市販の吐き気止めの選び方
消化器官におけるなんらかの異常を原因として起こる場合が多い吐き気。
吐き気の原因はさまざまあり、原因によって市販薬で対処できるものとできないものに分かれます。
まずは、「何か思い当たる原因があるかどうか」を考えてみてください。原因不明の吐き気の場合は、脳や消化器、心臓や目などに病気が潜んでいる可能性もあります。また、次に当てはまるような場合も、適切な治療を受ける必要があるため、なるべく早く病院を受診してください。
病院を受診する目安 | ・吐き気の原因がわからない ・吐き気がずっと続いている ・吐き気のほかに下痢、発熱、腹痛など、他の症状もある ・市販薬を試しても、改善がみられない など |
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吐き気の原因と市販薬の対応可否
吐き気は、何が原因で起こっているかが市販薬が使えるかどうかの目安になります。
吐き気の原因別でみた、使える市販薬があるかどうかについては次の表をご覧ください。
市販薬で対処できない吐き気については、その理由を後述します。
吐き気の原因 | 市販薬の対応可否 |
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ストレス | ◯ |
ピル | × |
二日酔い | ◯ |
つわり | △(医師に要相談) |
生理痛 | ◯ |
めまい | × |
風邪 | ◯ |
食べ過ぎ・胃もたれ | ◯ |
胸焼け | ◯ |
食欲不振 | ◯ |
食あたり | × |
乗り物酔い | ◯ |
激しい頭痛(片頭痛を含む) | × |
薬の副作用 | × |
市販の吐き気止め|ストレスの場合
ストレスが原因で吐き気が起きるという方には、漢方薬があります。
漢方薬は、人の心と体を一つのものと捉え、心身両面からさまざまな不調を改善する薬です。
ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒
特徴 |
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・漢方薬|半夏厚朴湯 ・顆粒タイプ ・のどの奥に何か物がつまっている感じがするときに ・ストレスで気分がふさぎ、不安がずっと続くときに ・ストレスをためがちな方にも |
半夏厚朴湯は、漢方の考え方では生命活動のエネルギーとされる気のめぐりをよくし、のどや胃の緊張をやわらげることによって体内に気をめぐらせ、胃の症状も改善していく薬です。
気持ちをおだやかにさせ、不安や緊張感をやわらげます。
■効能効果
体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感 |
■用法用量
以下の量を、食前に水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、2回/日 ・7歳以上15歳未満:2/3包/回、2回/日 ・4歳以上7歳未満:1/2包/回、2回/日 ・2歳以上4歳未満:1/3包/回、2回/日 ・2歳未満:服用しないでください |
■有効成分
半夏厚朴湯エキス |
ツムラ漢方半夏瀉心湯エキス顆粒
特徴 |
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・漢方薬|半夏瀉心湯 ・顆粒タイプ ・みぞおちのつかえ感がある方に ・ストレスで胃腸症状が出るときに ・ストレスで緊張や不安を感じやすい方に |
「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」は、「気」の流れを助けて胃腸を守る作用をもつ医薬品です。
ストレス性の胃腸症状のある方に適しており、とくに胃やみぞおち周辺の症状のある方に効果を発揮します。
■効能効果
体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症 |
■用法用量
以下の量を、食前に水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、2回/日 ・7歳以上15歳未満:2/3包/回、2回/日 ・4歳以上7歳未満:1/2包/回、2回/日 ・2歳以上4歳未満:1/3包/回、2回/日 ・2歳未満:服用しないでください |
■有効成分
半夏瀉心湯エキス |
太田漢方胃腸薬Ⅱ
特徴 |
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・漢方薬|安中散加茯苓 ・顆粒タイプ ・心配事で胃が痛む方に ・暴飲暴食していないのに胃の不調を感じるときに |
太田漢方胃腸薬Ⅱは、安中散加茯苓という漢方薬からなる薬です。安中散加茯苓に含まれる生薬をそのまま粉砕したものと、生薬の有効成分を抽出・濃縮したエキスの両方が含まれています。粉砕した生薬が含まれているため、生薬本来の香り成分が胃の働きを整えます。
安中散加茯苓は、乱れた自律神経を整えることにより、胃腸を落ち着かせる効果があります。
■効能効果
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、神経過敏で胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱 |
■用法用量
以下の量を食間(就寝前を含む)または空腹時に、水またはぬるま湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・7〜14歳:2/3包/回、3回/日 ・7歳未満:服用しないでください |
■有効成分
安中散加茯苓末、安中散料加茯苓エキス |
体力中等度とはどのくらいの体力?
