禁煙のコツ・方法
禁煙を効果的におこなうためには、禁煙開始後の離脱症状への備えをしておくことが大切です。
離脱症状は禁煙開始後2〜3日をピークに現れ、その後10〜14日ごろまで続きます。(個人差があります)
とくに禁煙開始後の2〜3日は、たばこが吸いたい欲求やイライラして落ち着かないなどの離脱症状が1日に複数回現れることがあります。
離脱症状への備えをしておくことは、禁煙中の喫煙欲求をコントロールする一つの手段になります。
禁煙中の喫煙欲求をコントロールする
禁煙中の喫煙欲求をコントロールする手段には、下記のようなものがあります。(下記の行動をとることで、必ず喫煙欲求をコントロールできるわけではありません)
たばこを吸いたくなる場面 | 代わりになる行動 |
---|---|
朝起きてすぐ | すぐに顔を洗う |
食事の後 | 歯磨き |
コーヒーと一緒に | コーヒーを紅茶に代える |
出勤中の車の中 | 大声で歌う |
仕事の休憩時間 | 職場の人に禁煙宣言をする |
帰宅時の車の中 | 深呼吸 |
アルコールとともに | 冷水を一緒に置いておき、 吸いたくなったら飲む |
厚生労働省|e-ヘルスネット 禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》より 引用
禁煙補助薬を使う
禁煙を効果的におこなうためには、禁煙補助薬の使用を検討するのが良いでしょう。
禁煙補助薬を使用すると、禁煙開始後の離脱症状が緩和されるため、薬を使わない場合に比べて禁煙をおこないやすくなります。
禁煙補助薬とは?|医療用医薬品と市販薬の違い
禁煙補助薬には、禁煙外来で処方される医療用医薬品と、薬局・ドラックストアで購入できる市販薬があります。
バレニクリン
バレニクリンは、禁煙外来で処方されるニコチンを含まないタイプの禁煙補助薬です。
バレニクリンは、禁煙開始後の離脱症状を緩和するだけでなく、喫煙による満足感を抑える作用もあります。
ニコチンパッチ
ニコチンパッチは禁煙外来での処方、もしくは薬局・ドラックストアで購入できる禁煙補助薬です。
ニコチンパッチは、体に貼り皮膚からニコチンを吸収させることで、禁煙開始後の離脱症状を緩和します。
なお禁煙外来の場合、薬局・ドラックストアでは購入できない、用量の多いのニコチンパッチを処方してもらうことができます。
また、医療用医薬品の場合は1日1回1枚を『24時間』体に貼りますが、市販薬の場合は1日1回1枚を『起きてから寝るまで』体に貼ります。
■ニコチンパッチの種類・使い方
種類 | 使い方 | |
---|---|---|
医療用医薬品 | 30mg・20mg・10mg | 1日1回1枚を 『24時間』体に貼る |
市販薬 | 20mg・10mg | 1日1回1枚を 『起きてから寝るまで』体に貼る |
ニコチンガム
ニコチンガムは、薬局・ドラックストアで購入できる禁煙補助薬です。
ニコチンガムは、口の粘膜からニコチンを吸収させることで、禁煙開始後の離脱症状を緩和します。
なおニコチンガムの噛み方は、一般のチューインガムとは異なります。
■ニコチンガムの噛み方
1.ピリッとした味を感じるまで、15回程度噛みます。
2.ほほと歯茎の間に、約1分以上置きます。
3.『1と2』を約30分~60分間繰り返した後、紙などにつつんで捨てます。
禁煙に効果がある市販薬の選び方
禁煙の効果がある市販薬には、パッチタイプとガムタイプの2種類があります。(2022年2月時点)
どちらも効果はかわらないので、ご自身の状況にあわせて最適なタイプを選びましょう。
■ニコチンパッチをオススメする方
ニコチンパッチは、体に貼るタイプの禁煙補助薬になります。
