サインバルタはうつ症状改善・慢性腰痛に効果的な薬です
サインバルタ(成分名:デュロキセチン)はうつ症状や痛みに対して強い抑制効果を発揮するものの、副作用があまり多くないため使用頻度の高い薬です。
サインバルタは2004年以降日本を含め世界104の国と地域で承認されています。
精神科や内科または整形外科でよく処方されます。
サインバルタを正しく服用していくためには、長期服用の危険性や離脱症状について知っておく必要があります。
この記事ではサインバルタについて添付文書を中心に解説しています。
サインバルタとは?
サインバルタはどんな薬?
サインバルタは2010年4月に抗うつ剤として発売された薬です。
発売当初の適応疾患はうつ病・うつ状態のみでしたが、慢性の腰痛や繊維筋痛、糖尿病における神経痛への適応追加が認められました。
副作用が比較的少なく、うつ症状や腰痛などの痛みを抑える効果が高いため、処方されることが多い薬です。
サインバルタがよく使われるケース
うつ病やうつ状態で生じる気分の落ち込み、憂うつ、不安、意欲や思考力、集中力の低下などの改善に使用されます。他にも糖尿病による神経障害に伴う痛み、全身や部分的に痛みが広がる線維筋痛症、慢性の腰痛に用いられます。
サインバルタの適応疾患
サインバルタはうつ病、うつ状態、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症に適応しています。
市販薬
サインバルタは医師からの処方箋が必要な医療用医薬品で、現在市販薬は販売されていません。
ジェネリック医薬品
サインバルタの後発医薬品は現在販売されていません。
サインバルタの効果・作用
作用機序
サインバルタはセロトニンとノルアドレナリンの取り込みを阻害し、脳内神経物質の量を増やします。その結果、不安や焦り、集中力の落ち込みなどを改善へと導き抗うつ効果を発揮します。
気力や活力、痛みの緩和に関わりを持つノルアドレナリンへの作用から糖尿病性神経障害、線維筋痛症や慢性の腰痛などの解消にも効果を示します。
特徴
サインバルタは飲み始めたら約1週間ほどで効果を感じられると言われており、効果を感じられるまでの時間が早いことで知られています。多くの抗うつ剤では2週間~1か月程度で効果を感じられることが多いため、早く効果を感じたいという人に向いている薬です。
抗うつ効果だけではなく、心因性の痛みにも効果をもつ薬であり、副作用が比較的起きにくいことも特徴として挙げられます。
効果・効能
サインバルタはうつ病、うつ状態の改善、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症にともなう痛みの改善に効果的な薬です。
効能・効果
○ うつ病・うつ状態
○ 下記疾患に伴う疼痛
糖尿病性神経障害・線維筋痛症・慢性腰痛症
サインバルタは肩こり・腰痛症(慢性でないもの)・ヘルニアへの適応は現在ありません。神経障害性疼痛は、糖尿病神経障害における痛みの改善には適応しています。
効能・効果に関連する使用上の注意
サインバルタは、医師と相談の上で精神症状悪化のリスクや、効果の有効性を慎重に見極めた上で服用する必要がある薬です
効能効果に関連する注意点があります。以下の添付文書をご覧ください。
■うつ病・うつ症状における使用上の注意点
抗うつ剤の投与により,24歳以下の患者で,自殺念慮,自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため,本剤の投与にあたっては,リスクとベネフィットを考慮すること。
海外で実施された7~17歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。
■線維筋痛症・慢性腰痛症・疼痛における使用上の注意点
線維筋痛症の診断は,米国リウマチ学会の分類(診断)基準等の国際的な基準に基づき慎重に実施し,確定診断された場合にのみ投与すること。
慢性腰痛症に伴う疼痛に用いる場合,最新の診断基準を参考に慢性腰痛症と診断された患者にのみ,本剤の投与を考慮すること。
疼痛に対して本剤を投与する場合は,自殺念慮,自殺企図,敵意,攻撃性等の精神症状の発現リスクを考慮し,本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
サインバルタの痛み止め効果・全体的な効き目の強さはどれくらい?