体力中等度がどのくらいの体力を示すかについては、通常の生活をするのに差し障りがない程度の体力と考えられています。
ただし体力などの条件についてはあくまでも目安となり、症状やその他の体質傾向が効能・効果に合えば、服用できる場合があります。気になる方は医師・薬剤師または登録販売者にご相談いただくことをおすすめします。
市販の吐き気止め|二日酔いの場合
二日酔いの原因は、一説によると、アルコールが分解されてできた「アセトアルデヒド」という有害物質が、肝臓でうまく処理しきれないことで起こると考えられています。
アセトアルデヒドは、吐き気や頭痛などを引き起こす働きがあり、お酒を飲み過ぎると、肝臓での処理が追いつかず解毒されないまま体内に残ることで、二日酔いの状態になります。
二日酔いに効く薬には、二日酔い全般の症状に効く薬と、胃の症状に効く胃薬など具体的な症状に効く薬があります。
アルピタン
特徴 |
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・漢方薬|五苓散 ・顆粒タイプ ・吐き気以外に、むくみ・頭痛・下痢などもある方に |
有効成分として漢方薬の五苓散が含まれている薬です。
五苓散には、余分な水分を体の外に出し、体内の水分バランスを整えることで、吐き気や下痢、頭痛などの二日酔いの症状をおさえる効果があります。
お酒を飲んだ次の日に顔がパンパンになる方、お酒を飲むとよくお腹をこわす方、お酒を飲んだ翌日にのどは渇くものの尿量が少ないという方などにおすすめです。
■効能効果
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、頭痛、はきけ、嘔吐、めまい、腹痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹※のものには使用しないこと)、暑気あたり、むくみ、頭痛、二日酔 |
(※)しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意をもよおすもののことです。
■用法用量
以下の量を食前または食間に水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・7歳以上15歳未満:2/3包/回、3回/日 ・4歳以上7歳未満:1/2包/回、3回/日 ・2歳上4歳未満:1/3包/回、3回/日 ・2歳未満:服用しないでください |
■有効成分
五苓散料エキス |
サクロン(顆粒)
特徴 |
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・荒れた胃粘膜を葉緑素から作られた緑の成分で修復・保護 ・顆粒タイプ ・胃がスーッとなる胃薬 ・胃痛や吐き気、胸焼けなどに |
アルコールにより刺激された胃粘膜を、葉緑素から作られた成分銅クロロフィリンカリウムで修復・保護する薬です。
胃粘膜を修復する成分のほかにも、出すぎた胃酸を中和する成分3種類や、胃酸の分泌をおさえ、痛みをやわらげる成分が含まれています。
吐き気のほかに、胃がムカムカしたり、キリキリ痛む方にも適しています。
■効能効果
胸やけ、飲みすぎ、胃痛、胃酸過多、胃もたれ、胃部不快感、胃部膨満感、胃重、 胸つかえ、げっぷ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐 |
■用法用量
以下の量を、食間および就寝前の空腹時に、水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・8歳以上15歳未満:1/2包/回、3回/日 ・8歳未満:服用しないでください |
■有効成分
銅クロロフィリンカリウム、無水リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ロートエキス |
そのほか、吐き気などの二日酔いの症状別に効く薬とその選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
市販の吐き気止め|生理痛の場合
生理中は、はがれ落ちた子宮内膜を経血として体の外に出す「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。プロスタグランジンの分泌が多いと、体の外に出すときの子宮の収縮が激しくなり、痛みが強くなるだけでなく、胃を収縮させ、胃のムカつきや辛い吐き気となってあらわれることもあります。
