ミナカラ
アセトアミノフェンの効果・副作用|頭痛や喉の痛みに効く市販薬を紹介
更新日
2024.06.18
薬剤師監修日
2024.06.18

アセトアミノフェンの効果・副作用|頭痛や喉の痛みに効く市販薬を紹介

アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬の一つで、頭痛や生理痛、腰痛、筋肉痛、歯痛などのさまざまな痛みを鎮める鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。 解熱鎮痛薬にはアセトアミノフェン以外に、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)があります。アセトアミノフェンとNSAIDsでは、効果や特徴が異なります。 この記事では、アセトアミノフェンの効果・副作用や、NSAIDsとの違い、アセトアミノフェンが配合された市販薬について解説しています。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする
  • はてなブックマークでブックマークする
  • noteで書く
編集
高橋 伊津美
監修薬剤師
ミナカラ薬局薬剤師高橋 伊津美
朝比奈 裕介
編集者
株式会社ミナカラライター朝比奈 裕介

アセトアミノフェンの効果は?

アセトアミノフェンには、頭痛や生理痛、腰痛、筋肉痛、歯痛などのさまざまな痛みを鎮める鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。

アセトアミノフェンが痛みや熱に効果をあらわす仕組み

アセトアミノフェンが、痛みや熱に効果をあらわすのは、以下の作用があると考えられているからです。

・痛みを抑制する信号を活性化させることで、痛みを緩和する

・体温を調節する中枢神経に作用して、熱を下げる

効果がでるまでの時間と持続時間

アセトアミノフェンを服用してから効果が出るまでのおおよその時間は、薬の最高血中濃度到達時間で決まります。また、効果の持続時間は、血中濃度半減期で決まります。

一般的に、最高血中濃度到達時間が短いほど早く効果が発揮されやすく、血中濃度半減時間が長いほど長く効果が続きやすい傾向にあるといえます。

ただし、薬の効果の感じ方には個人差があるため、効果が出るまでの明確な時間や持続時間を示すことはできません。

■カロナール®錠200mg・300mg・500mg

以下のデータは、カロナール錠200mg・300mg・500mgの添付文書より引用したものです。血中濃度の動きは、体調や環境、個人差、用量により変わるため、参考程度にとどめてください。

 最高血中濃度
到達時間
血中濃度
半減期
カロナール錠200mg
(2錠)
0.27〜0.65時間
(16〜39分)
2.08〜2.64時間
(2時間4分〜2時間38分)

アセトアミノフェンとカロナールの効果は同じ?

アセトアミノフェンが配合された医療用医薬品には、先発医薬品であるカロナール錠200・300・500mgや、後発医薬品であるアセトアミノフェン「ハチ」などがあります。

先発医薬品と後発医薬品では、効果に大きな違いはありません。どちらも鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。

■カロナール錠200・300・500mg

○各種疾患及び症状における鎮痛

○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

○小児科領域における解熱・鎮痛

■アセトアミノフェン「ハチ」

○下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症

○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

○小児科領域における解熱・鎮痛

アセトアミノフェンと他の解熱鎮痛薬の効果の違い

痛みや熱に効果をあらわす解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェンの他に、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)があります。

アセトアミノフェンとNSAIDsでは、効果と特徴が異なります。

アセトアミノフェン

・NSAIDsに比べて効果がおだやか

・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい

NSAIDs

・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い

・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい

・イブプロフェンやロキソプロフェン、アスピリンなどの成分がある

アセトアミノフェンは、NSAIDsに比べて効果がおだやかですが、胃腸障害が比較的起こりにくいという特徴があります。

また、アセトアミノフェンが配合された市販薬には、15歳未満の子どもが服用できる小児用の薬もあります。

一方、NSAIDsは、アセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いとされていますが、副作用として胃腸障害があらわれることがあります。

なお、NSAIDsが配合された市販薬には、15歳未満の子どもが服用できない薬もあります。

■NSAIDsの効果

NSAIDsには、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用があります。また、NSAIDsの成分には、イブプロフェンやロキソプロフェン、アスピリンなどがあります。

NSAIDsの仕組みや注意点、NSAIDsが配合された市販薬については、以下の記事で詳しく解説しています。

アセトアミノフェンの副作用は?