サインバルタは抗うつ効果・痛み止め効果ともに比較的強いと言えます。うつや痛みの全ての症状に強い効果を発揮する薬というよりは、適応する症状への効果が強い薬だと言えます。
特に強い効果を発揮するのは、やるきがでないなどの症状、骨などに異常はないのに原因のわからない痛みがつづくとき、心因性の痛みなどの症状です。
ADHD・双極性障害・発達性障害への効果は?
サインバルタのADHD・双極性障害・発達性障害への適応は現在認められていません。しかし、医師から適応外処方として処方される可能性があります。その場合には医師の指示に従った正しい服用をしてください。
サインバルタの効果が発現するまでの時間はどれくらい?
サインバルタの薬の濃度が最も高くなるのは服用してから約6~8時間です。その後、約10~16時間で血中での薬の濃度が半分になります。なお、効果時間については個人差によるところが大きいため、ご注意ください。
サインバルタの用法・用量
用法・用量
成人の場合、1日1回朝食後、デュロキセチンとして40~60mgを服用することが一般的となっています。服用は1日20mgから始め、1週間以上の間隔を空けて1日用量を20mgずつ増量していきます。医師に指示された用法・用量を守って服用しましょう。
なお、用量は症状により異なりますのでご注意ください。用法用量の詳細は以下の通りです。
うつ病・うつ状態,糖尿病性神経障害に伴う疼痛
通常,成人には1日1回朝食後,デュロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し,1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
なお,効果不十分な場合には,1日60mgまで増量することができる。線維筋痛症に伴う疼痛,慢性腰痛症に伴う疼痛
通常,成人には1日1回朝食後,デュロキセチンとして60mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し,1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する
用法・用量に関連する使用上の注意
添付文書では用法用量に関連する注意として、うつ病・うつ状態,糖尿病性神経障害にともなう痛みの改善にサインバルタを用いるときは、最小限の服用からはじめ、増量する場合にも慎重に調節することと記載されています。
うつ病・うつ状態,糖尿病性神経障害に伴う疼痛に用いる場合,本剤の投与量は必要最小限となるよう,患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
サインバルタを頓服として処方されたときは、自身の健康状態を理解した医師による用法用量の指示を守ってください。
剤型
サインバルタの剤型はカプセルのみになり、他の剤型はありません。
サインバルタの夜・就寝前の服用はできる?
サインバルタの添付文書の用法用量の項目では服用時間が指定されており、「1日1回朝食後」と記載されています。
医師から特別な指示がない限り、朝食後の服用を守ってください。
服用時間が安全性に及ぼす影響は小さいと考えられていますが、国内の臨床検査では朝食後投与しか行われていないため、そのほかの服用時間において安全性が確立されていないことも一つの理由として考えれます。
サインバルタを飲み忘れたら?
サインバルタは約1週間ほどで効き始めると言われています。
そのため、効果が感じられるまでの1週間はできるだけ飲み忘れがないように注意しましょう。
飲み忘れたからといって倍量での服用は厳禁です。気づいたときから普段通りの服用を再開してください。
飲み忘れが続いたり、飲み忘れによる身体の異変を感じたときは漫然と使用を続けず、処方した医師に相談してください。
サインバルタの使用上の注意
サインバルタを服用してはいけない人
サインバルタの成分であるデュロキセチン塩酸塩に対しアレルギー反応を起こしたことのある人、MAO阻害剤を使用中または使用中止後2週間以内の人、高度の肝障害または腎障害のある人、コントロール不良の閉塞隅角緑内障の人は症状悪化などが起こすことがあります。
このような症状がある場合、サインバルタを服用することはできません。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
3. 高度の肝障害のある患者[肝障害が悪化することがある。また,消失半減期が延長し,本剤の血中濃度が上昇することがある。
4. 高度の腎障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇することがある。〕
5. コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化することがある。]
腎障害のある人は症状が高度ではない場合にも透析の有無を必ず医師に伝えてください。透析をしている人は薬の血中濃度や身体に与える影響が大きいため、高度の腎障害でなくても医師と相談の上で服用を検討してください。
サインバルタを服用する際に注意が必要な人
下記に当てはまる方はサインバルタを使用するとき注意が必要です。症状の悪化や副作用などのリスクが高まる可能性もあるので、以下のような症状があるときは、あらかじめ医師に伝えておきましょう。
該当患者 | 理由・備考など |
---|---|
前立腺肥大症等排尿困難のある患者 | ノルアドレナリン再取り込み阻害作用により症状が悪化することがある。 |
