アコファイド(一般名:アコチアミド)は機能性ディスペプシアという疾患に対して日本で唯一適応を持っている薬であり、食前に飲むという特徴を持った薬です。

機能性ディスペプシアは消化管の疾患のひとつであり、長期にわたって胃もたれや心窩部痛などの症状があり、かつ器質的疾患が認められない状態です。原因として、ピロリ菌や胃酸の他、個人の性格や生活習慣、ストレスなども影響することがあると考えられており、うつや不安などの心理的要因が関係する場合もあるようです。

直接死に至るようなことはありませんが、生活の質に大きく影響してくる疾患であり、2007年に当時の総理大臣であった安倍首相が患っていたことが報道されたこともあって、近年注目を集めている疾患の一つです。

今回はこの機能性ディスペプシアの治療薬アコファイドについて解説していきます。


機能性ディスペプシアに対するアコファイドの効果

アコファイドは「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感,上腹部膨満感,早期満腹感」に対する効能・効果を有しており1)、日本において機能性ディスペプシアに対する適応を持っている唯一の薬です(2015年9月時点)。

アコファイドはアコチアミド塩酸塩水和物という成分の薬であり、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬という分類になります。アセチルコリン(ACh)は消化管を収縮させ、胃の運動を活発にする作用を持っており、AChEはこのAchを分解して胃の運動を調節すると考えられています。

アコファイドはAChEを阻害して、AChの分解を抑制するため、ACh量を増加させ、機能性ディスペプシアの原因となる低下した胃運動及び胃排出能を改善します2)

国内における臨床試験(治験)では、アコファイドを4週間服用した患者の改善率は52.2%であり、プラセボ(偽薬)を服用した患者より改善率が17.4%高かったという結果が得られています1)

 

食前の理由は?食後じゃダメ?アコファイドの用法・用量

アコファイドの用法・用量は「通常,成人にはアコチアミド塩酸塩水和物として1回100mgを1日3回,食前に経口投与する。」となっています。特徴的なのは食前に服用する点ですね。

食前に投与する理由としては、食前に服用した方が血中における薬の濃度が高くなる(≒効果が高くなる)ことが臨床試験によって示されています。アコファイド100mgを食前および食後に服用した時の最高血中濃度はそれぞれ69.24ng/mL、41.37ng/mLであり、食後の服用した場合は、食前に服用した時6割程度になってしまうことになります2)

このように食前に服用するという用法には科学的な根拠があり、正しい用法で飲まないと薬の効果が十分に発揮されない可能性が考えられます。アコファイドに限らず薬を飲む場合は、正しい用法・用量で使用することが重要となります。

 

アコファイドの副作用は?

アコファイドの主な副作用は下痢(2.1%),便秘(1.6%),悪心(0.8%),嘔吐(0.5%)などです。また、承認検査値関連では、血中プロラクチン増加(3.6%),ALT(GPT)増加(1.8%),γ-GTP増加(1.2%),血中トリグリセリド増加(1.0%),AST(GOT)増加(1.0%),血中ビリルビン増加(0.7%),白血球数増加(0.5%),血中ALP増加(0.5%)などです1)

基本的には消化器系の副作用、血中プロラクチン増加やAST、ALT、γ-GTPなどの肝機能系の臨床検査値異常に気をつけていれば良さそうですね。なお、重大な副作用は現時点ではあまり認められていないようです。

また、アコファイドは長期投与の臨床試験も実施していますが、長期投与に伴って副作用の発現率が著しく上昇するようなことは認められてなかったという結果になっています2)

このような状況から現時点でアコファイドは比較的安全性の高い薬と言って差し支えなさそうです。

 

1)アコファイド 添付文書

2)アコファイド インタビューフォーム