市販の痛み止めには、プロスタグランジンの生成をおさえる作用がある薬もあるため、生理中にあらわれる吐き気は、生理痛のための痛み止めで生理痛を軽くすることで、吐き気に対する効果も期待ができます。
ただし、生理中の吐き気があまりにひどいときや、なかなか症状が改善されないとき、毎月のように吐き気で悩まされているといった場合は、一度婦人科を受診していただくことをおすすめします。
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
特徴 |
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・ロキソプロフェンのみ配合 ・錠剤タイプ ・痛みの元となる物質をおさえる成分のみのシンプル処方 |
鎮痛成分ロキソプロフェンのみを配合したシンプル処方の錠剤です。
有効成分ロキソプロフェンナトリウム水和物が、痛みの元となるプロスタグランジンの生成をおさえ、痛みをやわらげます。
■効能効果
○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・ 筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
■用法用量
症状があらわれた時、以下の量をなるべく空腹時をさけて水またはお湯でかまずに服用してください。
・成人(15歳以上):1錠/回、2回まで/日 ・15歳未満の小児:服用しないでください |
*再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます
*服用間隔は4時間以上おいてください
■有効成分
ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
ロキソニンSプレミアムファイン
特徴 |
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・ロキソプロフェン、シャクヤクエキス、ヘスペリジン配合 |
鎮痛成分ロキソプロフェンナトリウム水和物に加え、子宮の過度な収縮をおさえるシャクヤク乾燥エキスと、冷えや血行不良にともなう痛みをやわらげるヘスペリジンを配合。気になる胃への負担を軽減する、胃を守る成分も配合されています。
生理特有のしめつけられるような下腹部痛のほか、生理にともなう腰痛・頭痛にも効果を発揮します。
■効能効果
〇月経痛(生理痛)・頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛 〇悪寒・発熱時の解熱 |
■用法用量
症状があらわれた時、以下の量をなるべく空腹時をさけて水またはぬるま湯で服用してください。
・成人(15歳以上):2錠/回、2回まで/日 ・15歳未満:服用しないでください |
*再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます
*服用間隔は4時間以上おいてください
■有効成分
ロキソプロフェンナトリウム水和物、シャクヤク乾燥エキス、ヘスペリジン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム |
その他の生理痛に効く市販薬については、以下の記事をご覧ください。
市販の吐き気止め|風邪の場合
熱があってだるく、吐き気をもよおしたり、おなかの調子がすぐれない状態のことを、一般に「胃腸にくる風邪」と呼ぶことがあります。
胃腸にくる風邪は、鼻やのどの呼吸器にくる、いわゆる普通の「風邪」と違って、胃腸に起こる炎症で、胃腸炎の一種ともいわれています。
吐き気をともなう風邪、胃腸炎に効く薬には、漢方薬の柴胡桂枝湯があります。
ただし、ロタウイルス、ノロウイルスなどのウイルスによる胃腸炎は、風邪の症状と似ていますが、吐き気や下痢の症状が強く、それが原因で脱水状態になることもあります。吐き気や下痢の症状が強く出ている場合には、一度受診することをおすすめします。
「クラシエ」漢方柴胡桂枝湯エキス顆粒A
特徴 |
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・漢方薬|柴胡桂枝湯 ・顆粒タイプ ・風邪がなかなか治らず、吐き気のほかに発熱・悪寒・頭痛のいずれかがある |
柴胡桂枝湯は、体の中の熱や炎症を鎮めながら、胃腸を元気にして体力を補うようにして、長引く風邪を改善する薬です。
吐き気や腹痛もあり、体力も落ちているという方に効果があります。
■効能効果
体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・はきけなどのあるものの次の諸症:胃腸炎、かぜの中期から後期の症状 |