高血圧又は心疾患のある患者 | 心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがある。 |
緑内障又は眼内圧亢進のある患者 | 症状が悪化することがある。 |
軽度から中等度の肝障害のある患者 | 肝障害が悪化することがある。また、消失半減期が延長し、本剤の血中濃度が上昇することがある。 |
過度のアルコール摂取者 | 肝障害が悪化する可能性がある。 |
軽度から中等度の腎障害のある患者 | デュロキセチンの血中濃度が上昇することがある。 |
自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者 | 自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。 |
躁うつ病患者 | 躁転、自殺企図があらわれることがある。 |
脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者 | 精神症状が増悪することがある。 |
衝動性が高い併存障害を有する患者 | 精神症状が増悪することがある。 |
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者 | 痙攣を起こすことがある。 |
出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者 | 出血傾向が増強することがある。 |
高齢者 | 副作用を起こしやすいため慎重に服用する必要がある。 |
小児等 | 使用経験が少ないため医師と相談の上服用する必要がある。 |
妊娠中に使用できる?
サインバルタの妊娠中の使用における安全性は確立されていないため、使用は避けるべきですが、服用における有効性がリスクを上回る場合には、医師から処方されることがあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠末期にSNRI,SSRIを投与された婦人が出産した新生児において,入院期間の延長,呼吸補助,経管栄養を必要とする,離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。
臨床所見としては,呼吸窮迫,チアノーゼ,無呼吸,発作,体温調節障害,哺乳障害,嘔吐,低血糖症,筋緊張低下,筋緊張亢進,反射亢進,振戦,ぴくつき,易刺激性,持続性の泣きが報告されている。]
必要な場合は必要最小限の範囲で使用します。妊娠の有無を必ず医師に伝えてください。
授乳中は使用できる?
サインバルタの授乳中の使用は出来るだけ避けることが望ましいですが、止むを得ず使用する場合は、薬が効いているとされる間は授乳は避けてください。
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[ラット及びヒトで乳汁中へ移行することが報告されている。]
高齢者は使用できる?
サインバルタの高齢者の使用は可能ですが、代謝機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすくなることがあります。慎重な服用を心がけてください。
高齢者では薬物の消失が遅延し,血漿中濃度が上昇することがあるので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
また,高齢者においては、低ナトリウム血症,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の危険性が高くなることがあるほか、めまい等により転倒を起こすことがあります。
日常生活において転倒などに注意し、身体に少しでも異変を感じたら、処方した医師に相談してください。
子どもは使用できる?
15歳未満の子供については使用した経験がないとされていますが、医師の判断で使用するケースがあります。
思わぬ副作用を防ぐためにも、医師に処方されたときは、用法用量を守って正しく服用してください。
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。]
海外で実施された7~17歳の大うつ病性障害(DSM-IV-TR※2における分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある
サインバルタの離脱症状について
サインバルタの服用をしていて、減量や断薬を考えたときに気になるのが離脱症状ではないでしょうか。
用法用量を守った正しい服用を続けていれば、離脱症状を起こす可能性はそれほど高いものではありません。しかし離脱症状の発現頻度には個人差があるため注意しましょう。
サインバルタの離脱症状はどのような症状なのか、また、離脱症状が出た場合、症状はどれくらいの期間続くものなのでしょうか。
離脱症状:頭痛・めまい・吐き気・イライラなど
サインバルタの離脱症状はシャンビリともいわれ、耳鳴りやしびれ、その他にもめまい、吐き気、イライラなどがあげられます。
症状の種類や程度には個人差が大きいため離脱症状と症状の再発は見分けがつけづらいですが、いずれにしても自己判断はしないでください。
離脱症状が続く期間についても、これまでの服用方法や減薬・断薬方法や体質などによって大きく変化します。
あまりにも症状がひどいときは減薬のペースを落とすなどの対策が必要となります。
必ず医師と相談の上で今後の服用を考えていきましょう。
減薬・断薬は必ず医師と相談してください!
