アセトアミノフェンの効果は?
アセトアミノフェンには、頭痛や生理痛、腰痛、筋肉痛、歯痛などのさまざまな痛みを鎮める鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。
アセトアミノフェンが痛みや熱に効果をあらわす仕組み
アセトアミノフェンが、痛みや熱に効果をあらわすのは、以下の作用があると考えられているからです。
・痛みを抑制する信号を活性化させることで、痛みを緩和する ・体温を調節する中枢神経に作用して、熱を下げる |
効果がでるまでの時間と持続時間
アセトアミノフェンを服用してから効果が出るまでのおおよその時間は、薬の最高血中濃度到達時間で決まります。また、効果の持続時間は、血中濃度半減期で決まります。
一般的に、最高血中濃度到達時間が短いほど早く効果が発揮されやすく、血中濃度半減時間が長いほど長く効果が続きやすい傾向にあるといえます。
ただし、薬の効果の感じ方には個人差があるため、効果が出るまでの明確な時間や持続時間を示すことはできません。
■カロナール錠200mg・300mg・500mg
以下のデータは、カロナール錠200mg・300mg・500mgの添付文書より引用したものです。血中濃度の動きは、体調や環境、個人差、用量により変わるため、参考程度にとどめてください。
最高血中濃度 到達時間 |
血中濃度 半減期 |
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カロナール錠200mg (2錠) |
0.27〜0.65時間 (16〜39分) |
2.08〜2.64時間 (2時間4分〜2時間38分) |
アセトアミノフェンとカロナールの効果は同じ?
アセトアミノフェンが配合された医療用医薬品には、先発医薬品であるカロナール錠200・300・500mgや、後発医薬品であるアセトアミノフェン「ハチ」などがあります。
先発医薬品と後発医薬品では、効果に大きな違いはありません。どちらも鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。
■カロナール錠200・300・500mg
○各種疾患及び症状における鎮痛 ○下記疾患の解熱・鎮痛 ○小児科領域における解熱・鎮痛 |
■アセトアミノフェン「ハチ」
○下記の疾患並びに症状の鎮痛 ○下記疾患の解熱・鎮痛 ○小児科領域における解熱・鎮痛 |
アセトアミノフェンと他の解熱鎮痛薬の効果の違い
痛みや熱に効果をあらわす解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェンの他に、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)があります。
アセトアミノフェンとNSAIDsでは、効果と特徴が異なります。
アセトアミノフェン |
・NSAIDsに比べて効果がおだやか ・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい |
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NSAIDs |
・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい ・イブプロフェンやロキソプロフェン、アスピリンなどの成分がある |
アセトアミノフェンは、NSAIDsに比べて効果がおだやかですが、胃腸障害が比較的起こりにくいという特徴があります。
また、アセトアミノフェンが配合された市販薬には、15歳未満の子どもが服用できる小児用の薬もあります。
一方、NSAIDsは、アセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いとされていますが、副作用として胃腸障害があらわれることがあります。
なお、NSAIDsが配合された市販薬には、15歳未満の子どもが服用できない薬もあります。
■NSAIDsの効果
NSAIDsには、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用があります。また、NSAIDsの成分には、イブプロフェンやロキソプロフェン、アスピリンなどがあります。
NSAIDsの仕組みや注意点、NSAIDsが配合された市販薬については、以下の記事で詳しく解説しています。
アセトアミノフェンの副作用は?
