アスベリンはどんな薬?

アスベリンは「チペピジンヒベンズ酸塩」が主成分の鎮咳薬(ちんがいやく)です。

鎮咳薬とは、咳を鎮める薬です。

また、アスベリンには咳を止める作用とともに、気道の線毛運動を活発にして痰を出しやすくする作用もあります。

咳は気道の異物を出そうとする体の防御反応のため、むやみに止めればよいというものではありません。

しかし、子どもや高齢の方の場合は気道の抵抗力が弱く炎症を起こしやすい上、痰を出す力も弱いので、適切な薬による治療も必要になります。

アスベリンの特徴

鎮咳薬には「麻薬性」と「非麻薬性」があり、アスベリンは「非麻薬性」の鎮咳薬です。

一般的に、麻薬性の方が非麻薬性より効き目が強いですが、服用していると薬が効きにくくなる耐性や副作用が出やすいとされています。

咳止めの薬は、子どもには使用できないものもありますが、アスベリンは散剤やシロップ剤であれば1歳未満からでも使用することができます。

月年齢によって用量が細かく指定されていますが、年齢・症状によって適宜増減することがあるため、医師の指示通りに使用しましょう。

アスベリンの効能・効果

アスベリンの効能・効果は、「感冒(かぜ)・上気道炎(咽喉頭炎・鼻カタル)・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺炎・肺結核・気管支拡張症」にともなう咳・痰とされています。

主に咳が出て痰を出すことが困難な症状に有効な薬です。

脳の咳中枢を抑制して、咳の感受性を低下させることで鎮咳作用を示します。また、気管支腺からの気道分泌液の分泌をうながすことによって痰を出しやすくしています。

アスベリンが効くまでの時間と持続時間

アスベリンを服用してから効くまでの時間(効果発現時間)は、個人差がありますが、おおよそ30~60分程度という報告があります。

また、薬の効果が持続する時間については、5~6時間程度という報告があります。

飲むタイミングと間隔

アスベリンは服用するのが食前でも食後でも、効果には特に問題はありません。

しかし、短時間に続けて服用することはできないため、服用間隔は最低でも4時間以上あけてください。

医師から指示された用法・用量を守って使用しましょう。

飲み忘れた場合

あくまで目安ですが、飲み忘れから2時間以内に気が付けばそのときに服用してください。

2時間以上たっているときは、その1回分は飲まずにとばしてください。

飲み忘れで遅れて飲んだ場合も、次の服用は4時間以上の間隔をあてください。

また、飲み忘れたからといって、一度に2回分を服用することはやめてください。

アスベリンの副作用

アスベリンは安全性が高く、子どもから大人まで使える薬ですが、ほかの医薬品と同様にアスベリンにも副作用があります。

アスベリンの主な副作用は次のとおりです。

種類 症状
精神神経系 眠気・不眠・めまい・興奮
消化器系 食欲不振・便秘・口の乾き・胃部不快感・膨満感・軟便・下痢・吐き気・腹痛
過敏症 掻痒感(かゆみ)・発疹

いずれの副作用の頻度も0.1〜5%未満ですが、興奮・腹痛・発疹については頻度不明です。

眠気やめまいは過剰摂取をするとおきやすい

アスベリンは中枢神経系に作用する働きがあり、頻度は低くても副作用として眠気やめまいが現れることがあるため、服用後の車の運転や危険をともなう作業などは控えましょう。

眠気やめまいは、1回の服用量が多いなどの過剰摂取によって起こりやすくなることがあるので、必ず用量を守りましょう。

また、アスベリンは風邪薬や鼻炎薬などと一緒に処方されることがあり、別の薬の副作用と合わさって眠気を起こすこともあります。

尿が赤くなることもある

アスベリンを服用している間に、尿が赤くなることがあります。

尿が赤くなるのは副作用では無く、代謝によって薬が尿として排泄されるために起こる現象です。そのため、通常は心配いりません。

ただし尿が赤くなるのは、血尿であることもあります。他の病気による可能性もあるため、見極めが大切です。

アスベリンによる尿の赤みは、薬の服用が終わってから、数日でおさまります。徐々に赤色がうすくなっていきますが、個人差があるため、人によってはさらに数日間続くことはあります。