ニコチンパッチは体に貼るだけで済むため、仕事などで日中にガムを噛むことが難しい方や、義歯などでガムを噛むことが難しい方にオススメです。
■ニコチンガムをオススメする方
ニコチンガムは、噛むタイプの禁煙補助薬になるため、湿布などで皮膚がかぶれやすい方にオススメです。
またニコチンガムには、口が寂しいときに噛める、使用量が調整できる(1日の最大使用個数は24個、禁煙開始時は1日4〜12個)というメリットがあります。
パッチタイプの市販の禁煙補助薬|ニコチネルパッチ
ニコチネルパッチは基本的に『トータル8週間』使用する禁煙補助薬で、最初の6週間はニコチネルパッチ20を、次の2週間はニコチネルパッチ10を使用します。
ただし禁煙によるイライラなどの症状がなくなり、禁煙を続ける意志が強く、禁煙を続けられる自信がある場合には、7週目以降は使用しなくても問題ありません。
商品画像 | 特徴 |
---|---|
・皮膚からニコチンを吸収させる ・禁煙時のイライラや集中困難などの症状を緩和 ・最初の6週間使用 |
|
・皮膚からニコチンを吸収させる ・禁煙時のイライラや集中困難などの症状を緩和 ・ニコチネルパッチ20を6週間使用後の、次の2週間使用 |
ニコチネルパッチ20|最初の6週間使用
ニコチネル パッチ20 14枚【第一類医薬品】
ニコチネルパッチ10|7週以降に使用
ニコチネル パッチ10 14枚【第一類医薬品】
有効成分 |
---|
ニコチン |
ニコチネルパッチは、ニコチンが配合された貼るタイプの禁煙補助薬です。
ニコチンが皮膚から吸収されることで、禁煙時のイライラや集中困難などの症状を緩和する効果があります。
ニコチネルパッチは基本的に『トータル8週間』使用する禁煙補助薬で、最初の6週間はニコチネルパッチ20を、次の2週間はニコチネルパッチ10を使用します。
ただし禁煙によるイライラなどの症状がなくなり、禁煙を続ける意志が強く、禁煙を続けられる自信がある場合には、7週目以降は使用しなくても問題ありません。
ガムタイプの市販の禁煙補助薬|ニコレット
商品画像 | 特徴 |
---|---|
・口の粘膜からニコチンを吸収させる ・禁煙時のイライラや集中困難などの症状を緩和 ・3か月をめどに使用 |
|
・使い方、効能はニコレットと同じ ・クールミント味のフレーバー |
|
・使い方、効能はニコレットと同じ ・フルーティーミント味のフレーバー |
ニコレット
ニコレット 96個【指定第二類医薬品】
有効成分 |
---|
ニコチン |
ニコレットは、ニコチンが含まれた噛むタイプの禁煙補助薬です。
ニコレットはニコチンを口の粘膜から吸収させることで、禁煙時のイライラや落ち着かないなどの症状を緩和します。
ニコレットは3か月をめどに使用する禁煙補助薬で、徐々に使用量を減らしながら使用します。
なおニコレットには、ニコレットクールミント、ニコレットフルーティミントなどのフレーバーがあります。(使い方・効能はかわりません)
ニコレットクールミント
ニコレットクールミント 96個【指定第二類医薬品】
ニコレットフルーティミント
ニコレットフルーティミント 96個【指定第二類医薬品】
ガムタイプの市販の禁煙補助薬|ニコチネルミント
商品画像 | 特徴 |
---|---|
・口の粘膜からニコチンを吸収させる ・禁煙時のイライラや集中困難などの症状を緩和 ・3か月をめどに使用 |
ニコチネルミント
ニコチネル ミント 90個【指定第二類医薬品】
有効成分 |
---|
ニコチン |
ニコチネルミントは、ニコチンが含まれた噛むタイプの禁煙補助薬です。
ニコチネルミントはニコチンを口の粘膜から吸収させることで、禁煙時のイライラや落ち着かないなどの症状を緩和します。
ニコチネルミントは3か月をめどに使用する禁煙補助薬で、徐々に使用量を減らしながら使用します。
