タウリンとは?

栄養ドリンクに含まれていることで有名なタウリン。

タウリンは人間を含めほとんどの動物の体の組織に存在している物質です。人間の体内には体重の0.1%、60kgの人でいうと約60gのタウリンが存在しています。

タウリンは体中の細胞に存在し、細胞や臓器が正常に働くようにサポートする役割を担っています。

タウリンを用いた動物実験では、高血圧、糖尿病、動脈硬化、などの生活習慣病を始め、さまざまな病気の予防や進行抑制に用いられています。

しかし、タウリンの作用のメカニズムは、まだ全てが解明されているわけではありません。動物実験の段階のものも多くあり、現在も世界中でタウリンの研究が行われ、さまざまなヒトへの効果の証明が進められています。

タウリンはどこから補給する?

タウリンは主に肝臓でアミノ酸の一種を原料として合成されます。また、食事から摂取します。

タウリンの用途は?タウリンが含まれる商品

タウリンには魚介類などから抽出される天然のタウリンと、科学的に合成された合成タウリンの二種類があります。

日本では、天然のタウリンは「食品」、合成タウリンは「医薬品」と定められています。天然のタウリンは値段も高く、市場に出ているタウリンのほとんどは合成タウリンです。

海外では、合成タウリンも食品として扱われ、栄養ドリンクや清涼飲料水などにも使用されています。

栄養ドリンク

栄養ドリンクは、指定医薬部外品と呼ばれる医薬品です。栄養ドリンクの主成分は、ビタミン、カフェイン、タウリン(合成タウリン)、生薬などです。

滋養強壮や肉体疲労時の栄養補給など、医薬品としての効果・効能がうたわれています。

医療用の薬

日本では、医療用医薬品として、心不全などの心臓の病気や肝機能の改善を目的として肝臓の病気に対して処方されます。

また、現在ではさまざまな作用の研究が進められており、ミトコンドリア脳症改善薬など新たな効果を持つ薬の開発がすすめられています。

化粧品

タウリンは皮膚にも多く存在し、肌のバリア機能の維持を助ける働きから化粧品の成分としても使用されています。

タウリンが含まれる意外な商品

タウリンには傷んだ髪の修復作用があることが科学的に証明されており、シャンプーやヘアカラーなどにも含まれています。

ネコにとってもタウリンは必要な物質であるため、キャットフードには必ずといっていいほど含まれています。また、粉ミルク、魚のエサなどにも含まれています。

タウリンの効果・効能

タウリンは、肥満症・高血圧・糖尿病・脂質異常症・動脈硬化・脂肪肝などの生活習慣病、脳卒中、心筋梗塞、胃潰瘍、腸炎、腎炎、てんかんなど動物実験では多くの病気に対して効果が報告されています。

また、脳にも多くのタウリンが存在し、興奮を鎮める役割を担っています。その他、皮膚の水分調節、筋肉の機能調節、アルコールの代謝促進・解毒作用なども報告されています。

近年ではアルツハイマー病などの認知機能回復が期待される研究が行われています。

特定の病気に対して特定の作用が示されるわけではなく、タウリンの持つ以下の基本的な作用がさまざまな効果を発揮すると考えられています。

・浸透圧調節作用
・抗酸化作用
・炎症抑制作用
・タンパク質安定化作用

タウリンが運動能力向上をサポート!

タウリンは筋肉の中にも存在していますが、筋肉の種類の中でも速筋ではなく遅筋に多く含まれています。

遅筋はマラソンなどの長時間継続的に運動を行う時に使われる筋肉です。速筋は反対に短距離走などのパワーが必要な運動に使われる筋肉です。

タウリンは短距離走よりもマラソンなどのスタミナ系の運動に深く関わっています。

筋トレに役立つ摂取タイミング

タウリンは運動前に摂取することでパフォーマンスの向上が認められます。

運動前の摂取でも、一回だけの摂取で即効性を求める場合と、日頃から習慣として長期間摂取する二つの方法があります。

基本的には長期間に渡り摂取することが大切です。一回の摂取で最大限に即効性を求めたいときには、タウリンを摂るタイミングがとても大切です。

タウリンを摂取後に、血中での濃度が最も高くなるのが約2時間後です。その後血中での濃度はどんどん低くなり、1〜2時間後には半分程度に減ってしまいます。血中でのタウリンの濃度が最大限のうちに、運動能力の向上が認められたという研究があります。

