ラックビー(ビフィズス菌)と同じ成分の市販薬はある?
ラックビーは、『ビフィズス菌』を有効成分とする処方薬です。おなかの調子を整え、便秘や下痢などを改善する整腸剤のひとつでもあります。
ラックビーと同じビフィズス菌のみを含む整腸剤は市販されていませんが、ビフィズス菌のほかにさまざまな成分が配合された、ラックビーの代わりとなる整腸剤は、市販されています。
ただしラックビーR散の代わりに使える市販薬はない
ラックビーは、ラックビー微粒N、ラックビー錠、ラックビーR散と3種類の剤形があります。
なかでもラックビーR散は、病院で抗生物質や化学療法剤を処方されていることが前提で併用される整腸剤であるため、市販薬で同じような用途で使える薬はありません。
ラックビーの代わりとなる市販の整腸剤とは、厳密に言えば、ラックビー微粒Nとラックビー錠の代わりに使うことができる整腸剤です。
ラックビー(ビフィズス菌)と市販の整腸剤の違い
ラックビーと、代わりの整腸剤との違いは、ビフィズス菌の含有量と、ビフィズス菌以外の成分が含まれているかどうかです。
ビフィズス菌以外に含まれる成分のひとつに、ラクトミンがあります。ラクトミンとは、ビフィズス菌と同じ乳酸菌の1種で整腸作用があります。
また、ラックビーは、医師が患者さんの状態に応じて用法・用量を決め処方しますが、市販の整腸剤は、年齢により用法・用量があらかじめ決められています。
ビフィズス菌 (成人1日量) |
ラクトミン | その他 | |
---|---|---|---|
ラックビー微粒N/錠 | ◯ (30〜60mg) |
× | × |
わかもと整腸薬 | ◯ (72mg) |
◯ | × |
ビオフェルミンVC | ◯ (18mg) |
◯ | ビタミン |
新ビオフェルミンS細粒 | ◯ (18mg) コンク・ビフィズス菌末として |
× | コンク・フェーカリス菌末 コンク・アシドフィルス菌末 |
ラックビーの代わりの整腸剤が使える主な症状
ラックビーの代わりとなる市販の整腸剤は、腸内環境のバランスを改善することで、便通を整える効果がありますが、そのほかにも次のような症状に使うことができます。
ラックビーの代わりの整腸剤が使える主な症状 |
---|
整腸(便通を整える)、便秘、軟便、腹部膨満感 |
ラックビー(ビフィズス菌)の代わりとなる市販の整腸剤
ラックビーの代わりに使える市販の整腸剤には、それぞれ次のような特徴があります。
剤形や服用年齢、気になる症状などに応じてご自身に合うものを選びましょう。
商品画像 | 特徴 |
---|---|
・2種類のビフィズス菌+ラクトミン配合 ・錠剤 ・5歳以上 ・乳酸菌のみのシンプル処方 |
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・ビフィズス菌+ラクトミン+ビタミン配合 ・レモン色の小粒の錠剤 ・15歳以上 |
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・コンク(濃縮された)ビフィズス菌+フェーカリス菌+アシドフィルス菌配合 ・わずかに甘みのある細粒 ・生後3か月以上 ・赤ちゃんのお腹の調子が気になるママにも |
わかもと整腸薬
わかもと整腸薬 240錠(指定医薬部外品)
成分 | 特徴 | |
---|---|---|
・ビフィズス菌 |
剤形 | 錠剤 |
服用年齢 | 5歳以上 |
2種類のビフィズス菌とラクトミンという乳酸菌のみを配合した、シンプル処方の整腸剤です。
ビフィズス菌が主に大腸で、ラクトミン(乳酸菌の1種)が主に小腸で、それぞれ悪玉菌の増殖をおさえ、おなかの調子を整えます。
ビオフェルミンVC
ビオフェルミンVC 120錠【第三類医薬品】
成分 | 特徴 | |
---|---|---|
・ビフィズス菌 |
剤形 | レモン色の小粒の錠剤 |
服用年齢 | 15歳以上 |
ビオフェルミンVCは、2種類の乳酸菌(ビフィズス菌・ラクトミン)とビタミンの効果で、腸内フローラを整え、悪玉菌の増殖をおさえます。
レモンカラーの飲みやすいサイズの錠剤です。
新ビオフェルミンS細粒
新ビオフェルミンS細粒 45g
成分 | 特徴 | |
---|---|---|
・コンク・ビフィズス菌末 |
剤形 | わずかに甘みのある細粒 |
服用年齢 |
生後3か月以上 |
新ビオフェルミンS細粒に含まれる3種類の乳酸菌は、「コンク」という形で配合されています。「コンク」とは、「濃縮された」という意の「concentrated」からくる言葉です。
便秘になったり、緩くなったり、おなかの調子が乱れがちな赤ちゃんにも服用いただけます。
市販の整腸剤の選び方
市販の整腸剤は、おなかの症状に応じてさまざまな成分が配合されています。以下のような症状がある時はそれぞれの成分が含まれた薬を選びましょう。
おなかの症状 | 主な成分 |
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おなかが張った感じがする | 消泡剤など |
胃腸が弱り消化不良を 起こしている |
健胃生薬、消化酵素など |
整腸剤とは?