アセトアミノフェンを服用するときは、用法・用量を守って正しく服用してください。また、副作用と思われる症状があらわれた場合は、病院を受診するようにしましょう。

ここでは、医療用医薬品であるカロナール錠と、市販薬であるタイレノールで報告されている副作用を紹介します。

カロナール錠|医療用医薬品

カロナール錠(アセトアミノフェン)では、以下のような副作用が報告されています。

・吐き気

・嘔吐

・食欲不振

・チアノーゼ など

また、重大な副作用として以下のものが報告されています。

・薬剤性過敏症症候群

・間質性肺炎

・肝機能障害 など

■薬剤性過敏症症候群

薬剤性過敏症症候群では、初期症状として発疹や発熱があらわれます。

さらに、症状が進行すると、肝機能障害やリンバ節の腫れ、白血球の増加などの重篤な過敏症状があらわれることがあります。

タイレノール|市販薬

アセトアミノフェンが配合された市販薬(タイレノール)では、以下のような副作用が報告されています。

・発疹・発赤、かゆみ

・吐き気・嘔吐、食欲不振

・めまい など

また、重大な副作用として以下のものが報告されています。

・肝機能障害

・腎障害

・間質性肺炎 など

■肝機能障害

かゆみや発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿などの症状があらわれます。

■腎障害

発疹や尿量の減少、全身のむくみなどの症状があらわれます。

■間質性肺炎

軽度な作業での息切れや息苦しさ、空咳が急にあらわれたり、続いたりします。

アセトアミノフェンが配合された市販薬

商品名
【第2類医薬品】小児用バファリンCII 16錠
【第2類医薬品】小児用バファリンCII 16錠
【第2類医薬品】ラックル 12錠
【第2類医薬品】ラックル 12錠
【第2類医薬品】ムヒのこども解熱鎮痛顆粒 8包
【第2類医薬品】ムヒのこども解熱鎮痛顆粒 8包
形状錠剤錠剤顆粒
用法・用量11歳以上15歳未満:1回6錠、1日3回まで
7歳以上11歳未満:1回4錠、1日3回まで
3歳以上7歳未満:1回3錠、1日3回まで
3歳未満:服用しないこと
成人(15歳以上):1回1錠、1日3回まで
15歳未満:服用しないこと
7歳以上11歳未満:1回1包、1日3回まで
3歳以上7歳未満:1回2/3包、1日3回まで
1歳以上3歳未満:1回1/2包、1日3回まで
1歳未満:服用しないこと
特徴・子ども専用解熱鎮痛薬
・眠くなる成分は無配合
・3歳から飲める
・アセトアミノフェンのみ配合
・1歳から飲める子ども専用の解熱鎮痛薬
・眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含まない
・イチゴ味の顆粒剤
Amazonで詳細を見るAmazonで詳細を見るAmazonで詳細を見る

タイレノールA

タイレノールAは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。頭痛などの痛みや、熱などに効果をあらわします。

なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。

ラックル

【第2類医薬品】ラックル 12錠

ラックルは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。水にすぐ溶けるタイプの速溶錠です。

パッケージには「腰痛 神経痛に早く効く」と記載されていますが、他のアセトアミノフェン配合薬と同様に、発熱や頭痛などの症状にも効果をあらわします。

なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。

小児用バファリンCⅡ

【第2類医薬品】小児用バファリンCII 16錠

小児用バファリンCⅡは、子ども用(3歳〜15歳未満)の解熱鎮痛薬(フルーツ味)です。眠くなる成分が含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。

なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。

ムヒのこども解熱鎮痛顆粒

【第2類医薬品】ムヒのこども解熱鎮痛顆粒 8包

ムヒのこども解熱鎮痛顆粒は、子ども用(1歳〜11歳未満)の解熱鎮痛薬(イチゴ味)です。眠くなる成分が含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。

なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。

アセトアミノフェンに関するQ&A

ここでは、アセトアミノフェンに関するQ&Aについて紹介します。

Q1 新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みにアセトアミノフェンは使用できる?

