |
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・血管収縮剤『ナファゾリン塩酸塩』配合 ・抗ヒスタミン成分『クロルフェニラミンマレイン酸塩』配合 ・殺菌消毒成分『ベンザルコニウム塩化物』配合 |
ナザール「スプレー」(ポンプ)|一定量の薬液が噴射できる
ナザール「スプレー」(ポンプ) 30mL 点鼻薬 (第2類医薬品)【第二類医薬品】

有効成分 | 注意点 |
---|---|
・ナファゾリン塩酸塩 |
7歳未満の方は使用できません |
ナザール「スプレー」(ポンプ)は、血管収縮剤であるナファゾリン塩酸塩、抗ヒスタミン成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩などが配合された点鼻薬です。
ナファゾリン塩酸塩が、腫れた鼻粘膜の充血をとることによって、鼻づまりの症状に効果を発揮します。
またクロルフェニラミンマレイン酸塩が、鼻づまり、鼻水などの症状に効果を発揮します。
ナザール「スプレー」(ポンプ)は、一定量の薬液が噴射できるポンプタイプの点鼻薬です。
また一度スプレーした薬液が、容器内に逆流しないため衛生的です。
効果・効能 |
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アレルギー性鼻炎、急性鼻炎又は副鼻腔炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみ、頭重 |
ナザール「スプレー」|スクイーズタイプ
ナザール「スプレー」 30ml【第二類医薬品】

有効成分 | 注意点 |
---|---|
・ナファゾリン塩酸塩 |
7歳未満の方は使用できません |
ナザール「スプレー」は、血管収縮剤であるナファゾリン塩酸塩、抗ヒスタミン成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩などが配合された点鼻薬です。
ナファゾリン塩酸塩が、腫れた鼻粘膜の充血をとることによって、鼻づまりの症状に効果を発揮します。
またクロルフェニラミンマレイン酸塩が、アレルギー症状を緩和し鼻づまり、鼻水などの症状に効果を発揮します。
効果・効能 |
---|
アレルギー性鼻炎、急性鼻炎又は副鼻腔炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみ、頭重 |
市販の点鼻薬を使用するときの注意点
ここではナザールαAR0.1%、パブロン鼻炎アタックJL、ナザール「スプレー」(ポンプ)、ナザール「スプレー」(スクイーズ)を使用するときの注意点について解説しています。
点鼻薬を使用するときは、用法用量を守って正しく使用しましょう。
用法用量を守らずに使用すると、副作用がおこりやすくなる場合があります。
ナザールαAR0.1%・パブロン鼻炎アタックJLの用法用量
1回使用量 | 1日使用回数 |
---|---|
左右の鼻腔内にそれぞれ1噴射づつ | 2回(朝・夕) |
*18歳未満の方は使用しないでください。
*一日最大4回(8噴射)まで使用してもかまいませんが、使用間隔は3時間以上おいてください。
*他のステロイド点鼻薬の使用期間もあわせて、1年間に3か月を超えて使用しないでください。
*1週間くらい(1日最大4回、8噴射まで)使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、添付文書をもって医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
ナザール「スプレー」(ポンプ)・ナザール「スプレー」(スクイーズ)の用法用量
1回使用量 | 1日使用回数 |
---|---|
1〜2噴射 | 6回を限度として鼻腔内に噴射してください なお、適用間隔は3時間以上おいてください |
*7歳未満の方は使用しないでください。
*過度に使用すると、かえって鼻づまりを起こすことがあります。
*3日くらい使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、添付文書をもって医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
*スクイーズタイプの場合:噴射後、鼻腔内に先端部分をいれたまま押していた手の力をぬくと、鼻水などが容器内に吸いこまれてしまう原因になるので注意してください。
市販の点鼻薬に関するQ&A
ここでは市販の点鼻薬に関するQ&Aについて解説しています。
去年購入した点鼻薬を使用してもいいですか?
使用期限(外箱及びラベルに記載)を過ぎた点鼻薬は、使用しないでください。
なお、外箱及びラベルに記載されている使用期限は、『未開封状態』での点鼻薬の品質を保証する期間です。
開封後は使用方法・保管方法を守り、適切な期間内に使用するようにしてください。
開封後の点鼻薬の使用期限は商品によって異なるため、薬の添付文書や商品サイトなどをご確認ください。
ステロイドのみ配合の点鼻薬だけでは、鼻づまり、鼻水などの症状がよくならないときは?
ステロイドのみ配合の点鼻薬を使用しても効果が得られない場合は、鼻のアレルギー症状をおさえる飲み薬への変更を検討しても良いでしょう。薬の効果には個人差があるため、まずは医師・薬剤師に相談してみましょう。
■花粉などによる鼻のアレルギー症状に効く飲み薬
アレジンAZ錠【第二類医薬品】

アレジンAZ錠は、有効成分として第2世代の抗ヒスタミン成分のみが配合された飲み薬で『じん麻疹などによる皮膚のかゆみ、腫れや、花粉、ハウスダストなどによる鼻のアレルギー症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり)』を緩和します。
花粉などによる鼻のアレルギー症状に効く市販の飲み薬については、以下の記事で解説しています。
アレルギー性鼻炎の治療について
アレルギー性鼻炎の治療で最も大切なことは、アレルギーの原因となる物質を特定し、できるだけ遠ざけることです。
原因物質は、内科・小児科・皮膚科などでアレルギー検査を受けることで特定できることがあります。
アレルギー性鼻炎と思われる症状があり、原因がよく分からない場合は、まず病院を受診することをおすすめします。
また、次のいずれかに当てはまる場合も、一度病院を受診し適切な治療を受けましょう。
受診の目安 |
・原因物質が分からない |
---|
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