セレスタミンとは
セレスタミンは1965年3月に販売が開始された歴史のある薬です。歴史が長い分、使用実績も豊富なため、医師・薬剤師の指示のもと用法用量を守り、正しく使用すれば比較的安全に高い効果が期待できます。
セレスタミンは、アレルギー反応をおさえる成分である抗ヒスタミンと、炎症をおさえる強い効果のあるステロイド(副腎皮質ホルモン)が配合されていることが特徴です。
セレスタミンには錠剤の「セレスタミン配合錠」と、シロップタイプの「セレスタミン配合シロップ」があります。
セレスタミンの効果と効果の強さ
抗ヒスタミンとステロイドの2つの成分から、花粉症などのアレルギー症状の緩和やじんましんなどの治療に使用されます。
風邪では、鼻水の症状が強い場合に処方されることがあります。
効能又は効果
じんましん(慢性例を除く)、湿疹・皮膚炎群の急性期及び急性増悪期、薬疹、アレルギー性鼻炎
セレスタミン配合錠/ セレスタミン配合シロップ添付文書
抗ヒスタミンの効果
抗ヒスタミン剤はその名前の通りヒスタミンの作用をおさえる効果がある成分です。
ヒスタミンが過剰に放出されると、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみ、じんましんなどアレルギー症状が起こります。そのため、ヒスタミンの働きをおさえることでアレルギー症状が緩和されます。
花粉症もアレルギー性鼻炎のひとつであるため、抗ヒスタミン剤は花粉症の薬によく配合されています。
ステロイドの効果
ステロイドとは副腎皮質ホルモンとも呼ばれる成分で、炎症をおさえる効果(抗炎症作用)があります。ステロイドを使うことで皮ふのかゆみや赤み、鼻粘膜の腫れなどの炎症をおさえることができます。
花粉症の薬においてステロイドは主に点眼薬や点鼻薬に用いられていますが、症状が重い場合はステロイドを含む内服薬を使用することで症状への高い効果が期待できます。
セレスタミンの効果の強さ
セレスタミンは花粉症の薬としても使用されますが、効果が強いため、特に花粉症の症状が強い方に処方されます。
セレスタミンの副作用とは?
効果が強い薬ほど、気になるのが副作用です。
副作用をおそれすぎる必要はありませんが、副作用の症状をしっかり把握し医師の処方による用量・用法をしっかり守る必要があります。
主な副作用は口の渇きや眠気
眠気、だるさ、口の渇き、目のかすみなどが副作用としてあげられます。
そのほかにも、鎮静や神経過敏、頭痛や耳鳴りなどの精神・神経系の症状や、頻尿・排尿困難など泌尿器系の症状があげられます。
また、鼻や気道の乾燥など呼吸器の症状や、溶血性貧血、月経異常、筋肉痛、満月用顔貌(まんげつようがんぼう)、むくみなども副作用として現れることがあります。
重篤な副作用
長期に連続使用すると、副腎皮質ホルモン(ステロイド)特有の副作用として、感染症、高血圧や高血糖、胃潰瘍、骨粗鬆症、うつ状態などが起こる可能性があります。
そのため、セレスタミンの添付文書には、セレスタミンを漫然と使用するべきではないと記載されています。
発生頻度はまれですが、ほかにも重篤な副作用が起こる可能性があることを知っておきましょう。
【重篤な副作用】
・誘発感染症、感染症の増悪
・続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、急性副腎不全
・消化性潰瘍、膵炎
・精神変調、うつ状態、けいれん、錯乱
・骨粗鬆症、ミオパシー、大腿骨および上腕骨等の骨頭無菌性壊死
・緑内障
・後嚢白内障
・血栓症
・再生不良性貧血、無顆粒球症
・幼児、小児の発育抑制
副作用があらわれたら
通常、用法用量を守っていれば重い副作用が現れることはほとんどありませんが、使用中の体調の変化には注意が必要です。
セレスタミンを使用中に、倦怠感や発熱、嘔吐、食欲不振、胃もたれや胃の痛み、便が黒くなるなどの症状があらわれた場合にはすみやかに医師に相談してください。
眠気の副作用について
花粉症の薬では眠気は代表的な副作用ですが、前述のとおりセレスタミンにも眠気の副作用があります。
セレスタミンの添付文書では、セレスタミンの使用中は車の運転などを避けるようにとの注意喚起もされています。車の運転だけでなく、機械の操作や高所での作業なども避けましょう。
セレスタミンで眠気の副作用が出る理由
眠気の原因はセレスタミンに配合されている抗ヒスタミン成分にあります。
くしゃみや鼻水の原因は体内のヒスタミンとH1受容体という物質が結合することによって発生します。抗ヒスタミン剤はこれらの結合を妨げる作用があるため、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状をおさえる効果があります。
しかし一方で、ヒスタミンは集中力や覚醒を維持する作用もあり、抗ヒスタミン成分によってH1受容体との結合を阻止されると、集中力や覚醒力が低下してしまいます。これにより眠気の副作用が発生してしまうのです。
セレスタミンよりも眠気の副作用が出にくい花粉症薬
セレスタミンは花粉症薬の中でも効果が強い部類に入りますが、そのぶん副作用である眠気も出やすくなっています。