■用法用量
以下の量を、食前または食間に水または白湯にて服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・15歳未満7歳以上:2/3包/回、3回/日 ・7歳未満4歳以上:1/2包/回、3回/日 ・4歳未満:服用しないでください |
■有効成分
柴胡桂枝湯エキス |
市販の吐き気止め|食べ過ぎ・胃もたれの場合
胃もたれは、食べ過ぎ・飲み過ぎ、加齢やストレスなどが影響し、胃の動きや消化機能が低下することで起こります。
胃もたれを感じたときは、胃の消化を助ける成分や弱った胃の働きを高める健胃生薬成分などが入った薬が効果的です。
太田胃散A錠剤
特徴 |
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・胃での消化を助ける成分+出過ぎた胃酸を中和する成分+健胃生薬成分配合 ・小粒で飲みやすい錠剤タイプ ・胃がもたれるときに ・胃の痛みや食欲がないときにも |
4種の消化成分が脂肪・たんぱく質を分解し、胃もたれなどの消化不良症状を改善します。
加えて、出過ぎた胃酸を中和する成分や、胃の働きを整える生薬成分なども含まれているため、食後よく胃がもたれるという方に適しています。
■効能効果
胃もたれ、食べすぎ、胃痛、胸やけ、食欲不振、消化不良、消化促進、飲みすぎ、胃酸過多、胸つかえ、胃部不快感、胃部・腹部膨満感、胃弱、胃重、嘔吐、げっぷ、はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心) |
■用法用量
以下の量を、食後または食間(就寝前を含む)に、水またはぬるま湯で服用してください。
・成人(15歳以上):3錠/回、3回/日 ・8〜14歳:2錠/回、3回/日 ・5〜7歳:1錠/回、3回/日 ・5歳未満:服用しないでください |
*食欲不振の場合は食前に服用してください
*かんで服用してもさしつかえありません
■有効成分
リパーゼAP6、プロザイム6、ビオヂアスターゼ1000、ウルソデオキシコール酸、炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、ケイヒ油、レモン油、ウイキョウ油 |
ベリチーム酵素
特徴 |
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・4種類の消化を助ける成分配合 ・顆粒タイプ ・胃がもたれるときに ・胃に残った感じで食欲がないときにも |
ベリチーム酵素は、食物を効率的に消化吸収させるために、現代人の食生活に合うように各種の消化酵素を組み合わせ、低下した消化機能を助けるためにつくられた医薬品です。
消化管内のphに合わせて溶けるコーティング技術で、2つの顆粒が胃と腸で効果を発揮します。
■効能効果
もたれ(胃もたれ)、食べ過ぎ(過食)、消化不良、消化不良による胃部・腹部膨満感、胸つかえ、消化促進、食欲不振(食欲減退) |
■用法用量
以下の量を食後なるべく30分以内に、水またはぬるま湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・11歳以上15歳未満:2/3包/回、3回/日 ・8歳以上11歳未満:1/2包/回、3回/日 ・5歳以上8歳未満:1/3/回、3回/日 ・5歳未満:服用しないでください |
■有効成分
ビオヂアスターゼ1000、リパーゼAP6、セルラーゼAP3、パンクレアチン |
タナベ胃腸薬ウルソ
特徴 |
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・消化を助ける成分配合 ・錠剤タイプ ・肝臓の機能を助けて胆汁分泌を促進 ・胃もたれ、消化不良に |
ウルソデオキシコール酸が肝臓に直接作用し、胆汁酸の分泌を促進することで、膵液の分泌を促進、胃排出を促進、膵リパーゼを活性化させ、脂肪による胃もたれ、消化不良を改善します。
■効能効果
もたれ(胃もたれ)、消化不良、消化不良による胃部・腹部膨満感、食欲不振(食欲減退)、 消化促進、食べ過ぎ(過食)、胸つかえ |
■用法用量
以下の量を、夕食前または夕食後に服用してください。
・成人(15歳以上):1錠/回、1回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
■有効成分
ウルソデオキシコール酸 |
別記事でも食べ過ぎ・胃もたれに効く市販薬を紹介しています。
市販の吐き気止め|胸焼けの場合
