アストミンは咳止めに効果的な薬です!
アストミンは主に気管支炎、肺炎、上気道炎などにともなう咳症状を抑えるために使用される処方薬です。非麻薬性の咳止め薬に分類されています。
錠剤や散剤のほか、子どもも服用しやすいシロップ剤もあり、赤ちゃんや小児の咳止めのために処方されることも多い薬です。
この記事では、アストミンについて添付文書を中心に解説しています。
アストミンとは?
アストミンはどんな薬?
アストミンはジメモルファンリン酸塩を有効成分とした、非麻薬性の鎮咳薬です。
適応疾患
アストミンは剤型によって一部適応疾患にちがいがあります。
■アストミン錠10㎎/アストミン散10%
上気道炎、肺炎、急性気管支炎、肺結核、珪肺および珪肺結核、肺癌、慢性気管支炎にともなう鎮咳
■アストミンシロップ0.25%
上気道炎、急性気管支炎、肺炎にともなう鎮咳
アストミンと同じ成分の市販薬はある?
2023年6月現在、アストミンの有効成分であるジメモルファンリン酸塩を配合した市販薬は発売されていません。
しかし、ジメモルファンリン酸塩同様に非麻薬性の鎮咳成分が配合された咳止め薬は発売されています。
市販の咳止め薬をお探しの方は以下の記事を参考にしてみてください。
ジェネリック医薬品
アストミンのジェネリック医薬品は、主に「ジメモルファンリン酸塩」という名称で販売されており、錠剤、散剤、シロップ、ドライシロップの4つの剤形があります。(2023年6月現在)
アストミンの効果・作用
作用機序
通常、咳が出るときは咳中枢から咳を出すように命令が出ており、アストミンは脳の咳中枢に作用し、その命令をストップさせることで咳の発現をおさえます。
特徴
咳止め薬は主に麻薬性・非麻薬性の2種類に分類され、アストミンは非麻薬性の咳止め薬に分類されます。
麻薬性のように依存性を形成しにくいことが特徴のひとつです。
効果・効能
アストミンは剤形によって一部効能・効果にちがいがありますが、主にかぜなどの上気道炎や肺炎などの咳止めに使われます。
剤形ごとの効能・効果については以下をご覧ください。
■アストミン錠10㎎/アストミン散10%の効能・効果
効能又は効果
下記疾患に伴う鎮咳
上気道炎、肺炎、急性気管支炎、肺結核、珪肺および珪肺結核、肺癌、慢性気管支炎
■アストミンシロップ0.25%の効能・効果
効能又は効果
下記疾患に伴う鎮咳
上気道炎、急性気管支炎、肺炎
アストミンが効かないときは?
アストミンを一定期間正しく服用しても効果が感じられない場合には、漫然と使用を続けるべきではありません。
咳が一向におさまらないときは、再度医療機関を受診することをおすすめします。
アストミンの用法・用量
用法・用量
アストミンの剤形ごとの用法・用量を確認しておきましょう。
■アストミン錠10㎎
成人(15才以上)には1回1~2錠(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)を1日3回経口投与する。
但し、年齢、症状により適宜増減する。
■アストミン散10%
通常、成人(15才以上)には1回0.1~0.2g(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)を1日3回経口投与する。
小児(8~14才)には1回0.1g(ジメモルファンリン酸塩として10mg)を1日3回経口投与する。
但し、年齢・症状により適宜増減する。
■アストミンシロップ0.25%
通常下記1日量を3回に分けて経口投与する。
2才未満 3.0~4.5mL (ジメモルファンリン酸塩として7.5~11.25mg)
2~3才 5.0~8.0mL (ジメモルファンリン酸塩として12.5~20.0mg)
4~6才 8.0~11.0mL (ジメモルファンリン酸塩として20.0~27.5mg)
7~14才 12.0~14.0mL (ジメモルファンリン酸塩として30.0~35.0mg)
但し年齢症状により適宜増減する。
剤形
アストミンの剤形は、錠剤、散剤、シロップ剤の3種類です。
シロップ剤は主に15歳未満の小児への処方となっています。
アストミンの使用上の注意
アストミンを飲んではいけない人はいる?
アストミンは現在禁忌(使用を禁止されている人)は報告されていません。
しかし、アストミンを服用する上で使用上の注意についてはしっかりと理解しておく必要があります。
アストミンを服用する際に注意が必要な人
糖尿病またはその疑いのある人は耐糖能に軽い変化の影響を与える可能性があるため、医師が必要と認める場合のみ処方されます。
また、薬物過敏症の方についても、慎重な投与が求められています。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.糖尿病又はその疑いのある患者[耐糖能に軽度の変化を来たすことがある。]
2.薬物過敏症の患者
高齢者は使用できる?
高齢者のアストミンの使用は可能となっていますが、一般的に高齢者は生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすくなっている場合がありますので、服用後の体調変化にご注意ください。
妊娠中・授乳中に使用できる?
妊娠中のアストミンの使用は、医師の判断により処方されるケースがあります。
医師からアストミンを処方されたときは、医師の指示に従って正しい服用を心がけてください。
授乳中の使用に関しては特別な注意は必要ないとされていますが、受診の際には授乳している旨を医師に伝えておきましょう。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
アストミンの副作用
アストミンの主な副作用としては以下のような症状が報告されています。
食欲不振、口渇、悪心、眠気、めまい、頭痛、下痢 など
その他の副作用:過敏症、精神神経系、消化器、循環器
アストミン服用時、その他の副作用として以下のような症状があらわれることがありますので、ご注意ください。
発現部位 | 副作用 |
---|---|
過敏症 | 発疹など |
精神神経系 | めまい、眠気、頭痛・頭重、脱力感、倦怠感など |
消化器 | 口渇、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など |
循環器 | 頻脈、動悸、顔面潮紅など |
おわりに
アストミンはかぜなどの上気道炎や肺炎などの咳止めに効果的な薬です。
医師の指示に従い、用法用量を守った正しい服用を心がけましょう。
もし効果に疑問を感じたときは、漫然と使用を継続せずに医師や薬剤師に相談しましょう。