眠気の副作用があまりにも強い場合は、ほかの花粉症薬を検討してみてもよいでしょう。
効果の強さはセレスタミンには劣りますが、タリオンやアレジオンはセレスタミンよりも眠気の副作用が出にくくなっています。
なお、花粉症の薬の効果や副作用の出方には個人差があるため、薬を変更したい場合は医師によく相談しましょう。
セレスタミンの飲み方
【セレスタミン配合錠】
成人は1日1〜2錠を1日1〜4回使用します。年齢や症状によって使用量は増減されます。
【セレスタミン配合シロップ】
成人は1日5〜10mLを1日1〜4回使用します。小児は1回5mLを1日1〜4回使用します。
年齢や症状によって使用量は増減されます。
セレスタミンの長期使用は避けよう
セレスタミンにはステロイドが配合されているため、1週間以内の短期での使用が適しています。
症状が改善されてからも長期にわたって使用を続けていると、副腎皮質の機能が抑制されてしまうなどの副作用が出たり、離脱症状が起きてしまう恐れがあります。
長期間の目安は2週間以上です。セレスタミンは症状が強いときのみの使用にとどめ、長期間使用しないことが望ましい薬です。必ず医師の指示に従って使用してください。
セレスタミンとの飲み合わせに注意が必要なのは?
お酒・アルコールとの飲み合わせ
セレスタミンの使用中は、お酒・アルコールを控えることをおすすめします。
アルコールと併用することで薬の作用が強くなり、副作用も出やすくなってしまうためです。
毎日お酒を飲む習慣がある場合は、薬を処方されるときに医師や薬剤師に相談してください。
薬の飲み合わせ
セレスタミンと他の薬を併用する場合は注意が必要です。以下の薬を飲んでいる場合は必ず医師や薬剤師に伝えてください。
・中枢神経抑制剤、MAO阻害剤、抗コリン作用を有する薬剤
・ドロキシドパ、ノルアドレナリン
・バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール)、フェニトイン、リファンピシン、エフェドリン
・サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンダイアルミネート、サザピリン)
・抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
・経口糖尿病用剤(アセトヘキサミド)、インスリン製剤
・利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く)(トリクロルメチアジド、アセタゾラミド、フロセミド)
・ソマトロピン
・シクロスポリン
・非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物)
・リトドリン塩酸塩セレスタミン配合錠/ セレスタミン配合シロップ添付文書
また、セレスタミンを使用しているときに市販薬を飲む場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
セレスタミンにジェネリックや市販薬はある?
セレスタミンのジェネリック医薬品
セレスタミンにはジェネリック医薬品があります。
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品と同じ成分や効果を持つ後発医薬品のことです。新薬に比べると開発費用が不要なため安価に購入できます。
セレスタミンのジェネリック医薬品は「エンペラシン配合錠」「サクコルチン配合錠」などの名前でさまざまなメーカーから販売されています。
先発医薬品であるセレスタミン配合錠と比較すると、薬価はおよそ半分です。医療費の負担を抑えたい場合などは、診察時にジェネリック医薬品を希望することを伝えましょう。
セレスタミンの市販薬
セレスタミンと同じ成分が配合されている市販薬は、2017年12月現在販売されていません。ステロイド配合の飲み薬は市販薬として発売はされていません。
セレスタミンを購入したい場合には、病院で医師の診察を受ける必要があります。
セレスタミンのジェネリックや市販薬について、詳しくは関連記事をごらんください。
子供・妊娠中・授乳中にセレスタミンは使える?
子供
子供には基本的にシロップタイプのセレスタミンが処方されます。しかし、副作用で子供の発育に影響を及ぼすおそれがあります。
異常がみられた場合は、セレスタミンの使用量を減らしたり使用を中止することがあります。セレスタミンを使用していて異常を感じた場合は、早めに医師に相談しましょう。
妊娠中や妊娠希望の方
妊娠中の方には、セレスタミンの副作用のリスクより使用することのメリットが上回るとみなされた場合に、医師の判断によって処方されることがあります。
妊娠希望や妊娠初期の方も、セレスタミンの使用については医師に相談しましょう。
授乳中の方
セレスタミンの成分が母乳に移行することがあるため、セレスタミンを使用するときは授乳を中止します。
おわりに
症状の重い花粉症にも処方されるセレスタミンですが、効果が強い分使用の際には注意が必要です。
処方された際には医師からの指示に従い、用法・用量を守って使用してください。