サインバルタの離脱症状が起こる原因として自己判断による減薬・断薬があげられます。
症状がなおった、薬を飲みたくない、やめたい、などの理由で自己判断をしてしまう人が多いようですが、このような行為はかえって症状を悪化させたり離脱症状を誘発することになりかねません。
減薬や断薬をしたいと思ったら素直にそのことを医師に伝え、今後の服用について検討していくのが良いでしょう。
サインバルタの副作用
サインバルタの悪心・眠気・やる気低下の副作用に注意!
サインバルタは全体的に副作用の多い薬ではありませんが、特に飲み始めに悪心・眠気・やる気の低下などの副作用が起きやすいため注意してください。普段通りに過ごしていても汗の量が増えたり、寝汗の症状を訴える人も多く見受けられます。いずれも症状がひどいときはできるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
サインバルタ服用時起きうる副作用については以下のとおりです。
【うつ病・うつ状態】の副作用
主な副作用として悪心、傾眠、口渇、頭痛、便秘、下痢、めまい、トリグリセリド上昇、腹部痛、ALT(GPT)上昇、不眠、倦怠感、AST(GOT)上昇、食欲減退などです。
【糖尿病性神経障害に伴う疼痛の場合】
主な副作用は、傾眠、悪心、高血糖、便秘、めまい、倦怠感、口渇、頭痛、下痢、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、嘔吐、γ-GTP上昇、Al-P上昇などです。
【線維筋痛症に伴う疼痛】
主な副作用は傾眠、悪心、便秘、口渇、めまい、倦怠感、食欲減退、体重増加、頭痛、不眠、腹部痛、下痢などです。
【慢性腰痛症に伴う疼痛】
主な副作用は傾眠、悪心、便秘、口渇、腹部不快感、食欲減退などです。
眠気・めまいなどの症状が起きやすいため、サインバルタを服用したときは、運転や機械の操作などは控えてください。
重大な副作用:痙攣、アナフィラキシー反応、尿閉など
重篤な副作用はめったに起こりませんが下記のような疾患を引き起こす可能性があります。体調の変化を感じた場合はすぐに医療機関を受診して、服用している薬剤名を医師に伝えて指示をあおいでください。
・セロトニン症候群
・悪性症候群(Syndrome malin)
・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
・痙攣、幻覚
・肝機能障害、肝炎、黄疸
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・アナフィラキシー
・高血圧クリーゼ
・尿閉
その他の副作用:皮膚症状、消化器、過敏症など
サインバルタ服用時、その他の副作用として以下のような症状が起こることがあります。
発現部位 | 副作用 |
---|---|
過敏症 |
発疹,そう痒,蕁麻疹,接触性皮膚炎,光線過敏反応,血管浮腫,皮膚血管炎 |
全身症状 | 倦怠感,ほてり,発熱,悪寒,脱水,脱力感 |
精神神経系 |
不眠,立ちくらみ,しびれ感,振戦,あくび,浮遊感,焦燥感,気分高揚,注意力障害,錐体外路症状,不安,異常夢(悪夢を含む),頭がぼーっとする,性欲減退,躁病反応,錯感覚,無感情,味覚異常,激越,オーガズム異常,嗜眠,睡眠障害,歯軋り,失見当識,攻撃性,怒り,歩行障害,開口障害,下肢静止不能症候群 |
消化器 |
悪心,食欲減退,口渇,便秘,下痢,腹部痛,嘔吐,腹部膨満感,腹部不快感,消化不良,胃炎,口内炎,歯痛,胃腸炎,咽頭不快感,咽頭炎,咽喉緊張,口臭,嚥下障害,顕微鏡的大腸炎 |
感覚器 |
耳鳴,視調節障害,眼乾燥,霧視,耳痛,散瞳,緑内障 |
循環器 |
動悸,頻脈,血圧上昇,起立性低血圧,上室性不整脈,失神 |
肝臓 | AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,γ-GTP上昇,総ビリルビン上昇,Al-P上昇,LDH上昇 |
血液 |
赤血球減少,ヘマトクリット減少,鼻出血,異常出血(斑状出血,胃腸出血等),白血球減少 |
筋・骨格系 |
背部痛,関節痛,筋痛,肩こり,筋痙攣,筋緊張 |
泌尿器・生殖器 |
排尿困難,性機能異常(月経異常,射精障害,勃起障害等),排尿障害,血中クレアチニン上昇,BUN上昇,頻尿,尿中アルブミン/クレアチニン比上昇,尿流量減少,多尿,閉経期症状,精巣痛 |
代謝・内分泌 |
高血糖,トリグリセリド上昇,総コレステロール上昇,尿中蛋白陽性,血中カリウム減少,甲状腺機能低下,低ナトリウム血症,乳汁漏出症,高プロラクチン血症,血中カリウム上昇 |
その他 |
発汗,体重減少,体重増加,CK(CPK)上昇,浮腫,冷感,熱感,呼吸苦,胸痛,冷汗,咳嗽 |
以上のような副作用が起きたとき、症状がひどいときは、処方した医師に症状を伝えてください。重篤な副作用の原因となることもありますので漫然と使用を継続しないようにしましょう。
サインバルタはノルアドレナリンに作用することから頻脈や血圧上昇の副作用が起きやすいという特徴があります。
サインバルタを服用すると太る?痩せる?
