アストミンは咳止めに効果的な薬です!
アストミンは主に気管支炎、肺炎、上気道炎などをともなう咳症状を抑えるために使用されます。
非麻薬性の咳止め薬であることから、副作用が少なく安全性の高い薬です。
薬が苦手な子どもにも服用しやすいシロップ剤もあり、赤ちゃんや小児の咳止めのために処方されることも多い薬です。
この記事では、アストミンについて添付文書を中心に解説しています。
アストミンとは?
アストミンはどんな薬?
アストミンは1974年から販売されている古い薬で、鎮咳薬の中では非麻薬性に分類され、耐性や依存性が形成されにくい薬とされています。
また、咳止め薬に多い便秘の副作用もあらわれにくいとされており、使用頻度の高い咳止め薬です。
適応疾患
アストミンは剤型によって一部適応疾患にちがいがあります。
■アストミン錠10㎎/アストミン散10%
上気道炎、肺炎、急性気管支炎、肺結核、珪肺および珪肺結核、肺癌、慢性気管支炎をともなう鎮咳
■アストミンシロップ0.25%
上気道炎、急性気管支炎、肺炎をともなう鎮咳
市販薬
アストミンの有効成分であるジメモルファンリン酸塩は市販薬への配合が認められています。
ジメモルファンリン酸塩の配合量の違いはありますが、同様の効果を期待できる市販薬がありますのでご紹介いたします。
ジェネリック医薬品
アストミンのジェネリック医薬品は、主に「ジメモルファンリン酸塩」という名称で販売されており、錠剤、散剤、シロップ、ドライシロップの4つの剤型が販売されています。
アストミンの効果・作用
作用機序
通常、咳が出るときは咳中枢から咳を出すように命令が出ており、アストミンは脳の咳中枢に作用し、その命令をストップさせることで咳の発現をおさえます。
特徴
咳止め薬は主に麻薬性・非麻薬性の2種類に分類され、アストミンは非麻薬性の咳止めに分類されます。
麻薬性のように依存性や耐性を形成しにくく、副作用が少ないことが特徴です。
効果・効能
アストミンは剤型によって一部効能・効果にちがいがありますが、主にかぜなどの上気道炎や肺炎などのせき止めに使われます。
剤型ごとの効能・効果については以下をご覧ください。
■アストミン錠10㎎/アストミン散10%の効能・効果
効能又は効果
下記疾患に伴う鎮咳
上気道炎、肺炎、急性気管支炎、肺結核、珪肺および珪肺結核、肺癌、慢性気管支炎
■アストミンシロップ0.25%の効能・効果
効能又は効果
下記疾患に伴う鎮咳
上気道炎、急性気管支炎、肺炎
アストミンが効かないときは?
アストミンを一定期間正しく服用しても効果が感じられない、または効果に疑問を感じた場合には漫然と使用を続けるべきではありません。
咳が一向におさまらないときは、他の症状を見落としている可能性も考えられますので一度医療機関を受診することをおすすめします。
アストミンの用法・用量
用法・用量
アストミンの剤型ごとの用法・用量を確認しておきましょう。以下をご覧ください。
■アストミン錠10㎎
通常成人は、1回1~2錠を1日3回服用します。
年齢や症状によって用量は変わることがあります。
成人(15才以上)には1回1~2錠(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)を1日3回経口投与する。
但し、年齢、症状により適宜増減する。
■アストミン散10%
通常成人は、1回0.1~0.2gを1日3回服用します。
小児は、1回0.1gを1日3回服用します。
年齢や症状によって用量は変わることがあります。
通常、成人(15才以上)には1回0.1~0.2g(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)を1日3回経口投与する。
小児(8~14才)には1回0.1g(ジメモルファンリン酸塩として10mg)を1日3回経口投与する。
但し、年齢・症状により適宜増減する。
■アストミンシロップ0.25%
アストミンシロップは主に15歳未満の小児が使用します。
年齢によって用量が変わりますので、赤ちゃんや小児の用量については以下をご覧ください。
症状によって用量は変わることがあります。
通常下記1日量を3回に分けて経口投与する。
2才未満 3.0~ 4.5mL (ジメモルファンリン酸塩として7.5 ~11.25mg)
2~3才 5.0~ 8.0mL (ジメモルファンリン酸塩として12.5 ~20.0mg)
4~6才 8.0~11.0mL (ジメモルファンリン酸塩として20.0 ~27.5mg)
7~14才 12.0~14.0mL (ジメモルファンリン酸塩として30.0 ~35.0mg)
但し年齢症状により適宜増減する。
剤型
アストミンの剤型は、錠剤、散剤、シロップ剤の3種類となっています。
シロップ剤は主に15歳未満の小児への処方となっています。
剤型によって適応疾患のちがいがありますので以下をご覧ください。
■アストミン錠/アストミン散
上気道炎、肺炎、急性気管支炎、肺結核、珪肺および珪肺結核、肺癌、慢性気管支炎にともなう咳
■アストミンシロップ
上気道炎、急性気管支炎、肺炎にともなう咳
アストミンの使用上の注意
アストミンは安全性の高い薬です!