食生活や生活環境の変化、ストレスなどで腸の働きが低下すると、おなかが張る、ごろごろ鳴るなどさまざまな症状が起こります。整腸剤は腸内の環境を改善することで、おなかの症状を改善する薬です。
便の状態はさまざまな要因で変化しますが、腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えると、便秘にも軟便にもなります。整腸剤は、腸の善玉菌を増やし、悪玉菌とのバランスを整えるように働きかけるため、便秘と軟便の両方の症状に効果があります。
整腸剤と便秘薬・下痢止めとの使い分け
整腸剤は時間をかけて作用するため、「便秘や下痢の症状をすぐに改善したい」という場合は、便秘薬や下痢止めの方が適している場合もあります。
一般的に下痢止めといわれる薬は、腸の動きを止めたり過剰な水分や有害物質を吸着することで下痢を止めます。便秘薬は、腸を刺激したり、便をやわらかくすることで便秘を解消します。
こんな時・こんな方は、整腸剤を試してみるのがよいでしょう。
症状 | 整腸剤の使用が考えられるシーン |
---|---|
下痢 | ・妊娠・授乳中の方などで、下痢止めを使いたくない ・ウイルスや細菌感染による下痢で、市販の下痢止めの使用が適さない ・下痢止めを使用できる年齢に達していない など |
便秘 | ・妊娠・授乳中の方などで、便秘薬を使いたくない ・便秘薬を使用できる年齢に達していない など |
両方 | ・症状は治ったものの、普段からお腹が弱く、下痢や便秘になりやすいため腸を整えておきたい など |
市販の下痢止めやその選び方については、別記事で詳しく解説しています。
便秘薬については、こちらの記事をご参考にしてください。
市販の整腸剤に含まれている成分
市販の整腸剤に配合されていることが多い成分の一例を紹介します。以下の成分は、処方薬ラックビーには含まれていない成分です。
●ラクトミン
乳酸菌の仲間です。主に小腸で悪玉菌の繁殖をおさえ、腸内細菌のバランスを整えます。
●フェーカリス菌
乳酸菌の仲間です。主に小腸にすみつき、腸内フローラを整えます。また、ビフィズス菌やアシドフィルス菌など他の有益菌の増殖をサポートします。
●アシドフィルス菌
乳酸菌の仲間です。主に小腸に存在し、乳酸菌の中でも特に乳酸を多くつくる能力にすぐれ、有害物質をつくる悪玉菌の増殖をおさえます。
●消泡剤
腸内に溜まったガスに直接働きかけ、溜まったガスをつぶします。市販の整腸剤では、『ジメチルポリシロキサン』という成分の消泡剤が配合されています。
●ビタミン
他の栄養素の働きをサポートし、健康を維持する働きをします。
ラックビー(ビフィズス菌)の効果
ラックビーに含まれる『ビフィズス菌』は、乳酸菌の1種で、主に人間や動物の腸の中に存在する代表的な善玉菌です。
ビフィズス菌には、腸内で悪玉菌の繁殖をおさえ、悪玉菌によって発生する腸内の腐敗物を減らし、異常発酵を防止することで、腸の働きを良くする効果があります。
ラックビーはおならにも効く?飲んだらおならが増える?
食生活の乱れやストレスなどで腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えると、においのあるガスを発生させやすくなり、おならが臭くなることがあります。
ラックビーは、悪玉菌を減らして腸内環境を整えるほか、便中のアンモニア濃度を低下させる作用が報告されています。
また、ラックビー服用後は、お腹の張りを感じる方もいます。お腹の張りは、何らかの原因で腸内にガスがたまることで起こり、その結果ガスがおならとして出ることもあります。おならの症状が続いたり、ひどくなるようであれば、医師にご相談ください。
ラックビー(ビフィズス菌)の剤形
ラックビーには、微粒、錠剤、散剤(粉薬)と3種類の剤形があり、剤形によって含まれる成分や効能・効果が異なります。
微粒と錠剤に含まれる成分と、効能・効果は、次の通りです。
ラックビー微粒N・錠 | |
---|---|
成分 | ビフィズス菌 |
効能・効果 | 腸内菌叢の異常による諸症状の改善 |
一方、散剤は、抗生物質や化学療法剤の副作用で起こりやすい下痢や軟便を改善するために、組み合せて処方されます。
ラックビーR散 | |
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成分 | 耐性乳酸菌 |
効能・効果 | 下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善: ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ナリジクス酸 |