サインバルタの副作用として、むくみ・体重増加・食欲減退が起こる可能性はあります。しかしこれらの症状は症状改善の効果を発揮するために起こる副作用ですから、太ったり痩せたりすることを目的とした服用は危険です。
また、体重の変動を気にして自己判断で減薬したり、断薬をすることも離脱症状の原因となります。あまりにも症状がひどい場合や、効果に疑問を感じるときにはすぐに処方した医師に相談してください。
射精障害・月経異常・性機能障害が起きる原因・対処法は?
サインバルタを服用したとき、まれに射精障害をはじめとする性機能障害が起きる可能性があります。抗うつ剤はセロトニンとアドレナリンを刺激するため、血圧低下や性欲低下、性機能障害などを引き起こしてしまうと考えられています。
このような副作用が起きたときの対処法としては、あまり症状がひどくない場合、少しずつ症状が落ち着いている場合は経過を観察してみることもよいですが、処方した医師に相談することが一番良い対処法と言えます。
性機能症状などは医師に相談する人が少なく、一人で悩む人が多いのも現状ですが、今後の治療を考えていくうえで医師に症状を伝えることは大切なことです。思わぬ副作用を防ぐためにも、身体に異変を感じたらできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
サインバルタとの併用に注意するもの
併用してはいけいないもの
パーキンソン病に使用されるエフピーと一緒に使用することはできません。
併用禁忌(併用しないこと)
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
セレギリン塩酸塩(エフピー)
併用における弊害について添付文書には以下のような記載があります。MAO阻害薬への切り替えを検討する場合には、必ず5日間の間隔をあけること。
他の抗うつ剤で併用により発汗,不穏,全身痙攣,異常高熱,昏睡等の症状があらわれたとの報告がある。
MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には,少なくとも2週間の間隔をおき,また,本剤からMAO阻害剤に切り替えるときは5日間の間隔をおくこと。
精神疾患などの改善に使用されるオーラップやフェノバール、抗炎症剤のアスピリン、血液凝固剤のワーファリン、アルコールとの併用は注意が必要とされています。
併用に注意が必要な薬
以下の薬は一緒に使用する場合は注意が必要です。
薬剤名 | 成分名(代表製品) | 注意内容 |
抗精神病薬 | ピモジド(オーラップ) | QT延長、心室性不整脈等の心血管系副作用が発現することがある。 |
中枢神経抑制剤 (バルビツール酸誘導体) |
フェノバルビタール (フェノバール) ロラゼパム(ワイパックス) |
相互に作用を増強することがある。 |
メトヘモグロビン血症治療剤 | メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー) | セロトニン症候群があらわれるおそれがある。 |
CYP1A2阻害活性を有する薬剤 | フルボキサミンマレイン酸塩 (デプロメール) シプロフロキサシン (シプロキサン) |
デュロキセチンの血中濃度が上昇することがある。 |
三環系抗うつ剤 | アミトリプチリン塩酸塩 (トリプタノール) ノルトリプチリン塩酸塩 (ノリトレン) イミプラミン塩酸塩 (トフラニール) |
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。 |
フェノチアジン系抗精神病剤 | ペルフェナジン (トリラホン) |
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。 |
抗不整脈剤 | プロパフェノン塩酸塩 (プロノン) フレカイニド酢酸塩 (タンボコール) |
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) 不整脈治療剤 |
パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル) キニジン硫酸塩水和物(キニジン硫酸塩) |
デュロキセチンの血中濃度が上昇することがある。 |