タウリンを摂取するタイミングは、最高のパフォーマンスを出したい時間の2時間前くらいと考えるとよいでしょう。また、パフォーマンスだけではなく、タウリンの脂肪燃焼の効果を最大限に得たいときも、同じタイミングを意識しましょう。

ダイエットをサポート!

ラットでの動物実験では、タウリンを摂取することで、習慣的な運動を行った時に体脂肪や血液の脂質を減少させる結果がでています。

また、血液中のコレステロールや中性脂肪の脂質の減少も認められています。

タウリンは運動で脂肪が燃焼するパワーを高めるため、体脂肪の減少やダイエットにも有効といえます。

筋肉痛を和らげる?

過度な運動を行うと、筋肉の細胞がストレスを受けたり損傷したりして筋肉痛が起こります。

タウリンは筋細胞の損傷を抑えることで、筋肉痛を和らげると考えられています。習慣的にタウリンを摂取することで、運動後の筋肉痛がおさえられたという報告もあります。

現在では、どれくらいの摂取量で筋肉痛を軽減させられるか研究が進められています。

こむらがえりを予防する?

こむらがえりは突然起きる筋肉の痙攣であり、激しい痛みが置きます。こむらがえりが起きる原因は、マグネシウム、ビタミンな、カルシウムなどの不足、脱水状態、疲労の蓄積などさまざまなことが考えられます。

その中で、タウリンの不足も原因のひとつにあげられています。

日本では、肝臓病の症状のひとつとして起こるこむらがえりにタウリンが含まれた薬が処方されることもあります。

タウリンは美容にも効果的?

肌のバリア機能をサポート

皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の三層で成り立っています。タウリンは皮膚の中でも一番外側の表皮に高い濃度で存在しています。

タウリンが持つ浸透圧調節作用により皮膚の細胞の機能を正常に保ち、肌の保湿を助ける重要な働きをしています。

また、肌の細胞を保護して肌のバリア機能の低下を抑え、紫外線や乾燥などのダメージを防ぐサポートをしていると考えられています、

また、ラットの動物実験では、タウリンが傷の治癒を促進するという報告がされています。ただし、現段階では動物実験でのみ効果が見られており、人の肌での効果は現在も研究中です。

アンチエイジングに効く?

動物実験の段階ですが、タウリンが欠乏することにより細胞の老化が促進されている結果が報告されています。このことから、タウリンは老化のスピードを遅らせる働きを持っている可能性が示されています。

ただしあくまで、年老いたものを若返らせるのではなく、老化のスピードを遅らせるものとして考えられています。

タウリンはお酒好きの味方!

タウリンにはアルコールの解毒を助ける作用だけではなく、アルコールから肝臓を守る働き、アルコール依存症を予防する働きなど、お酒・アルコール好きの方に嬉しい効果がたくさんあります。

二日酔い・悪酔いに効く

二日酔いや悪酔いによる頭痛や吐き気は、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの中毒症状です。

タウリンは肝臓のアセトアルデヒドの分解を早める酵素を助ける働きがあります。「二日酔いの朝にはシジミの味噌汁!」と勧められるのは、シジミにタウリンが含まれていることも理由のひとつです。

アルコールは、脳を興奮させたり落ち着かせたり、どちらかのスイッチを押す作用があります。タウリンには脳を落ち着かせる効果が期待でき、少量のアルコールでも満足感を得ることにつながります。そのため、結果的に酒量が少なくなることが期待できます。

タウリンが肝臓を守る

タウリンには、さまざまな酸化ストレスに対する抗酸化作用があります。アルコール分解で発生する活性酵素を抑えて、肝臓病や肝炎になるリスクを抑えます。

アルコール依存症を予防する?

