ナウゼリンとは?
ナウゼリンは、吐き気、胸やけ、食欲不振などの症状を改善する処方薬です。
ナウゼリンの剤形には錠剤、細粒、OD錠(※)、坐薬(坐剤)、ドライシロップがあります。剤形によって用法や特徴に違いがあるため、用途や状況に合わせて最適な薬が処方されます。処方された際には医師から説明された用法・用量などを守るようにしてください。
(※)OD錠とは口の中ですぐ溶け、水なしでも服用できる剤形のことです。
成分は『ドンペリドン』
ナウゼリンの成分『ドンペリドン』は、胃腸の運動を活発にし、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助けることで、消化機能を改善します。
また、嘔吐中枢を刺激するCTZ(化学受容器引き金帯)の働きをおさえるため、吐き気などの症状を止めます。
ジェネリック医薬品
ナウゼリンのジェネリック医薬品は、以下のような名前で様々な製薬会社から販売されています。
ナウゼリンのジェネリック医薬品例 |
・ドンペリドン錠5mg、10mg ・ドンペリドンドライシロップ小児用1% ・ドンペリドン坐剤10mg、30mg |
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ナウゼリンとプリンペランの違い
ナウゼリンと同じ吐き気止めに使用される薬にプリンペランなどがあります。ナウゼリンとプリンペランは、成分や薬の作用の仕方などに違いがあります。
ナウゼリンの成分『ドンペリドン』は脳には届きにくく、脳での副作用(錐体外路障害)を起こす危険性はプリンペランに比べて少ないといわれています。しかし、妊婦の使用については、禁止されています。
一方、プリンペランの成分『メトクロプラミド』は、脳に届きやすいため、脳腫瘍やうつ病など脳が原因で起こる吐き気への効果もあり、ナウゼリンに比べ使える範囲が広いです。妊婦の使用については、医師が必要と判断すれば服用できます。
ナウゼリンの用法・用量
錠剤・細粒・OD錠の場合
成人 | 通常1回10mgを1日3回食前に服用する。 |
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小児 |
通常体重1kgあたり1.0~2.0mgを1日3回食前に分けて服用する。 |
ナウゼリン錠は、『ドンペリドン』の含有量の違いにより、ナウゼリン錠5/10と2種類あります。小児が服用する場合は体重により用量が異なるため、医師から処方された用量をきちんと守りましょう。
また、水なしで服用できるOD錠も5mgと10mgがありますが、用法・用量は上記と同じです。
坐薬(坐剤)の場合
成人 | 通常1回60mgを1日2回直腸内に挿入する。 |
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小児 | 3才未満の場合、通常1回10mgを1日2~3回直腸内に挿入する。 3才以上の場合、通常1回30mgを1日2~3回直腸内に挿入する。 |
ナウゼリン坐剤は『ドンペリドン』の含有量の違いにより、ナウゼリン坐剤10/30/60と3種類あります。用法にある通り、成人の場合はナウゼリン坐剤60を、3才以上の場合はナウゼリン坐剤30を、3才未満の場合はナウゼリン坐剤10を使用します。
ドライシロップの場合
成人 | なし |
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小児 |
通常、ドンペリドンとして体重1kgあたり1.0~2.0mgを水に混ぜ、1日3回食前に分けて服用する。 |
ナウゼリンドライシロップは小児用の薬で、服用する際には水と混ぜて飲みます。
ナウゼリンドライシロップは、甘味があることが特徴です。そのため、薬が苦手な子どもでも無理なく服用できることが利点です。ただし、オレンジジュースやヨーグルト、スポーツドリンクなどの酸味のある飲食物と一緒に飲んでしまうと苦味が出る可能性があるため、注意が必要です。
ナウゼリンの効果と効果発現時間
ナウゼリンの主な効果は吐き気をおさえることです。そのため、吐き気をともなう様々な病気の処置に使用されます。ナウゼリンの効果は、服用する人の年齢によりいくつかの違いがあります。それぞれどのような症状に適応があるのか見ていきましょう。
成人の場合
坐剤
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、胸やけ)
・胃、十二指腸手術後
・抗悪性腫瘍剤投与時錠・細粒・OD錠
・慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
・抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時ナウゼリン坐剤 添付文書
ナウゼリン錠 添付文書
ナウゼリン細粒 添付文書
ナウゼリンOD錠 添付文書
小児の場合
坐剤
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、腹痛)
・周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
・抗悪性腫瘍剤投与時錠・細粒・OD錠
・周期性嘔吐症、上気道感染症
・抗悪性腫瘍剤投与時ドライシロップ
・周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
・抗悪性腫瘍剤投与時ナウゼリン坐剤 添付文書
ナウゼリン錠 添付文書
ナウゼリン細粒 添付文書
ナウゼリンOD錠 添付文書
ナウゼリンドライシロップ 添付文書
小児の場合のみ、下痢の症状への適応があります。ただし下痢に適応があるのは坐剤とドライシロップのみです。
また、上気道感染症(いわゆる風邪)が原因の吐き気への効果もあります。成人の場合、錠剤や細粒、OD錠には慢性胃炎や胃下垂症への適応があります。
効果が出る時間について
ナウゼリンの効果が出る時間は剤形毎に異なり、具体的な時間は個人差があり一概には言えません。
ただし坐剤では比較的ゆっくり効き始め、錠剤・細粒・OD錠・ドライシロップといった飲み薬では早く効果が出る傾向があります。飲み薬が比較的早く効く理由は、ナウゼリンの有効成分である『ドンペリドン』がすぐに胃腸へ作用することができるためです。
ナウゼリンの副作用
ナウゼリンの副作用の中で最も多く報告されているのは下痢などの消化器障害です。
また、坐薬を使用した場合は肛門に不快感などを感じることも多くあります。
加えて、眠気やめまいなどの症状も報告されています。発症する確率は低いですが、服用後の車の運転は注意する必要があります。
重大な副作用
発症する確率はまれですが、以下のような重大な副作用も報告されています。服用の際には体の状態をよく観察し、違和感を感じたら医師にご相談ください。
症状 | |
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アナフィラキシーショック | 発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、口唇腫など |
錐体外路症状 | 上肢の伸展、筋硬直、振戦など |
その他 | 意識障害、けいれん |
ナウゼリンの使用上の注意
大人から子どもまで使用できるナウゼリンですが、使用方法を間違えたり、自己判断で使用してしまうと様々な危険があります。
服用する人の年齢別の注意や他の薬との飲み合わせについて、解説します。
小児や妊娠中・授乳中の使用について
■小児の使用
どの剤形の場合も一日の摂取量を超えないようにしましょう。
服用期間や用法・用量については担当医の指示に従い、服用しましょう。
■妊娠中・授乳中の使用
添付文書には妊娠中の使用は原則として禁止と記載されています。医師に妊娠中であることを伝え、ご相談ください。
授乳中については、医師が必要と判断した場合に限り処方されますが、服用中は授乳を中止となることもあります。
全年齢共通の注意
ナウゼリンを口から服用する場合、必ず食前に服用してください。食後に服用するとナウゼリンの効果が弱まる可能性があります。
処方された薬はそのときに飲み切り、残ってしまった薬は使わないようにしましょう。
また、特に坐薬の場合、保管場所によっては温度による劣化の危険性があるため、受け取る際には保管方法を確認するようにしましょう。
原因の分からない吐き気がある場合や何か気になる症状がある場合は一度病院で診察を受けましょう。
ナウゼリンと同じ成分の市販薬はある?
ナウゼリンと同じ『ドンペリドン』を成分とする薬は、2022年10月現在、処方薬としてのみ販売されており、市販薬はありません。ただし、ナウゼリンの代わりに吐き気、胸やけ、食欲不振などの症状に使える市販薬については販売されており、以下の記事で詳しく解説しています。
ナウゼリンなどの処方薬は宅配便でも受け取れます
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