セロトニン作用薬 | 炭酸リチウム(リーマス) | 相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) | トラマドール塩酸塩 (トラマール) | 相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) | フルボキサミン (ルボックス、デプロメール) パロキセチン(パキシル) セルトラリン (ジェイゾロフト) エスシタロプラム (レクサプロ) |
相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
トリプタン系薬剤 | スマトリプタンコハク酸塩(イミグラン) ゾルミトリプタン (ゾーミッグ) |
相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
L-トリプトファン含有製剤 | リネゾリド(ザイボックス) | 相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
降圧剤 | クロニジン塩酸塩 (カタプレス) |
降圧剤の作用を減弱することがある。 |
アドレナリン ノルアドレナリン |
アドレナリン(ボスミン) ノルアドレナリン (ノルアドリナリン) |
これらの薬剤(特に注射剤)との併用により、心血管作用(血圧上昇等)が増強することがある。 |
血漿蛋白との結合率の高い薬剤 | ワルファリンカリウム (ワーファリン) | 相互に作用を増強することがある。 |
出血傾向が増強する薬剤 非定型抗精神病剤 |
アリピプラゾール (エビリファイ) リスペリドン (リスパダール、リスパダールコンスタ) |
出血傾向が増強することがある。 |
フェノチアジン系薬剤 | クロルプロマジン (コントミン) |
出血傾向が増強することがある。 |
三環系抗うつ剤 | アミトリプチリン (トリプタノール) |
出血傾向が増強することがある。 |
非ステロイド系抗炎症剤 | アスピリン(アスピリン) | 出血傾向が増強することがある。 |
抗凝血剤 | ワルファリンカリウム (ワーファリン) | 出血傾向が増強することがある。 |
食品 | アルコール | 相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。また、肝機能が悪化する可能性がある。 |
食品 | セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等 | 相互にセロトニン作用を増強することによりセロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。 |
サインバルタとアルコールの併用に注意!
サインバルタとアルコールはともに中枢神経抑制作用をもつため、作用の増強のおそれがあるだけでなく、肝機能が悪化するおそれがあります。サインバルタを服用してから一定時間が経過している場合でも、飲酒をすることで作用の増強などが起こる可能性があります。
アルコールの摂取量が多い人、サインバルタを服用しているが飲酒をする予定のある人は一度医師と服用について相談することをおすすめします。
サインバルタとカフェインの併用はできる?
サインバルタとコーヒーなどのカフェインを含むものの併用についてメーカーからの指示は出ていません。併用について問題はないかと思いますが、もしサインバルタとカフェインを併用して副作用などを感じたときは処方した医師に相談してください。
サインバルタの値段・購入方法
サインバルタの薬価
サインバルタの薬価は以下のとおりです。
名称 | 薬価 |
---|---|
サインバルタカプセル20㎎ | 173.50円/1カプセル |
サインバルタクプセル30㎎ | 235.30円/1カプセル |
サインバルタの個人輸入に注意!
サインバルタは医師の処方箋が必要な薬です。しかし、個人輸入等により市販され、通販サイトなどで流通しているものも一部存在します。個人輸入で手に入れた薬は全て副作用救済制度が受けられず、万が一体に異変が生じた場合の対処法の選択肢を狭めてしまう行為です。
サインバルタを服用するときは、正しい効果を得るためにも医師から薬の用量や飲み方についてのアドバイスを受け、服用していきましょう。
おわりに
サインバルタはうつ病・心因性の痛みの改善に効果的な薬です。
症状の早期改善のためには用法用量を守った正しい服用を継続していくことが大切です。
もし効果に少しでも効果に疑問を感じたり、体に異変を感じたら漫然と使用を続けず、出来るだけ早く処方した医師または薬剤師に相談してみましょう。