お酒を飲むと、興奮したり気分が落ち着いたりしますが、どちらもアルコールが脳に作用する結果起こることです。

タウリンには、アルコールによる脳の興奮を抑える作用を助ける働きがあります。タウリンがアルコールに変わって気分を落ち着かせることにつながり、少ないアルコール量でも満足感を得られるようになると考えられています。

実際に、タウリンと似た働きをする成分の薬が、アルコール依存症患者への断酒補助薬としても利用されています。

タウリンは胎児や乳児に必要不可欠!

タウリンは胎児や乳幼児の成長に大きく関わっています。タウリンは胎児期から出生直後の脳に多く含まれており、脳の発達にとても重要な働きをしています。

胎児や乳幼児は食事を摂ることができないため食品からタウリンを摂取することは難しく、また、体内でタウリンを合成する力もほとんどありません。胎児のときは胎盤を、乳幼児の時は母乳を通して母親の体内にあるタウリンを摂取します。

女性は妊娠すると、胎児への供給に備えて体内でのタウリンの合成量が増えます。この時期に偏った食生活やダイエットなどを行って体内のタウリンが不足すると、胎児への供給も減り胎児の成長に影響がでる可能性もあります。

妊娠期はバランスの良い食生活をしっかり意識しましょう。

タウリンに副作用はある?

食品からタウリンを摂取する分には副作用はほとんどありません。

また、医薬品のタウリンの場合も、副作用はほとんどない安全な成分といえます。医薬品のタウリンにおいて、製薬会社が行った臨床試験では副作用は2.82%の発生率で、主なものは吐き気や下痢との報告があります。

タウリンの過剰摂取は危険?

タウリンを一度に大量に摂取しても、ほとんどは尿となり体外に排出されます。そのため、厚生労働省などでもタウリンの摂取上限量は定められていません。タウリン単体であれば、過剰摂取に危険性はないと言えるでしょう。

ただし、タウリンが含まれる栄養ドリンクなどは、カフェインや糖質などタウリン以外の成分がたくさん含まれており、中には過剰摂取するべきではない成分もあります。

また、食品でタウリンを摂取する場合も、調理法によっては塩分や糖分過多になる可能性があります。

タウリンを摂取するときは、バランスの良い食生活を心がけましょう。

タウリンが多く含まれる食品

タウリンはほとんどの生物に含まれていますが、特に魚介類に多く含まれています。海水中に生息している生物は、海の浸透圧から体を守るためにタウリンの浸透圧調整作用を利用しているためとされています。

魚介類の中でも、イカやタコなどの軟体動物に特に多く含まれています。哺乳動物では牛肉や鶏肉にはあまり含まれていません。

また、陸の植物にはタウリンは全く含まれていませんが、ノリなど海の植物には含まれています。

【タウリンを多く含む魚介類(食品100mgあたりのタウリン含有量(mg))】

牡蠣(かき) 1178
サザエ 945
ブリ(血あい) 673
ミル貝 638
ホッキ貝 596
ヤリイカ 342
アサリ 211
マグロの赤身 32

調理のポイント

タウリンは熱に強いですが水によく溶けるため、長時間水につけ置きしたり、水で煮たりすると、タウリンが水に流れ出してしまいます。

煮物や鍋物にする場合は、汁まで一緒に飲むことをおすすめします。

一日のタウリン摂取目安量

国際タウリン研究会がすすめる一日の摂取量の目安は1日に約300mgです。これは日本人の大人が1週間に7回以上、魚介類が主菜の食事を摂って得るタウリンの量と同等になります。

一日一回は魚介類を主菜とした食事をとるといいですね。

おわりに

タウリンはさまざまな効果がある優れた成分といえます。ただし、効果のメカニズムは現在も研究中であり、まだ全てが解明されているわけではありません。

医療分野でも生活の中でも、さまざまな効果が解明されることを期待したいですね。

参照:読んで効くタウリンの話(国際タウリン研究会日本部会)