みぞおちあたりにヒリヒリと焼けるような不快感があったり、しみる感じがあることを胸焼けといいます。
胸焼けは、胃酸が逆流して食道に流れ込むことが原因です。通常、胃の粘膜は胃酸によって刺激を受けないように防御機能が備わっています。しかし、食道は胃酸に対する防御機能が弱いため、胃酸が逆流すると胸焼けや吐き気などの不快感が引き起こされることがあります。
胸焼けに効く薬は、過剰な胃酸の分泌をおさえる成分や、逆流した胃酸を中和する成分が含まれた薬を選びましょう。
ファモチジン錠「クニヒロ」
特徴 |
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・胃酸の分泌をおさえる成分のみ配合 ・糖衣錠タイプ ・食前・食間・食後いつでも服用できる |
胃酸分泌をおさえる成分ファモチジンのみを含有する胃腸薬です。
ストレスによる影響などで過多になった胃酸をコントロールし、胸焼けやむかつきをやわらげます。
空腹時でも服用できるため、胃の不快感があったときにいつでも服用することができます。ただし服用回数は、1日2回までです。
甘味のある糖衣錠です。
■効能効果
胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき |
■用法用量
胃痛、胸やけ、もたれ、むかつきの症状があらわれたとき、以下の量を、水またはお湯でかまずに服用してください。
・成人(15歳以上80歳未満):1錠/回、2回まで/日 ・小児(15歳未満):服用しないでください ・高齢者(80歳以上):服用しないでください |
*服用後8時間以上たっても症状が治まらない場合は、もう1錠服用してください
■有効成分
ファモチジン |
スクラート胃腸薬S(散剤)
特徴 |
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・胃粘膜を保護する成分+胃酸を中和する成分+消化酵素+健胃生薬配合 ・散剤(粉薬)タイプ ・食間・就寝前または食後に服用 |
有効成分スクラルファートが荒れた胃粘膜を保護・修復します。また、7種の健胃生薬が弱った胃の働きを高めます。
素早く溶ける散剤タイプです。
■効能効果
胃痛、もたれ(胃もたれ)、胃重、胃部膨満感、胃部不快感、消化不良、消化不良による胃部・腹部膨満感、消化促進、食欲不振(食欲減退)、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、吐き気(むかつき、二日酔・悪酔のむかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、胸つかえ、嘔吐、胸やけ、胃酸過多、げっぷ(おくび) |
■用法用量
以下の量を食間・就寝前または食後に、水またはぬるま湯にて服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
■有効成分
スクラルファート水和物、炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ビオヂアスターゼ2000、リパーゼAP12、健胃生薬末 |
その他の胸焼けに効く市販薬については、以下の記事で紹介しています。
市販の吐き気止め|食欲不振の場合
食欲不振は、ストレス、運動不足、過労などが原因となって、消化機能が低下することで起こります。
食欲が出ず、吐き気をもよおすようなときには、弱った胃の働きを高める生薬や胃での消化を助ける消化酵素などが含まれた胃腸薬がおすすめです。
大正漢方胃腸薬
特徴 |
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・漢方薬|安中散+芍薬甘草湯 ・微粒タイプ ・疲れた胃の調子を取り戻したいときに ・普段から胃腸が弱いと感じる方にも |
大正漢方胃腸薬は、本来の胃の働きを取り戻す「安中散」と、胃の緊張をほぐし痛みをやわらげる「芍薬甘草湯」という2つの漢方を組み合わせた薬です。
■効能効果
胃のもたれ、胃部不快感、胃炎、胃痛、げっぷ、食欲不振、腹部膨満感、胸つかえ、胸やけ、胃酸過多、腹痛、はきけ(むかつき、悪心) |
■用法用量
以下の量を、食前または食間に水又はぬるま湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・5歳〜14歳:1/2包/回、3回/日 ・5歳未満:服用しないでください |
■有効成分
安中散、芍薬甘草湯エキス |
第一三共胃腸薬プラス細粒
特徴 |