厚生労働省は新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みに対して、アセトアミノフェンや、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの解熱鎮痛薬が使用できると公表しています。※予防目的での服用は推奨されていません。

ただし、症状が重い場合や、咳やのどの痛み、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状がみられる場合、数日が経過しても改善しない場合は病院を受診してください。

市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。(アセトアミノフェンは、低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でもご使用いただけますが、製品毎に対象年齢などが異なりますので、対象をご確認のうえ、ご使用ください。)

引用:厚生労働省|新型コロナワクチンQ&A

以下の記事では、新型コロナワクチン接種後の副反応(発熱や痛み)に使える市販薬を紹介しています。

Q2 新型コロナウイルスの感染疑いがある時にアセトアミノフェンは使用できる?

発熱や咳などの症状があらわれた場合、まずは抗原定性検査キットでセルフチェックをしましょう。

抗原定性検査キットは、国が承認した医薬品の抗原定性検査キットを使用してください。国が承認した医薬品の抗原定性検査キットには、「体外診断用医薬品」もしくは「第1類医薬品」と明記されています。

病院を受診する前に解熱鎮痛薬を使用したいときは、基本的に市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を服用しても問題ありません。ただし、解熱鎮痛薬の種類や服用する方の年齢や体質によっては、服用をさけたほうがよい場合もあるため注意が必要です。

Q3 インフルエンザにアセトアミノフェンは使用できる?

インフルエンザの疑いがある場合は、アセトアミノフェンが含まれた市販薬が使用できます。

なお、インフルエンザの疑いがある場合は、年代に関わらず、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれた市販薬の使用を避けましょう。因果関係がはっきりとしていないことが多いですが、NSAIDsを使用するとインフルエンザ脳症のリスクが高まるという報告もあります。

インフルエンザの症状に効く市販薬については、以下の記事で紹介しています。

Q4 妊娠中、授乳中にアセトアミノフェンは使用できる?

妊娠中・授乳中のアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬の使用については、場合によっては赤ちゃんへ影響をおよぼす薬もあるため注意が必要です。

■妊娠中の場合

『産婦人科診療ガイドライン2020』によると、妊娠中の解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが勧められています。

市販薬でもアセトアミノフェンを含む薬は数多く販売されていますが、妊娠の経過や体調・体質は個々で異なり、アセトアミノフェンが服用できない可能性もあるため、服用する前にかかりつけ医に相談してください。

なお、妊娠中の場合はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に注意が必要です。妊娠後期にNSAIDsを使うと動脈管という血管が収縮し、胎児に影響が出るおそれがあるため、妊娠後期は服用が禁止されています。

妊娠中の薬の使用については、妊娠時期や薬の性質を考慮しながら使用できる薬を選ぶ必要があるため、まずはかかりつけ医に相談することが大切です。

■授乳中の場合

国立成育医療研究センターでは『授乳中に安全に使用できると考えられる薬』として、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが紹介されています。したがって、軽い頭痛などですぐに病院を受診できない場合はアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが配合された薬を使用するとよいでしょう。

ただし、薬によっては解熱鎮痛成分以外の成分が一緒に配合されている、他の薬との飲み合わせや授乳頻度など気をつけなければいけないこともあるため、市販薬を購入する際は薬剤師に相談することをおすすめします。

また、服用の際は添付文書に記載の使用期間や用法・用量を守り、服用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合はかかりつけの産婦人科や内科を受診しましょう。

以下の記事では、妊娠中・授乳中に使用できる市販の解熱鎮痛薬について解説しています。

※カロナールはあゆみ製薬株式会社の登録商標です。

かかりつけ医をオンラインで。医師によるオンライン診療で薬を処方。ミナカラ e-クリニック。
監修薬剤師
高橋 伊津美
ミナカラ薬局薬剤師
高橋 伊津美
【経歴】

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
編集者
朝比奈 裕介
株式会社ミナカラライター
朝比奈 裕介
看護師歴10年の経験をいかして、『正確でわかりやすい』医療情報の発信をおこないます。ミナカラのライターとして、ヘルスケアがもっと身近で感動的になる世界をつくっていきます。

この記事は参考になりましたか?

ご利用に当たっての注意事項
  • 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
  • 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
  • より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
  • 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について

掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。