ナイシトールとは
ナイシトールは18種類の生薬からなる漢方処方「防風通聖散」を用いた、肥満症を改善する市販薬です。
ナイシトールは小林製薬から販売されています。2024年2月現在、ナイシトールZa、ナイシトールGa、ナイシトール85aの3つのシリーズがあり、それぞれ内容量が異なる数種類のパッケージが販売されています。
ナイシトールのメカニズム
防風通聖散は脂肪を減らす2つの力で肥満症にアプローチします。
■内臓脂肪の分解と燃焼
おなか周りについた内臓脂肪や皮下脂肪の正体は、中性脂肪の塊です。
防風通聖散は脂肪を貯める組織と脂肪を燃やす組織それぞれを活性化させ、中性脂肪を分解・燃焼することでおなか周りの脂肪を減らします。
■食事中の余分な脂質を排出
防風通聖散は、食事に含まれる余分な脂質を便と一緒に排出することで、脂質の吸収を減らします。
ナイシトールシリーズの違いは?
ナイシトールシリーズであるナイシトールZa、ナイシトールGa、ナイシトール85aでは、1日の使用回数や有効成分の配合量に違いがあります。
どれを選んだらよいか迷っている方は、下の比較表をご覧ください。
ナイシトールZa |
・防風通聖散エキス:5,000mg(1日量) ・対象年齢|15歳以上 ・用法用量|1日3回・1回5錠 |
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ナイシトールGa |
・防風通聖散エキス:3,100mg(1日量) ・対象年齢|15歳以上 ・用法用量|1日3回・1回4錠 |
ナイシトール85a |
・防風通聖散エキス:2,500mg(1日量) ・対象年齢|15歳以上 ・用法用量|1日2回・1回5錠 |
ナイシトールシリーズ|市販薬
ナイシトールZa
ナイシトールシリーズ3種類の中で防風通聖散エキスの配合量が最も多く、その分価格も高くなります。
1日3回服用でき、成分量が多い薬を求める方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:肥満症、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮ふ炎、ふきでもの(にきび) |
■用法用量
以下の量を食前または食間に、水またはお湯で服用してください。
・大人(15歳以上):5錠/回、3回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
ナイシトールGa
ナイシトールGaはナイシトールZaの約62%の防風通聖散エキスを配合しています。ナイシトールシリーズ3種類の中では成分量と価格が中間に位置します。
1日3回服用でき、お腹の脂肪が気になり始めた方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:肥満症、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮ふ炎、ふきでもの(にきび) |
■用法用量
以下の量を食前または食間に、水またはお湯で服用してください。
・大人(15歳以上):4錠/回、3回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
ナイシトール85a
ナイシトール85aはナイシトールZaの約50%の防風通聖散エキスを配合しています。ナイシトールシリーズ3種類の中で価格が最も安いシリーズです。
1日2回の服用でよいため、日中に薬を服用できない方、少ない服用回数の方が続けやすい方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:肥満症、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘・蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮ふ炎、ふきでもの(にきび) |
■用法用量
以下の量を食前または食間に、水またはお湯で服用してください。
・大人(15歳以上):5錠/回、2回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
防風通聖散を配合したナイシトール以外の漢方薬
ナイシトールと同様に防風通聖散を含む市販薬は、ほかのメーカーからも発売されています。
本草防風通聖散エキス顆粒-Hは、漢方処方「防風通聖散」を煎じて簡便に服用できるように、エキス顆粒(分包)とした製品です。2包(1日服用量)中に防風通聖散エキス3333mgを配合しています。
18種類の生薬から抽出した防風通聖散エキスが、便秘がちな方の肥満症などに効果をあらわします。
本草防風通聖散エキス顆粒-Hは、続けやすいリーズナブルな価格です。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症 |
■用法用量
以下の量を食前または食間に服用してください。
・大人(15歳以上):1回1包、1日2回(朝夕) ・15歳未満:服用しないでください |
ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒は、粉薬タイプの防風通聖散です。2包(成人1日服用量)中に防風通聖散エキス2250mgを配合しています。
1日2回服用します。錠剤を飲み込むのが苦手な方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症 |
■用法用量
以下の量を、食前に水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):1包/回、2回/日 ・7歳以上15歳未満:2/3/回、2回/日 ・4歳以上7歳未満:1/2包/回、2回/日 ・2歳以上4歳未満:1/3包/回、2回/日 ・2歳未満:服用しないでください |
ロート製薬・和漢箋シリーズの防風通聖散です。10錠(1日服用量)中に防風通聖散エキス4167mgを配合しています。
1日2回の服用でよいため、日中に薬を服用できない方、少ない服用回数の方が続けやすい方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症 |
■用法用量
以下の量を食前または食間に、水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):5錠/回、2回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
ロート製薬・和漢箋シリーズの防風通聖散です。8錠(1日服用量)中に防風通聖散エキス3333mgを配合しています。
1日2回の服用でよいため、日中に薬を服用できない方、少ない服用回数の方が続けやすい方におすすめです。
■効能効果
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症 |
■用法用量
以下の量を食前または食間に、水またはお湯で服用してください。
・成人(15歳以上):4錠/回、2回/日 ・15歳未満:服用しないでください |
ナイシトールの効果・成分
ナイシトールの有効成分である防風通聖散には、内臓脂肪を分解・燃焼する作用と余分な脂質を便と一緒に排出する作用があります。この2つの作用により、肥満症などの症状を改善します。
ナイシトールの効能・効果 |
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体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:肥満症、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮ふ炎、ふきでもの(にきび) |
いつから効果がでる?
