サムスカは体内の水分を出す薬
サムスカは体内の水分を排泄する薬です。腎臓に作用して尿の量を増やしたり、腎臓ののう胞の増大進行を抑えて、腎機能の低下を遅らせる作用があります。
サムスカはV2-受容体拮抗剤という種類に分類される利尿剤・抗ホルモン剤の一種です。トルバプタンという成分の薬です。
サムスカの特徴
サムスカは他の利尿剤の欠点を補う画期的な新薬です。従来の利尿剤は、体内から水分を排出する際に、ナトリウムやカリウムなどの電解質もともに排出する作用があります。
サムスカは、腎機能などに影響を与えずに、ナトリウムやカリウムなどの電解質に影響を与えることなく体内から水だけを出すのです。
また、剤形が豊富なことも特徴のひとつです。サムスカには、錠剤(15mg、30mg、7.5mg)と顆粒1%の4種類があります。もともとは錠剤15mgの販売でしたが、心不全の方の浮腫へ使われる過程で、低用量からの使用が必要な場合、薬の作用が強すぎた場合の減量、高齢者への使用などがあり、より患者の症状や状況に合わせた治療ができるように、薬の剤形が増えました。
サムスカの効果
サムスカは剤形によって効能効果が異なります。
心不全や肝硬変による浮腫に対して他の利尿剤を併用されたり、常染色体優性多発性のう胞腎などに用いられます。
浮腫に対しては他の利尿剤の効果が十分ではなかった場合にサムスカが併用されます。
効能・効果 | 用いられる剤形 |
心不全における体液貯留 | サムスカ錠7.5mg サムスカ錠15mg サムスカ顆粒1% |
肝硬変における体液貯留 | サムスカ錠7.5mg サムスカ顆粒1% |
常染色体優性多発性のう胞腎 | サムスカ錠7.5mg サムスカ錠15mg サムスカ錠30mg サムスカ顆粒1% |
サムスカの注意すべき副作用
サムスカの主な副作用として、口の渇き、めまい、頻尿、多尿、頭痛、便秘などがあります。
国内の臨床試験では、心不全の浮腫に使用した場合は67.1%、肝硬変の浮腫に使用した場合は60.9%、また国際共同試験では常染色体優性多発性のう胞腎に使用した場合は88.6%の割合で副作用が発生したとの報告があります。
薬の飲み始めや使用量を増やしたときは、尿の量が過剰に増えることで副作用がでやすい傾向があるため注意してください。特に、薬の使用を始めてから24時間以内は、尿量を増やす作用が強く現れることがあります。
薬の使用中に、口の渇きや脱水などの症状が現れた場合は、十分に水分補給を行ってください。
重大な副作用
重大な副作用として、以下のような症状があげられます。初期症状を確認し、副作用が疑われる体調の悪化が起こった場合は、すみやかに医師に相談してください。
重大な副作用 | 代表的な初期症状 |
腎不全 | 尿量減少、むくみ、のどの渇き |
血栓塞栓症 | 局所の痛み、圧痛、紅斑 |
高ナトリウム血症 | 精神の混乱と過呼吸、のどの渇きなどの脱水症状、意識がうすれる |
肝機能障害 | 全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる |
ショック、アナフィラキシー | 血圧低下、蕁麻疹、呼吸困難 |
サムスカの使い方の注意
サムスカの分量は、症状などに合わせて医師の診断により調整されます。
症状がなくなったからといって自己判断で薬の使用を中止したり、量を減らしたりすると、病気が悪化するおそれがあります。必ず医師の指示に従って薬を使用しましょう。
通常、成人の場合、心不全や肝硬変の浮腫に対しては、1日1回の使用になります。夜間にトイレに行く回数を増やさないために、できるだけ午前中に使用することが望ましいでしょう。
常染色体優性多発性のう胞腎に対しては、1日2回、朝と夕に使用します。夜間にトイレに行く回数を増やさないために、夕方はできるだけ就寝の4時間以上前に使用することをおすすめします。
グレープフルーツジュースと飲んでいい?
サムスカを飲むときはコップ一杯程度の水かぬるま湯で飲んでください。グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、薬の作用が強くなるおそれがあります。
飲み忘れたらどうする?
サムスカを飲み忘れた場合でも2回分を一度に飲むことは絶対やめてください。
その日のうちに飲み忘れに気づいた場合は、すぐに1回分を飲みます。ただし、次に飲む時間が迫っていたら、1回分を飲まずに飛ばして、次の時間に予定通りの1回分を飲みます。
サムスカの薬価
サムスカのデメリットのひとつとして、薬価が高いことがあげられます。通常の使用量の15mgで1日分で1948.4円です。(1日1回、1回1錠)自己負担3割で使用したとして、1か月で約17,535円の計算になります。
2010年12月に販売が開始された比較的新しい薬です。発売からまだ時間が経っていないこともあり、サムスカにはいまだジェネリック医薬品は販売されていません。(2017年8月現在)
サムスカを購入する場合は、薬価の他に診察料や調剤料などが加算されます。なお、健康保険適応の場合は、自己負担額は総額の1〜3割になります。
剤形 | 薬価(円) |
サムスカ錠15mg | 1948.40 |
サムスカ錠30mg | 2964.10 |
サムスカ錠7.5mg | 1280.80 |
サムスカ顆粒1% | 1901.50 |
※2017年8月現在の薬価(錠剤は1錠、顆粒は1gの価格になります)
おわりに
サムスカは従来にない作用を持つ新しい利尿剤です。効果が高い反面、副作用もでやすい薬でもあります。
副作用を予防するためにも、医師から決められた用法用量は正しく守って使用しましょう。薬の服用後の体調の変化にも十分に注意してください。体調の悪化がみられたら、すみやかに医師の診察を受けましょう。