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・2種の消化酵素と乳酸菌配合で胃と腸に効く ・そのほか弱った胃に効く6つの生薬など配合 ・細粒タイプ ・胃に不調があり、軟便・便秘の症状も出やすい方に |
消化酵素と乳酸菌で、胃と腸をダブルケアする薬です。
消化酵素は胃にたまった食物の消化を助け、乳酸菌が腸内環境を改善し、腸の状態を正常に近づけます。
さらに弱った胃に効く6つの生薬に加えて、出過ぎた胃酸を中和する制酸剤や、荒れた胃の粘膜を修復する成分も含まれています。
■効能効果
○もたれ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸つかえ、食欲不振 ○胸やけ、胃痛、胃酸過多、胃重、胃部不快感、げっぷ ○消化不良、消化促進、胃弱、胃部・腹部膨満感 ○はきけ(むかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐 ○整腸(便通を整える)、軟便、便秘 |
■用法用量
以下の量を、食後に水またはぬるま湯で服用してください。
・15歳以上:1包/回、3回/日 ・11歳以上15歳未満:2/3包/回、3回/日 ・8歳以上11歳未満:1/2包/回、3回/日 ・5歳以上8歳未満:1/3包/回、3回/日 ・3歳以上5歳未満:1/4包/回、3回/日 ・3歳未満:服用しないでください |
■有効成分
タカヂアスターゼN1、リパーゼAP12、有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、オウバク末、ケイヒ末、ショウキョウ末、チョウジ末、ウイキョウ末、l-メントール、アルジオキサ、カンゾウ末 |
新セルベール整胃プレミアム錠
特徴 |
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・胃粘膜保護成分+生薬+消化酵素配合 ・錠剤タイプ ・食後に胃もたれを感じることが多くなった方 |
胃粘液を増やし胃を守る成分テプレノンが配合された薬です。
弱った胃を活発に動かす生薬や、脂肪を分解して消化を助ける消化酵素も含まれています。
■効能効果
胃もたれ、食べすぎ、食欲不振、胃部・腹部膨満感、胸やけ、飲みすぎ、はきけ(むかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、胸つかえ |
■用法用量
以下の量を、食後に水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1錠/回、3回/日 ・小児(15歳未満):服用しないでください |
■有効成分
テプレノン、ソウジュツ乾燥エキス、コウボク乾燥エキス、リパーゼAP6 |
パンシロンアクティブ55
特徴 |
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・胃での消化を助ける成分+出過ぎた胃酸を中和する成分+胃粘膜修復成分+健胃生薬成分配合 ・錠剤タイプ ・消化を助けるとともに胃腸を元気に動かす ・年齢による重たい胃や胃もたれ、むかつきに |
パンシロン アクティブ55は年齢などで増える重たい胃や、胃もたれ・胸やけ・不快感に効く胃腸薬です。3種の消化酵素を補って消化を助け、生薬(ケイヒ末)の力で胃腸を元気に動かします。
薬の配合成分が気になる方におすすめの処方設計※です。
※原薬としてナトリウム・アルミニウム・ロートエキスを配合しておりません。(生薬由来のナトリウム、アルミニウムは含む場合があります)
■効能効果
もたれ(胃もたれ)、胃重、消化促進、消化不良による胃部・腹部膨満感、胃酸過多、胸やけ、胃部不快感、胃部膨満感、胸つかえ、げっぷ(おくび)、吐き気(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、飲み過ぎ(過飲)、胃痛、食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ(過食) |
■用法用量
以下の量を、食後または食間・就寝前に、水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、3回/日 ・11歳以上15歳未満:2/3包/回、3回/日 ・8歳以上11歳未満:1/2包/回、3回/日 ・5歳以上8歳未満:1/3包/回、3回/日 ・3歳以上5歳未満:1/4包/回、3回/日 ・3歳未満:服用しないでください |
■有効成分
ビオヂアスターゼ2000、プロザイム6、リパーゼAP12、チンピ末、コウボク末、ケイヒ末、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、ボレイ末、カンゾウ末 |