薬の効果の感じ方には個人差があるため、一概には言えません。
ただし、1か月程度服用しても効果を感じられない場合は、体質に合っていない可能性もあるため、服用を中止し医師や薬剤師に相談してください。
効果が感じられている場合は、1か月以上服用しても問題ありませんが、体調の良いときにはいったんお休みするなど、健康管理の一つとして利用してください。
ナイシトールを飲むと痩せる?
ナイシトールはあくまで、肥満症などの症状を改善するための薬です。単なるダイエット目的での使用はしないでください。
防風通聖散は、体質によって合う・合わないがあります。防風通聖散が適した体質を考えずに使用すると、例えばもともと便秘がちでない方が下痢をしてしまうなどの副作用が起きることもあります。
ナイシトールの使用について迷う場合には、医師や薬剤師に相談してください。
ナイシトールの効果的な飲み方|服用するタイミング
ナイシトールは食前または食間に服用するよう添付文書に記載されています。食前は食事の30分~1時間前、食間は食事と食事の間のことで、食事の約2時間後を指します。
基本的には、ナイシトールに限らず漢方全般は、食前や食間などの空腹時に飲む方が吸収されやすいと考えられています。
ナイシトールの使用上の注意
他の薬との飲み合わせについて
ナイシトールの服用中は、他の便秘薬や下剤を使用しないでください。ナイシトールと同じ成分や、似た作用をもつ薬を一緒に服用すると効果が強く出すぎてしまうおそれがあります。
また、薬に含まれる生薬が重複する可能性があるため、ほかの漢方薬を併用する際は医師や薬剤師にご相談ください。
ナイシトールの副作用について
ナイシトールを服用すると下痢や便秘の症状があらわれることがあります。下痢や便秘が長く続いたり、症状が悪化する場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
また、その他の副作用と思われる症状や、いつもと違うと感じることがある場合も服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
肥満症を改善するために大切なこと
肥満症を改善するためには、市販薬を使用するだけでなく、食生活や運動習慣、生活スタイルを見直すことが大切です。
食生活を見直す
体重の増減は、摂取エネルギーと消費エネルギーの差で決まるため、食生活においては摂取エネルギーを適正に保つことを意識しましょう。
また、肥満症の食事療法では以下の内容が推奨されています。
・摂取エネルギーは1日あたり25kcal×標準体重kg以下とする(例:標準体重60kgの場合、1日あたり1,500kcal以下) ・栄養素の配分目安は糖質50〜60%、たんぱく質15〜20%、脂肪20〜25% |
なお、糖質制限食は短期的に減量効果は大きいものの、長期的には差が見られないことも多いため、極端な糖質制限は推奨されていません。
運動習慣を見直す
運動においては、有酸素運動が効果的で、散歩や、プールの中で歩く水中歩行などの低〜中程度の運動を週5日程度行うと良いとされています。
運動の強さは、血圧も脈拍もそれほど上がらない程度が望ましいとされています。
なお、身体の状態には個人差があるため、運動を行う際には一度医師に相談するとよいでしょう。自己判断で急に激しい運動をすることは控えましょう。
生活スタイルを見直す
肥満につながる生活習慣や行動を分析し、改善を目指すことも肥満症の改善には大切です。
例えば、ストレス解消のために食べ過ぎてしまう、朝食を抜いている、夕食をいつも遅い時間に食べるなど、問題となりそうな習慣や行動パターンを探してみましょう。
無意識のうちに行っていることに問題があるかもしれないため、食事日記を書くことで問題が見つかることもあります。