しかし、数日経っても薄くなる気配がなくて、ずっと赤色が続く場合は、小児の場合は小児科、成人は内科などを受診してください。

重大な副作用

非常にまれではありますが、アナフィラキシー様症状という重大な副作用が出ることもあります。

アナフィラキシー様症状は、薬を飲んでから30分以内に起こることが多い副作用ですが、30分を過ぎてから現れることもあります。

嘔吐・発疹・呼吸困難をともなって体のかゆみなどの症状が現れた場合は、アナフィラキシー様症状の疑いがあるため、速やかに病院を受診してください。

アスベリンの使用上の注意

アスベリンの成分である「チペピジンヒベンズ酸塩」で以前に過敏症を起こしたことがある方は、アスべリンを使用しないでください。

また、妊婦または妊娠している可能性のある方は、医師に相談してください。

アスベリンとほかの薬の飲み合わせ

風邪などで薬を処方されるとき、多くの場合は1種類だけでなく複数の薬が出されます。

薬は単独で飲む場合には問題がなくても、一緒に飲むほかの薬との組み合わせによって、薬の効き目が強くなり過ぎて副作用が起きたり、反対に効き目が弱くなったりするなどの相互作用が起こることがあります。

特に、アスベリンは、ほかの去痰薬(きょたんやく)などと併用することが多いため、飲み合わせが気になる方もいるのではないでしょうか。

アスベリンと一緒に処方されることがある主な薬は次のようなものがあります。

薬剤の分類  薬品名 成分名
去痰薬 ムコダイン L-カルボシステイン
カルボシステイン L-カルボシステイン
ムコサール アンブロキソール塩酸塩
ムコソルバン アンブロキソール塩酸塩
抗生物質 クラリス クラリスロマイシン 
アレルギー用薬 オノンドライシロップ プランルカスト水和物
抗ヒスタミン薬 ポララミン クロルフェニラミンマレイン酸塩
気管支拡張薬 ホクナリンテープ ツロブテロール
解熱鎮痛薬 カロナール アセトアミノフェン

上記の薬をアスベリンと併用することに問題はありません。

ただし、飲み合わせに関係なく、服用中に何か異変がある場合には必ず医師に相談しましょう。

ムコダインとの飲み合わせ

ムコダインは、痰の切れをよくする去痰薬(きょたんやく)で、よくアスベリンと一緒に処方されます。

風邪・咽頭炎・気管支炎・気管支喘息・肺結核などの痰切りや、慢性副鼻腔炎(ちくのう症)の排膿(溜まった膿を出すこと)にも使われています。

アスベリンと同様、副作用も少なく安全性が高い薬で、内科や小児科などで広く処方されています。

鎮咳薬のアスベリンと去痰薬のムコダインは、風邪などの処方でよく使われる組み合わせのため、一緒に飲んでも問題ありません。

カルボシステインとの飲み合わせ

カルボシステインの成分名は「L-カルボシステイン」です。ムコダインのジェネリック医薬品なので、成分はムコダインと同じです。

したがって、アスベリンとカルボシステインは一緒に飲んでも問題ありません。

アスベリンと併用してはいけない薬は?

アスベリンと併用してはいけない薬は基本的にありません。

しかし、鎮咳薬を併用する場合は医師の判断が必要となります。特に作用の仕方が同じものは注意が必要です。

すでに病院から鎮咳薬が出されているのに、別の病院で医師に伝え忘れることにより、さらに鎮咳薬を重複して処方されてしまうことは避けたい事態です。

複数の病院を受診しているときは、必ず服用中の薬を医師と薬剤師の両方に伝えましょう。また、診断後に医師から処方された薬以外は、自己判断で服用をしないでください。

アスベリンが効かない場合は?

アスベリンは、咳を鎮める作用のある薬ですが、基本的には効能・効果に記載のある症状にのみ作用します。

もし、アスベリンを服用してもなかなか咳がおさまらないようであれば、咳が重症化しているおそれや、アレルギー性の喘息などのおそれがあります。

また、細菌感染の場合は、咳止めの鎮咳薬では菌は死滅しないため、抗生物質が必要な場合もあります。

また、アスベリンは、咳中枢に作用して咳を鎮める効果はありますが、気管支の拡張や気道の過敏性をおさえる作用はないため、アレルギー性の喘息などによる咳には気管支拡張剤を使用する必要があります。

アスベリンを処方されて、1週間服用しても咳が止まらない場合は、薬の変更を検討することがあるため、薬が効かない場合はもう一度病院を受診して医師に経過を伝えましょう。

おわりに

咳が出るときは、アスベリンのような鎮咳薬を使用することも一つの手です。

加えて、咳が出にくい環境を作ることも大切なので、加湿器など部屋の湿度を適度に保ち、水分を取って安静にしましょう。特に小さな子どもは抵抗力も弱いため、日頃から部屋の環境にも注意が必要です。

ハウスダストやダニなど、咳の原因になるものは取り除き、たばこも控えるなど、咳がひどくならないような環境を作ることを心がけましょう。