市販の吐き気止め|乗り物酔いの場合
乗り物酔いは、車やバス、船などの乗り物の揺れが内耳に伝わると、目に映る景色や体で感じる知覚などのたくさんの刺激で脳が混乱し、自律神経が乱れることによって起きる反応です。
自律神経が乱れると、めまいや吐き気・嘔吐などの症状があらわれます。
乗り物酔いに効く酔い止めには、酔ってから使えるものだけでなく、酔わないように予防する薬があります。
トラベルミンR
特徴 |
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・酔ったときの症状や乗り物酔いの予防にも使える ・錠剤タイプ ・11歳以上 ・比較的眠くなりにくい |
酔ったときの症状を緩和する成分のほかにも、副交感神経を抑制して自律神経の乱れを調整し、吐き気などが起こらないようにする成分が含まれています。
比較的眠気の出にくい成分が配合されているため、移動する間も旅行を楽しみたい、眠くなるのは困るという方におすすめです。ただし、服用後の車の運転はしないでください。
11歳から服用できます。
■効能効果
乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和 |
■用法用量
乗物酔いの予防には、乗車船30分前に、以下の量を水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1錠/回、2回まで/日 ・11歳〜14歳:1錠/回、2回まで/日 ・11歳未満:服用しないでください |
*4時間以上の間隔をおいてください
■有効成分
ジフェニドール塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩水和物、無水カフェイン、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) |
センパア・QT
特徴 |
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・酔ったときの症状や乗り物酔いの予防にも使える ・水なしで飲めるチュアブルタイプ ・15歳以上 |
酔ってからの症状や、乗り物酔いの症状の予防に効く成分が配合されています。
また、口の中で素早く溶けるタイプのため、乗り物酔いの気持ち悪い時や場所を選ばずにすぐ服用したい時などにもおすすめです。眠気や目のかすみがあらわれることがあるため、服用後の車の運転はしないでください。
15歳から服用できます。
■効能効果
乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和 |
■用法用量
乗物酔いの予防には、乗車船30分前に、以下の量を口中で溶かして服用してください。
・成人(15歳以上):1錠/回、2回まで/日 ・15歳未満:服用しないでください |
*4時間以上の間隔をおいてください
■有効成分
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩水和物 |
トラベルミンチュロップぶどう味
特徴 |
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・酔ったときの症状や乗り物酔いの予防にも使える ・水なしで服用できるドロップタイプ ・5歳以上 |
トラベルミン チュロップぶどう味は、乗りもの酔いによるめまい・吐き気などの症状を予防・緩和するためのお薬です。
ドロップタイプなので、出発前のあわただしいときや気分が悪くなったときでも、その場ですぐに服用できます。
5歳のお子さまから大人まで服用できます。
■効能効果
乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和 |
■用法用量
乗物酔いの予防には、乗車船30分前に、以下の量をかむか、口中で溶かして服用してください。
・成人(15歳以上):2錠/回、2回まで/日 ・11歳〜14歳:2錠/回、2回まで/日 ・5歳〜10歳:1錠/回、2回まで/日 ・5歳未満:服用しないでください |
*4時間以上の間隔をおいてください
■有効成分
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩水和物 |
これ以外にも、乗り物酔いをしやすい方必見、ポイント別に整理した酔い止めの選び方と具体的な薬は、こちらで紹介しています。
子ども向けの市販の吐き気止めはある?