アストミンは安全性が高い薬で、現在禁忌(使用を禁止されている人)は報告されていません。
しかし、アストミンを服用する上で使用上の注意についてはしっかりと理解しておく必要があります。
以下をご覧ください。
アストミンを服用する際に注意が必要な人
糖尿病またはその疑いのある人は耐糖能に軽い変化の影響を与える可能性があるため、使用後の体調の変化にはご注意ください。
薬物過敏症の方についても、使用後の体調の変化に注意しながら経過を観察してください。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.糖尿病又はその疑いのある患者[耐糖能に軽度の変化を来たすことがある。]
2.薬物過敏症の患者
高齢者は使用できる?
高齢者のアストミンの使用は可能となっていますが、一般的に高齢者は生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすくなっている場合がありますのでご注意ください。
高齢者では減量するなど注意すること。[一般に高齢者では生理機能が低下している。]
妊娠中・授乳中に使用できる?
妊娠中のアストミンの使用はできるだけ避けるべきですが、医師の判断により処方されるケースがあります。
医師からアストミンを処方されたときは、医師の指示に従って正しい服用を心がけてください。
妊娠初期・後期は薬の影響をうけやすくなっていることがあるため、身体に異変を感じた場合はすぐに医師に相談してください。
授乳中の使用に関しては特別な注意は必要ないとされていますが、なるべく医師に確認をとって使用するようにしましょう。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
子どもは使用できる?
15歳未満の子供について特別な注意喚起はされていないため、特別な注意は必要ないかと思われますが、心配な時は医師に相談してください。
医師からアストミンを処方されたときは、用法・用量を守って正しく服用するよう心がけましょう。
アストミンの副作用
アストミンは副作用は少ない安全な薬とされていますが、全くないわけではありません。
主な副作用としては以下のような症状が報告されています。
■アストミン錠10㎎/アストミン散10%
主な副作用は、食欲不振、口渇、悪心、眠気、めまい等でした。
■アストミンシロップ0.25%
主な副作用は、下痢、食欲不振等でした。
その他の副作用:過敏症、精神神経系、消化器、循環器
アストミン服用時、その他の副作用として以下のような症状があらわれることがありますので、ご注意ください。
発現部位 | 副作用 |
---|---|
過敏症 | 発疹など |
精神神経系 | めまい、眠気、頭痛・頭重、脱力感、倦怠感 |
消化器 | 口渇、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など |
循環器 | 頻脈、動悸、顔面潮紅 |
アストミンの値段・購入方法
アストミンの薬価
アストミンの薬価は以下のとおりです。
名称 | 薬価 |
---|---|
アストミン錠10㎎ | 5.60円/1錠 |
アストミン散10% | 41.30円/1g |
アストミンシロップ0.25% | 3.80円/1ml |
アストミンのジェネリック医薬品の薬価
アストミンの後発品の薬価もあわせてご覧ください。
名称 | 薬価 |
---|---|
ジメモルファンリン酸塩錠10㎎ | 5.60円/1錠 |
ジメモルファンリン酸塩散10% | 35.90円/1g |
ジメモルファンリン酸塩シロップ0.25% | 2.80円/1ml |
ジメモルミンドライシロップ2.5% | 11.40円/1g |
※アストミンのジェネリック医薬品は販売元によって名称や薬価が異なる場合があります。
アストミンの購入方法
アストミンを購入するときは、医師の診察をうけて薬局で購入しましょう。
ジェネリック医薬品を希望する場合は、医師または薬剤師に相談してください。
おわりに
アストミンはかぜなどの上気道炎や肺炎などのせき止めに効果的な薬です。
比較的安全性の高い薬ではありますが、思わぬ副作用の発現を防ぐためにも、用法用量を守った正しい服用を心がけましょう。
もし効果に疑問を感じたときは、漫然と使用を継続せずに医師や薬剤師に相談しましょう。