市販薬での禁煙が難しいときは禁煙外来の受診を検討しましょう
処方される禁煙補助薬(バレニクリン)は、市販の禁煙補助薬とは作用が異なります。
そのため市販薬での禁煙が難しい場合も、禁煙外来で処方される禁煙補助薬(バレニクリン)を使用することで、禁煙がうまくいく場合があります。
なおは最近ではオンライン診療というサービスがあるため、病院にいかなくても診察や薬の処方をしてもらうこともできます。(医師の判断により、オンライン診療の利用ができない場合や、対面での通院を求められる場合があります。)
市販薬と医療用医薬品(バレニクリン)の作用の違い
市販の禁煙補助薬には禁煙開始時の離脱症状を緩和する作用がありますが、処方される禁煙補助薬(バレニクリン)の場合は禁煙開始時の離脱症状の緩和に加えて、喫煙による満足度や快感を抑える作用があります。
作用 | |
---|---|
市販の禁煙補助薬 | 禁煙開始時の離脱症状を緩和する |
処方される禁煙補助薬 (バレニクリン) |
禁煙開始時の離脱症状を緩和する 喫煙による満足度や快感を抑える |
市販の禁煙補助薬の使用方法・注意点
ここではニコチネルパッチ(10、20)・ニコレット(クールミント、フルーティミント)・ニコチネルミントの使用方法・注意点について解説します。
詳しい使用方法・注意点については、使用前に添付文書を確認してください。
ニコチネルパッチ(10、20)
ニコチネルパッチは基本的に『トータル8週間』使用する禁煙補助薬です。
最初の6週間は『ニコチネルパッチ20』を、1日1回1枚を起きてから寝るまで体に貼ります。
その後の2週間は『ニコチネルパッチ10』を、1日1回1枚を起きてから寝るまで体に貼ります。
ただし禁煙によるイライラなどの症状がなくなり、禁煙を続ける意志が強く、禁煙を続けられる自信がある場合には、7週目以降は使用しなくても問題ありません。
■ニコチネルパッチを貼る場所について
ニコチネルパッチを使用する場合は、両腕の肘から上部分、お腹、背中のいずれかに貼り、毎日貼る場所を変えるようにしてください。
また傷や皮膚の異常がある場所、ベルトラインや体毛の濃い場所は避けて貼るようにしてください。
ニコレット(クールミント、フルーティミント)・ニコチネルミント
ニコレット(クールミント、フルーティミント)・ニコチネルミントは『3か月をめど』に使用する禁煙補助薬です。
禁煙開始時は1日4〜12個からはじめて、状況に応じて使用個数を調整します。
1か月前後経過し禁煙になれてきたら、1週間ごとに1日の使用個数を1〜2個ずつ減らします。
最終的に1日の使用個数が1〜2個になった段階で使用をやめます。
なおニコレット(クールミント、フルーティミント)・ニコチネルミントを使用するときは、1日の最大使用個数を24個として、1回に2個以上をかまないようにしてください。
市販の禁煙補助薬を使用してはいけない方
下記の方は、市販の禁煙補助薬を使用しないでください。
・タバコを吸ったことのない方及び、現在タバコを吸っていない方 ・すでに他のニコチン製剤を使用している方 ・妊婦又は妊娠していると思われる方 ・授乳中の方 ・重い心臓病を有する方(3か月以内に心筋梗塞の発作を起こした方、重い狭心症と医師に診断された方、重い不整脈と医師に診断された方) ・急性期脳血管障害(脳梗塞,脳出血等)と医師に診断された方 ・うつ病と医師に診断された方 ・禁煙補助薬によりアレルギー症状(発疹・発赤,かゆみ,浮腫等)を起こしたことがある方 ・あごの関節に障害がある方*ガムタイプの場合 |
なお市販の禁煙補助薬を使用中、使用直後は、喫煙をしないでください。
またパッチタイプの禁煙補助薬を使用中は、サウナの使用や激しい運動はしないでください。