アセトアミノフェンを服用するときは、用法・用量を守って正しく服用してください。また、副作用と思われる症状があらわれた場合は、病院を受診するようにしましょう。
ここでは、医療用医薬品であるカロナール錠と、市販薬であるタイレノールで報告されている副作用を紹介します。
カロナール錠|医療用医薬品
カロナール錠(アセトアミノフェン)では、以下のような副作用が報告されています。
・吐き気 ・嘔吐 ・食欲不振 ・チアノーゼ など |
また、重大な副作用として以下のものが報告されています。
・薬剤性過敏症症候群 ・間質性肺炎 ・肝機能障害 など |
■薬剤性過敏症症候群
薬剤性過敏症症候群では、初期症状として発疹や発熱があらわれます。
さらに、症状が進行すると、肝機能障害やリンバ節の腫れ、白血球の増加などの重篤な過敏症状があらわれることがあります。
タイレノール|市販薬
アセトアミノフェンが配合された市販薬(タイレノール)では、以下のような副作用が報告されています。
・発疹・発赤、かゆみ ・吐き気・嘔吐、食欲不振 ・めまい など |
また、重大な副作用として以下のものが報告されています。
・肝機能障害 ・腎障害 ・間質性肺炎 など |
■肝機能障害
かゆみや発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿などの症状があらわれます。
■腎障害
発疹や尿量の減少、全身のむくみなどの症状があらわれます。
■間質性肺炎
軽度な作業での息切れや息苦しさ、空咳が急にあらわれたり、続いたりします。
アセトアミノフェンが配合された市販薬
商品画像 | 特徴 |
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・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 ・錠剤タイプ |
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・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 ・速溶錠タイプ |
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・眠くなる成分無配合 ・3〜15歳未満 ・錠剤タイプ ・フルーツ味 |
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・眠くなる成分無配合 ・1〜11歳未満 ・顆粒タイプ ・イチゴ味 |
タイレノールA
タイレノールA 10錠【第二類医薬品】
タイレノールAは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。頭痛などの痛みや、熱などに効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ラックル
ラックル 12錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
ラックルは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。水にすぐ溶けるタイプの速溶錠です。
パッケージには「腰痛 神経痛に早く効く」と記載されていますが、他のアセトアミノフェン配合薬と同様に、発熱や頭痛などの症状にも効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
小児用バファリンCⅡ
小児用バファリンC2 16錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
小児用バファリンCⅡは、子ども用(3歳〜15歳未満)の解熱鎮痛薬(フルーツ味)です。眠くなる成分が含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒【第二類医薬品】
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒は、子ども用(1歳〜11歳未満)の解熱鎮痛薬(イチゴ味)です。眠くなる成分が含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
アセトアミノフェンに関するQ&A
ここでは、アセトアミノフェンに関するQ&Aについて紹介します。
Q1 新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みにアセトアミノフェンは使用できる?
厚生労働省は新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みに対して、アセトアミノフェンや、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの解熱鎮痛薬が使用できると公表しています。※予防目的での服用は推奨されていません。
ただし、症状が重い場合や、咳やのどの痛み、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状がみられる場合、数日が経過しても改善しない場合は病院を受診してください。
市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。
以下の記事では、新型コロナワクチン接種後の副反応(発熱や痛み)に使える市販薬を紹介しています。
Q2 新型コロナウイルスの感染疑いがある時にアセトアミノフェンは使用できる?
発熱など新型コロナウイルスの感染疑いがある場合、まずはかかりつけ医か受診・相談センターに電話しましょう。
病院を受診する前に解熱鎮痛薬を使用したいときは、基本的に市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を服用しても問題ありません。ただし、解熱鎮痛薬の種類や服用する方の年齢や体質によっては、服用をさけたほうがよい場合もあるため注意が必要です。
Q3 インフルエンザにアセトアミノフェンは使用できる?
インフルエンザの疑いがある場合は、アセトアミノフェンが含まれた市販薬が使用できます。
なお、インフルエンザの疑いがある場合は、年代に関わらず、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれた市販薬の使用を避けましょう。因果関係がはっきりとしていないことが多いですが、NSAIDsを使用するとインフルエンザ脳症のリスクが高まるという報告もあります。
インフルエンザの症状に効く市販薬については、以下の記事で紹介しています。
Q4 妊娠中、授乳中にアセトアミノフェンは使用できる?
妊娠中・授乳中のアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬の使用については、場合によっては赤ちゃんへ影響をおよぼす薬もあるため注意が必要です。
■妊娠中の場合
『産婦人科診療ガイドライン2020』によると、妊娠中の解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが勧められています。
市販薬でもアセトアミノフェンを含む薬は数多く販売されていますが、妊娠の経過や体調・体質は個々で異なり、アセトアミノフェンが服用できない可能性もあるため、服用する前にかかりつけ医に相談してください。
なお、妊娠中の場合はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に注意が必要です。妊娠後期にNSAIDsを使うと動脈管という血管が収縮し、胎児に影響が出るおそれがあるため、妊娠後期は服用が禁止されています。
妊娠中の薬の使用については、妊娠時期や薬の性質を考慮しながら使用できる薬を選ぶ必要があるため、まずはかかりつけ医に相談することが大切です。
■授乳中の場合
国立成育医療研究センターでは『授乳中に安全に使用できると考えられる薬』として、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが紹介されています。したがって、軽い頭痛などですぐに病院を受診できない場合はアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが配合された薬を使用するとよいでしょう。
ただし、薬によっては解熱鎮痛成分以外の成分が一緒に配合されている、他の薬との飲み合わせや授乳頻度など気をつけなければいけないこともあるため、市販薬を購入する際は薬剤師に相談することをおすすめします。
また、服用の際は添付文書に記載の使用期間や用法・用量を守り、服用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合はかかりつけの産婦人科や内科を受診しましょう。
以下の記事では、妊娠中・授乳中に使用できる市販の解熱鎮痛薬について解説しています。