子ども向けの市販の吐き気止めについて、乗り物酔いによる吐き気であれば、お子様用の酔い止めが販売されています。
ただし、乗り物酔い以外による吐き気や嘔吐があったときには、注意が必要です。嘔吐以外に高熱、下痢、ぐったりして元気がないなどの普段と違う様子がみられる場合は、早めに病院を受診しましょう。
小さなお子様に関していうと、激しく泣いたり、食べ過ぎたりなどで嘔吐することがあり、ほかに症状がなく元気があるようならば、病院の受診は不要な場合もあります。
市販の吐き気止めで坐薬(座薬)はある?
病院で処方される薬には吐き気止めとしての坐薬がありますが、市販の吐き気止めで坐薬はありません。
坐薬は、肛門から入れて、すぐ近くにある直腸の粘膜から吸収されるタイプの薬です。飲み薬に比べると吸収されるまでの時間が短く、効果が早く出ます。
飲み薬を嫌がったり、うまく飲めなかったりするお子様などに坐薬を処方されることがあります。
市販薬で対処できない吐き気とその理由
ピル
ピルを飲み始めた頃は、ホルモンバランスの変化により吐き気などがみられることがありますが、治療を続けるうちに体が慣れて症状は落ち着きます。
吐き気の程度が強いようならば、場合によっては医師がピルの変更や中止を検討することもあるため、処方してもらった医師へご相談ください。
つわり
つわりに適応のある漢方薬として、「半夏厚朴湯」が市販されています。ただし、妊娠中は、妊娠時期やお母さんと赤ちゃんの状態、その他薬の性質などを総合的に考慮し、安全に使用できる薬を選ぶ必要があるため、服用前にかかりつけ医にご相談いただくと安心です。
特につわりがひどい場合、もしくは体重減少や脱水症状などがみられる場合はすぐに受診をしてください。
めまい
吐き気をともなうめまいは、脳疾患などの初期症状の可能性もあり、場合によっては検査を行う必要があるため、一度病院を受診してください。
食あたり
吐き気や嘔吐のほかに、激しい下痢、発熱、腹痛などがともなう場合は、食あたり(食中毒)や細菌・ウイルス感染も考えられるため、すみやかに病院を受診しましょう。
安易に市販の胃薬や下痢止めを使って嘔吐や下痢を止めてしまうと、症状が長引いたり重症化することもあります。
また、市販の整腸剤や正露丸が食あたりに使えることもあります。ただし、自己判断で使える市販薬で様子をみて、食中毒などの症状が進行してしまう可能性もあるため、症状がひどいときには受診をおすすめします。
病院での治療では、そのときあらわれた症状への対応が中心となりますが、原因となるウイルスや細菌が、からだの外に出てしまえば自然におさまるため、特別な治療を必要としないこともあります。そのため、特に吐き気止めを使用せず、腸内環境を整える整腸剤で様子をみるということも考えられます。
激しい頭痛(片頭痛を含む)
吐き気や嘔吐をともなう激しい頭痛は、場合によって、脳や体に命に関わる重大な病気が潜んでいるかどうかを調べる必要があるため、一度病院を受診してください。
薬の副作用
病院で処方された薬の副作用として、飲み始めたばかりのとき、胃がムカムカしたり吐き気が起きることがあります。また、飲み始めの時期だけではなく、しばらくの間服用していても、それまでなかった副作用が急にあらわれることもあります。
吐き気などの薬の副作用と疑われる症状がある場合は、服薬の継続をすべきかについて医師・薬剤師にご相談ください。